2014年11月14日(金)09時06分

(14-21) Air Taxiとして利用可能な低価格帯ヘリコプタ-の位置付け

 

要    約

 

1.纏めに入り日本でビジネス機として利用の可能性を残す低価格帯ヘリに絞り込んだ。

2.2013年末低価格帯ヘリの日本の登録機数はレシプロ単発179機、タ-ビン単発179機

3.計358機の中官公用機14機、個人所有のレジャ-用機を除外すると約250機前後。

4.2013年の全航連の実績統計では「旅客の2点間輸送」は加盟29社で930時間/年。

5.ビジネス機の範疇より除外されるコミュ-タ-機を除くと年間僅か10時間。

6.20年間の官民挙げての努力の結果が最も低価格の機材で29社合計で僅か10時間/年。7.10時間の内訳は九州航空9.34時、ディ-エッチシ-0.55時、中日本航空0.13時/年。

8.小型固定翼機に至ってはコミュ-タ-機が実績の99.99%でビジネス機は2.65時間/年。

9. 無論、これが日本の「旅客の2点間輸送」の実績を反映した全体像ではない。

10.国交省発表の利用実績は「タ-ボ機+ジェットビジネス機」で国内運航は9,979回。

11.この種上位機種の利用者は海外ビジネス機の訪問客の国内移動とVIP等「特権階層」。

12.日本の一般利用者は最も安い小型機/回転翼機さえも利用する事は無い。

13.その半面、国交省の国内実績の2大利用者はトヨタ/朝日航洋とエプソン。

14.朝日航洋は全航連の代表的小型機/回転翼機運航業者だが「2点間輸送」の実績はない

15.おそらくトヨタ社員の輸送は受託業務として別項で記載されている可能性がある。

16.エプソンは全航連の加盟企業ではなく実績は統計に乗らずJBAAを2~3年前に退会。

17.然し、エプソンは双発タ-ボ機で自社社員の輸送を行うので国交省の統計に現れる。

18.この様に企業マンの「旅客の2点間輸送」の目的に沿った統計は整備されて居ない。

19.又低価格帯回転翼機は元々「ニ流市民」扱いでその飛行実績も統計に反映されない。

20. 低価格帯回転翼機が残された最後のビジネス機の選択肢で実績追跡の工夫が必要。

21.この課題は次回以降示唆するとして今回は低価格帯回転翼機の現況説明に留める。

22.但し、この様なちぐはぐが生ずるのは縦割り作業の弊害で「木を見て森を見ない」故。

23.それ故に今回は過去のレ-ポトの集計結果を添付して全体像を見失わぬ様努めた。

24.世界のジェネアビ機は360,000機、ビジネス機83,461機、アジア・大洋州7,872機。

25.日本の飛行機数は4,000機・軍用2,000機強、民間2,000機内ビジネス機は約800機

26.低価格帯の単発回転翼機は358機でレシプロ/タ-ビン半々、内ビジネス機約250機。

27.日本の現実に即応して世界の83,461機の0.003%に相当する250機に絞り込んだ。

28.但し、現実に対処し乍らも、グロ-バルの大きなうねりを見失わぬ努力も必要。

29.世界もビジネス機の一般利用者も最近は低価格帯機材による低コスト運賃を選好。

30.これに合せてAirbus, Bell, Robinsonも百万㌦前後の低価格帯機材を開発。

31.日本の現実に合せたビジネス機市場の開発も世界の潮流に連動しなければ成らない。

 

世界の中に於ける日本のビジネス機の位置付け

(過去のレポ-トの数値を一部リマインドの為添付)

世界の主要な調査機関、その他のデ-タ-ベ-スは集計した時点、ビジネス機の選択方法が違う為、整合性を欠き、更に「誤差範囲」を遥かに超える数値のギャップが見られる。本サイトはマクロ的な鳥瞰図を提供する事が目的であり、個々の細部の数値の喰い違いは調整していないが出典は記載してある。

 

全体的なマクロの鳥瞰図(総括)

 

背  景

参考事項

ジェネアビ機

全世界360,000機

内広義のビジネス機83,641機、23.2%

ビジネス機 1

全世界83,641機

内アジア大洋州7,872機、9.4%

ビジネス機 2

アジア大洋州7,872機

内日本、1,148機、14.6%

回転翼機 1

全世界32,133機

内日本、789機、2.5%

回転翼機 1

日本、789機

内低価格帯ヘリコプタ-約250機に絞り込み

日本で現実的に利用可能な低価格帯ヘリコプタ-約250機に焦点を絞り込んだ。

l  実践を伴う実用化には不可欠なプロセスだがその背後にある大きな背景の認識も必要。

l  出典のデ-タ-間に整合性は無く矛盾も有るがマクロ的な全体像としては利用可能。

l  何れにせよ新規登録、抹消により刻々数値も変るので細部細部の相違には拘泥しない。

 

