2014年09月26日(金)03時16分
(14-23) 最近の トッピクス2題
グロ-バルアライアンス
Business World Airline Ranking (September 2014)
|
Star Alliance |
Sky Team |
One World |
非加盟航 |
市場シェア-(%) |
23.7 |
19.2 |
17.9 |
39.2 |
加盟企業数 |
27 |
20 |
16 |
|
収入 (10億㌦) |
195 |
153 |
146 |
|
営業益(10億㌦ |
6.5 |
4.9 |
5.6 |
|
ネット益(10億㌦ |
2.3 |
9.0 |
-0.3 |
|
運行先 |
1,194ヵ所 |
1,039 |
945 |
|
運行先(重複) |
466 |
363 |
349 |
|
運行先国 |
192ヵ国 |
157 |
177 |
|
運行回数(1千回) |
134 |
96 |
112 |
|
Star Alliance United, Lufthansa, Adria, Aegean,Air, Canada, Air China, Air India, Air New Zealand, ANA, Asiana, Austrian, Avianca, Brussel, Copa, Croatia, Egyptair, Ethiopian, Eva Air, Lot, Scandinavian, Shenzhen, Singapore, South African, Swiss, TAP Portugal. Thai, Turkish |
Sky Team Delta, Air France, Aeroflot, Aerolineas Argentinas, Aeromexico, Air Europa, Alitalia, China Airlines, China Eastern, China Southern, Czech, Garuda Indonesia, Kenya, KLM, Korean Air, Middle East, Saudia, Tarom, Vietnam, Xiamen |
One World American, British Airways, Finnair, JAL, Malaysia, Quatar,, Air Berlin, Cathay Pacific, Iberia, LAN/TAM, Qantas, Royal Jordanian, S7 Airlines, Srilankan, TAM, US Airways |
1978年米国に端を発した規制緩和による「空の自由化」は80年代に入り、レ-ガン・
サッチャ-時代の「規制緩和」、「競争原理の導入」で航空機業界を一変させた。世界の空
を支配して来たパンアメリカン、TWAの破綻、その後圧倒的な強味を発揮して来た米国の
大手航空会社が例外なく全て破産裁判所に駆け込み大規模なリストラを余儀なくされた。
特に「競争原理の導入」で国際間の乗入れが大幅に緩和され、それ以上にLCCの参入が
奨励された為、米国に留まらず、欧州でも航空会社の破綻・再編、LCCの台頭で業界の
景観は一変した。日本でも名が知られる、KLM, SAS, スイス航空、ベルギ-のSABENA
等は全て英(British Airways), 仏(Air France) ,独(Lufthansa)の傘下に集約された。破産裁
判所から再生した米国の大手航空会社も約2年前最終的にAmerican, Delta, Unitedの3
グル-プに集約され、更に米国、欧州の集約された3大グル-プが核と成り3大グロ-バ
ルアライアンスが結成された。日本は国際線強化の為ANAが率先Star Allianceに参加し
たが、JALは中々旗色を鮮明にしなかったが、One Worldに参加したものの「競争原理の
導入」に基く「経営合理化」の努力が遅れ、まさかの経営破綻。これをチャンスと目を付
けたSky TeamのDeltaが救済の手を差し伸べたが究極的には稲森会長の英断でOne
Worldに残った事は記憶に新しい。日本の戦国時代同様「群雄割拠」も天下統一への時代
の動きの中で「連衡合従」が繰り返された。正に黒田官兵衛の如く時代を先読みして先手
先手を打つ事が求められる。航空業界に於いては、残念乍ら日本は世界の動きに追随する
受身の姿勢に甘んじて来た。本サイトは、ビジネス機を中心テ-マとして取り上げて来た
ので、何故商用機の地殻変動をトピックスとして取り上げるのか疑問を持たれる向きは有
ろうが、実はビジネス機の利用も世界的な航空業界の地殻変動に密接に連動している。
