2015年02月19日(木)02時48分

(15-03) 航空機業界のトピックス2題

 

スカイマ-ク社の経営破綻

スカイマ-ク社は1月28日民事再生法の適用を申請事実上経営破綻した。その事実・経緯・原因に就いてはマスコミで詳しく報道されて居るので省略するが、経営責任を取り退任した西久保社長の経営戦略に就き顧慮の余地がある。即ちLCCとして市場に新規参入が増え競争が激化している中で、将来の打開策としてAirbus A-330を導入これをプレミアムエコノミ-として高品質化による差別化を目論んだ。これに就いては、既ににエミレ-ツ航空がAirbus A-380を全席ファ-スとビジネス客用に利用する事を考え発注している。この狙いの当否は規模も資金力もあるエミレ-ツのお手並み拝見として、今回のスカイマ-クの経営破綻の直接の動機は一旦発注したA-380の発注をキャンセルした事による7億㌦の解約料の重みに耐え兼ねた為だが、本来東京-ニュ-ヨ-クを大量輸送によりコストを引き下げ、且つ大型機のスペス-スを活かし、高単価顧客の取り込みを策した能登に他発想。。顧慮すべき課題は、LCCは短距離輸送で成長して来たが、長距離輸送でLegacy Carrierと競合出来るか、又その様なビジネスモデルが成り立つのかとの課題を俎上に乗せた。欧米では何年も前から名の知れたLCCが試行錯誤を続けて来たが未が解は得られて居ない。

アジアではAir Asia XはA-330-300を22機保有し,遠距離飛行を行っている。アジアdeはマレ-シア半島より日本迄距離があり、人口密度も高く工夫次第で事業として永続性のある事業モデル構築の可能性を示唆する向きもある。一方、アジアの場合はQuantasの傘下のJetstar 、Singapore航空全額出資のScoot等遠距離郵送に耐え得る規模と実績を有している企業もあるが、短距離輸送で躍進して来た新興LCCが成功するかは暫く見守る必要がある。西久保社長は現状打開の一手として賭けに出たのであろうが今回は裏目に出た。但し、LCCによる中/長距離運航の試みは今後も随所で見られ様。カナダのWestJetは北米-メキシコ-カリブ海、欧州ではLaker Airwayやノ-ルウェ-のBjoern Kjos等が「勇敢なるパイオニア」として挑戦を始めている。LCCによる長期飛行がビジネスモデルとして成り立つか否かは未だ今後の業界の課題。

 

BombardierLearjet 85の生産計画中止

 

Learjetシリ-ズで一世を風靡したBombardier社も、世界のビジネス機市場が2分極化、中価格帯のビジネス機の需要の大幅減退で大きな打撃を受けた。最大の競合相手のHawker-Beechcraft社は経営が行き詰まりCitation, Cessnaを傘下に持つTextron社に吸収されたが、Bombardier社もLearjet部門を分離、Fractional OwnershipのFlexjet社も売却した。1月15日打開策の一環として「鉦や太鼓」で囃し立てて来たLearjetシリ-ズの最上位機種Learjet 85の開発・生産を打ち切ると発表した。本サイトでも指摘して居る様に市場は2分極化、富裕層は益々高額の上位機種を買い漁り、Bombardier社が提供を策した中級の最上位機種では中途半端で充分な顧客を掴めず計画は挫折した。これによりメキシコ工場の従業員1,000人は解雇、14億㌦に上る損失の計上を余儀なくされた。、Bombardier社の2014年度実績は売上高201億㌦と前年の182億㌦の11%増であったが、収益は12.5億㌦の赤字と前年の5.72億㌦黒字より大幅に落ち込んだ。Learjet 85撤退による14憶㌦の損失金計上が最大の要因。社長兼CEOのPierre Beaudoinは経営責任を取り辞任、Bombardier社の家族経営の歴史を閉じた。後任にはUnited Technologies Corp。、Pratt & Whitney社のAlain Bellemareが就任した。日本は幸いにして市場2極化の暴風圏外にあり欧米のビジネス業界を吹き荒れる業界再編の嵐に巻き込まれる事は無いが、ビジネス機業界も超富裕層、セレブ、VIP等「特権階層」向けの最上位機種と一般利用者の手の届く低価格帯機種への2極化傾向には充分に 留意する必要がある。

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