2015年06月03日(水)10時08分

(15-05) 2014年末の日本のビジネス機のグロ-バルポジション

(15-05)  2014年末の日本のビジネス機のグロ-バルポジション

 

要   約

1.ビジネス機の法的定義は無く、様々な数値が交錯するがこれを多少なりとも整理した。

2.世界主要ビジネス機製造企業84社で結成するGAMA発表のジェネアビ機は36.2万機。

3.このジェネアビ機数にはビジネス機仕様の軍/公用機の一部と民間の商用機をも含む。

4.各種の権威あるデ-タ-ベ-スは存在するが夫々前提が異り大きな差異が見られる。

5.デ-タ-間の優劣は付けず、業界誌で最も頻繁に引用されるAscendを流用した。

6.Ascendと並ぶJETNET, ACASのデ-タ-ベ-スも存在するが優劣は付けられない。

7.機材の拾い方/時期/仕分けがまちまちでデ-タ-間の整合は不可能故比較は出来ない。

8.本サイトでも指摘したIBAC加盟の13ヶ国は別として統計が曖昧な国も多い。

9.手作業でビジネス機の定義に沿うデ-タ-ベ-スの整備を行う事は事実上不可能。

10.更に国別統計も中国を含む途上国では税制上Tax Haven等の登録も多く追跡不能。

11「空に国境なし」と言われる様に国別統計の比較は必ずしも実態を反映していない。

12.日本は経済大国であり乍ら「狭義のビジネス機」(ジェット+タ-ボ)は極端に少ない。

13.本サイトで絞り込んだ日本の「狭義のビジネス機」は添付の表の通り僅か61機。

14.Ascendのデ-タ-では世界全体の「狭義のビジネス機」は35,517機で日本は0.17%。

15.然も日本の機材は最低価格帯のLight Jet, VLJ等で機材価値表示では無きに等しい。

16.日本は2000年半ばを境に世界のレ-ダ-スクリ-ンより姿を消した。

17.中国、東南アのビジネス機の成長は目覚しくアジアでの日本の存在感は一層低下傾向。

18.新幹線の延長(上越新幹線開通)、リニア新幹線建設で地上交通手段は益々充実。

19アジアでのビジネス機インフラの整備・充実は考え様では日本の企業マンには朗報。

20.アジアの幹線空港迄商用便、そこから交通のアクセスの悪い地域へのビジネス機活用。

21.日本が欧米諸国で過去25~50年実行して来た定常化された商慣行の延長線上の問題。

22.流石にASG (Asian Sky Group ) はこの矛盾を認識日本の海外での登録機も記載。

23.これで日本の所有機は18%程度紙の統計上は増えるが、後述の様に各種の混乱を招く。

24.過去半世紀日本企業はグロ-バル化を進め海外進出企業もビジネス機を活用。

25.海外進出・合弁企業は日本名を冠せず現地で登録するので統計上は現地登録機。

26.日系企業のビジネス機利用は現地での外部委託、リ-ス、オンデマンドチャ-タ-。

27.これを追跡する事は不可能。日系企業の利用実態を正確に把握・解明する方策はない。

28.指摘に対し「海外での利用迄勘定するのはあんまり」との批判も有ったがこれが実態。

29.日本のビジネス機利用の草分けミネビアはSingaporeでLight Jetを所有。

30.相当前にこれを売却、今はタイの4工場との間をヘリコプタ-で繋ぐ。

31.立派なビジネス機の利用だがSingapore-タイ、ヘリ運航で日本で話題にもされない。

32.JA機の登録機数の多寡で一喜一憂するより利用実態を適確に把握・認識すべき。

33.Ascend収録の「狭義のビジネス機」は35,517機。

34.ピストン機、回転翼機を加えた「広義のビジネス機」は約80,000機と推定される。。

35.80,000機にはビジネス機仕様の軍用・公用機、商用機をも含む。

36.「日本航空機全集2015」でもビジネス機仕様の軍用・公用機も含まれる。

37.又、商用機、コミュ-タ-機、個人所有のピストン機や回転翼機も含まれる。

38.海外統計間にも差異があり、細かな数値の拘泥よりマクロ的な日本の位置付けを示す。

39.アジア・太平洋圏の世界シェア-は2,336機、6.6%。日本は838機でその35.9%。

40.厳密に絞り込んだ日本の「狭義のビジネス機」は61機と置くと域内の2.6%

