2015年06月06日(土)11時13分

(15-06) エアハイヤ-、エアタクシ-

【このレポートをPDFでチェックする】

 

要   約

1.コスト的に日本でビジネスジェット機やタ-ボ機を一般利用する事は実質的には無い。

2.無論海外よりのビジネス機訪問客や「特権階層」の利用はあるが本サイトの対象外。

3.又ピストン機も空港が無ければ利用出来ず、高度に発達した公共交通機関が利用される

4.結果としてジェット+タ-ボ機の「狭義のビジネス機」の一般利用は今後も望めない。

5.上記は(15-05)2014年末の日本のビジネス機のグロ-バルポジションのレポ-ト参照。

6.本サイトで述べて来た様に低価格帯機材以外日本で一般利用される事は考えられない。

7.これは勿論一般企業マン・利用者の「2点間移動の足」としての原点に戻った利用の話。

8.今回は米国では過去半世紀当り前に使われて来たAir Taxiの日本での利用を考える。

9.1機1億円前後の性能的にも信頼性のある低格帯機材の出現で可能性が生まれた。

10.一方、大都市圏での各種機能の集中、都市圏内の交通の不便さの改善策が望まれる。

11.地上の交通渋滞を避け、2点間を直線で結び高速のAir Taxiに今回は焦点を合わせた。

12.日本でもビジネス機の企業マンの「ビジネスツ-ル」の利用の可能性が見えて来た。

13.但し、低価格帯機材でも「共同所有・運航

の集約化によるコスト合理化は必須。

14.様々な集約化のメリットの中で資本集約的機材の高稼働率による高度利用が決め手。

15.この様にして一般利用者の手の届く利用料が提供出来ない限り何事も始まらない。

16.「利用者の2点間輸送」は企業マンのみならず他領域でも多くのニ-ズがある。

17.防災、緊急医療、災害時の人命救助・物資の搬送、オリンピック対応等数え切れない。

18.各種機能が大都市に集中、都市周辺の工場・各種施設へのアクセスが地方創生の鍵。

19.但し、Air Taxiも地上タクシ-同様各種交通手段の補完的代替肢としての位置付け。

20.又、観光・遊覧はビジネス機の利用定義の範疇外では有るが機材の稼働率向上に貢献。

21.Air Taxiの利用料の引き下げには機材の高稼働利用が絶対不可欠。

22. 旅客輸送、観光・遊覧のレジャ

、防災・医療との共同利用で機材の高稼働を実現。

23.以前何回か触れたが、東京都を含め都市周辺地域との交流で経済効果の抜本的増強。

24.それ故に、関東経済圏を利用機会の一例として過去の記述を引用・添付した。

25.先ず、都市圏空港と都心とのAir Taxi利用で体験と実績を積み順次利用対象を拡げる。

 

欧米に於ける幹線空港と周辺二次空港の棲み分け

1.欧米の大陸国では商用便が利用する幹線主要空港とビジネス機利用空港を棲み分けている.

