2014年01月14日(火)12時49分

(14-1) 2014年の年頭に際して

本サイトは201212月に開設され1年強が経過した。投稿されたレポ-トは31本これに英文の抄訳2本と時の話題を取り上げたトピックス66本が掲載されサイトも混み合って来たので、本年は過去のデ-タ-はライブラリを設けそちらに移管、2014年の新しいレポ-ト、トピックスの閲覧の便を図った。サイトの上部のライブラリ-をクリックすれば過去のレポ-ト、トピックスのタイトルが表示されるので好みのものを選び添付されている資料の中より従来通り必要な項目をクリックすれば目的とする資料が表示される。1頁に全ての項目が表示出来ないので、これも従来通りペ-ジの下にある「次へ」をクリックすれば新たなペ-ジが表示される。

2014年度投稿される資料に就いては従来通りサイト上部のレポ-ト、トピックスをクリックすれば公開された日付けの降順でタイトルが表示され、好みのタイトルをクリックすれば資料の全文が表示される。レポ-トはその性格からそれなりのボリュ-ムが必要と成るので多忙な読者は頭出しの「要約」を通読すれば内容のあらすじが分かる。

トピックスはレポ-トに較べて遥かに短くA4 1頁前後であるが、時事問題の性格上、経時変化で陳腐化するのは避けられない。

提供される情報は公的機関、業界団体、関連業者、著名な調査機関等の資料によるもので主要な資料には出典が付記されているが、全て「公知の情報」でコンタクト先から入手した「特ダネ」や「インサイ-ダ-」情報的なものは意識的に公開を控えている。又筆者は、航空業界でのキャリアも、何れの政府、業界、メ-カ等との利害関或いは営利目的も無く、日本の将来のビジネス機利用の在り方に就いて考える資料を提供しているに過ぎない。但し、ネット上のこの種サイトの大半は、ビジネス機を売り込む事を目的としたサプライサイドの目線から提供されているが、本サイトは飽く迄日本でのビジネス機の普及・利用を望む一利用者のデマンドサイドからの視点から記述されている。又海外で実際にビジネス機を利用した実体験と、如何なる状況下でビジネス機が利用されるか、利用者の現場のニ-ズや華やかな宣伝とはかなり違った実像を伝えられる事を目的としている。

2013年度は必要な基礎的なデ-タ-を提供したが(必要なデ-タ-はラ-ブラリ-から検索可能)本年度はより実践的なアイデアを公開する。この場合、読者の対象は潜在的利用者と言う不特定多数と成るので、サイトへのアクセス数より閲覧者の関心が奈辺に有るかの追跡も実施すると同時に読者のフィ-ドバックを期待したい。

 