41. 日本の数値は厳密なビジネス機の定義を適用。他国との単純比較は適切ではない。

42. 機材の登録をTax Haven等国外で行う事も多く、国別の統計数値とは異る。

43.国土狭小、交通大国の日本と大陸国との比較は無意味。大陸国のシェア-は8割強。

44.「広義のビジネス機」での日本のアジアのリ-ドの喪失も時間の問題。

45.日本では最も低価格の回転翼機も企業マンの「ビジネスツ-ル」として利用されない。

46.ビジネス機の多寡を争うより「ビジネスマンの2点間輸送」の実現策の工夫が先決。

47.この実現には低価格帯機材の「共同所有・運航」による抜本的コスト合理化が必須。

48.グロ-バル統計はAscend 2015のデ-タ-を流用.東/東南アジアはASGも併用。

49.日本は日本の登録機を手作業で「厳格」に分類ビジネス機を抽出。

50.個人所有機には事業目的に利用される機材も多かろうが仕分けは出来ないので除外。

51.これら諸デ-タ-の整合性を図る事は不可能故、相互補完的に参考資料とする。

52.ビジネス機の定義が曖昧の上、「空に国境なし」の時代、国別比較の意義は色褪せた。

53.世界の位置付けを片目に、日本の真のニ-ズを他の目で見据えて自らの道筋を付ける。

 

「狭義のビジネス機」 (ジェット+タ-ボ) の地域別シェア-

                                Ascend May 2015

北 米

中南米

欧州

アジア・大洋州

その他

合 計

ジェット機

11,806

2,759

2,855

927

1,226

19,573

タ-ボ機

8,238

2,763

2,043

1.409

1,491

15,944

合 計

20,044

5,522

4,898

2,336

2,717

35,517

56.4%

15.5

13.8

6.6

7.7

100.0

  • 南北アメリカで71.5%、欧洲を加えると85.3%と圧倒的なシェア-。
  • 日本は厳密な定義で絞り込めば61機と世界シェア-0.17%、アジアで2.6%
  • 日本が保有する機材は最低価格帯のLight Jet, VLJで価格表示では無きに等しい。

 

世界に於ける日本の立ち位置

                    Ascend May 2015 日本航空機全集2015

機  種

世 界

アジア・太平洋

日 本

日本のシェア-

ジェット機

19,573機

927

24

0.12%

単・双発タ-ボ機

15,944

927

37

0.023

狭義のビジネス機計

35,517

1,409

61

0.17

  •   日本の機数は「官公需」を除外、厳格なビジネス機の定義を適用。
  •  何れにせよ、統計により機材の拾い方が異りこれを充分認識し、単純比較は避ける。
  • 日本で双発タ-ボ機+ジェット機が指標。今回は単/双発タ-ボ機+ジェット機に変更。

 

アジア・オセアニアに於ける日本の立ち位置

             Ascend 2015年5月     ASG 2015レポ-ト                               

国  名

ビジネスジェット機数

ビジネスジェット機数

中  国

184

439

豪  州

66

イ ン ド

47

インドネシア

34

46

マレ-シア

30

48

フィリッピン

29

45

日  本

28

44   (厳密には24機)

タ イ 国

25

30

韓  国

12

21

ニュ-ジ-ランド

3

  •  中国は本土、香港、マカオ、台湾の総計。
  • 日本の厳密な「ビジネスビジネス機」数は24機、然も最低価格帯Light JetとVLJ。
  • 各種統計間の整合性を持たせる事は不可能故にデ-タ-記載の数値を其の儘流用。
  • 日本では経済性の無い地方小空港、離島にもコミュ-タ-サ-ビスが提供されている。
  • 海外ではジェネアビ機以外飛ばない空港に、日本では低運賃のコミュ-タ-機が飛ぶ。
  • 「旅客の2点間移動」に使われないのは商用便との運賃格差が桁違いに大きい為。

