2015年10月26日(月)08時08分
(15-11) ヘリコプターによる観光・遊覧
要 約
1.法的なビジネス機の定義は存在しないが、レジャ-機はビジネス機の範疇より除外される。 2.この辺がビジネス機の微妙な仕分けでビジネスと言う言葉を冠して居るので私的な商用用機と見られる。 3.これ自身は間違いではないが「ビジネス」には機材を営利目的に供すると言う意味合いもある。 4.米国でも又日本でも利用対価を受取り観光・遊覧に供される機材はビジネス機の範疇に入れられている。 5.全事連の回転翼機の実績でも「遊覧」と言う項目を設け米国では”Sight Seeing””Air Tour””と言う項目が有る。 6.従って、本稿も利用料を取り観光・遊覧に供する機材は観光業と言う営利事業としてビジネス機に含める。 7.米国ではオンデマンドチャ-タ-はFAR Part 135で規制されるが、Air Taxi 救急医療も同分類に含まれる。 8.米国ではAir Taxi, や観光用に航空機が半世紀以上使われて居り、”Flightseeing”と言う便利な言葉もある。 9.日本の回転翼機の年間稼働時間7万時間(Max.10万時間 ? )に対し米国のトップ10州だけで1千万時間。 10.全航連纏めの2014年実績では小型ピストン機の遊覧飛行は340時間、回転翼機に依るものは1,984時間。 11対.する米国はFAR Part 91対象の”Sightseeing”がピストン機で61,000時間、回転翼機で62,000時間。 12.一方、FAR Part 135対象のオンデマンドチャ-タ-はピストン機51,000時間、回転翼機279,000時間。 13.彼我の余りの格差に驚く向きも有ろうが国情や文化の違いもあるが一義的には利用料のダントツの格差。 14.日本の商用便平均\19/㎞、コミュタ-便 \30/㎞、地上タクシ-代 \350/㎞、回転翼機観光 \595~2,100/㎞。 15.米国で日本人観光客が利用する回転翼機はAlaska \70/㎞,Hawaii \26/㎞, Grand Canyon\42/㎞。 16.与件の相違もあり単純比較は避けるべきだが、何故日本人が米国では「空の遊覧」を楽しめるかが分かる。 17.ビジネスジェット機に較べ格段に安い回転翼機でこの有様。「事実」と言う「現実」と向き合う必要がある。 18.「観光立国」の国策を実現するには「足が地に付いた」インフラの整備が不可欠。 19.USATA (United States Air Tour Association )によれば275の運航業者が航空機1,000機をAir Tourに供与。 20.121の運航業者がAlaska, Hwaii, Grand Canyonで営業し、利用客は米国人、外国人が半々。 21.遊覧飛行は年間428,500時間、285,700回、1回平均90分。利用客は年間2百万人と報じている。 |
2014年会計年度ヘリ・飛行機遊覧飛行実績
全日本航空事業連合会まとめ
飛行機 ヘリコプタ-
運航会社名 |
年間稼働時間 |
運航会社名 |
年間稼働時間 |
新 中 央 航 空 |
93時/年 |
日本フライトセ-フティ- |
404時/年 |
旅客8社計 |
93 |
エクセル航空 |
383 |
朝 日 航 空 |
38 |
セコ・インタ-ナショナル |
115 |
岡 山 航 空 |
25 |
つ く ば 航 空 |
71 |
東 京 航 空 |
14 |
ヒ ラ タ 学 園 |
61 |
愛 媛 航 空 |
9 |
ア イ ラ ス |
41 |
飛行機専業13社計 |
87 |
静岡エアコミュ-タ- |
36 |
航測業4社計 |
0 |
ジ ャ ネ ッ ト |
11 |
第 一 航 空 |
74 |
ディ-エイチシ- |
7 |
エスジ-シ-佐賀航空 |
24 |
東北エアサ-ビス |
7 |
本 田 航 空 |
24 |
アカギヘリコプタ- |
(0.42) |
北 海 道 航 空 |
16 |
専業17社計 |
1,140 |
大 阪 航 空 |
11 |
エスジ-シ-佐賀航空 |
644 |
四 国 航 空 |
4 |
朝 日 航 洋 |
57 |
東 邦 航 空 |
3 |
東 邦 航 空 |
44 |
九 州 航 空 |
1 |
九 州 航 空 |
40 |
ヘリ兼業12社計 |
159 |
第 一 航 空 |
18 |
会員32社合計 |
340 |
北 海 道 航 空 |
15 |
|
|
大 阪 航 空 |
11 |
|
|
中 日 本 航 空 |
7 |
|
|
