2015年03月07日(土)08時54分

(15-05) Heli-Expo 2015

 

 

2015年度の世界ヘリコプタ-業界最大のイベントであるHeli-Expo 2015がFlorida州Orlandoで3月3日~5日開催された。例年約20,000人の参加者が集まるが、今年はこれを上廻る盛況であったと主催者側の発表が有った。OrlandoはDisneyWorldやSea Worldの本拠地で、近くに衛星打上げ基地や各種レジャ-施設が有る為、各地からの航空便やホテル、レストランそしてConvention Center等の諸設備も整って居る。日本と違って、関係企業の本社所在地が全米に散って居る為、1年に1回この様なConventionを開催、通常電話やメ-ルで交信する相手と対面交流が出来る他、業界を取り巻く環境の変化、業界の業績、規制や安全問題の情報交換が行われる。お目当ては新鋭機の開発・販売予定が各メ-カ-の活発な広報活動と現物が展示され、参加者は「百聞は一見に如かず」で関心のある機材に搭乗、仔細に知見を得る事が出来る。Heli-Expoの開催期間は3日間で有るが、これに先立つ2月27日、閉会後も6日迄オペレ-タ-への各種研修セミナ-が並行的に実施され、実務に携る人々の交流も積極的に図られる。日本人は一般的には語学のハンデイ-、自己表現下手、見知らぬ人と交流、意見を発表したり対話・討論に参画する人も少ないので、この種Conventionのメリットをフルに享受出来る人は少ない。参加者の中には家族も同伴、会期中は近くのレジャ-施設で楽しみ、各種の社交イベントも催され夫婦での交流も盛んに行われる。この辺も日本人には不得手の領域。

Helicopterは軍用が大きな市場であり、民間もOff-Shoreの石油生産・掘削が主要な用途で、使われる機材も大型・高額な物が多く、メ-カ-もこれの広報に集中するので本サイトで記載される底辺の民間用低価格帯回転翼機は脚光を浴びない。此処では、一般的な業界が対面する課題はサット触れる程度に留め、より日本に身近いトッピクスを取り上げたが、Heli-Expoの全体の中では極めて限定的且つ微細の問題である事はご認識願いたい。

                                     ビジネス機を含む航空機業界の年度最大のテ-マ

1.本年度の業界の最大の話題は昨年よりの石油価格の急激な崩落。

2.航空業界全体では朗報で米国の最大手Deltaで年間20億㌦のコスト節減が見込まれる。

3.反対に、航空業界の収益向上により業界の統合・集約、自然淘汰が先延ばしに成らないか?

4.ヘリコプタ-業界としては最大の市場である洋上での石油生産・掘削には打撃。

5.但し、原因はサウディアラビアによる米国のシェ-ルオイルの開発阻止戦略。

6.シェ-ルオイルの価格は$60~80/bblが採算分岐点と言われ既に石油価格はこれを下廻る。

7.2015年度米国はサウディ、ロシアを抜き世界最大の産油国に成る可能性がある。

8.言わばサウディと米国の石油覇権の争いではあるが、ロシアは壊滅的な打撃を受けている。

9.石油価格の暴落は他の産油国を直撃、中東情勢も益々不安定化するとの懸念も募っている。

10.航空業界にも様々な影響が出るが、業界の勢力範囲外の問題で事態を静観する以外ない。

                                               ヘリコプタ-業界の話題

1.ヘリコプタ-業界を含む航空機の最大の用途は軍用だが本サイトの対象外として除外。

2.ビジネス機全般に言える事だが、ヘリコプタ-の市場も2極に分極化の傾向。

3.メ-カ-は売上高、収益に寄与する中/大型機種の新機種の開発・市場投入が話題の中心。

4.民間で一番大きな用途は洋上の石油・ガス資源の開発と大陸国での貨物・人員輸送。

5.石油価格の崩落で既存の機材の資産価値低落の影響を受ける物も当然出て来る。

6.AS-332L/L1(Heavy),S76A,B412EP/i(Medium),EC135P/T1,AS350等の価値低落が顕著。

7.対極の立場は民間の人員輸送に利用出来る$1~5百万㌦程度の低価格帯機材の需要は健在。

8.上位機種は警察、消防、救急医療、人命救助、防災で日本では自治体を含め公用が多い。

9.日本のビジネス機の「旅客の2点間輸送」は低価格帯機材の底辺価格帯機材に限定される。

10.この種機材も無論業界の話題と成るが拡大鏡で拾い上げる題材である事を認識願いたい。

11Airbusは AS-365,EC-155の後継機で大型のAW-139競合機の X-4を2018年市場投入。

12.Agusta-Westland のAW-189がDenmark, Qatar, Malaysia で本年より本格的に始働。

13.Airbusは EC-175 16人乗りの10年ぶりの新機種を発表。北海でのOffshore作業用。

14.日本は洋上の石油生産・掘削に利用されるHeavy/Medium が少なく圏外の問題。

15.Light級のBell 206 後継機Bell 505は昨年11月試験飛行を終え計画はやや前倒し。

16.2016年中の型式証明取得も視界に入り既に300機近くを受注しているが受注が増え様。

17.2014年の事故は170件、死者96人。2013年の229件、死者145人に較べ改善。

18. 尚、2014年度の中国は655機と前年506機の約30%増。本年度日本に.追付く見込み。

19.The Asian Sky Groupのリポ-トで日本はアジア最大且つ成熟した市場を有すると評価。

20.中国・日本、アジア・太平洋圏のヘリコプタ-事情に就いては別途レポ-トを纏める。

 

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