2015年11月07日(土)06時34分
(15-08) 「首都圏空港」とのエアタクシ-の利用
要 約
1.成田、羽田に茨城、横田も加えた4空港を「首都圏空港)と位置付ける。 2. 成田は国際線、羽田は国内線との棲み分けは、最近は状況が変わって来た。 3.羽田の利用旅客数74.2百万人の15.5%が国際線利用者、成田の16.7%が国内線利用者。 4.何れにせよ、両空港のみで110百万人程度の利用者が居り3%程度がタクシ-を利用。 5.関東主要都市,周辺部より両空港に2点間で直結出来れば利用者の便に大きく貢献する。 6.仮に、Air Taxi運賃が地上タクシ-代の1.5倍程度に抑えれば利用者も出て来よう。 7.国土交通省の動態調査で平日の利用者の4割以上が何らかの商用で航空機を利用。 8.更に、利用者の6割が企業幹部、会社員、公務員と時間が貴重なビジネス関係者。 9.節減時間を人件費節減に引き直す事が慣行化すれば「費用対効果」の実証化は可能。 10.一般利用者でも金銭的に余裕が有る人、家族、高齢者同伴の利用も充分考えられる。 11.両空港乗降客1億人の3%がタクシ-を利用その1割がAir Taxiを利用すれば30万人 12.無論Air Taxiの利用者の多寡は運賃の水準に依るがこの辺の価格弾性値の精査が肝要 13.Air Taxi 側の採算は利用者の増加に伴う機材の稼働率向上で採算分岐点が下がる。 14.この辺のオプティマムポイントをデマンド・サプライ両サイドの「協働」で割り出す。 15.この為には、空港会社、地上タクシ-会社の「協働」作業への参画も必要。 16.「共同所有・共同運航」の実現と効果的な運営には関係者の「全員参画」が必須条件。 17.今後茨城空港を海外の様にビジネス機のハブにした場合都心迄Air Taxiが必要。 18.欧米より往復40百万円、中国でも15百万円払う利用客にはAir Taxi料は些細な問題。 |
2014年度成田・羽田空港利用旅客数
(成田・羽田両空港会社公表の2014実績)
成田空港 羽田空港
|
総 数 |
国内 |
国際 |
総 数 |
国内 |
国際 |
旅客数 |
35,595千人 |
5,944 |
29,651 |
74,220 |
62,680 |
11,540 |
比 率 |
|
16.7% |
83.3 |
|
84.5 |
15.5 |
多少の増減は在るが成田、羽田2空港で日本全体の50%弱の利用客を捌く。
成田空港 |
外国人 |
日本人 |
羽田空港 |
外国人 |
日本人 |
比 率 |
57% |
43 |
比 率 |
35 |
65 |
成田は既に利用者の半数以上が外国人。特に近隣諸国の富裕な家庭の子女が観光・買物を兼ねて訪日するが地上タクシ代よりやや高いAir Taxiの利用者も現れ様。この様な近隣諸国よりのインバウンドの訪日客が空港利用者の増加原因。
利用交通手段
羽田空港 成田空港
鉄 道
バ ス
自動車
タクシ-
その他 |
15%
41
15
4
14 |
|
|
57% (34) 26 (31) 11 (28) 3 (3) 3 (4) |
|
|
l 国土交通省2013年デ-タ-。成田空港下段括弧内は2014年7月の空港側の調査資料
l 何れも特定日の利用客対象のアンケ-ト調査結果。従って、偏りは存在する。
l 平日、休日、連休等で利用者数、利用交通手段も異り「目安」程度のデ-タ-。
l 但し、本稿の目的とするタクシ-利用客は3%程度で1%前後の振れはあろう。
成田空港の旅客動態調査
国土交通省 平成21年度10月21日(水)調査実施結果
利用目的 仕 事 観 光 その他 |
42% 36 22 |
職業 役員・管理者 会社員 公務員 その他 |
11% 44 6 39 |
平均年収 1,000万円以上 700~1,000 400~700 400以下 |
17% 16 23 44 |
空港利用者出発地
(空港会社調べ)
成田空港 羽田空港
出発地 |
比率 |
出発地 |
比率 |
東京 千葉県 神奈川県 埼玉県 茨城県 その他 |
37.8% 24.7 10.7 7.9 4.6 14.3 |
東京 神奈川県 千葉県 埼玉県 茨城県 その他 |
52% 18 11 7 4 8 |
|
成田空港 |
羽田空港 |
交通手段 鉄 道 高速バス タクシ- ヘリコプタ- |
成田エクスプレス(成田-東京駅) リモジンバス(成田‐日比谷ホテル) 成田-千代田区、中央区 成田-都心ヘリポ-ト |
モノレ-ル(浜松町―羽田) リモジンバス(羽田‐日比谷ホテル) 羽田-千代田区、中央区 羽田-都心ヘリポ-ト |
都心距離 直線距離 タクシ- |
