2014年02月17日(月)12時13分

(14-04)シンガポールエアショー 2014

14-04)シンガポ-ルエアショー2014

(於シンガポ-ルチャンギ空港21116日)

シンガポールエアショーはアジア最大の航空宇宙及び防衛関係の航空ショーで90045,000人程度の参加者が見込まれた。グロ-バルにも世界3大航空ショーに数えられている。この種エアショーでは軍事用の航空機、商用機、ビジネス機全てが関わるが、金額的にはビジネス機は軍用機、商用機に比較すれば小型で金額的にも地味な存在だが、軍用機、商用機はビジネス機範疇外の機材。ビジネス機も日本には縁の薄い中/遠距離飛行用の上位機種に話題が集中するので此処では、日本に関係のある話題のみを簡単に紹介する。

 

Boeing 787Airbus A350

世界の人口の40%が集中するアジア、然も経済成長著しい地域での今後の旺盛な航空機需要を当て込んだ熱い商戦が、商用機の世界を2分するBoeing社と Airbus社間で交わされるとあって、大きな関心が集まった。至近のデ-タ-ベ-スではアジア太平洋圏の受注機数はBoeing 787 321機、Airbus A350 261機計582機とBoeing社がリ-ドしているが、地元のシンガポ-ル航空は70機のA350-900を発注して居る一方、30機の787-10も発注してラウンチカストマーにも成って居る。ガル-ダ航空、フィリッピン航空、マレ-シア航空等も787, A-350の両機種を比較検討して居ると伝えられる。 ANABoeing 777の後継機としてBoeing 777X又はAirbus A-350を検討して居ると言われ,JAL同様複数購買に踏み切りAirbus機を購入すれば、Boeing社の金城湯池で有った日本市場の独占瓦解を意味し、2社拮抗の均衡にも影響が大きいと業界の関心を呼んでいる。但し、結果が出るのは暫く先の事であり、今回のエアショーは大事な前哨戦で有っても結果が出た訳ではない。

 

アジア地域のビジネス機数

ビジネス機数は日本の場合、国交省が発表する登録機数を民間出版社が市販する事で正確に抑えられるが、今一つ、ビジネス機製造メ-カ-が発表する国別、機種別の販売機数がある。又、業界のコンサルタント業者が市販する年鑑やデ-タ-ベ-スも多数存在するが数値にかなりなバラ付きが見られる。アジアの統計は国の登録機数の他、メーカーの販売機数もあるが、オーナーがオフショアーで登録して居るケ-スが多くシンガポ-ルエアショ-開幕前の勘定でもアジアのプライベ-トジェット機数は7501,500機と推定される一方、メーカーの販売統計からは9001,500機、業界誌の推測では1,2001,500機と異なる上、数字の幅も大き過ぎて推論の域を出ない。

更に複雑なのは、これらビジネス機の大半は域内が広大なのでMid~Heavy Jetが太宗を占めると報告されている。日本の民間にはMid~Heavy Jet1機も存在しないので日本はアジア域内でもビジネス機「最貧国」との誤った結論に陥る。本サイトでも再三リマインドしている点は;

●日本の企業マンは商用機の50100倍するビジネス機は中/遠距離飛行に利用せず、海外の幹線空港には商用機、その先必要があれば、地域のビジネス機をチャーターする。この伝で行けば、アジアの幹線空港より内陸の交通の便が悪い地域には現地のビジネス機をチャーターする選択肢が急激に増えて居る事は悪い話ではない。

●日本企業が商用機を利用するのは、戦後の国策として「大量輸送」による低コストの運賃で日本企業の海外進出を後押しする商用便育成策の結果である。

●日本の世界に於ける地位の向上、凡る分野での国際交流により全世界の主要航空会社は日本航路を開設、更にアライアンスのコ-ドシェアリングにより世界の中小都市迄航空網が張り巡らされ、利用運賃もビジネス機の1/50~1/100であれば 法治国家の日本としては商用便の利用は当然で、これだけの運賃格差を知り乍らビジネス機を利用すれば「背任行為」共取られ兼ねない。

●アジア諸地域の経済の相互依存が強まる一方、各国の富の偏在が大きい為、財閥首脳等は争ってビジネス機を購入するが、日本は相対的に「身分・所得格差」が少ない故、幹線航路は商用機、その先は地域のビジネス機を利用すると言う永年定着した慣行がある。日本は新興アジア諸国より一歩先んじた商用便とビジネス機を利用地域により賢く使い分ける成熟国家との矜持を持てばコンプレックスを感じる言われはない。

●日本の課題は1,000機を越える低価格帯の「広義のビジネス機」を国内の交通の便の悪い地域で「旅客2点間輸送」を可能とする運賃設定を工夫し一般企業マンに利用して貰う事で日本固有のロ-カル問題。華やかなエアショーとは異質、異次元の課題。

 

主要な成約発表

  1. Airbus社はベトナムのLCC会社のVietJetAirA-320 100機を成約。成約額はリスト価格換算90億㌦。

(2)Airbus社がA-380 20機を英国 Amedeo社と契約。リスト価格換算 83億㌦。

(3)ブラジルEmbraer社がE-Jets E-2 50機をインドのAir Costa社と成約、50機のオプションも付いている。50機のリスト価格は約30億ドル。

4ATR48機を受注。内28機が確定受注で受注金額は約12億㌦。

(5)Myanma Airwaysが世界最大のリ-ス会社GECASからBoeing 737 10機をリ-スする。リ-ス金額は10億㌦。

(6)前回2012年のエアショ-での成約金額130億ドルを大きく上回る実績と成った。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*