2015年02月18日(水)09時13分

(15-02) ピケティに学ぶビジネス機の在り方

 

 

要   旨

1.トマ・ピケティの著書「21世紀の資本」は税込み価格\5,940 608頁の大著。

2.これは、経済学、経営書の難解な書籍乍ら沈滞気味の出版業界で大ヒットのブ-ム。

3.筆者も読んで居らず大きな事は言えぬが各種の解説記事を読みヒットの理由は分かる。

4.本サイトは経済学を論ずる事が目的ではないがビジネス機との関連で触れる事にした。

5.ビジネス機は「金持ちの道楽」か?企業マンの「ビジネスツ-ル」か?は永遠の課題。

6.本サイトの立場は当初より何れの指摘も正しいと両者の立場を容認、黒白は付けない。

7.2008年秋のリ-マンショック後の世界的不況はビジネス機業界の風景を一変させた。

8. リ-マンショック後7年が経過した今日、ビジネス機業界は誰でも2極化を認識。

9.本サイトでも度々紹介したが上位機種は「高かろう」「良かろう」と益々高品質化。

10.「より広いスペ-ス」「より速く、遠く」へ飛び、「豪奢な内装」、価格も「天井知らず」

11.世界不況何処吹く風と超富裕層、中東・中国が買い漁りメ-カ-は笑いが止まらない。

12.その一方、企業マンが多く使用する低/中価格のビジネス機は未曽有の大不況。

13.名門Hawker-Beechは経営破綻、Textron社傘下のCessna 社Citation社と集約。

14.回転翼機は業界の革命児Robinson社の台頭で業界も1機1百万㌦の大台の攻防戦。

15.即ち「持てる者」は高級上位機種、「持たざる者」は低価格帯機材を報じて来た。

16.無論中間層も存在するが市場の2極化は鮮明で本サイトもその推移を報じて来た。

17.ピケティが登場するのはその事由をデ-タ-ベ-スで事実を明確に裏付けした為。

18.元祖「資本主義」はスコットランドの経済学者、哲学者のアダムスミスに帰せられる。

19.国の権力介入を避け自由な市場競争により見えざる「神の手」で経済の活性化を図る。

20.日本で余り教えないのは彼が哲学者、神学者で「道徳論」で道徳による抑制を説いた。

21.更に、彼の説く「自由競争」「市場原理」は「老子」の思想で繁栄した「宋」がモデル。

22.共産党一党独裁の中国では資本主義と言う言葉は避け「老子」の「無為而治」を使う。

23.「無為而して治む」とは国は商業に口出ししない方が繁栄に繋がると言う考え方。

24.当時欧州には「無為」と言う語彙が存在しなかった為“”Laissez Faire”と訳された。

25.スミスの恩師フランス第一の中国学者で経済学者フランソア・ケスネイによる仏語訳。

26.これは其の儘今日迄使われているが日本語訳は「自由放任主義」だが本来は「無為」。

27.日本でも信長の「楽市楽座」「勘合貿易、ご朱印船」江戸時代の「町人文化」が代表例。

28.最近の「道州制導入」「JAL再建」「空港・郵政民営化」等基本的に同じ文脈の考え方。。

29.つまり殊更アダム・スミスやリカルドを持ち出す迄もなく人類普遍の原理。

30.但し、アダム・スミスも勝者の金持ちは「道徳上」の規範に従うべき事を強調した。

31.19世紀末には「道徳」の抑えが利かない世界で社会に大きな所得格差が生じた。

32.此処で「国権の介入」が必要と成り19世紀末米国では「独禁法」が成立する。

33.更に第一次大戦後ロシアは「共産党革命」でプロレタリア独裁による市場統制を実施。

34.世界は西側の「修正資本主義」「穏健な社会主義」と「共産主義」の2極に分かれた。

35.エリ-ト集団の「計画経済」は「ソ連・東欧圏崩壊」で「国家統制経済」は破綻。

36.代って、「レ-ガン・サッチャ-」による「小さな政府」「自由経済」の時代に突入。

37.グロ-バルな情報社会時代、主権国家の権限の及ばぬ世界経済が所得格差を加速化。

38.ピケティへの関心は新しい経済原理の提唱より所得分布の統計が整備・公開された事。

39.19世紀末より現在の各国の所得分布のデ-タ-ベ-スは誰でも無償でアクセス可能。

40.これで巷間囁かれて来た最近の所得格差の実態がデ-タ-により浮き彫りにされた。

41.最大の衝撃は10%の米国人が所得の90%を抑え、残りの10%を90%がシェア-する。

42.更にこれを追跡した各機関によりトップ1//0.1/001%の超富裕層の実体が鮮明化。

43.トップ0.1%が所得の10.3%、0.01%が5%を抑え平均所得は夫々$1.7と9.1百万㌦。

45.米国の人口を3億人と置けば0.1%でも30万人。これがビジネス機利用の予備軍。

46.日本は幸いトップ0.1%の所得シェア-は0.66%でGDPは米国の1/3以下。

47.日本人は戦後大学でマルクス経済学を学び、進駐軍も左翼系で所得格差を抑えて来た。

48.欧州で言えば、日本人の所得格差はフランス、イタリ-、スペイン並み。

