2014年01月15日(水)01時24分
(14-01)2013年末のトピックス4題
Textron Beechcraft社を買収
リ-マンショック以来のビジネス機の大不況の影響を最も受けたのが代表的中小機メ-カHawker-Beechcraft社とCitation社で、この内名門Hawker-Beechcraft社は経営破綻、再生の為、ビジネスジェット機のHawker部門から撤退、タ-ボ機、ピストン機メ-カに特化したが、中国が買収、国防上の懸念から中国への売却は米政府の許可が得られずカナダに売却された。
今回同じ小型ピストン機メ-カのCessna社と中小型ビジネスジェット機メ-カ-Citation社の親会社であるTextron社がBeechcrft社を約14億㌦で買収した。これにより中小ビジネス機メ-カのBeechcraft, Cessna, Citation 3社がTextron社の下に編入されビジネス機業界の再編劇も年末に大きな展開を見せた。
Bombardier社Flexjet社の売却完了
ビジネスジェット機の大手製造メ-カであるカナダBombardier社は傘下のFractional Ownershipの運営会社Flexjetの売却の意思表示をして3ヶ月後にDirectional Aviation Capitalが195百万㌦で買収に応じた。更に、Directional Aviation Capital はBombardier社のビジネスジェット機115機と購入オプションの265機を加え総額56億㌦を購入すると発表した。
Directional Aviation CapitalのPrincipal Kenneth C. RicchiはFractional Ownershipの運営会社の大手Flight Optionの創立者でもあり現在も大手株主でもあるが、ビジネス機利用のプリペ-ドカ-ドの最大手Sentinent Cardの会長でもある。
今回の買収劇が意味する事は米国の4 Fractional Ownershipの運営会社,NetJet, Flexjet (Bombardier), Flight Option (Raytheon),Citation Shares (Citation) の内Citation Shares は2012年に脱落、Flight Option と Flexjetが統合、これにプリペ-ドカ-ドによるビジネジェト機利用のSentinentが水平、垂直統合を果したとも言える。リ-マンショック以降長引くビジネスジェット機の不況が齎した業界再編寸劇でもある。
以上により、Fractional Ownershipの運営会社は最初にFractional Ownershipのコンセプトを考案したRichard Santuli が設立したNetJetsとKenneth Ricchi傘下のFlexjet/Flight Optionの2大グル-プに集約された。
AerCap社ILFC (International Lease Finance Corp.)社を買収
オランダの大手航空機リ-ス会社AerCap社は12月16日米国ILFC買収の基本合意に漕ぎ付けたと発表した。
今後最終合意内容を詰め、2014年半ばには最終契約に持ち込む予定。ILFC社自身は米国保険会社の大手AIGの仔会社で航空機リ-スでは世界2位の大手で業績も良いが、リ-マンショックの煽りでAIG本体が経営に行き詰まり、再建計画の一部としてILFCの売却が予定され、2013年初頭、カリフォルニアの中国系企業がILFCの85%の持株を買収、事実上中国に買収されたと報じられ話題を呼んだ。その後買収の商談は頓挫、AerCap社が買収の名乗りを上げた。米国証券取引委員会への報告ではILFC社は908機、AerCap社は223機の航空機を所有リ-スして居り、買収が成功すれば計1,131機の航空機を所有する航空機業界のトップリ-ス会社に躍進する。
国交省所有の検査機の買替え
国交省は昨年夏所有するジェット機の検査機4機を退役させ合理化の一環として規模も3機に縮小すると発表した。退役するのはHeavy Business Jet 4機で日本の民間にはこの種高額のビジネスジェット機の上位機種はそもそも存在しない。現実的には、、高額過ぎて利用者も居ない。10月に後継機3機はより低価格のLight Jetに変える事が決まり仕様が発表されたが、結局入札は12月にズレ込み、応札は兼松1社のCitation社機のみで今後2015年位迄にHeavy Jet を退役させLight Jetへの更新が進められる。日本に於ける厳密な意味でのビジネスジェット機は2012年末で24機。内5機は報道関係(朝日、読売、毎日、中日)、10機は地方の中小企業のオ-ナ-経営者の所有機だが、大手企業はビジネスジェット機利用の「費用対効果」を正当化する根拠は見出せず、所有機は1機もない。他に9機を運航業者が運航しているが、利用料は商用機の50~100倍程度する為、伝統的にビジネス機を利用して来た2社を除き、外国からのビジネス機利用者の国内移動、VIP. セレブ、超富裕層以外利用者は居ない。ビジネスマンの足として利用するのであれば、Light Jetより遥かに低価格の機材が必要とされる。今回購入が決まったCitation 680で約18億円。日本には約1,000機の「広義のビジネス機」が存在するが、価格的にはこの1/10~1/30だが、これでもビジネス客の「2点間輸送」には殆ど使われず更なる抜本的な工夫が必要。
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