要約2013年の回顧

1.2013年の回顧2013/12/12日公開)で実り多き年であったと総括。

2.世界的には1978年に始った「空の自由化」がAmerican/USAirの統合で一段落した。

3.米国/EU 夫々が3グル-プに統合、世界は3大メガアライアンスに集約された。

4.これら寡占化の動きに対し、LCC、中東勢の台頭による均衡も結果的に図られた。

5.この間日本も遅ればせ乍らJALの再構築(リストラを果たし)、LCCの出現も見た。

6.安倍政権誕生による成長戦略、オリンピック招致成功に伴い新たな航空政策の検討着手。

7.外国人訪問客1,千万人の目標達成。次は海外訪問客、日本人出国者夫々2千万人が目標。

8.アジアゲ-トウエ-構想の見直しと再構築。

9.この間、アジアの成長は目覚しく、これらを見据えた日本のハブとしての位置付けが肝要。

10.日本の「特権階層」用のHeavy Jetの取寄せ需要には欧米2社が日本に進出対応。

11.国交省も検査機のHeavy Jetの退役とLight Jetへの買替えを決め入札結果も公表。

12.空港利用料軽減、外国ビジネス機のカボタ-ジュ制限緩和 ジェネアビ用法制の整備。

13.多少の積残し案件は有るが、懸案であったビジネス機利用の規制障害は大枠取払われた。

14.従って、日本ではビジネス機が普及しないのは煩瑣な規制の為との論拠は失われた。

15ビジネスジェット機が利用されない真因である利用料が商用機の50~100倍が浮彫りに。

16.同時に日本のビジネス機の大半が低価格帯の「広義のビジネス機」である事も浮彫りに。

17.日本の航空機総数4000、軍用2000、ビジネス機の範疇外機材1000、ビジネス機1000

18.今後の課題は看過されて来た「広義のビジネス機」の企業マンの足としての利用検討。

要約2014年のサイトの展望

1.世界の環境は不断に変化を続け航空業を含め如何なる業界も「変化への対応」は不可欠。

2.その意味では本サイトも背景を形成する情報は提供するが必要な範囲に限定する。

3.寧ろ、舞台のスポットライトは主役の「広義のビジネス機」に当てる。

4.日本でのビジネス機の利用の必要性が過去20年叫ばれ乍ら看過されて来た分野。

5.より華やかなビジネスジェット機は脚光を浴びるが大手企業の利用は殆ど皆無。

6. ビジネスジェット機は「広義のビジネス機」の3%以下、「旅客の2点間輸送」は1%以下

7.理由は単純明快。凡る副次的要因を除けば真因は利用料が商用機の50~100倍と検討対象外。

8.本年は、利用料を含め主要な副次的要因も検討の対象として取り上げる。

9.但し真因は利用料。如何なる状況下、如何なる水準で利用者が航空機を利用するかが鍵。

10.高額な航空機をビジネスマンの足として提供するには欧米でも一方成らぬ苦労がある。

11.リ-マンショック以降のビジネス機の氷河時代への対応は日本での対応の貴重な指針。

12.更に日本の地理・風土に馴染む様々な工夫が必要で一朝一夕で問題は片付かない。

13.但しこれは一個人、一企業、一業界団体では達成不能で「3本の矢」の「協働」が不可欠。

14.日本で決定的に欠けて来たのは利用者の参画。利用者不在のビジネス機業界は有り得ない。

15.利用者よりのインプット、参画の呼掛けが本サイトの主要目的でウエブ上の参画を期待。

16.様々な障害は横わるが、「越えられない障害」とは思われず「為せば成る」で臨みたい。

 

 

 

 

日本でのビジネスジェット機の利用

既に2013年の本サイトで縷々記述した通り、欧米の活動中心地へは各国の航空会社が多数の定期商用便や不定期のチャ-タ-便を運航して居り、ビジネス機の利用料は通常のビジネスマンが利用するビジネスクラスの50~100倍するので日本の一般企業マンがビジネス機を利用する事は過去半世紀無かったし、今後も大手企業で有れば社内旅費規程の縛りがあり期待出来ない。具体的にはビジネスマンが利用するビジネス~ファ-ストクラスの商用便の運賃は¥25~50/㎞、ビジネス機¥1,500~2,000/㎞。米国東岸往復20,000㎞と見れば単価は20,000倍に増幅するので始めから検討対象外。絶対値で言えば、通常のビジネスクラスで実際に支払う運賃は¥400~500,000、ファ-ストフルフェアで¥2,000,000.ビジネス機で有れば¥35~40,000,000.近隣諸国よりHeavy Jetを取寄せれば取寄料のみで¥6~8,000,000.欧米とて事情は全く同じ。日本にビジネス機で飛来するのは一握りの「特権階層-Priviledged Person」に限定され、VIP、セレブ(一流芸能人、スポ-ツ選手、タレント等)、超富裕層(最近は特に中東産油国、中国等の超富豪)或いは日本では余り見られないカリズマ的な経営者以外利用者は居らず、従って本サイトが対象とする「一般ビジネスマン」の範疇外。日本の大手企業の会長、社長と言ったトップも海外の幹線航路では商用機を利用しビジネス機を利用する事は無い。但し、訪問先で交通の便が悪く、或いは時間的制約から地場の日本より遥かに安いビジネス機を短距離、短時間利用する事は過去四半世紀行われている。「空に国境なし」で日本のビジネスマンも世界を一つの市場と見れば、上手に商用機、ビジネス機を使い分けている。海外旅行を対象にすれば;

1.過去四半世紀~半世紀「特権階層」を除いた一般大手企業の従業員は幹部、上級管理職、スタッフを含め幹線航路でビジネス機を利用しなかった。

2.ビジネス機の利用を声高に叫ぶ企業も、当該企業社員も、本人もビジネス機を利用しない。

3.日本の大手企業で日本でビジネス機を所有或いは運航している企業は皆無。

4.日本の企業幹部もサラリ-マン社員で他の従業員同様社内規定の縛りがある。

5.社内規定以外に機関投資家、株主のコ-ポレ-トガバナンスの目にも配慮が必要。

6.ビジネス機の利用料は商用機の50~100倍でコスト差を正当化する事由は無い。

 