2.ビジネス機は不定期に利用される事が多く定期便主体の幹線空港には馴染まない。

3.一方ビジネス機は幹線空港での雑踏、警備の難しさ、離発着の遅延を最も嫌う。

4.周辺二次空港は住宅地に近く離発着の柔軟性、混雑さも少なく空港利用料も安い。

5.故に両者の棲み分けは法的な規制ではなく、自然発生的な成り行きで確立した慣行。

6.日本ではこの様な慣行には馴染みが無くAir Taxiも知られて居ないので一編に纏めた。

7.流用デ-タ-は過去本サイトで公開されたが今回はAir Taxiの表題で編集し直した。

8.米国でも幹線空港にビジネス機は出入りするが、商用便への利用者の送迎が多い。

9.日本との最も顕著な差は空港でのAir Taxiの利用である。

10米国の.地方空港では空港外に地上タクシ-が待機して居る空港の方が遥かに少ない。

11.多くの利用客は空港でレンタカ-をするがAir Taxiの利用も過去半世紀定着した慣行

12.欧州も一つの地域と見れば大陸国で米国程ではないが周辺の二次空港が使われる。

13.Air Taxiも利用者の手の届く利用料を提供しなければ利用者は現れない。

14.利用料を安くする為には利用者が多く機材の利用率が上げねばコストは下がらない

15.この辺のジレンマが日本の課題なのでその背景も今回掘り下げて見る。

16.20103月茨城空港開港後国交省の示唆も有ったが利用は真剣に検討されて居ない。

 

New York, London, Parisのビジネス機利用空港

国交省 2010年資料

New York

JFK 4,312, La Guadia 5,443, Teterboro 86,696, Westchester 77,196

London

Heathrow 2,690, Luton 15,628, Farnborough 10,768, Stansted 8,082

Paris

Charles de Gaulle 4,321, le Bourget 26,791

ニュ-ヨ-ク周辺空港

マンハッタン中心よりの距離(巡航速度200/時のヘリ利用のケ-ス)

空 港 名

用   途

概算飛行距離

所用時間

La Guadia-Manhattan

国内航空玄関口

13

5

JF Kennedy-Manhattan –

国際航空玄関口

27

8

Newark-Manhattan

New Jersey州側玄関口

24

8

Westchester-Manhattan

高級住宅地空港

43

13

Farmingdale-Manhattan

住宅地空港

43

13

Islip-Manhattan

郊外別荘地空港

71

22

Teterboro

ビジネス機専用空港

19

6

Morristown

New Jersey州側周辺地

43

13

Cadwell

New Jersey州側周辺地

22

La Guadia, Kennedy, Newarkが主たる商用機幹線空港。Westchester, Islip, Cadwell Morristown等は郊外のベットタウン乃至郊外のオフィス所在地(マンハッタンのフ不動産価格と税金の高騰、従業員の通勤の便も考え大手企業は郊外に本社を移転)が有り近郊諸都市へのコミュ-タ-機が運行している。La Guadia, Newark迄自動車で1時間位は掛るので、寧ろ近隣の諸空港より近郊諸都市へのコミュ-タ-機を利用出張する

米国主要都市周辺二次空港を含めた空港数

都市名

Chicago

NY

Denver

LosAngel

S.Francisco

Miami

Dallas

空港数

17

15

15

12

11

10

8

都市名

Pittsburgh

Miami

Detroit

Seattle

Minneapolis

Atlanta

Houston

空港数

8

8

8

8

7

7

6

米国の首都Washington DC(コロンビア特別区)は16km四方の狭い街。空港はVIP専用のAndrews海軍基地(ホワイトハウスよりヘリで数分)、Reagan, Dulles, Baltimore3商用幹線空港に周辺二次空港が5か所。米国は「車社会」と同様鉄道に代り「航空機社会」。

 

New York周辺二次空港のビジネス機利用状況

                       ACI 2012年統計(機数は離着陸合計)

