2014年07月07日(月)09時33分

(14-13) ヘリコプタ-運賃は他交通機関利用料と競合可能か

 

 

要    約

 

1.首題に対するズバリの結論は「工夫次第で可能性は有る」。

2.但し、機材価格が0.5~2.5億円程度の低価格帯機材が利用の中心と成ろう。

3.コミュ-タ-機は同額以上の機材を流用、既に地上タクシ-料を下廻る運賃を提供。

4.米国で多用されるAir Taxi等は日本の地上タクシ-料より安いものが多い。

5.但し、コミュ-タ-便等は地元の補助も有ろうが ”Stand Alone” の「自立」が必要。

6.ビジネス機利用の本質は「時間を金で買う」事。利用者のコストマインドが最重要。

7.個々の企業の間接費全てを含めた時間当り1人の人件費の金額を自覚する事が先決。

8.日本の大手企業の人件費は平均¥30~50,000/時/人と言われ、最低賃金\700/時の50倍。

9.ビジネス機利用による時間節減を人件費節減額に換算、誰の目に見える様視覚化する。

10.キチンとしたコスト分析や人件費定量化の方策の検討には3~6ヶ月程度を要し様。

11.少数精鋭の複数人の関与で見落し、思い違い、誤謬の是正で結果の信憑性を高める。

12.何れにせよ、ビジネス機は地域交通の補完の役割を担い、競合するものではない。

13.人的交流で相互理解が深まり、ビジネス以外の観光客も増大地域活性化にも繋がる。

14.無論、ヘリコプタ-等が「旅客の2点間輸送」に使われれば所期の目的も達成出来る。

説 明 記 事

 

1.過去20年間日本でビジネス機の普及・利用が論議され乍ら今一つ論議が噛み合わない。

2.本サイトは何故に論議が噛み合わないかを詳らかにし現実的な選択肢を提案する事。

3.大きな思い違いは日本ではビジネス機が利用されて居ないと感じる人が多い事。

4.その事由は、日本のビジネスマンが欧米に比しビジネス機を利用しないと考える故。

5.本サイトで詳しく述べて来た様に無意識に二つの暗黙の前提を設定している。

6.最初は、「ビジネス客の2点間輸送」の多寡でビジネス機の利用普及を云々して居る事。

7.二番目は「ビジネス客の2点間輸送」の多寡を日本と言う狭い地域に限定論じて居る。

8.「ビジネス客の2点間輸送」の多寡を物指しにすれば安い回転翼機で年間1,000時間。

9.但しその大半がコミュ-タ-機サ-ビスでビジネス機の定義に嵌る物は年間10時間。

10.小型固定翼機はコミュ-タ-を除きビジネス機サ-ビスに限れば年間僅か3時間弱。

11.これには「旅客の2点間輸送」を行う小規模業者や低価格帯機材運航会社は含まず。

12.無論意図的ではないが「旅客の2点間輸送」の把握は重要事では無く看過されて来た。

13.ビジネス機の利用を「2点間輸送」の多寡で論ずるなら正確な実績把握策を確立する。

14.関係者は主因が高い利用料にある事は分かってはいるが触れては成らないタブ-。

15.日本では回転翼機は年間6.6万時間、小型機は8.8万時間事業目的に使われて居る。

16.立派なビジネス機の利用だが「2点間輸送」で無く利用の評価対象にはされていない。

17.国内ではビジネス機の利用運賃が高い故に使わないが、海外では日本企業も使う。

18.事由は資源開発等の海外事業は交通の便が悪い遠隔地。利用運賃は日本の1/3以下。

19.絶対必要なニ-ズが有り運賃もリ-ズナブルな故に日本企業も半世紀来利用して来た

20.但しこの様な利用の実態は日本から見え難いので日本での利用評価に繋がらない。

21.この矛盾を避ける為論議を「旅客の2点間輸送」を可能にする運賃水準模索に絞る。

22.次はこれを実現化させる為に必要な与件、方策、手順の洗い出し。

23.これが本年の本サイトの課題だが、本稿はその最も核心的な運賃問題にメスを入れる。

24.核心の課題はビジネス機の利用料が他の交通手段と競合可能な運賃を提供出来るか?