従って、本年は的を日本国内に於ける一般企業マンの足として如何なるビジネス機の形態が成り立つのか模索したい。国内と言えども幹線航路やコミュ-タ-便が98の空港を繋いでいる。国交省の2013年第一四半期の旅客が実際に払った運賃は¥12~15/㎞。2013年度上半期のコミュ-タ機への支払い運賃は¥29.80/㎞。商用便のファ-ストフルフェアでも¥40/㎞程度。ビジネスジェット機で有れば¥1,200~1,500/㎞で努力目標は¥1,000/㎞に置いても、実際にはこれは達成されて居ない。国内でも、商用便、コミュ機とビジネスジェット機の運賃格差は50100倍。国内では更に新幹線等の競合地上交通機関も存在し、商用便航空便と競合し得る運賃が提供されている。

この様な状況下で大手企業の社員が幹部を含めてビジネス機を利用しないとしても不思議はない。従って、国内での利用は歴史的な利用例としてはエプソン社の松本-庄内、八尾、鳥取、トヨタの名古屋―旭川が有るが後に続く企業は居ない。国内でのビジネスジェット機の利用者は海外からのビジネス機利用者の国内移動が太宗だが、201310月末よりカボタージュ制限が緩和され、海外からビジネス機で訪日したビジネス客は同じ利用者に限り利用機で他の日本国内空港に移動出来る事に成ったのでこの需要には影響が見られ様。他に、「特権階層」の利用は有ろうが極めて限定的。

 従って本サイトの焦点は欧米と同様14百万円以下の「一般ビジネスマン」が利用可能な低格帯機材に絞られるが、ビジネス機より遥かに低額のヘリコプタでも「2点間旅客輸送」は年間1,000時間余。1365日、1回の飛行時間往復1時間と限定しても日本中で13回の利用と問題に成らない。航空機をAir Taxiとして利用する発想が無いと片付ける事は手易いが、個人がポケットマネ-で利用する遊覧飛行では例えばハワイ、グランドキャニオン、ナイアガラの滝等で日本客も結構利用する現実から工夫の余地は充分あるが、これが本年度の本サイトの課題。

1.利用機材のコスト : 米国でも2014年度は1百万ドル前後のヘリコプタ-の熾烈な激突がRobinson, Bell, Eurocopter3社で展開される見通し。

2纏め買い : 欧米ではFractional Ownershipの運航会社が何百機の単位でビジネス機を購入。不況に喘ぐビジネス機メ-カ-は大幅なデイスカウントを提供。日本の個々の企業が安いLight Jetを年間1機買う程度では問題にされない。然も、機種を絞れば、保守・修繕のコストも大幅に節減可能。コストカットがお家芸の日本企業の出番だが、個々の企業エゴを抑えて「小異を捨てて大同に付く」の「協働」無くして事は成らない。

3.機材の共同管理・運航 : 航空機は資本集約的事業で機材の稼働率が生命。ヘリコプタ-業界大手でも稼働時間は300時間/年を割り、100時間を割る企業もある。300時間/年の稼働が採算ラインと言われ、米国では700時間/年の利用もある。地方自治体所有機も含め自家用機を持つより共同利用する事が有利な事は企業が自社所有車を廃し、ハイヤ-会社と提携したり、個人のカ-シェアリングの例もある。此処でも「協働精神」が必須。

4.最大のミッシングリンクはビジネス機の利用は「時間を金で買う」商売。「人のコスト」を定量化し、時間の節減による「人件費の節減」と言う定量的メリットと手間暇の削減と言う定性的メリットが勘案されなければビジネス機利用の「費用対効果」を正当化する事は出来ない。個人でも公共交通機関を利用するかタクシーを利用するかは頭の中で計算し判断を下している。但しこの様な (推論-Guess Work) では無く米国ではコスト比較の計算ソフトも市販されている。社員の1人当りの正しいコストと時間節減による定量化された人件費の節減コスト比較はビジネス機利用の基本的なステップ。日本でビジネス機の普及を声高に叫ぶのであれば、先ずは、このコンセプトを確り理解・咀嚼しなければ成らない。

2014年度はこの辺の問題を浮き彫りにし読者のブレ-ンスト-ミングの資を提供したい。

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