2015年07月16日(木)07時01分
(15-13) 米国でエアタクシーとして利用されるマイクロジェット機
米国では一寸そこ迄と言っても大陸国故に直ぐに数百キロ程度と成る。日本で25~50㎞の短距離の移動にエアタクシ-を利用するのとは訳が違う。日本で有れば地方空港や鉄道幹線駅周辺のヘリポ-トより目的地迄の利用は25~50㎞程度で済むし、東京、名古屋、大阪や幹線空港よりエアタクシ-を利用するにしても、半径100㎞程度で夫々の地域の主要目的地は全てカバ-出来る。ヘリコプタ-の巡航速度を200㎞/時と置けば25~50㎞は8~15分、100㎞飛んでも30分故、離発着に柔軟性が有るヘリコプタ-の方が使い勝手が良。固定翼機で有れば全国98空港しか利用出来ず、それ以上に商用機、コミュ-タ-機は運賃が「大量輸送」のメリットや後者は地方自治体等の多額の補助で格段に安く、然も使われる機材は大型機で小型固定翼機より飛行速度が速く特殊な事例を除き小型固定翼機の利用メリットは殆ど無い。然し、日本の98空港の中、黒字の空港は数空港に留まり、他の空港は羽田の利益で赤字補填するとか、地方自治体が多額の補助をするのが通例。「但馬モデル」と言われる「コウノトリ空港」では兵庫県が運航機材を購入、運航業者にリ-スすると言った事例さえある。「地方分権」の流れの中で地方自治体が「ギリシャ化」しない為には、財政再建の方策と真剣に向き合わねば成らない。公的補填を少しでも減らすには本サイトでも提言を始めた機材の「共同所有・運航」が一つ、乗客が少なければ、オンデマンドのエアハイヤ-・エアタクシ-を利用する手もある。何れにせよ、過渡的な事例を除き、地方空港が未来永劫、国・地方自治体の補助政策で採算の帳尻を合せる仕組みは限界がある。米国ではエアハイヤ――、エアタクシ-が過去半世紀使われて来たが、不採算空港建設の愚を避け、受益者が自己負担で裏庭に滑走路を設けたり、エアハイヤ-、エアタクシ-、自家用機を含めたジェネアビを利用する事が「当り前」。日本の「個人主義」や「自己責任」「自立」の曖昧さの善悪是非は論じないとしても、EUのギリシャへの対応を見ても、世界では財政規律が厳しく追及される中で、日本だけがガラパゴス列島で安住する事は出来ない。日本が今後小型固定翼をどの程度利用するかは別として、2014年末でLight Jet, Micro Jet,タ-ボ機、ピストン機がビジネス機として推定317機利用されているが、ピストン機は総機数540機の中256機がビジネス機的利用が為されていると推測される。やや古い統計で有るが米国エア-タクシ-協会の作成した統計と予測を参考に供する。日本ではエア-タクシ-の短距離、短時間利用を想定し、低価格帯ヘリコプタ-利用が中心と成ろうが、小型固定翼機の買い替え需要はあると思われるので敢てトピックスとして採り上げた。
Air Taxiとして利用されるVLJ (Very Light Jets)
(最短離陸/着陸滑走距離 940m/721m)
機 種 |
価 挌 |
最高航続距離 |
最高飛行速度 |
乗客数 |
Eclipse 500 |
$1.52 百万 |
2,084㎞ |
695㎞/時 |
6名 |
Cirrus SF 50 |
1.3 |
1,852 |
556 |
7 |
Citation Mustang |
3.295 |
2,408 |
630 |
6 |
Diamond D-Jet |
1.38 |
2,500 |
583 |
5 |
Piper Jet |
2.2 |
2,408 |
667 |
7 |
Honda Jet |
4.5 |
2,037 |
778 |
6~8 |
Phenom 100 |
2.85 |
2,445 |
704 |
6~8 |
Epic Victory |
1.2 |
2,222 |
593 |
4~6 |
Epic Elite |
2.1 |
2,963 |
722 |
7 |
Excel Jet |
1.0 |
1,852 |
695 |
5 |
2016年予測(PMI Media調。但し2008年の古い予測なので実態は提示されている予測数値を大幅に下回って居ると推定される)でEclipse 500 1,300機, D-Jet 400機, Phenom 100 200機, Mustang 200機. Citation Mustangを除きAir Taxiとして利用されている機材は$2.5百万㌦以下で、ヘリコプタ-で有れば1百万㌦前後。日本のヘリコプタ-の年間稼働率は150時/年。米国のVLJの年間稼働率目標は10倍の1,500時/年。本場米国でも競合する各種交通手段との対抗上、Air Taxiに高額な機材は利用されないし、高度な年間稼働率で固定費コストの負担軽減に努めている。
米国は国が大きく航続距離は2,000㎞以上のVLJが低価格帯ヘリコプタ-と並行利用されている。日本は短距離輸送が主体で、ヘリコプタ-でも航続距離は600㎞以上、巡航速度は200㎞/時と言っても50㎞、15分なのでジェット機に依存する必要性は全くない。
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