25.中/遠距離飛行用機材は商用便の50~100倍の利用料で検討対象にも成らない。

26.日本大手企業幹部は勿論、日本のビジネス機代理業者、業界団体役員も利用しない。

27.国内でも高額なビジネス機は商用機、コミュ-タ-機、鉄道との競合は全く不可能。

28.但し、海外同様幹線は鉄道、商用機を利用訪問先の周辺からのタクシ-的利用は可能。

29.海外では、地方空港或いは空港の送迎にAir Taxiが盛んに使われ実績の一部も添付。

30.日本では低価格帯のヘリさえも利用されないのは運賃が高く設定されて居る為。

31.種々理屈や口実を並べる前に現実の数字を並べ比較評価の上、現実的解決策を考える

32.本稿では新幹線、商用機、コミュ-タ-機、タクシ-、ヘリコプタ-の比較を試みた。

33.ヘリコプタ-でさえ現在「2点間輸送」には使われないが解決の糸口は見えて来た。

34.コミュ-タ-運航会社は小型機やヘリで地上タクシ代よりも安い運賃を提供して居る

35.無論自治体等の補助もあろうが機材の利用率の向上でコスト引下げも達成可能。

36.ヘリコプタ-の採算分岐点は年間300時間利用、最近は500時間利用が推奨される。

37.日本の大手運航会社で260時間/年、中位で150~200時間、100時間を割る先もある。

38.米国の利用料は日本の1/3以下。様々な工夫はあろうが稼働率向上が解決の鍵。

39.低価格帯ヘリも1機1億円の攻防戦時代に入ったがそれでも「資本集約的事業」

40. コストの決定的要因は機材の利用稼働率。年間採算分岐点の300時間以上は必要。

41.ゴルフコ-スや貸マンションで利用率がコストの決定的要因である事は誰でも分かる

42.大手航空会社間のアライアンス、コ-ドシェアリングは象徴的な稼働率向上施策。

43.日本に多数存在する各種運航業者の統合・集約は多くの課題が有り実際的ではない。

44.警察、消防、災害・人命救助、救急医療用の不測・不定期的な利用の対策も必要。

45.寧ろ、希望者による機材の共同購入・所有・リ-ス・運航受託制度を検討・提言する。

46.ゴルフクラブ、リゾ-トマンション、レンタ-カ-的な共有方策の工夫が必要。

47.海外はFractional Ownership 、クラブカ-ド制、国内はフライトクラブが実在する。

48.自治体間でも「広域利用」の提携が進展しつつあり、機は熟しつつある。

49.これらの方策を考案する前に低価格帯と言えどの程度迄コスト引き下げが可能か検討

50.「2点間輸送」の場合には2点間を直線飛行するメリットは考慮の対象と成る。

51.地上タクシ-に比しヘリコプタ-は4~5倍の走行速度でこれもメリット考慮の対象。

52.これにより節減された時間は利用者の時間当りの人件費に乗じ節減効果を定量化する

53.これらを総合的に秤に懸けビジネス機利用のメリットを目に見える形で提供する。

54.この為の実務的な詰めの作業を「少数精鋭」然し「見落し」の無い様複数人で行う。

55.本サイトの目的である「情報の共有」による「事業推進」に沿い情報は公開する。

56.作業には最低3ヶ月以上は要し様が、「拙速」は避けキチンとした数値を整理提示する。

57.機材共有・運航・利用による稼働率の向上で「利害共有者」の連帯・参画意識の醸成。

58.利用者の増加→機材稼働率向上→利用コストの低減→更なる利用者増加を目標とする

59.鉄道、商用機、コミュ-タ-機、タクシ-の補完として敵対競合では無く共存・共栄。

60.究極的にはサ-ビス提供者、利用顧客、利用地域活性化のWin-Win「協働」関係構築。

 

国内交通機関料金比較表

 

交通機関

所要時間

移動距離

料 金

㎞当り単価

新幹線のぞみ

東京―新大坂

運  賃

特 急 券

座席指定券

グリ-ン券

グリ-ン車合計

リニア新幹線

品川―名古屋

 

2時間30分

40分

営業キロ数

553㎞

286km

\8,750

4,870

5,700

5,300

¥19,750

\11,700

 

指定席・自由席

\24.63/㎞

\26.22/㎞

\9.58/㎞

\35.71/㎞

\40.91/㎞

商 用 機

支払実績平均単価

羽田-新千歳

1時間30分

894km

 

 

 

\12~15/㎞

\12~15/㎞

コミュ-タ-機

全国平均単価

主要9社運賃幅

八丈島-青ヶ島

南大東-北大東

片道20分

片道15分

 

 

 

74㎞

往復124km

 

 

 

\11,530

\5,250

\29.90/㎞

\22.50~163.30/㎞

\155.81/㎞

\42.34/㎞

タクシ-

ハイヤ-

50㎞/時

50㎞/時

往復30㎞

3~500㎞/日

\300/900m

\25,000/日

\330/㎞

\50~83/㎞

ビジネスジェット

Robinson R-22

R-44

Airbus AS-350

(米国)

Citation CJ2

Citation 560

Robinson R-44

R-66

Airbus AS-350

700㎞/時

175㎞/時

200㎞/時

250㎞/時

(巡航速度)