都 市 名

空 港 名

商 用 機

GA

Air Taxi

New York主要空港

二次空港

J.F. Kennedy

Newark

La Guadia

Farmingdale

Teterboro

Westchester

Islip

Caldwell

Morristown

Trenton

Bridgeport

Stewart

350,866/

277,853

275,568

129

164

16,122

12,255

24

11

35

8

3,999

7,919

9,858

6,680

107,007

97,466

90,499

54,242

48,186

37,981

35,254

30,601

19,721

50,493

132,889

91,664

9,595

61,287

46,084

6,321

986

11,226

3,964

2,477

8,806

  • 商用機はKennedy, Newark, La Guadia3空港に集中。Westchester, Islip,

Stewart3空港にはコミュ-タ-機定期便が運行している。

  • ジェネアビ機は通常二次空港を利用するが,/遠距離飛行のビジネスジェット機はマンハッタン島対岸のTeterboro空港を利用する。2点間直線距離は20㎞弱でヘリコプタ-でマンハッタンの国連ビル裏のヘリポ-トと南端の金融の中心地ウオ-ル街の河沿いのヘリポ-ト迄数分。車であれば河底のリンカントンネルか北端のタッパンジ-橋を利用して約1時間、ラッシュアワ-、事故車が居れば所要時間は「神頼み」。
  • Kennedy空港は空いて居ればタクシ-で45分。交通渋滞時には2時間以上を要する。
  • 時間が大切ならAir Taxiを利用。玄関口3大空港のAir Taxi利用が多い事にも留意。

 

ロンドン市中よりの距離(巡航速度200/時のヘリ利用のケ-ス)

空 港 名

飛行距離

概算距離

所用時間

Farnborough-London

55

60

18

Stansted-London

48

50

15

Luton-London

44

45

14

Gatwick-London

40

40

12

Heathrow-London

26

30

9

City-London

5

 

ロンドンオリンピック開催中のビジネス機による周辺空港の利用状況

空港名

Heathrow

Luton

Farnborough

Biggin Hill

Stansted

Oxford

着陸回数

使用禁止

2,285

1,800

1,231

770

600

オリンピック開催前後3週間の実績。HeathrowIOC関係者、選手団、訪問客用で満杯。

ビジネス機のHeathrow空港の利用は禁止され6,700機弱が周辺二次空港を利用した。

 

東京首都圏空港

総   括

首都圏の航空インフラに就いては過去20年様々な論議が交わされ、オリンピック招致が本決まりと成り、競技開催期間中前後3週間に内外の訪問客が首都圏に殺到する事が予測され俄かに首都圏の航空インフラが問題視されて来た。無論、この様な論議は不可欠且つタイムリ-では有るが、目先の問題のみに捉われず既存の航空インフラの活用を含め各種課題を包括的に見直す時期に至った。

1.首都圏4空港の有効的棲み分け活用を真剣に検討する。

2.関東圏近隣空港から首都圏への訪問客輸送の方策。羽田、成田空港はVIP, IOC関係者

選手団、訪問客受け容れで手一杯。近隣空港からヘリコプタ-利用の準備が必要。

3.ヘリコプタ-とても都心周辺の離発着可能なヘリポ-ト設置の認可の柔軟性が必要。

4.海外では「当り前」に成って来ている「計器飛行」の認可も必要と成って来る。

6.東日本大震災、御嶽山噴火でのヘリコプタ-による防災の有効性は再認識された。

7.EMS (救急医療)でのドクタ-ヘリの利用はヘリコプタ-の最成長分野。

8.「観光立国」「地方再生」の為、「旅客の2点間輸送」を重要成長戦略と位置付ける。

9.最も肝心な利用コスト合理化の要と成る「共同所有・運航」は年末迄に纏め提言。

10低価格帯機種の選別・集約、纏め買いによるコスト低減と運航業者へのリ-ス。

11.共同運航による機材の稼働率向上。採算分岐点の300時間/年以上の稼働を目指す。

12.短距離(片道25~50㎞)、短時間(往復分)15~30分)で利用者負担を軽減。

13.ヘリ利用による時間節減を利用者人件費節減に換算「費用対効果」を定量的に評価。

14.上記の各種要因の組み合わせで「地に足が付いた」実現可能な施策を講ずる。

15.最近中国が北京-天津間のへりによるAir Taxiの試験飛行を試みた。

16. 北京-天津間230㎞。Bell-429で利用料は往復3,500元日本円換算\69,000

17.㎞当りの単価は\150/㎞。日本の地上タクシ-\350/㎞の半分以下の安さ。

18. Bell-429は価格7.5百万ドル、巡航速度270/時。北京-天津間約50分。

19.1百万㌦の低格機材を「共同所有・運航」、地上タクシ-料の1.5~2倍以内に抑える。

20.優秀な日本人が工夫次第で中国人が出来る事を出来ない筈がない。

 

