2014年08月05日(火)04時03分
(14-21) EAA AirVenture Oshkosh 2014
(14-21) EAA AirVenture Oshkosh 2014
(7月28~8月3日 於米国ウィスコンシン州Oshkosh)
世界各国各地で様々なエアショ-が年間を通じて入替り開催されるが、EAA (Experimental Aircraft Association)は 参加者の規模でも又ユニ-クさに於いても他のエアショ-と大きく異る。世界の大規模な業界のエアショ-としては、Singapore, Paris/Farnborough, Dubai等に世界の著名な航空機メ-カ-が軍用機、商用機、ジェネアビ機等全ての機種を出展するが、その一方、ビジネス機に特化するBACE (NBAA Convention), EBAA ( 欧州)、ABACE (中国主導のアジア)や更にヘリコプタ-に特化するHeli-Expo等が日本の関係者間でも知られているが、機材供給メ-カ-や、計器等の付帯機器メ-カ-の販売プロモ-ションの場として利用される事例が多い。無論、機材の購入者や利用者が参加者の多数を占めるので、参加者数でこの種エアショ-の成功の度合いが語られる事例が多い。参加者数を競うのであればAirVentureには例年10~15,000の「愛機」で乗り込む「愛好家」も多く、Wittman 空港の管制塔は開催期間中、世界で最も多忙な離発着が見られ、会期中は特別の交管制ル-ルが適用される。参加者数は主催側の発表で百万人と発表されるが、実際には300~500,000人程度と言われる。それにしても、ビジネス機の最大の会合で有るBACE (NBAA Convention) で25,000人前後故、規模の違いが分かろうと言うものだが、2020年東京オリンピックに数千機、より現実的には開催期間中の前後3週間に3,000機程度のビジネス機が東京を訪問するにしても受入体制には相当な工夫を要するが、EAA AirVentureは開催中1週間にウイスコンシン州の地方空港で10,000機を越える航空機を処理出来る処に、日米の国情の違いとは言え規模と質の違いは歴然。約1,000と言われる各種セミナ-や討論会も開かれ徹底した「情報の公開」と「人的・知的交流」により航空機の一般普及に大きく貢献して来た。最大の特色は、「利用者本位」の1年に一度の「祭典」で有り、顧客は機材等の買物もするが、呼び物は小型航空機の「試乗体験」、個人考案の試作機の出展、そして目玉は「冒険野郎」による通常では考えられない曲芸飛行や難離発着、それに米国空軍を含む「編隊飛行」等「空に憧れる」マニアの「夢と情熱」を掻き立てる為の様々な仕掛けが用意されている。本年度も初日に事故でパイロットが一人命を失ったがこれも「冒険野郎」の賭け。多くの関連協会が協賛するがLAMA (Light Aircraft Manufacturers Association) と言う軽飛行機の協会が主役でジェネアビの総元締めのGAMAと密接に連携している。敢て日本と比較すると全航連の小型航空機、ヘリコプタ-部会とレジャ-を含め空を飛ぶ事に喜びを感じ、生甲斐とする「航空機愛好家」の集団の「夏祭り」と言える。軍用機や大型商用機も無論出展され多くの商談も成立するが成果は大規模なエア-ショ-や、ビジネス機のショ-同様、プロモショナルな発表は行われるが、本サイトは日本での現実的なビジネス機の一般利用に資する情報提供が目的なので関連トピックスのみを列挙するに留める。尚2020年迄の今後の予定も発表されて居るので蛇足乍ら記載する。2015年7/20~26日,2016年 7/25~31日、2017年 7/24~30日、2018年 7/23~29日、2019年 7/22~28日、2020年 7/20~26日.
l 日本として見逃せないのはホンダジェット機が会場に乗り入れその雄姿を一般に公開し、大きな話題と成った。市場への本格的なお目見得は来年を予定。
l 参加者のお目当てはLSA (Light-Sport Aircraft)。日本的に言えばスポ-ツ、レジャ-用の軽飛行機で日本ではお馴染みのセスナ機でも1機何千万円。米国ではLSAは5~10百万円の物もあるが、自分で組立てる軽飛行機で250万円の物もあり、日本の普通車並みの価格で買える。つまり本サイトが目的とする一般顧客の「手の届く」範囲の価格。
l 人気があるのは飛行機の「無料試乗」。無論単純な練習機だが短い手ほどきの後大空へ3~5分程度自分での運転試乗だが、インストラクタ-は助手席に座る。或いはパイロットが子供を助手席に乗せて試乗。子供は空を飛ぶ夢を体験出来る。
l EAAはExperimental Aircraftのショ-として誕生したので今年もElytron Aircraftが固定翼機と回転翼機の交配機を出展。日本で問題にされているオスプレ-とは違う設計だが固定翼機に回転翼を装備、必要に応じ垂直離発着も可能と言われ、2015年より試験飛行を始める。
l 前評判のCyrrus SF-50 ($1.96百万)が試験飛行を始め商業出荷を2015年末に設定。
l EmbraerはPhenom 300 ($8.14百万) 25機のNetJetsへの受渡し完了。受注残75機。
l Cessna TTX ($0.734) 機は単発ピストン機としては最速。モデルアップ機を出展。
米国の様な国土が広大な国では航空機は自動車と共に地域によっては生活の足。マイカ-同様マイプレ-ンの国。日本の様に国土が狭くあらゆる交通機関が網目の様に張り巡らされ「大量輸送」のメリットを活かした低コストで利用できる国では、次々とお目見得する低価格帯の機材で相対的に交通の便が悪い地方で直線距離を短距離、短時間Air Taxi的に利用する可能性はされているが、コストを引き下げる為の稼働率アップには機材の共同保有・運航が必要。何れにせよ、ビジネス機はコスト的にも、又規制面からも「無縁」の物と考えず、米国流の一般利用者が「お祭り」に集まる極めて身近なものとの発想の転換を行えば、日本でも既存交通手段の補完的利用とそれによる利用者の利便性に寄与する余地は残されている。日本ではこれ迄一般が利用出来る小型機やヘリコプタ-にスポットライトが当てられた事は無く、ビジネス機の一般企業社員の利用を語るのであれば、Heli-ExpoやEAA AirVentureでこれら低価格帯機材が如何に広く利用され一般の利用者に愛好・浸透して居るかを自らの目で確かめる事で発想の転換が芽生え様。
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