四 国 航 空 |
4 |
|
|
併業13社計 |
843 |
|
|
会員企業30社合計 |
1,984 |
遊 覧 飛 行 料 金
遊覧飛行コ-ス |
料 金 |
所要時間 |
一時間当り料金 |
㎞当りコスト |
東京タワ-コ-ス 貸 切 (3名利用) |
¥49,120 (¥16,374/人) |
40分
|
¥73,680/時 (¥24,560/時/人) |
\368/㎞ (¥1,220/㎞) |
東京千葉デ-コ-ス 貸 切 (2名利用) |
¥42,000 (¥21,000/人) |
17分
|
¥119,000 (¥59,500/人) |
¥595/㎞
|
横浜日没前コ-ス 貸 切 (5名利用) |
\42,000 (\8,400/人) |
5分 |
\350,000 (\70.000/人) |
\1,750 (\350/㎞) |
横浜20分コ-ス 貸 切 (5名利用) |
\140,000 (\28,000/人) |
20分 |
\420,000 (¥84,000/人) |
\2,100/㎞ \420/㎞ |
日本の地上タクシ- 1人乗車 4名乗車 |
\17,500 (\4,375/人) |
60分
|
\17,500 (\4,375/人) |
\350/㎞ |
オアフ島めぐり セスナ |
¥28,900 ($289) |
4時間 |
¥7,225 |
¥35/㎞ |
オアフ島めぐり ヘリコプタ- |
¥13,000 ($130) |
2.5時間 |
¥5,200 |
¥26/㎞ |
アラスカ遊覧飛行 セスナ 185,206 3名利用 |
\26,000 ($260) |
50分 |
\31,200 (\10,400/人) |
\156/㎞ (\52/㎞) |
アラスカ遊覧飛行 ヘリコプタ- |
\14,000 ($140) |
60 |
Y14,000 |
\70/km
|
グランドキャニョン ヘリコプタ- |
¥6,900 ($69) |
50分 |
¥8,280 |
¥42/㎞ |
シスコ遊覧飛行 飛行艇 |
\17,900 ($179) |
30分 |
\35,800 |
\179/㎞ |
ナイアガラ滝遊覧 ヘリコプタ- |
¥9,321 ($93.21) |
20分 |
\27,963 |
\140/㎞ |
1.小型ピストン機、ヘリコプタ-による観光・遊覧サイトはネット上に幾らでもある。
2.上記の数値はランダムに拾ったもので,これが業界の代表的な数値とは言えない。
3.中間に日本の地上タクシ-の運賃を参考迄に記載した。
4.Air Taxiの運賃負担能力は地上タクシ-料の1.5~2倍と言われる。(\525~700/㎞)
5.日本の首都圏の遊覧の為のヘリコプタ-利用料は\595~2,100/㎞と\350/㎞の1.7~6倍。
6.これでは利用者が限定され5~10分と言った切り刻まれた極く短時間の利用と成る。
7.日本人観光客が利用する米国の観光地では\26~70/㎞、日本のタクシ-料の0.07~0.2倍。
8.国交省公表の日本の商用便の平均単価\19/㎞、コミュ-タ-機で\30/㎞を割っている。
9.これの2倍位なら日本人でも多少金に裕りが有れば利用が可能と思われる。
10.H.I.S.の澤田会長は学生時代欧米旅行で何故日本で一般人が海外旅行出来ないか考えた。
11.一般の「手の届く」旅行パッケ-ジを開発、今では学生でも海外旅行が楽しめる。
12.遊覧・観光にへリコプタ-の利用が一般的でないのは一義的に利用料が高過ぎる為。
13. 上記の日本の現行の利用料との落差が余りにも大き過ぎる。
14.環境も異るので単純に比較は出来ないが、国際的格差の要因分析で事態改善を図る。
15.計算根拠は米㌦/円交換率\100/$。自動車走行時間50㎞/時、回転翼機200㎞/時
米国のAir Tour (Flightseeing)、医療Air Taxi飛行時間実績
GAMA 2013デ-タ-
|
観光・遊覧 |
医療 |
Air Taxi |
FAR Part 91 Use ビジネスジェット機 タ-ボ-プロップ機 ピストン機 回 転 翼 機 ピストン 単発タ-ビン 双発タ-ビン |
0 0 61,000時/年 62,000 47,000 15,000 0 |
13,000時/年 13,000 35,000 37,000 0 16,000 21,000 |
|
On-Demand FAR Part 135 ビジネスジェット機 タ-ボ-プロップ機 ピストン機 回 転 翼 機 ピストン 単発タ-ビン 双発タ-ビン |