2013年末の世界のビジネス機

GAMA,JETNET資料

ジェネアビ機

広義のビジネス機計

狭義のビジネス機

その他ビジネス機

360,000機

83,461機

45,994

37,467

シェア-

23.2%

12.8%

10.4%

 

世界の主要地域別ビジネス機保有数

JETNET資料

 

北米

欧州

中南米

アジア大洋州

その他

合計

ビジネス機数

36,993機

12,134

10,604

7,872

15,858

83,461

世界シェア-

44.3%

14.6%

12.7

9.4

19.0

100.0

 

アジア・オセアニアに於ける日本の立ち位置

                                JETNET資料 

順位

国  名

ビジネス機総数

地域内比率

内狭義のビジネス機

1

豪  州

2,624機

33.3%

577

2

日  本

1,148

14.6

233

3

中  国

948

12.0

437

4

ニュ-ジ-ランド

817

10.4

54

5

イ ン ド

527

6.7

266

6

インドネシア

344

4.4

132

7

フィリッピン

266

3.4

79

8

マレ-シア

243

3.1

76

9

タ イ 国

238

3.0

70

10

韓  国

165

2.1

40

 

パキスタン

134

1.7

41

 

パプアニュ-ギニア

128

1.7

23

 

アジア・大洋州圏の回転翼機のグロ-バルシェア-

 Forecast Int’l 2013

北米

欧州

アジア・大洋州

中南米

その他

合計

機 数

18,501

5,475

4,624

1,775

1,758

32,133

比率%

57.6%

17.0%

14.4%

5.5%

5.5%

100%

 

アジア・オセアニア圏回転翼機数

Forecast International 2013

順 位

国  名

2013

比率%

1

豪  州

1,808機

39.1

2

日  本

789

17.1

3

ニュ-ジ-ランド

723

15.6

4

中  国

465

10.1

5

インド

265

5.7

6

インドネシア

115

2.5

7

タ イ

82

1.8

8

フィリッピン

81

1.8

9

韓 国

80

1.7

10

マレ-シア

60

1.3

 

その他

156

3.3

 

アジア・オセアニア圏計

4,624

100.0

 

  • 日本の機数は日本航空機全集2014記載の数値で補正。

l  中国の機数はAsian Sky Groupの2014年2月版レポ-ト記載の数値で補正。

 

利用度の高い単発回転翼機の2013年度の世界の機数

 

JETNET資料

機種

R-22+R-44

R-66

AS-350B

AS-350B1 AS-350B2 AS-350B3 AS-350BA

既存機数

10,564機

493

464

73

1,309

1,115

587

成長が期待される低価格帯ヘリコプタ-の将来の年間生産予測

Forecast International November 2012資料

機 種

2012

2015

2018

2021

10年生産機数

Airbus Helicopter

AS350 Series

EC-130 Series

Total

210機

41

251

228

51

279

232

55

287

217

52

269

2,257

517

2,774

Bell 206L

13

15

16

15

155

Robinson

R-22

R-44

R-66

Total

76

280

155

511

105

350

173

628

132

450

178

760

140

500

165

805

1,170

3,982

1,722

6,874

調査会社の10年予測でもAirbus AS350/EC130とRobinson R-44/R-66成長期待機材。

Bell 505 Jet Ranger Xはこの時点では発表されて居らずBell 206Lを置換流用。Teal Groupの予測では2012~2021間の10年間のBell 505生産予測総数は447機。

 

2013年末の日本のヘリコプタ-登録機数

                              日本航空機全集2014

運航会社

個人所有

その他

官公機

合 計

比率

レシプロ単発

R-22

R-44

その他 (*)

34機

16

18

0

65

23

30

12

80

24

52

4

0

0

0

0

179

62

100

16

100%

34.6

55.9

9.5

タ-ビン単発

EC-120

AS-350

Bell   206

R-66

その他

119

0

76

34

1

8

6

2

3

0

1

0

40

1

23

8

2

6

14

0

0

14

0

0

179

3

102

58

4

12

100%

1.7

57.0

32.4

2.2

6.7

合 計

142

71

131

14

358

 

2013年度全航連加盟29社のヘリコプタ-の利用実績

全航連纏め飛行実績(2013.4~2014.3)

用  途

年間利用時間

比率 %

国内運送事業

2点間旅客輸送

(コミュ-タ-)

(東 邦 航 空)

(静岡エアコミュ-タ-)

(その他)

(九 州 航 空)