 

日本のビジネスジェット機の41%5機構の寡占

                             ASG 2015 レポ-ト

Asia Jet

海上保安庁

国交省

中日本航空

Jet Aviation

Total

ACJ318

1

1

BBJ

1

1

Citation V

3

3

Falcon 900

2

2

G-650

2

2

4

G-IV

1

1

G-IV SP

1

1

G-V

2

2

Global 6000

1

1

Global Express

2

Total

4

4

4

3

3

18

  • l 経済大国日本が何故高額なビジネス機の上位機種を保有しないかASGには謎。
  • 日本国内でも上位機種を宣伝・販売努力が続けられて居るので無理はない。
  •  所得格差で「特権階層」の利用が常識の中国では平均化社会日本の国情は理解不能。
  •  又サラリ-マン幹部の社内規定遵守のコンプライアンス慣行も理解出来ない。
  •  故に辻褄を合せる為「苦肉の策」で上記表をレポ-トに挿入。
  • 日本の識者が一見すれば海上保安庁、国交省保有機は公用機でビジネス機では無い。
  •  Asia Jet, Jet Aviation所有機は日本に登録されて居らず、国別仕分けには馴染まない。
  •  日本大手商社の2000年始めよりの近隣諸国とのチャ-タ-提携は触れられていない。
  • 中日本航空の3機は良いとしても同業他社の三菱重工、朝日航洋は如何が?
  • 日本のビジネス機の上位機種が民間に存在しない理由は高度に発達した公共交通機関。
  •  中国の広大な国土を網目の様に結ぶ公共交通網は整備されて居ない。
  • この様な国情の差異を無視して無理に説明をこじ付けるとこの様な混乱が起きる。
  • これはASGの問題では無く日本でも国情を充分に配慮しない論議が現在でも聞かれる。

 