首都圏4空港構想

        「茨城空港の利活用に関する提案」 ANA総合研究所 20083

「茨城空港は同じ首都圏に位置する羽田・成田・横田空港と連携し、「定期航空需要」のみならず、首都圏の経済・観光の更なる発展につながる「幅広い形態の航空輸送」に対応出来る空港として建設・発展させるべきである。とりわけ、他の空港が十分に対応出来ないと考えられる「国際チャ-タ-輸送」、「格安航空輸送」、「ビジネス航空輸送」、「ヘリコプタ-」等に重点を置いた機能・役割を分担すべきである。」

2010年を境に、首都圏の空に劇的な変化が訪れる。羽田空港・成田空港の拡張に加え、茨城空港の民間共用化が現実のものと成り、更には横田基地の軍民共用の可能性も高まりつつある。そして、この茨城空港を単なる地方空港ではなく、「首都圏空港の一翼」とみなす時、巨大な航空需要を有する日本の首都圏を、羽田・成田・茨城、さらには横田を加えた4つの民間空港でカバ-すべき時代が目の前に迫っていることに気づく。」

「日本の首都圏は、欧米の大都市圏(ロンドン、ニュ-ヨ-クなど)に比べ、その人口に対して著しく空港の数が不足しており、その結果、慢性的に発着枠が不足する状況が続いている。然し、「首都圏4空港時代の到来」により、これら4空港を計9本の滑走路(総延長26㎞)を持つ一つの巨大な空港として捉えれば、日本の首都圏にロンドンやニュ-ヨ-クにも匹敵する世界有数の空港インフラが整うことになる。日本および茨城県の航空政策担当者や航空・空港関係者は、コペルニクス的発想の転換が必要と成る時代が目前に迫っていることを強く認識すべきである。」

 

 

 

 

 

289 278

200 311

 

 

178 40

 

178                 80

 

308 104 40

 

 

 

 

東京首都圏4空港構想

東京都心よりの距離

羽田空港

成田空港

茨城空港

横田空港

16

64

 85

 32

飛行距離はANA総合研究所の数値。ヘリコプタ-の巡航速度200/時として、茨城空港-都心間26分、成田空港-都心間20分。横田空港-都心間10分、羽田空港-都心間5分間。4空港より25㎞、50㎞で首都圏・南関東の大半がカバ-される。又首都圏のベットタウンと空港間、郊外工業団地、テクノパ-ク間の足としても利用可能。

 

空港名

巡航速度200㎞でカバ-可能な地域

羽 田

25

50

都心よりdoor-to-door30分、下記地点からは乗継ぎで更に時間を要する。

金沢八景、戸塚、町田、府中、川口、船橋、市原、木更津

三浦、大磯、厚木、八王子、川越、柏、東金、大多喜、富津

成 田

25

50

都心よりdoor-to-door90分、下記地点からは乗継ぎで更に時間を要する。

鹿嶋、八千代、習志野、東金

羽田空港、川口、野田、春日部、茨城空港、銚子、大多喜

茨 城

25

50

都心よりdoor-to-door100分、下記地点からは乗継ぎで更に時間を要する。

ひたちなか、水戸、土浦、稲敷

日立太田、真岡、古河、野田、我孫子、成田空港

横 田

25

50

都心よりdoor-to-door90分、下記地点からは乗継ぎで更に時間を要する。

練馬、川越、上野原、相模原、町田

浦安、春日部、久喜、熊谷、勝沼、逗子、横浜、羽田空港

東京周辺空港ヘリ飛行

 

飛行区間

距離 km

距離概算 km

ヘリ200/

仙台-東京

311

300

90

名古屋-東京

308

300

90

富山-東京

289

300

90

新潟-東京

278

280

85

福島-東京

200

200

60

松本-東京

178

180

55

静岡-松本

178

180

55

大島-東京

104

100

30

茨城-東京

80

80

25

木更津-東京

40

40

20

横田-東京

40

40

20

 

