2014年04月27日(日)03時49分
(14-10) 日本の回転翼機の現状
要 約 1. (14-07) 2013年末の日本のビジネス機のグローバルポジションも参照戴く。 2.同様に (14-06) アジア・オセアニア圏に於ける日本の回転翼機の位置付けも参照。 3.機材の選び方、時期、目的により各種データーベースの数値にバラ付きがある事に留意。 4. 2013年の統計が出揃ったので比較対照したが「誤差範囲」を遥かに超える相違がある。 5.本年のシンガポールエアショー、ABACEでアジア地域の統計の不備が顕在化した。 6.日本人は几帳面で数字に拘りが強いが、業界で最も流用される数値も結構精度が粗い。 7.要は、全体感、方向感の大枠を掴む事が目的で線引きが出来ないグレーゾーンが多い。 8.本サイトは世界での日本の立位置を認識しつつ国情に合せた独自性のある展開を模索。 9.国土が狭く、他の交通機関が高度に発達、階級格差の少ない国情に馴染む方策の考案。 10.それには高額なビジネスジェット機は限定的にしか利用されず低価格帯機材が中心。 11.これは今に始まった事では無く過去四半世紀の歴史的実績と企業の商習慣が実証済み 12.海外ではメ–カ–販売実績から追跡可能なジェット・ターボ機の統計が利用されて来た。 13.最近はデ–タ–も整備され小型機や回転翼機の世界統計も包括/別個に公表されている。 14.但し、比較的精度の高いジェット・ターボ機統計も上記6項記載の如く極めてて粗い。 15.個人所有の小型機、回転翼機ではビジネス機としてどの程度利用されているか 明。 16.故に、小型機、回転翼機のグローバル統計は更に拾い方次第で粗いものと成る。 17.但し、日本の世界に於ける凡その立ち位置を認識するにはそれなりの参考と成る。 18.アジア・大洋州地域の回転翼機のグローバルシェアーは約15%。 19.その中の日本のシェアーは約17%。従ってグローバルシェアーは2~3%。 20.日本国内のビジネスジェット機数は24機と日本の民間ビジネス機数1,000機の2.4%。 21.この内、一般利用者がチャーター可能な機材は4~5機で1,000機の0.5%。 22.日本のビジネス機のグローバルシェアー3%、利用可能な機材0.5%、全体の0,015%。 23.これの利用料も商用機の50~100倍故に大手企業が所有・運航・利用する機材は皆無。 24.逆に日本の国情に馴染む低格帯機材は1,000機以上、四半世紀前より使われて来た。 25.「旅客の2点間輸送」は最も低価格の単発回転翼機以外利用可能な運賃提供は不能。 26.個人登録機材等を全て除外し「厳し過ぎる」定義でピストン106機、タービン156機 27. これさえも徹底したコスト合理化と業界の「協働」が「2点間輸送」実現に不可欠。 28. 地上交通機関の最も高いタクシー料は¥330/㎞。最も安い回転翼機で¥725/㎞。 29.日本の単発プロペラ機で最も安い運賃は¥275/㎞だが空港利用と言う物理的障害あり 30.米国では日本の地上タクシーの運賃の1/2~1/3の運賃が提供される事例さえある。 31.運賃の多寡もあるが企業マンの自分の人件費に対する徹底的コスト意識の改革が必要 32.日本のホワイト/シルバー/ゴールドカラー族の生産性の低さは夙に指摘されて来た。 33.この辺の工夫も加味して目的である合理化を利用コストI/II/IIIで順次提案する。 34.今後は、個々の企業が「縦割り」の自社商権を追求を離れ「協働」が必要。 35.「協働」で市場のパイを拡げ、全員が大きな分け前に与る上昇スパイラル転換を狙う。 36.縦割り個別企業目的の追求は「蛸壺戦法」で生産性が低く、此処から何も産まれない。 37. 大きな目標達成は個別企業のエゴを越えた「大志」が必要。結果は後から付いて来る。 38.次号では「利用料」と並ぶ「3本の矢」を束ねる「協働」の重要性に就き記述する。 |
アジア・大洋州圏の回転翼機の地域シェアー
Forecast Int’l 2013
北米 |
欧州 |
アジア・大洋州 |
中南米 |
その他 |
合計 |
|
機 数 |
18,501 |
5,475 |
4,624 |
1,775 |
1,758 |
32,133 |
比率% |
57.6% |
17.0% |
14.4% |
5.5% |
5.5% |
100% |
アジア・大洋州圏内の回転翼機の国別シェアー
Forecast Int’l 2013
豪州 |
日本 |
New Zealand |
中国 |
インド |
インドネシア |
地域総計 |
|
機 数 |
1,808 |
789 |
723 |
465 |
265 |
115 |
4,624 |
比率% |
39.1% |
17.1 |
15.6 |
10.1 |
5.7 |
2.5 |
90.1% |
日本の回転翼機保有数推移
航空振興財団、日本航空機全集
2006 |
2007 |
2008 |
2009 |
2010 |
2011 |
2012 |
2013 |
|
総機数 |
778 |
773 |
768 |
777 |
781 |
777 |
789 |
805 |
ピストン機 |
160 |
169 |
171 |
177 |
181 |
184 |
182 |
179 |
タービン機 単発 双/多発 |
618 258 360 |
604 237 367 |
597 220 377 |
600 201 399 |
600 193 407 |
593 177 416 |
607 176 431 |
626 179 447 |
2013年末の回転翼機と所有者分類
日本航空機全集 2014
機種 |
総機数 |
ビジネス機 |
官公需 |
商用・コミュ-タ- |
