2014年05月25日(日)01時34分
(14-12) EBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition) 2014
恒例のEBACE 2014が5月22~24日スイスのジュネ-ブで開催された。秋に米国で開催されるBACE (昨年以前はNBAA Conventionと呼ばれていた),4月中旬上海で開催されたABACEと並び世界の3大ビジネス機ショ-として多くの参加者を呼ぶ。規模としてはBACEは参加者25,000人前後(リ-マンショック以前は30,000人を越えた事もある)EBACEの参加人数はBACEの半数の12,500人程度。本年は昨年より参加者が7~8%増えたと言われている。先月開催されたABACEの参加者は8,000人を越えたと見られる。この3大ショ-に次ぐのがロンドン郊外にビジネス機用として用意されたFarnborough空港でのエアショ-で本年の開催は7月14~20日。これらの他に世界の3大エアショ-と呼ばれるパリ-、Singapore,Dubaiがあるが、こちらは軍用機、商用機が中心と成り、ビジネス機も無論陳列されるが地味な存在と成り、ビジネス機関係者はビジネス機関連のイベントを拾い出さねば成らない。例えば昨年のパリ-のエアショ-ではマスコミの話題にも成らなかったが、米国とフランスのヘリコプタ-協会の代表が会合、世界的な普及を「協働」で行う事で合意した。本サイトでも指摘している通り、日本では低価格帯の回転翼機がAir Taxi的に地方で補完的にビジネスマンの足として利用される可能性が残っている。フランスを本拠とするEurocopter社は全世界の組織を見直し、日本でもAirbus Helicopterとして本年1月より新発足、2年程前に本拠を伊丹より神戸に移し、神戸空港内にビジネス機の受入施設や国内への回転翼機によるシ-ムレスサ-ビスの提供、ハンガ-や保守施設の整備、隣接するヒラタ学園とパイロット養成の準備も進めて来た。対する米国の、業界の異端児Robinson Helicopter社はアルファ-アビエ-ション、大阪航空、佐賀航空を代理店とし、アルファ-アビエ-ションは茨城県下妻にノックダウンされて輸入される機材の組立て、保守・修繕、パイロット養成設備も完成させ日本でも同社の回転翼機が多数運航している。他方、Robinson社の「価格破壊」的(0.3~0.85百万㌦)低価格帯機材の投入でこの分野の市場を奪われたBell社は、昨年のEBACEで対抗機による市場の奪還を宣言、本年2月のHeli-Expo 2014に対抗機Bell 505を出展、2016年受渡し開始を発表した。価格には言及しなかったが1百万㌦程度でRobinson社と対抗するかに就いての質問には肯定的な反応を示し。本年初頭よりBell Helicopter Japan社が従来の代理店の三井物産に代り日本市場開拓に直接乗り出す。
中国は2015年の低空域の民間への開放を追い風に3,000~5,000機の回転翼機の保有を2020年目標と発表しており、世界の回転翼機業界の熱い視線が東アジアに注がれ、各メ-カ-は着々と地盤構築に乗り出している。一番大切な事は、世界の動きを冷静にウオッチし日本に一番適合した選択を日本人自身が行う事で本サイトもそのささやかな一助と成る事を願って居る。
EBACE 2014の顕著な動きを一口で総括すると、「特権階層」向けの上位機種は遠距離飛行、飛行速度、豪奢さを競う事で高付加価値機材として販売、日本しては「別の星」の機材と益々縁なきものと成る一方、欧州でも「特権階層」中心のビジネス機事業の展開と”Have-and Have Not”の2極分化が深刻の問題として昨年に続いて認識された。低価格帯機材の一般利用に就いては回復の兆しは見られるが、欧州圏内はまだら模様。独・仏等先進国或いはポーランドの様な新興国では回復が見られる一方、スペイン等の落込みも見られ「曇り模様」。他方、20百万円以下の中/低価格機材の販売/利用は依然として低迷。
上 位 機 種 (機材価格50百万㌦以上)
1.DassautはFalcon 7X ($52.8MM)のワンランク上のFalcon 8 を発表。
2.Boeing 737 改良ビジネス機(価格$73.5MM)の上位機の747-8改良機をVIP用に発表。
3.GulfstreamはG-650 ($65.2MM) の上位機G-650ERを発表。
4.BombardierはGlobal Express 6000 ($62MM) の上位機Express 7000キャビンを出展。
5.何れも、より遠く、スペ-スは広く、機能アップを謳い文句に付加価値を高めている。
中/低価格機機種(機材価格10百万㌦以下)
1.昨年EBACEにデビュ-し注目を集めたPilatus PC-24 ($9MM)は1年間で80機を販売。
2.Cessna,Citation,Learjet等を統合したTextronはグル-プとして出展、PRに励んだ。
3.EmbraerはPhenom 100,Phenom 300, Legacy 500等全ての機種を出展自信を示した。
4.Phenom 100 ($4.4MM), Phenom 300 ($8.14MM)は10百万㌦以下の普及型機。
5.Honda Jet ($4.5MM)は形式証明取得用の5号機を見せ2015年第一四半期出荷を約した。
6.大量の受注残を抱え乍ら日本からの受注は皆無。この価格帯でも日本での利用は難しい
7.Cirrus SF50 ($1.96MM)が3月24日最初の試験飛行に成功した。
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