(デイエチシ-)

(中日本航空)

遊  覧

利 用 先 貸 切

26,789.38

929.51

(918.69)

911.29

7.40

(10.02)

9.34

0.55

0.13

2,038.05

23,758.82

35.0

1.3

(98.9%)

(1.1%)

2.7

31.0

使用事業計

広 告 宣 伝

写 真 撮 影

報 道 取 材

薬 剤 散 布

視察調査(電力線等)

操 縦 訓 練

そ の 他

39,386.47

217.46

5,987.28

12.109.47

2.264.33

12,254.53

4,257.17

2,295.03

51.5

0.03

7.8

15.8

3.0

16.0

5.5

2.92

運 航 受 託

10,375.21

13.5

合  計

76,551.46

100.0

l  この種情報は過去20年以上全てが誰にでもアクセス可能な「公開情報」。

l  にも拘らず高額な機材の売込みを狙った一部の人が斯かるデ-タ-を意図的に看過。

l  20年後、高額な機材は日本の民間には1機も存在せず、大手企業による所有も皆無。

l  その一方、小型固定翼機や、回転翼機は20年以上も前から800機以上が使われて来た。

l  低価格の単発ヘリコプタ-だけでも「官・公用」の16機を除き340機余が運航中。

l  但し、目的とした「ビジネスマンの足」としての「旅客の2点間輸送」は全体の1.3%。

l  この内98.9%がコミュ-タ-機でその他は僅か1.1%或いは全体の0.0014%.。

l  運航業者トップの朝日航洋の昨年の実績はゼロ、2番手の中日本航空で年間8分。

l  無論集計上の問題で関係企業の人員輸送は「利用先貸切」か「受託業務」の中に埋没。

l  Robinson機の様な低価格帯機材の輸送実績は統計として表示されない。

l  ヘリコプタ-の「旅客の2点間輸送」の真の実態は20年後の今日も誰も把握していない。

l  レシプロ単発の日本で使用されている機材の90%強がRobinson機。

l  海外でも事実上Robinson機の独占体制。R-22は個人のマイカ-的利用か訓練機。

l  R-44は地方の中小オ-ナ-企業等やAir Taxiとしての利用が期待される。

l  但し、機能や信頼面より日本でお見得した僅りのR-66が将来Air Taxiの中心と成ろう。

l  この辺の」事実」を先ず詳らかにするのが最初のステップ。

l  Robinson機の3~7倍するAirbus機も105機が運航している。

l  但し機能や用途も異るので分析・対比をする事で「競合」より「棲分け」「補完」を工夫。

 

日本のタ-ビン双発ヘリコプタ-

                            日本航空機全集2014

機材メ-カ-

運航会社

個人

その他

官公機

合計

比率

エアバス

71

0

57

48

168

37.6%

ベ ル

19

0

23

62

99

22.1

アグスタ

5

1

17

57

80

17.9

川 﨑

24

0

28

26

64

14.3

そ の 他

25

0

3

8

36

8.1

合  計

144

1

101

201

447

100

官 公 機 内 訳

                             日本航空機全集2014

 

機数

比率

利 用 機 種

警 察

85

42.3

A-109E/AW 139, Bell 412, 川﨑BK117-C1等

消防・防災

66

32.8

A-109E/AW 139, Bell 412, 川﨑BK117-C1等

海上保安庁

43

21.4

AS-332L1/335F2,EC225LP, Bell 212/412Ep等

そ の 他

7

3.5

AS365N3, Bell 412EP等

合  計

201

100

 

ヘリコプタ-のリスト価格対比

              Business & Commercial Aviation誌 July 2013

R-66

Bell 505

AS-350

AW-109 Power

Bell 412EP

AW-139

0.83百万円

$0.83 MM

1.1

1.1

2.6

2.6

6.25

6.25

9.86

9.86

11.5

11.5

l  価格はメ-カ-のリスト価格で実際の取引価格とは異る。

l  用途により様々な仕様が有り当然の事乍ら仕様も価格もバリエ-ションが豊富。

l  但し、Yellow Cab的な一般が利用出来るAir Taxiは1機1億円前後が限界。

l  2.6億円のAS-350以上と成るとAir Hire, Air Limousineとワンランク上の用途。

l  官公機の6~12億円台に成ると流石に「旅客の2点間輸送」としては敷居が高くなる。

l  それでも飛行速度が3~4割、旅客数も8~15名が増加しミニバス的利用は考えられる。

l  何れにせよ、実際のニ-ズはまちまちで現場のニ-ズとマッチさせる事が最も肝要。

l  サプライサイドが色々提言するのは当然乍らデマンドサイドとの摺り合せが不可欠。

 

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