2014年10月04日(土)04時52分
(14-24) 商用機の高い成約実績はバブルか?
世界経済が今一つ回復基調が判っきりせず、中東やウクライナ情勢等不穏な動きが有る中で、昨年からの主要なエアショ-等では歴史を塗り替える様な商用機の高い成約額がみられ、業界でも手放しで喜べないとの懸念が生じている。特に、アジア・中東は高い経済成長で富裕層・中産階級も増え、海外旅行の機会も大幅に増加して居る事から、航空機の需要は今後も順調に伸び続けると見られている。
これに対して警鐘を鳴らす業界関係者も確実に増えている。
(1) 中東が市場シェア-を蚕食する為に豊富なオイルマネ-と低廉な石油価格を武器に大型、高額な機材を纏め買いしているが、仮に彼らの思惑が当ったとしても既存の商用機運航企業のシェア-が落ち込む事で市場のパイが急激に膨らむ訳ではない。
(2) 同様な事が、LCC運航企業に就いても言えるが、Legacy Carrier (伝統的大手航空会社)とLCCの市場の奪い合いが、何れかの敗者の注文の縮小や最悪注文のキャンセルに繋がる。(日本では既にスカイマ-クの実例がある)
(3) ダブルカウントと言わない迄も実際の将来の市場規模を過大評価しているのではないか?
(4) 2008年のリ-マンショックは金融界の人間なら2000年より予測していた。唯、何時バブルの崩壊が起きるかは予測出来ず、その時期も大方の予測より遥かに遅れた。米国の企業幹部は四半期の業績で評価されるので在職中の数字合わせに注力し、後がどうなるかは気にしないし、それが「米国の文化」と割り切っている。
(5) 最近は、10年位先の買い替え需要も含め一括発注すれば、大きなディスカウントが得られる。買手には都合が良いが、機材の製造メ-カ-は将来の収益を目先の成約高増大を策して、売り食いして居ると見られないではない。
(6) 無論先の事は「神のみぞ知る」で杞憂かもしれないが業界の懸念は静かに増大している。
最近、UBSが発表した本年を含めた5年間の受渡し予測は下記。見る人により評価は異るがIstat (International Society of Transport Aircraft Trading) でも懸念が示された。
UBS Aircraft Delivery Forecast
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
|
Airbus A-320 Family A-330/A340 A-350 A-380 Airbus Total |
483 110 2 30 625 |
483 100 20 30 633 |
523 70 50 30 673 |
529 55 70 30 684 |
529 40 100 30 699 |
Boeing 737 747 767 777 787 Boeing Total |
484 14 11 96 108 713 |
490 16 12 96 120 734 |
490 12 12 72 120 706 |
490 12 12 60 140 714 |
490 12 12 60 140 714 |
Widebodies Narrowbodies Total |
371 967 1,338 |
394 973 1,367 |
366 1,013 1,379 |
379 1.033 1,412 |
394 1,087 1,481 |
Regional Jets Turboprops Total |
153 110 263 |
159 105 264 |
175 105 1,659 |
182 100 282 |
163 100 263 |
Grand Total |
1,601 |
1,631 |
1,659 |
1,694 |
1,744 |
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