49.但し、所得世界ランキングトップ0.01%の中には日本の10億ドル長者も居る。

50.日本では人口の127百万人の0.001%即ち1,270人位がビジネス機利用の予備軍かも。

51.ビジネス機は年間500時間利用が採算分岐点で日本人が自家所有するメリットは薄い

52.過去遺産500億円の黒川紀章、ライブドア堀江元社長、ヒュ-ザ-元小嶋社長が利用。

53.現在も世界の10億㌦長者に名を連ねる楽天三木谷会長、ソフトバンク孫社長も居る。

54.彼等も日本での維持コストが高い故に海外にビジネス機を置き必要に応じて利用。

55.トヨタ、日産、ホンダ、ソニ-等もビジネス機を海外で所有・運航している。

56.日本の民間にビジネス機の上位機種が1機も無いのは所得格差が相対的に低い為。

57.これは胸を張れる事で劣等感を感じたり日本の「後進性」を云々する要因ではない。

58.ピケティ-は国家権力による超富裕層に対する富裕税を提唱するが現実性は無い。

59.ロシア、中国、産油国、独裁国で超富裕層のトップが自分に富裕税を課す事は薄い。

60.仮に、それが可能であっても彼等は世界各地に「資産隠し」をして居り補促は不可能。

61.超国家権力による徴税も提唱されるが権力者の集いの国際機関で合意は得られない。

62.但し、デ-タ-ベ-スの整備と一般公開で世界的な論議を呼び起した点は注目すべき。

63.ビジネス機の観点から見れば各国の所得トップ0.01/0.001%の所得シェア-に注目。

64.何れにせよ日本は1億円前後のビジネス機の最底辺の低価格帯機材の利用を考える。

65.下記サンプルとして所得格差の分布表を参考に付したが日本の格差は相対的に少ない

66.各国の税務統計より抽出。超富裕層所得は自己申告ベ-スで実態は3倍とも言われる。

67.米国や日本は統計が整備されているが中国、産油国等の統計の信憑性は疑問。

68.何れにせよ問題提起の出発点で思考を深める糧として大枠の参考資料の域を出ない。

                                 出展:The World Top Income Database

国 名

Top1%のシェア-

0.1%のシェア-

1%の年間所得

0.1%の年間所得

日 本

9.51%

0.66

$211,119

\1,307,830

USA

19.34

8.82

$368,238

$9,141,190

Argentine

16.75

2.43

Singapore

13.85

4.23

$524,127

$859,296

U.K.

12.93

Germany

12.71

2.47

$430,000

$8,357,438

Switzerland

10.54

1.73

South   Africa

4.79

Korea

4.36

India

3.64

解     説

1.日本は2008年のリ-マンショックをピ-クにトップの所得シェア-は下っている。

2.日本全体の長期トレンドは所得格差がやや拡大しているが高齢者の増加と説明される。

3.何れにせよ、日本の富裕層は海外と較べると所得格差が拡がっているとは言えない。

4.野村証券の富裕層は金融資産4千万円超。米国東岸迄ビジネス機で往復すれば4千万円。

5.ピケティは上位1%/0.1%の所得者の所得シェア-に着目この点から問題提起。

6.各種論評では寧ろ下位15~20%に着目、底辺の底上げに配慮すべきとの指摘も多い。

7.本サイトのビジネス機の観点からは上位0.1~0.01%以上が上位ビジネス機の予備軍。

8.中国の人口は14億、インド12億、米国3億と置き0.001%で夫々1400/1200/300人。

9.中国、インドでは10万人に一人でも結構な数の利用者予備軍が居る。

10.所得格差が相対的に低く他交通機関が高度発達した日本では上位機種の民間機は皆無

11.これは誇るべき事で恥じたり、下を向く理由は全くない。

12.寧ろ低価格機材をAir Taxiとして一般利用者の便に供すれば立派なビジネス機の活用

13.人口の0.001%の「特権階層」では無く一般利用者の利用に資する範例を示せば良い。

14.米国は19世紀末今日の様な富の集中が行われニュ-ディ-ルで事態は大幅に改善。

15.最近は金融取引のキャピタルゲインに対するBush (2世)の大幅減税が格差を齎した。

16.米国は民主主義国で何れ何らかの是正策が講じられ様が中国等はそうは行かない。

17.本年のABACEは4月14~16日に開催されそれに合せて中国の統計も発表され様。

18. 近々、世界に於ける日本のビジネス機の現状を更新するが日本の地位は着実に低下。

19. 何れにせよ日本は独自の路線を歩み他国の数値に徒に振り廻される事は避けるべき。

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