2014年末の日本のビジネス機の統計

  1.   Ascendの統計は世界のビジネス機業界誌で最も頻繁に引用されるがこの程度。

2.ジェット機とタ-ボ機は信頼性の高い大手企業提供デ-タ-で業界の大勢は掴める。

3.それ故に「狭義のビジネス機」が業界動向の指標として利用されて来た。

4.最近は中小メ-カ-の統計も整備され「広義のビジネス機」の全体像も示される。

5.但し、個人オ-ナ-の「趣味・嗜好」もあり事業目的以外に利用される事も少なくない。

6.従って、ビジネス機としての利用とは言い難いが此処では踏み込んだ検証は行わない。

7.日本の場合「広義のビジネス機」約800機に対し「狭義のビジネス機」は61機。

8.然も、その内24機がジェット機ではあるが、最低価格帯のLight Jet, VLJ機のみ。

9.これも運航業者よりチャ-タ-すれば運賃は商用便の50~100倍で一般の利用はない。

10.最も安い低価格の回転翼機でも利用運賃は地域のコミュ-タ-機の20倍以上。

11.中国ではビジネスジェット機の代表的上位機種が95%、日本では民間機としてはゼロ。

12.狭い山岳国で安い競合交通機関が発達して居る日本では高額な大型機の出番は無い。

13.故に低価格帯でも充分な性能を有する「広義のビジネス機」が日本の保有機の太宗。

14.この最も重要なポイントを見過すか意識的に看過すると大きな判断の誤りを招く。

15. 日本大手企業は「狭義のビジネス機」を殆ど持たず近隣諸国との格差は既に決定的。

16.然し、中/遠距離飛行用Mid~Heavy Jetは近隣の取寄せ選択肢が充実し悪くはない話。

17. 日本のビジネス機は830機強と93%が「広義のビジネス機」

18.これに対して「狭義のビジネス機」61機.と極く僅か。

19.日本航空機全集2015年収録の軍用機を除いた民間の航空機数は2,062機

20.これにはジェネアビ機から除外すべき商用機、コミュ-タ-機が688機が含まれる

21官公庁(国交省、海上保安庁、警察、消防)自治体所有の公用機と併せ209機を除外。

22.個人でも営利目的の利用はビジネス機だが訓練機と個人名での所有機330機を除外。

23. これらを全てを除いたやや厳格過ぎる定義のビジネス機は835機。

24.一般的には大まか且つ覚え易い機数としては「日本の広義のビジネス機」は約800機。

25.個人が事業目的に利用する事例も多く頭で覚えるには800~1,000機と幅を持たせる。

26.日本ではコミュ-タ-機とビジネス機の境界線の線引きが難しい。

27.敢て言えば前者はスケジュ-ル便、後者はOn-Demandチャ-タ-便。

28.海外ではコミュ-タ-機が飛ばない地方空港や、離島迄コミュ-タ-機が飛んでいる

 

2014年末の日本のビジネス機保有数

                              日本航空機全集2015

機 種

総機数

ビジネス機

官公需

商用・コミュ-タ-

個人所有

ジェット機

双 発

多 発

582

567

15

24

24

0

8

6

2

549

536

13

1

1

0

タ-ボ機

単 発

双 発

129

28

101

37

25

12

27

26

64

1

63

1

1

0

狭義のビジネス機

711

61

35

613

2

ピストン機

単 発

双 発

540

489

51

256

241

15

5

4

1

26

9

17

253

235

18

回転翼機

ピストン単発

タ-ビン単発

タ-ビン双発

811

177

175

459

518

113

142

263

169

0

12

157

49

3

16

30

75

61

5

9

1,351

774

174

75

328

広義のビジネス機

2,062

835

209

688

330

  •  日本に関する最も信頼性の高いデ-タ-は日本の登録機統計。
  •  但し、「ジェット+タ-ボ機」の「狭義のビジネス機」の抽出は手作業が必要
  •  高価格帯機種中心の「狭義のビジネス機」711機中61機が「厳格」なビジネス機。
  • 但しこれらも、ビジネス機の最底辺価格帯の機材でも一般利用は無い。
  • 日本のビジネス機の太宗は過去30年以上1,351機中774機を占める低価格帯機材。
  •  ビジネスマンと一般の「旅客の2点間輸送」は最低価格帯機材以外代替肢は無い。
  • 世界に於ける日本の「狭義のビジネス機」の極端に低い存在を「事実」が証明。
  • 但し、日本の企業マンは訪問先の海外現地でビジネス機を利用、問題は無い。
  •  残る課題は最低価格機材の「共同所有・運航」で一般利用可能な運賃供与の工夫。

日本の民間機推移

                       航空振興財団 日本航空機全書2015

2009

2010

2011

2012

2013

2014

比率%

ピストン単発

568

570

511

503

501

489

23.7%

ピストン双発

46

54

54

54

53

51

2.5

タ-ボ単発

23

24

23

26

28

28

1.3

タ-ボ双発

101

113

113

102

100

101

4.9

ジェット双発

455

474

479

513

546

567

27.5

ジェット多発

68

36

18

17

17

15

0.008

飛行機計

1,246

1,247

1,187

1,208

1,245

1,251

60.7

回転翼機計

777

781

777

789

805

811

39.3

総合計

2,023

2,028

1,964

1,997

2,050

2,062

100.0

  •   日本の民間機は飛行機6割、回転翼機4割。
  •  ピストン機の漸減ジェット機の増大は時代の流れだが、主として商用機が増大。
  • ビジネスジェット機に限れば、過去十数年機数の漸減、機材の低価格移行が見られる。
  • 民間機全体のシェア-はビジネスジェット機は24機(1%)、タ-ボ機37機((1.3%)
  •  機種や用途の浮沈はあっても過去10年横這い、最近微増に転じている。

 

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