日本におけるビジネス機の在り方を考える

2014年05月30日（金）10時12分

(14-14) EBACE 2014 (2)

5月19~21日スイスジュネ－ブで開催されたEBACE 2014で最も話題を浚ったのはGulfstream 650を改良した Gulfstream 650ERと Falcon 7X のワンランク上位機種のFalcon 8Xの登場であった。何れも、超富裕層、セレブ、VIPの欲望を擽る、より遠く、速く、機内が広く、高価なステ－タスシンボルとしての性能を備え、この種上位機種の購入顧客の話題を賑した。（本トピックス欄14-12参照）

航続距離や飛行速度は、気象条件、乗客・積荷積載量等で変わるが、色々理由を付けて付加価値を高める試みが為されている。G-650ERはHonKong-Teeterboro,NJ間13,879㎞を14時間7分とPRすれば、FalconはNew York-Tel Aviv, Sao-Paulo-Los Angeles, HonKong-Londonを一飛び出来ると応酬、顧客候補の標的が奈辺であるかが推測出来る。

この種、メ－カ－間の競争は主催者側の各国のビジネス協会としては「痛し、痒し」。2008年のリ－マンショック以降、ビジネス機の売上げは半減したが、販売金額では20%減と最上位機種の落ち込みは少なく歓迎されたが、中/低価格帯機種の落ち込みは激しく、回復基調も鈍い。言い替えれば、超富裕層、セレブ、VIP等の「特権階層」の購買意欲は衰えないが、各国ビジネス協会が目指す一般ビジネスマンの「ビジネスツ－ル」としての利用は激減、手放しで喜ぶ事は出来ないし、ビジネス機は「金持ちの道楽」「富と権力誇示の象徴」と言う世間の批判に対するAdvocacy（擁護）の論理再構築にも頭を悩ましている。業界誌等もビジネ機業界の祭典が「一夜明け」てこの点の冷静な論評も多く見られる。

日本では20億円以上の上位機種は民間には1機も存在せず、「富と権力の誇示」的Excessは幸い見られず、「対岸の火」視出来るが、日本で利用されるビジネス機とは益々「遠い星」の話と成って来た。この種業界の集いの次回の開催は英国Farnborogh 7月14~18日と米国Orlando, Floridaで開催されるBACE 2014 10月19~21日が用意されている。

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