(1)競争激化により米国の大手航空会社は合理化の一端としてHab-and-Spokes制度を導入した。各社はハブ港を持ちそこより中小空港に放射線状に支線を配する仕組み。日本では国内便は羽田に一点集中しそこから全国に放射線状に航路が設定されている。地方空港でも、新千歳、伊丹、福岡、那覇を始めとする幹線空港のハブからコミュ-タ-機等の支線が配されて居る事は良く知られている。
(2)航空会社のデマンドサイドより見れば合理的な手法で有るが、利用者のデマンドサイドより見れば、目的地への直線飛行が廃止され一度ハブ空港で乗継ぐ事で時間的にも、利便性の面でも負担が重くなった。
(3)「競争原理の導入」で競争が激化、目的とした運賃は大幅に下り利用者へのベネフィットは大きかったが、代償はサ-ビスの大幅低下。Hab-and-Spokes制度は合理化の一環として強化され、利用者の時間的、便宜的負担は増加、空港での乗継ぎをミスする事例も頻発、搭乗者が不足と見れば直ちにメカニカルトラブルを事由にフライトキャンセルが頻発。ビジネスマンはアポイントが有り時間的に当てに成らない商用機は頭痛の種。ハブの迂回は時間的にも肉体的にも大きな負担。9/11以降の警備の強化でアトランタ空港等警備を通るだけで1時間を要する。決定打は、低額運賃には相当前からの事前航空券購入が必要。ビジネスの様に余裕を見た事前の計画が取れない場合は、足元を見られて高額の運賃を要求される。エコノミ-で飛ぶビジネスマンが隣席の利用者の10倍の運賃を払う不合理な仕打ちはしばしばマスコミでも取り上げられた。一般利用者に対する低コスト運賃の皺寄せは、企業の出張旅費の経費処理 (Expense Account)に転嫁された。
(4)ビジネスマンの「自己防衛手段」はビジネス機の利用。当てに出来ない商用機よりビジネス機を利用する事。好きな時間に指定時間に離発着、セキュ-リティ-は簡単、目的地には商用便、コミュ-タ-便も飛ばない空港に「2点間直行」。代償は高い運賃。但し、これは節減時間を人件費節減に換算「費用対効果」を事前に確かめた上で利用する。
(5)日本では、ビジネス機の利用料が桁違いに高い海外飛行は論外。国内では高速鉄道、航空機とも例外は有っても定時に利用可能。津々浦々迄公共交通機関が張り巡らされサ-ビスも諸外国に較べれば抜群に良い中でビジネス機の出番は殆どなく、実際に小型固定翼機、回転翼機の様な低価格帯機材も殆ど利用されない。これは、海外では当然ジェネアビ機が出番の地方の末端迄コミュ-タ-機が地元の手厚い保護で赤字運行を補填して居る為。この辺の実情は別にレポ-トとして後日本サイトで公開する。
米国の空港
米国の空港事情に就いては、本サイトでも必要に応じ触れて来たが、此処2~3年取上
げ方に大きな変化が見られるので、簡単に言及する。NBAA (米国ビジネス航空協会)は
永年、米国の空港数は30,000、この内商用機、コミュ-タ-機が運行するのは7,500空港。
従って、22,500空港はビジネス機の利用が必要との広報活動を展開して来た。その後、幾
つかの疑問が提起された。30,000空港の論拠は何か?22,500空港にはジェネアビ機による
アクセスが必要な事は分かるが、ジェネアビ機の何%がビジネス機なのか (自家用機でも事
業の営利目的以外の機材はビジネス機として勘定されない)?航空業界の合理化で閉港した
空港も多いがこの数値はどの様に反映されて居るのか?NBAAも手を拱いて居た訳では無
いが、最近同協会のHPではCIA (中央情報局)の数値を援用する様に成り、空港数は半減の
15,000空港と成った。半減化の錯覚に襲われるが、良く読むと、乗降客年間1万人以上の
空港と定義されている。地方では農家が裏庭に滑走路を持ち小型機をマイカ-同様マイプ
レ-ンとして利用している。空中からの農場管理、播種、農薬の空中散布の必需品であり、
近くの商用便のある空港には自家用機で乗り付ける。30,000とはこの様な空港の想定値。
CIAは想定値は使えないので、乗降客1万人以上の空港に限定して発表。激動する米国の
航空業界の正確な数値を把握するのは難しいが、15,000空港の内舗装された滑走路を持つ
空港は5,000。(10,000空港は無舗装)。定期便が現在就航する空港は500空港以下と有る
が、広い国土で数値の相違は兎も角、何故ジェネアビ機が必要か理解出来様。日本の場合、
98空港を中心に50㎞の等心円を描けば中央山岳地帯を除き日本全土がカバ-される。言葉
を換えれば日本国民は25㎞以内の至近距離に必ず空港が有り全ての空港で定期便が就行し
ている。この辺の国情の相違を無視してビジネス機論議を重ねてても不毛の結果に終わる。
次回のレポ-トでこの点を総括する。
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