2014年の米国での回転翼機利用状況

1.米国と日本では国情が全く異るので単純比較は出来ないが最近の利用分野を記載した

2.日本でもコストが下がれば成長が望めるAir Taxi, 遊覧、医療の3分野を拾い出した

3.日本では殆ど皆無のAir Taxiは米国では年間443,000時間の利用実績がある。

4.最近は0.3~2.5百万㌦程度の低価格帯機材が良く使われるが最近の出荷実績を記載。

5.85

Robinson R-66は市販以来大人気だが2014年に大きな変化が見られた。

6.2014Bell社 は505$1.1百万で2016年より市販すると発表様子見が起きた。

7.日本でのお目見得は2017年に成ろうが既に300機以上の予約買いが入っている。

8.これは一過性の現象だが、低価格期待機材に賭ける熱い思いが感じ取れる。

9.日本からも先物買いが入っているが、タイミング良く日本の選択肢も広まっている。

 

利用分野

GAMA 2015 デ-タ- 単位 :利用機数

Personal

Business

Training

Aerial Observance

Tour

Medical

Others

1,205

669

1,373

2,354

131

208

542

下記3分野での利用機数

GAMA 2015 デ-タ-

Air Taxi

Tour

Medical

Piston

62

17

0

Turbine

Single

Multiple

930

596

334

300

296

4

1,054

598

456

Total

992

316

1,054

年間飛行時間

  GAMA 2015デ-タ- 単位:1,000時間/

Air Taxi

Tour

Medical

Piston

20

7

0

Turbine

Single

Multiple

423

294

129

233

231

2

409

225

184

Total

443

240

408

 

低価格帯回転翼機の出荷実績

Robinson 社の出荷機数

GAMA 2015デ-タ-

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

R-22

164

25

40

56

40

42

42

R-44

729

408

112

212

286

289

186

R-66

10

88

191

192

101

Total

893

433

162

356

517

523

329

 

Airbus社の出荷機数

GAMA 2015デ-タ-

2011

2012

2013

2014

EC-120

9

11

11

7

AS-350B2

57

36

32

23

AS-350B3

142

124

176

122

Others

170

163

145

172

Total

378

334

364

324

Bell社の出荷機数

GAMA 2015デ-タ-

2010

2011

2012

2013

2014

206B

5

0

0

0

0

206L/LT

15

14

9

11

13

Others

112

111

179

212

165

Total

132

125

188

213

178

 

欧米の距離感覚

米国

New York

Washington 379, Boston 333,Pittsuburgh 606, Detroit 407

欧州

Frankfurt

Zurich 306, Wien 594, Milan 515, Paris 475 (欧州金融センタ-)

  1. 国土面積の小さい日本と米国、欧洲の大陸国とは「2点間」の距離感覚が全く異る。

  2. 米国で一寸そこ迄と言っても、New York近隣の諸都市でも400㎞以上はする。

  3. New York-Washingtonは鉄道で4時間半、飛行機で45分。

  4. 鉄道は航空機より運賃は安いが企業マンが近郊諸都市への出張に利用する事はない。

  5. 欧州の近距離の金融センタ-廻りも時間的に航空機以外は使われない。

  6. 日本は700㎞程度位迄は鉄道の方が時間・便宜的にも有利で運賃格差も殆どない。

  7. その一方訪問先が都心30㎞圏内でも公共交通手段を利用すれば1時間は要する。

  8. 此処に、30㎞なら10~12分のヘリの補完的利用の余地が残されている。

  9. 欧米では300㎞以上の移動が必要で高速の小型ジェット機が多く使われる。

 