64㎞ 70 |
16㎞ 18 |
所要時間 鉄 道 高速バス タクシ- ヘリコプタ- |
60 (空港-東京駅) 75~110 70 20 |
16 (浜松町―羽田) 30 30 8 |
料 金 鉄 道 高速バス タクシ- ヘリコプタ- |
3,020 4,560 (グリ-ン)成田Exp 3,100 19,000 (昼間) 28,500 (上記1.5倍) |
490(浜松町―羽田) 930 5,600(昼間) 8,400 (上記1.5倍) |
追加交通 鉄 道 高速バス タクシ- ヘリコプタ- |
鉄道駅より目的地迄の交通 タ-ミナルより目的地迄の交通 追加交通なし ヘリポ-トより目的地迄の交通 |
鉄道駅より目的地迄の交通 タ-ミナルより目的地迄の交通 追加交通なし ヘリポ-トより目的地迄の交通 |
地上タクシ-とヘリコプタ-の利用比較
MCAS ヘリサ-ビス ア-クヒルズ-成田空港 |
片道 \270,000 所要時間 20分 |
飛行距離64㎞ \4,219/㎞(地上タクシ-の14倍)\840,000/時 |
ドライバ-付きレンタカ- 3人乗りセダン 6人乗りワゴン 9人乗りワゴン 9人乗りキャンピングワゴン ガソリン、駐車/有料道路料別 |
\29,800/日 \32,800/日 \35,300/日 \41,300/日 |
家族旅行、高齢者、要介護者移動等の需要に対応。 |
日本交通定額タクシ-料金
|
通常 深夜 (5~22 22~5AM) \16,000 \19,000 \19,000 \23,300 \21,000 \25,200 \22,000 \27,200 |
葛飾、江戸川、墨田、江東、台場、 足立、荒川、文京、中央、千代田 新宿、渋谷、目黒、港、太田 中野、杉並、世田谷、三鷹、武蔵野 |
地上タクシ-料
(成田空港発)
目 的 地 |
距 離 |
所要時間 |
料 金 |
日立駅
ヘリコプタ- |
138.4㎞
92 |
121分
28 |
\41,000 \296.2/㎞ \445.7/㎞ 1.5倍 |
水戸駅
ヘリコプタ-
|
112.2
64 |
106
20 |
33,470 298.3 523 1.75 |
柏 駅
ヘリコプタ-
|
46.3
38 |
77
12 |
14,430 311.7 379.7 1.2 |
所沢駅
ヘリコプタ-
|
115.7
75 |
111
23 |
34,440 297.7 459.2 1.5 |
八王子駅
ヘリコプタ-
|
113.2
90 |
102
27 |
33,710 297.8 374.6 1.3 |
帝国ホテル
ヘリコプタ-
|
70.8
60
|
63
20 |
21,480 303.4 358 1.2 |
鎌倉駅
ヘリコプタ-
|
122.9
85 |
113
26 |
36,540 297.3 429.9 1.4 |
l タクシ-料金は日本交通の料金検索ソフトを流用。
l ヘリコプタ-は2点間直線距離を巡航速度200㎞/時と置いて所要時間を算出。
Air Taxi利用による時間節減コストの人件費節減コストへの換算
地上タクシ-利用の際も無意識或いは頭の中で利用コストとメリットを天秤に掛けている。タクシ-料は公共交通手段に比較すれば必ず利用コストは高いが「費用対効果」の判断を行っている。Air Taxiは地上タクシ-より更に高く成り、然も企業マンが業務上利用するのであれば、業務上の旅費として所属する組織の「商慣行」に従い後日実費の「社内経費精算」を行える事が前提。大企業で有れば東京―新大阪間は特急「のぞみ」の座席指定の利用を認めるし、職位によりグリ-ン車の利用も認める。海外への遠距離飛行であればビジネスクラス、職位によりファ-ストクラスの利用も認める。又、常識範囲内であれば、鉄道駅 空港よりのタクシ-利用も認める。Air Taxiの利用は日本では「商慣行」としての「前例がなく」欧米の様に「商慣行」として定着させるには「費用対効果」の「評価ソフト」を考案、組織の人事・総務部等旅費精算のプロセスに絡む部局への「教宣」が必要。米国のNBAA等は2000年の早い段階より「評価ソフト」を開発、数百㌦程度で利用希望者に対して一般市販を行って来た。