個人所有 |
ピストン機 |
179 |
106 |
0 |
10 |
63 |
タ-ビン機 単発 双/多発 |
179 447 |
156 243 |
0 15 |
2 0 |
6 1 |
合 計 |
805 |
505 |
15 |
12 |
70 |
旅客の「2点間輸送)に利用可能な低価格帯機種
機種 |
総機数 |
ビジネス機 |
比 率% |
価格百万円 |
ピストン単発 R-22 R-44 |
179 66 99 |
106 34 46 |
32.1 43.4 |
29.7 45.6 |
タービン単発 AS-350 Bell 206 EC-120 R-66 |
179 87 49 4 3 |
156 84 28 2 3 |
17.9 1.3 1.9 |
140 140 84.5 |
機種 |
ビジネス機 |
利用料 万円/時 |
単価 ¥/㎞ |
利用料 万円/時 |
単価 ¥/㎞ |
ピストン単発 R-22 R-44 |
106 34 46 |
15~20 20~30 |
7.5~10 10~15 |
2.5 6~7 |
1.2 3~3.5 |
タービン単発 AS-350 Bell 206 EC-120 R-66 |
156 84 28 2 3 |
35~50 |
17.5~25 |
12~15 10 12 10 |
6~7.5 5 6 5 |
・R-22は3千万円以下の最低価格帯機材で個人所有機が多くビジネス機より除外。
・R-22の最もも安い利用でも15万円/時なので「旅客2点間輸送」の利用は限定的。
・AS-350は低価格帯の中では一番高いが多目的利用が可能で87機中84機がビジネス機。
日本のビジネス機としての回転翼機数
日本航空機全集2014
機 種 |
総 機 数 |
比 率 |
ビジネス機 |
比 率 |
ピストン単発 R-22 R-44 Robinson計 その他 計 |
179 62 100 162 17 |
90.5% 9.5% |
106 32 58 90 16 |
59.2 84,9% 15.1 |
タ-ビン単発 AS-350 Airbusその他 Airbus Heli 計 Bell Helicopter 計 Robinson Heli 計 その他 計 |
179 88 17 105 58 5 11 |
58.7% 32.4% 2.8% 6.1% |
156 84 16 100 42 4 10 |
87.2 64.1% 26.9% 2.6% 6.4% |
ビジネス機としての回転翼機 1.回転翼機も事業目的遂行の為に運航される機材はれっきとしたビジネス機。 2.2013年末の日本の回転翼機の保有機数は805機。 3.但し、タ-ビン双発447機は価格も高く従って「官公需」や重作業に利用される。 4.企業マンの「2点間移動」はコスト上、低価格機材を短距離、短時間利用する事と成る。 5.回転翼機の巡航速度を200㎞/時と見れば50~100㎞範囲内の飛行は15~30分で済む。 6.回転翼機は直線距離の飛行で米国では地上の1.5倍の距離をカバ-可能と言われる。 7目標運賃を¥60,000/時と.仮に置き、1/4 の¥15,000で50㎞x 1.5=75㎞がカバ-可能。 8.R-44やAS-350であれば3~5人同乗出来るので1人当り¥3~5,000と成る。 9.30分で往復150㎞をタクシ-で50㎞/時で走れば3時間。2.5時間の時間節減が可能。 10.大手企業の人件費は3~5万円/時と言われ2.5時間の時間節減で7.5~25万円の節減。 11.3~5人乗れば理論的には22.5~125万円の人件費節減が得られ軽く元は取れる。 12.この様な、現場の具体例で「費用対効果」を見える形で示さなけば利用者は現れない。 13.企業マン「2点間移動」の「ビジネスツ-ル」として使うには「発想の転換」が必要。 14.数十億円するHeavy Jet 1機の金で50百万円弱のRobinson R-44が100機も買える。 15.運航費/整備費等も考えれば低価格帯回転翼機以外「ビジネスマンの足」の選択は無い。 16.ピストン単発から個人名登録機、訓練機を除いたビジネス機は106機。 17.但し、R-22は乗客1名で訓練機等に使われるEntry Level機材で上位機種にシフト中。 18.上位機種はR-44と昨年デビュ-したR-66(米国でのチャ-タ-料は¥100,000/時)。 19.Airbus Helicopter AS-350は目下最も人気がある機種で88機の内84機がビジネス機 20.Bell 505は日本でも広く使われたBell 206の後継機で2016年1億円前後で市販開始。 21.Airbus社は本年1月よりグロ-バルな組織改編でAirbus Helicopter社と改名。 22.既に神戸空港内にハンガ‐、整備施設も完備。隣接のヒラタ学園でパイロットを養成。 23.Robinson社はマ-ケテイング、アフタ-サ-ビス等は利用する現地に分権。 24.日本では茨城県下妻に組立・整備工場を持ちパイロット訓練校も持つ。 25.ビジネス機LCCメ-カ-として世界を震撼。日本でも162機、内90機がビジネス機。 26.立ち遅れたBell社は本年2月のHeli-Expo 2014で1億円の対抗機Bell 505を展示。 27.日本の事業展開は従来の代理店三井物産に替えてBell Helicopter社が直接乗り出す。 28.これで0.5~2.5億円代の低価格帯新鋭機の日本市場での基盤構築の地合いが整った。 29.低価格帯機材こそが日本の国情に最も馴染む事を認識し、相応の配慮を払う。 |
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