690㎞/時

700㎞//時

220㎞//時

230㎞//時

250㎞//時

往復2,000/㎞

往復50/㎞

往復100㎞

往復100㎞

(航続距離)

2,700/㎞

2,700㎞

640㎞

600㎞

660/㎞

¥80~150.000/時

¥200~300,000

\350~450,000

(平均利用料)

\200,000/時

\270,000/時

\60,000/時

\100,000/時

¥120~150,000/ji

\1,200~1,500/㎞

¥457~857/㎞

\1,000~1,5000/㎞

\1,400~1,800/㎞

(km当り単価)

\299/㎞

\386/㎞

\273/㎞

\435/㎞

\480~600/㎞

 

米国3主要都市空港のビジネス機利用実績

                     ACI 2012年実績数値(機数は離着陸合計)

都市・空港名

商 用 機

ジェネアビ機

エアタクシ-

New   York

J.F.Kennedy

Newark

La Guadia

Farmingdale

Teterboro

Westchester

Islip

Caldwell

350,866機

277,853

275,568

129

164

16,122

12,255

24

7,919

9,858

6,680

107,007

97,446

90,499

54,242

48,186

50.493

132,889

91,664

9,595

61,267

46,084

6,321

986

Chicago

O’Hare Int’l

Midway Int’l

Pal-Waukee

Duparge County

Waukegan Memorial

Rockford Int’l

508,769

184,253

17

21

0

8,731

8,016

37,421

49,465

43,124

22,787

16,896

361,073

26,496

14,342

7,198

3,145

3,214

Los   Angeles

Los Angeles Int’l

Van Nuys

Long Beach

John Wayne

Torrance

Santa Monica

481,338

253

29,623

83,528

22

45

18,334

154,419

100,253

97,542

68,969

62,218

103,159

10,585

4,950

9,356

462

6,687

広い国土で空港迄自家用車で2~3時間と言う事例もある。地方空港には地上タクシ-が待機して居ない処も多い。利用客の送迎にAir Taxiも盛んに使われる。日本は空港、幹線鉄道駅、ヘリポ-トより目的地迄25~50㎞以下と目され200km/時のヘリで8~15分。この程度の短距離・短時間利用で有ればAir Taxiとしての出番もあろう。

米国主要都市の周辺二次空港を含めた空港数

都市名

Chicago

NY

Denver

LosAngel

S.Francisco

Miami

Dallas

空港数

17

15

15

12

11

10

8

都市名

Pittsburgh

Miami

Detroit

Seattle

Minneapolis

Atlanta

Houston

空港数

8

8

8

8

7

7

6

米国の首都Washington DC(コロンビア特別区)は16km四方の狭い街。空港はVIP専用のAndrews海軍基地(ホワイトハウスよりヘリで数分)、Reagan, Dulles, Baltimoreの3商用空港に周辺二次空港が5か所。米国は「車社会」と同様鉄道に代り「航空機社会」。

 

日本の空港の2013年度ビジネス機利用実績

空港名

名古屋

羽田

松本

庄内

八尾

那覇

神戸

着陸回数

502

343

308

260

240

226

158

上記米国での利用実績に照し、日本のビジネス機利用の主要7空港の利用実績は無きに等しい。但し上記には小型固定翼機や回転翼機は含まれていないので比較は出来ない。米国のジェアビ機+Air Taxiは寧ろ小型機、回転翼機が中心。日本の統計はビジネス機に分類されるジェット機+タ-ボ機で報道や個人オ-ナ-が利用が中心で「旅客の2点間輸送」は限定的。何れにせよ、国交省、業界団体の統計はビジネス機に分類されるジェット機+タ-ボ機で全てのビジネス用途に使われる機材の統計で、「旅客の2点間輸送」だけを取り出す事は出来ない。それより、1,000機近い日本のビジネス機の大半を占める小型機や回転翼機の飛行実績は含まれていない。ビジネス機による「2点間輸送」が叫ばれ乍ら、それを把握する為の統計は全く整備されていないと言う大きな矛盾が存在する。ヘリコプタ-の飛行実績は業界団体が纏めているが、ビジネス機の範疇外のコミュ-タ-機実績を除けば統計上無きに等しい。地方の小規模運航業者は業界団体の会員でもなく、低価格帯ヘリコプタ-の旗頭であるRobinsonグル-プは業界の枠外で活動して居るので業界統計には現れない。低価格機材は視野の外であるが、これが将来地域交通の補完的役割を担う可能性が大きいと言う基本的な矛盾が横たわる。

 

関東地域の主要交通拠点

所   在   地

空 港

商用機

私有空港

近隣空港

成田、羽田、茨城(限定的利用)、横田(共用米軍に要請中)、大島、新島、神津島、三宅島

調布(東京)、阿見、大利根、龍ヶ崎(茨城)、ホンダ(埼玉)