0 15,000 51,000 279,000 14,000 260,000 5,000 |
75,000 86,000 10,000 554,000 0 274,000 279,000 |
720,000 611,000 504,000 597,000 17,000 508,000 72,000 |
日本(全事連2014実績) ピストン機 回 転 翼 機 |
159 949 |
特に分類せず 特に分類せず |
0 0 |
1.米国と日本の彼我の落差が如何に大きいかこの様な表に纏め直すと一目瞭然。
2.日本でもAir Taxi は最も現実的な利用の可能性を秘め乍ら事実上皆無に近い。
3.日本は過去20年日本に最も馴染まない高額のジェット+双発タ-ボ機に論議が集中。
4.逆に最も現実的に使われ易い低価格帯回転翼機は「ニ流市民」として無視されて来た。
米国ヘリコプタ-利用トップ10州の年間稼働時間
FAA Database 2013年実績
順位 |
州 名 |
登録機数 |
推定稼働機数 |
推定稼働機率 |
年間稼働時間 |
1 |
California |
26,141機 |
20, 560機 |
78.7% |
2,330,575時 |
2 |
Texas |
22,851 |
16,811 |
73.6 |
2,242,652 |
3 |
Florida |
18,162 |
14,450 |
79.6 |
1,867,698 |
4 |
Washington |
9,507 |
6,612 |
69.5 |
513,388 |
5 |
Alaska |
8,161 |
5,528 |
77.7 |
244,039 |
6 |
Alizona |
7,470 |
5,658 |
75.7 |
718.378 |
7 |
Georgia |
7,198 |
5,932 |
82.4 |
571,362 |
8 |
North Carolina |
7,175 |
5,627 |
78.4 |
558,843 |
9 |
Illinois |
7,021 |
5,169 |
73.6 |
529,640 |
10 |
Pennsylvania |
7,144 |
5,091 |
71.3 |
509,932 |
|
|
|
|
|
10,086,507 |
1.米国のヘリコプタ-利用トップ10州の年間稼働時間は合計1千万時間。
2. 日本の年間稼働時間は7万時間前後だがこれは業界団体加盟企業のみの合計。
3.仮に、その他を加えて年間10万時間と置いてみる。(正しいか否かは分からぬが)
4.日本10万時間/年、米国トップ10州で1千万時間として100倍。
5.集計方法も異るので直ちに絶対値の比較は危険だが桁違いな事は一目瞭然。
6.空運は資本集約的産業で機材稼働率が運航コストに与えるインパクトは大きい。
日本の主要ヘリコプタ-運航会社所有機数
HELIWORLD Data 2013
順位 |
会社名 |
所有機数 |
順位 |
会社名 |
所有機数 |
1 |
朝日航洋 |
64 |
9 |
アルファ-アビエイション |
12 |
2 |
中日本航空 |
60 |
10 |
小川航空 |
10 |
3 |
アカギヘリコプタ- |
25 |
11 |
佐賀航空 |
8 |
4 |
東邦航空 |
24 |
11 |
東北エアサ-ビス |
8 |
5 |
西日本空輸 |
20 |
13 |
鹿児島国際航空 |
7 |
6 |
新日本ヘリコプタ- |
15 |
14 |
四国航空 |
6 |
7 |
ヒラタ学園 |
14 |
14 |
北海道航空 |
6 |
7 |
オールニッポンヘリコプター |
14 |
|
15社合計 |
293 |
1.全航連ヘリコプタ-部会参加30社の上位15社の所有機数は293機。
2.2014年の業界飛行時間合計77,706時間、参加企業半分の15社で割り¥265時間。
3.実態は最大手朝日航洋、中日本航空で年間260時間程度。
4.中堅運航業者業で150時間、小規模運航業者では100時間を切る先もある。
5.回転翼機の損益分岐点は300時間、より高額な機種で500時間/年と言われる。
6.当然採算を取るにはコストが高い分利用料に加算、上げるしかない。
7.利用者が居ない為高コスト、高コスト故に利用者が居ない「いたちごっこ」
8.何処かで集約による「負」のサイクルを断ち切り、脱却しなければ成らぬ。
9.これが業界の「大同団結」による「共同所有・運航」の必要性の論拠。
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