関東経済圏の規模

定    義

1.一般的には1都6県だが山梨県、更に静岡、長野、新潟県を含めて語る場合もある。

2.「道州制」導入案では利根川以南の地域を南関東とする案と埼玉県を編入する案もある

3.東京都は23区と3多摩それに伊豆諸島を含めた島嶼群。

4.但し、主要企業の本社所在地は都心の千代田、中央、港区、これに副都心部に集中。

5.何れにせよ政令で指定される地域と現実の主要経済活動地域は必ずしも一致しない。

6.表示される数値は飽く迄大掴みの全体図を把握する事が目的。細かい数値に拘らない。

7.但し、日本が諸外国に較べ如何に全ての機能が「一点集中」して居るかの認識は必要。

関東圏・首都圏

広域関東首都圏

関東16県(東京都、神奈川、千葉、埼玉、茨城、群馬)に山梨県、更に静岡、長野、新潟県を含めて語られる場合もある。

一般的関東首都圏

関東16県、時により山梨県を含む。

南関東

11道州制の案では関東は南関東と北関東に分けられ南関東は東京都、神奈川、千葉の利根川南部地区、これに埼玉を加える事も多い。

東京都

東京23区に都下3多摩(北多摩、西多摩、南多摩の32市町村)と伊豆諸島等島嶼群。但し、東京のベットタウンは神奈川、埼玉、千葉から新幹線で1時間程度の通勤圏に拡がって居るので行政的な線引きは実態を反映していないとの見方もある。

東京都心

かなり恣意的な分類だが、最近は環状7号線、6号線、山手線内を指す事もあるが、千代田区、中央区、港区を都心と呼び、品川、渋谷、新宿、池袋、上野・浅草等を副都心と呼ぶ事もある。上記は何れも使用目的に沿った便宜的な選択で厳密な定義ではない。

 

地理区分

面 積

人 口

地域内総生産

日本全域

372,924

127.8百万人

495.6(兆円)

広域関東首都圏(含む

山梨・静岡・長野・新潟)

70,814 (19%)

51.140%

221.9 (44.8%)

関東16

32,560 (46%)

42.2 (33%)

186.4 (31.6%)

南関東(1都3県)

13,567 (19.2%)

35.3 (27.6%)

160 ( 32.2%)

東 京 都

23+3多摩+島嶼

23

2,189 (6.7%)

62128.4%

13.2 (10.3%)

91.1 (18.3%)

都  心

山手線内

千代田・中央・港3

65 (3%)

42.131.9%

面積 : 「県勢2014」 矢野恒太記念会編

 人口 : 総務省統計局「人口推移」2012年統計

                総生産額 : 内閣府2010年「県民経済計算」

  1. 広域関東首都圏は面積比日本の2割、人口比4割、総生産額の45%に達する。

  2. 関東16県は面積比関東広域の半分以下、人口比1/3. 東京都の面積比は僅か6.7%

  3. 東京都の中では23区は面積比は東京都全体の3割以下、山手線内は3%。

  4. 千代田、中央、港区の3区は面積比日本の0.011%。この中に国の中枢機能が集中。

  5. 千代田・中央・港区42.13 即ち0.011%

  6. 人口は時々刻々変化。東京の昼夜人口の変動は世界一故、人口の比較は意味が薄い。

  7. これ程の一点集中の是非は本稿では論じないが、災害や有事の際の課題は大きい。

  8. 一点集中による、近郊を含む地方との交通の便宜性と意味を考察する事が重要。

  9. 都市圏の交通渋滞も踏まえ地上タクシ-Air Taxiを補完利用する。

 面 積

日本全域

広域関東首都圏

南 関 東

372,924

70,814

13,567

海外の近似数値国

ジンバブエ 390,580ドイツ357,021(日本61位)

シェラレオネ77,474, アイルランド70,280 (118)

バハマ13,940, バヌアツ12,200 (158)

人口

日本全域

広域関東首都圏

南 関 東

127.8百万人

51.1

35.3

ロシア142.9, メキシコ118.4 (日本10位)

南ア53, 韓国50.2 (広域関東首都圏26位)

ウガンダ 36.8,カナダ 35.1(南関東36位)

地域内総生産

日本全域

広域関東首都圏

南 関 東

495.6(兆円)

221.9

160

(数値単位は10億米㌦。\100/$で換算対比)

ドイツ3,636、フランス 2,737.4、英国2,535.8

ブラジル2,242.9, ロシア2,118.