仕組みは単純で、公共交通機関の時刻表、料金表との繋ぎ込み、利用者が希望の日時と出発地・目的地をインプットすれば即各種選択肢が表示され利用者が希望の手段を選定する。日本の航空会社のサイトでも同様のインプットをすれば利用者の希望に沿った選択肢が表示される。ヤフ-等の無料の「経路」サ-ビスを利用すれば、航空機に限らず各種交通手段の時刻表、利用コスト、所要時間が表示され、類似の「2点間移動比較サイト」は既に現存し、広く利用されている。Air Taxiは「2点間を直線で結び」従って地上交通機関より移動距離は短縮、地上の信号待ちや、交通渋滞に煩わされないので移動時間が大幅に短縮される。ヘリコプタ-の巡航速度は利用機材により異るが、離発着時の減速にも配慮200㎞/時と置けば間違いない。更に利用者の希望で「貸切り」とするか「相乗り」にするかで、後者の場合、利用者1人当りのコストは標準5人乗りの機材とすれば、「頭割り」のコストは利用者員数に反比例して下がる。5人家族の移動で有れば、公共交通機関の様に、利用者1人々々に運賃が課される訳ではないのでコスト節減に大きく寄与する。これは地上タクシ-と共通するので、認識を定着化させるにはそれ程の努力は要しない。この辺は組織の旅費精算に関わる部局、旅行代理店、空港交通提供者を当初からプロセスに参画させれば、Air Taxiも新たな交通の選択肢として既存の各種交通手段を補完する「新たな選択肢」として利用者、サ-ビス提供者両サイドのメリットと成る。但し、人件費の認識は個人により又組織により大きく喰い違うので、予め或程度の共通した認識を普及する努力により整合性を持たせる要はある。
人件費に対する異った認識
初 段 階 |
組織の人件費には無関心或いは深く考えた事が無い。経営・管理業務に関わらなければこれが一般的。祭りの神輿を担ぐ事は楽しみでも、神輿の費用は殆ど話題にされない。どうせ組織が規定の給与を払って居るので個々の構成員の範疇外の事項との認識でそもそも知る対象ともされない。 |
第二段階 |
組織の構成員の年収、月給程度の認識はある。課長代理程度に成れば「課単位」の構成員の人件費への認識は持つ様に成る。問題意識の高い人材で有れば組織全体の人件費に対する認識が芽生えて来る。。 |
第三段階 |
部や事業部と言った纏まった組織の経営・管理に関われば、組織のコストに占める人件費に無関心では居られない。但し、が曖昧な日本では、欧米の様に責任体制が確立して居らず、、組織の長であってもお神輿に担がれ「ヒト」のコストに対する認識が甘いが、民間で有れば、コスト意識が希薄な企業は淘汰される可能性もあり、それ以上に機関投資家や大手投資家に対する「説明責任」を果たさなければ成らない為、それなりのスタッフの養成が行われ、間接費を含めた「コスト意識」の組織内での認識・徹底はかなり進んで来ている。 |
第四段階 |
高度成長期が過ぎ、グロ-バル企業として世界に飛躍する為には、グロ-バルに通用するコスト管理手法の組織内での運用が必要と成り、先進大手企業では活発な「TQC」活動の成果として、人件費も給与・賞与等の直接費に加え管理費用等の間接費から、配当・借入金利や損失処理等の償却費迄「完全配賦」を実施する企業も出て来た。この様な先進企業では中間管理層はかなり適確に組織の「ヒト」のコストを把握する様に成った。但し、第四段階に達した企業は上場企業の一部に過ぎず、日本の企業数の99%強を占める中小企業では、経営能力抜群のカリズマ的経営者の経営する企業を除き、大多数は第二段階程度に留まっている。 |
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人件費に関する認識 法定最低賃金 : \679(島根県) ~ \888/時(東京) 時給アルバイト : \800~1,200(業種・業務内容で大きく異る) 企業若手社員 : 平均年収4百万円/年。\2,000/時。 中間管理層 : 平均年収8百万円/年。\4,000/時。 幹部社員 : 平均年収12百万円/年。\6,000/時。
簡便法による一部大手企業の時間当りコスト 企業の年間総コスト(収入マイナス純益)を総従業員数と勤務時間年間2,000時間で除したもの。(250日/年x 8時間/日)航空機、Air Taxi利用者は管理層以上が多く組織全体の平均コストを遥かに上回る。
大手総合商社4社 : \112~170,000/時 規 制 産 業 : \55~70,000/時 大手上場企業 : \20,000~30,000/時
米国NBAAのビジネス機利用の「費用対効果」の評価ソフトは第二段階程度の、利用者が自分の年収をインプットする初歩的な手法を使っているが、これでも多くの場合ビジネス機の利用が正当化される由。然も米国の場合、日本の様な1億円程度の低格帯ヘリコプタ-の利用では無く、その10~20倍は優にするビジネスジェット機の利用を対象にしてでも結果は同じ。。 |
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