2014年01月28日(火)12時51分
(14-2)2013年度の商用機受渡実績と将来予測
年度が替り1~2月に成ると各業界の前年度実績の集計が終わり各種デ-タが公開されるが商用機の最大手BoeingとAirbusの2社間レ-スが毎年業界の話題を賑かす。Airbusの将来予測と併せて時事トピックスとして提供する。
2013年はBoeing, Airbus共過去の記録を更新
世界的な経済の低迷も幾分回復の兆しも見られ日本への外国人訪問者も念願で有った1千万人を2013年度中に達成した事からも分かる通り、航空便の利用にも光が見え始め、航空会社も買替え需要を含め発注を増加、2013年度の商用機受渡実績は過去最高を記録した。
製造業者提供データ
2013年 |
2012 |
1999 |
2011 |
|
Boeing |
648機 |
601 |
620 |
|
Airbus |
620 |
588 |
534 |
Boeing社は1999年に記録した620機を14年ぶりに更新した。
Airbus社は2009年498機,2010年510、2011年534,2012年588,2013年620と毎年着実に記録を更新している。
今後20年間の商用航空機の需要成長率予測
地 域 |
2012世界シェア- |
2032世界シェア- |
20年平均年間成長率 |
アジア・大洋州 |
29% |
34 |
5.5%/年 |
欧 州 |
26 |
22 |
3.8 |
北 米 |
25 |
18 |
3.0 |
中 東 |
8 |
12 |
7.1 |
5 |
7 |
6.0 |
|
CIS (旧ソ連) |
4 |
4 |
5.8 |
アフリカ |
3 |
3 |
5.1 |
例年発表されるAirbus社のGlobal Market Forecastの2013年版予測は上記。機材提供メ-カーとしては先行需要の掘り起しと言う広報的色彩もあろうが、今後20年間で断トツの成長が見込まれるアジアをハイライトする事で早速2014年2月11~16日シンガポ-ルで開催予定のエアショと昨年大盛況であったABACE (Asian Business Aviation Conference & Exhibition) の2014年度会合(4月15~17日上海開催)の前哨戦の色彩も備えている。
アジア・太平洋圏が今後20年間の世界の航空機需要の中心と成る事は異論は少なかろうが、その中心に位置する日本には無論朗報ではあるが、航空機需要の目玉の中国の航空機自国生産計画の動向とより基本的には政治は共産党一党独裁、経済は自由主義経済の矛盾がどの様に地域の政治・経済安定に影響するかと言う根本的な命題が横たわる。
又、日本がこの様なビジネスチャンスを如何に活かし波に乗れるかが大きな鍵。
特に本サイトはビジネス機の利用を命題としているが、「ビジネスジェット機」と言う「狭義のビジネス機」の視点に拘れば、日本は既に2000年半ばには、世界のレ-ダ-スクリ-ンより消え、今春2013年度の世界統計が集計・公表されれば、世界はおろか、アジア・太平洋圏と言う限られた地域でも存在感は益々薄れて居る事が明らかに成ろう。
ビジネス機を「広義のビジネス機」へと視野を拡大しない限り日本のビジネス機業界の焦燥と悩みは解消される事は無い。他方視界を拡げれば、Boeing, Airbus両社は勿論、世界の主要航空機メ-カーは日本のコンポジット機材に大きく依存している。
日本メ-カーの選択は「世界は一つ」の観点より、海外主要航空機メ-カーとの提携・「協働」により主要部品を供給、他方三菱重工はMRJ,ホンダはホンダジェット等特異な技術を活かした世界市場への進出、又政府もこの方針を強力にバックアップしている。
商用機のグロ-バルアライアンスへの参画、海外LCC企業との提携による競争市場の育成等グロ-バルな観点よりの航空機政策も展開されている。
ビジネス機も日本企業は半世紀前より世界市場では必要に応じ活用して居り、欧米等への遠距離輸送は国策による「大量輸送方式」でビジネス機の1/50~100のコストで旅行が可能に成っている。
日本のビジネスマンと言う利用者もアジア。太平洋地域の商用機需要の恩恵に与れる。残る課題は、日本の国内の比較的交通のアクセスが悪い地域航空の分野で新鋭の低価格帯機材と日本のお家芸のコストカットやベンチャ-企業育成の経営手法を採り入れた「広義のビジネス」を駆使して一般ビジネスマンでも手の届くビジネス機サ-ビスを提供に挑戦するかが本サイトの主目的。
「身の丈に合った」世界市場に於ける「日本の立ち位置」が決まれば、徒にうつむいたりコンプレックスに悩む事等は無い。
コメントを残す