福島、仙台、新潟、富山、松本、静岡

ヘリポ-ト

共用

私有・その他

東京

神奈川

千葉

埼玉

茨城

群馬

栃木

全国30,000と言われ各種の検索サイトが有るが記載は限定的

新木場(東京)、群馬(高崎/前橋)、栃木(宇都宮)

全国164ヵ所(東建)

4ヵ所(以下東建の数値)59ヵ所(アパルの数値)内医療機関24か所

4

7

5

4

3

3

新幹線主要駅

東京、品川、新宿、小田原、甲府、大宮、高崎、宇都宮

東京―小田原30分、宇都宮、高崎50分、名古屋90分、甲府100分

高速道路

東名高速道路、中央、関越・上信越、東北、常磐自動車道他

日本の98の空港、21の共用ヘリポ-トより50㎞の等心円を描けば中央山岳地帯を除き日本列島は全てカバ-。これに幹線鉄道の主要駅より25㎞の等心円を描けば地方も隅々迄カバ-可能。Air Taxiが必要なのは最後の25㎞、最長50㎞程度の距離で所要時間8~15分。

定量的な比較メリットに加味する事項

 

ヘリコプタ-の利用メリット

1.地上交通機関は曲折のある地上路線を使用するが航空機は2点間を直線で結ぶ。

2.信号待ち、交通渋滞、坂道の上り下り、カ-ブでの減速等の障害は無い。

3.地上タクシ-の平均運航速度は50㎞/時ヘリの巡航速度は200~250㎞/時と4~5倍速い。

4.直線飛行及び走行速度差を勘案、ヘリは地上タクシ-の1.5倍の運賃負担力との評価。

5.日本のタクシ-料を\330/㎞と置けば1.5倍で約500/㎞(\495/㎞)。

6.但し、本サイトでは、当面「甘い」試算の弊を避ける為1.5倍のメリットは脇に置く。

節減時間の人件費節減コストへの定量化プロセス

1.戦後日本は経済規模の縮少、復員者の救済の為雇用の増大が最緊急・重要事。

2.労働組合も結成され「完全雇用」が国家・企業の目標と成った。

3.日本は欧米先進国に対し過剰労働力による「低賃金労働」で外貨を稼ぐ必要が有った。

4.高度成長期に雇用も充足され国民の個人所得も大幅に改善したが人件費負担は増加。

5.日本の人件費は逆に発展途上国に比し大幅に上昇、労働集約的産業は競争力喪失。

6.これを防止する為、FTA,TPA交渉でも見られる各種規制で高い規制コストが定着。

7.今日でも雇用不安、高コスト体質の矛盾が並存日本の人件費は高水準で推移。

8.製造業の抜本的なコスト合理化でブル-カラ-層の生産性は著しく向上した。

9.オフィスのホワイトカラ-、「お神輿」経営のシルバ-、ゴ-ルド層は高コストが定着。

10.日本事務能率協会、大日本生産性本部はオフィス族の生産性は先進国で最低と警告。

11.先進企業は共通費等間接費用を現場に配賦、従業員のコストマインド養成に注力。

12.だが多くの企業は今日でも徹底したコスト配賦は行われずコスト意識は不徹底の儘。

13.日本の大手企業の平均人件費コストは\30~50,000/時。巷のパ-トは\800/時以下。

14.ビジネス機の利用は「時間を金で買う」商売。利用者のコスト意識・自覚が最重要。

15.仮に、地上タクシ-に代えヘリで1時間の節減が行われば\30~50,000のコスト節減。

16.3~5人の同行者が居れば1時間の時間節減で\90~250,000のコスト節減が図れる。

17.米国では、誰でも商用機、ビジネス機の利用コスト比較が出来る簡易ソフトを提供。

18.これによるコスト比較で人件費の節減も勘案、最も合理的な利用機材の選択を行う。

19.欧米では当り前の事だが日本ではこれを浸透させる事が最重要の課題。

20.何れにせよテレビ、スマホ等映像依存の時代ビジネス機利用メリットも視覚化が必要

21.競合交通機関の単純利用コストの比較に加え本サイトでも以上の諸点の注意を喚起。

ヘリコプタ-の利用人員

1.Robinson R-44 は搭載可能客数3名, R-66-5名, Airbus AS-350 5~6名。

2.鉄道、商用機は一人当りの運賃、ヘリは1機当り短時間の利用運賃設定。

3.従って、1人当りの運賃負担額は利用者数に反比例して下がる。

4.短距離、短時間、多人数の利用で1人当りの運賃負担額は劇的に低減する。

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