豪州 1,505.3、スペイン(13) 1,358.7

 

都市圏の人口順位          都市圏の経済規模

Demographia 2012        ブルッキングス研究所2012

順位

都市圏

人口

順位

都市圏

総生産

1

東 京

37,126千人

1

東 京

1,520/10億㌦

2

ジャカルタ

26,036

2

ニュ-ヨ-ク

1,210

3

ソウル

22,547

3

ロサンゼルス

786.7

4

デリ

22,242

4

ソウル

773.9

5

マニラ

21,951

5

ロンドン

731.2

年間10億㌦以上の大企業本社

 マッキンゼ-資料

順位

都市圏

企業数

1

東 京

613

2

ニュ-ヨ-ク

217

3

ロンドン

193

4

大 阪

174

5

パ リ-

166

企業の交流で対面コミュニケ-ションが最も重要である事は誰でも経験的に理解している。本社-地方支店、工場、研究施設、物流センタ-の社内間の人的交流もあるが、それ以上に各種取引上の関係先との交流は一層重要。高度に発達した各種低コスト公共交通機関が使われ、今後も主要な交通手段として利用され続ける事は当然乍ら、意外な間隙もあり、これを埋める補完手段として、利用料は高くても、短時間、短距離利用でAir Taxi的利用の方が「費用対効果」上有利と言う事例もあろうが、一般論より個別の踏込んだ検討が必要。

    

東京丸の内よりの距離  (ヘリ速度200/時)

距離

主 要 地 点

所要時間

コスト

15

浦安、市川、西荻窪、狛江、羽田

5~7

5~11,700

20

松戸、鳩ケ谷、新座、三鷹、調布、鶴見

6~8

6~13,400

25

船橋、柏、大宮、横田、府中、町田、横浜

8~10

8~16,700

30

千葉市、柏、大宮、横田、国立、日野、町田、横浜

10~12

10~20,000

  1. ヘリの飛行速度を200/時と置いた場合の所要時間。
  2. 利用コストは1億円の低価格帯機材を利用、\60~100,000/時と仮定。(努力目標値)
  3. 現在の日本での相場は\200~250,000/時するので、努力目標値達成には工夫が必要。
  4. 3人乗合いでは20㎞で\2,000~2,500/人、\30㎞で\3,400~6,700/人と成る
  5. 機材の所有と運航を集約、機材の稼働率向上でコストを下げる工夫をする事が鍵。
  6. 近郊へは公共交通機関が網目の様にあるが緊急時或いは時間節減のコストも勘案。

東京昼夜人口比率

 

順位

区  名

昼夜間人口比率

1

千代田区

1,738%

2

中央区

493.6

3

港区

432.1

4

渋谷区

254.6

5

新宿区

229.9

政府機関、企業オフィスが集中する千代田区の昼間人口は夜間の17倍、中央区、港区で4~5倍と昼夜人口の変動はグロ-バルにも断トツ。ニュ-ヨ-ク マンハッタン島の4倍と言う記事も見られるが数値の比較は兎も角、人口の一点集中で東京は世界的にも断トツ。公共交通機関が世界的に最も高度に発達し乍ら「通勤地獄」「酷電」等と言う表現に象徴される様に地域内の移動は大きな問題。郊外のベットタウンより近郊への出張には住居地より訪問先へのAir Taxiの直行利用が効率的にも、経済的にも合理的と言う事例も考え得る。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*