日本におけるビジネス機の在り方を考える

2015年05月22日（金）07時03分

(15-10) 欧州のビジネス機事情。

欧州の最大のビジネス機イベントEBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition) は5月19~21日スイスのジュネ－ブで15周年目の開催を迎えた。米国のNBAA (米国ビジネス航空協会)　との協賛だが4月は上海でアジア最大のビジネス機イベントABACEが開催された。アジアの場合は、AsBAA （中国ビジネス航空協会）とNBAAの協賛。EBACEの参加者は約13,000人、40,000㎡の開場に500社が出店、50機の新鋭機が出展された。ビジネス機業界はリ－マンショック以降高額の上位機種は欧米、中国、東南ア、産油国の超富裕層、セレブ、VIPが争って買い漁るので上位機種の生産メ－カ－の落ち込みが少ないが、中国もフィ－バ－が一段落しバブル的な熱狂は一段落している。中国の景気は政府の引締めで経済成長率が鈍化、それ以上に腐敗撲滅の動きが｢特権階層｣の買い漁りの歯止めにも成っている。欧州は無論｢階級社会｣であり｢特権階層｣の利用はあるが、EU内での移動で有れば遠距離用の大型機の必要はなく、中/小型機も使われFractional Ownership も人気が有る。大手NetJetsは人件費の安いポルトガルを拠点に業容を拡げている。一番打撃を受けて居るのが企業社員の社費による出張(Expense Account)。 日本同様商用便や鉄道等公共交通機関が高度に発達して居るので「一般企業マンの2点間輸送」の需要が減退している。追い打ちを懸けたのが、ウクライナ問題が引金に成ったロシアに対する経済制裁で、ビジネス機業界には大きなインパクトを与えた、高額の上位機種の派手な成約は影を潜め、寧ろ堅実な低価格帯機材の新鋭機が話題と成った。

2014年の伸びは前年比0.7%で小幅だが、石油価格の下落で2015年は業績は好転すると見られるが、環境問題が依然懸念材料と見られている。アジアや米国に較べると欧州は曇り空と言った感触。欧州のビジネス機は2001年1,517機が2014年3,301機に成長、機材の寿命も50%が10年以内と比較的若い。Entry Level、Midsize Jetとタ－ボ機が減少して居る。マクロトレンドは「集約化」で中小業者の話題と成った大きな統合が続いたが、今後も続くとの見解がGAMA役員より示された。

地域別ジェット機・タ－ボ機の分布

　　　　　　　　　Wholly Owned & In Operation　JETNET March 2015/05/21資料

欧州国別保有機トップ10

Wholly Owned & In Operation　JETNET March 2015/05/21資料

　　　　　　　　ジェット機　　　　　　　　　　　　　　　タ－ボ機

欧州での利用機材トップ10

Wholly Owned & In Operation　JETNETMarch 2015/05/21資料

（1）    EBACEもABACE同様大型商談の発表は無かった。

（2）    この様な環境を背景にホンダジェットが試験機を飛ばし広報活動を展開、

（3）    この後欧州9都市でデモンストレ－ションフライトと試乗会を実施する。

（4）    ドイツのAtlas Air ServiceがBell 505 2機購入のL/Iを交わした。

（5）    Nextant 400X Tiは2012年よりチェッコで運航を開始、成功例が注目された。

（6）    ホンダジェット4.5百万㌦、Nextant 400X Ti 3.8百万㌦Bell 505 1.1百万㌦

（7）    低価格帯で飛行速度、燃費等大幅に改善された小型新鋭機が話題となった。

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