2015年08月09日(日)03時23分
(15-15) スカイマ-ク再建とDelta航空
スカイマ-クの民事再生手続に就きインテグラ、ANAホ-ルデイングスによる事業再生支援を柱とする再生計画案(スカイマ-ク案)とリ-ス会社のイントレピットがDelta航空を担ぎ出し提出したイントレピット案が真っ向より対立、8月5日の東京地方裁判所の債権者集会で再生計画2案が提出され債権者の意向を問う異例の事態と成り、マスコミが話題にした為、広く世間の耳目を集めた。結果は議決権者174名中135.5名、議決権総額の60.25%がスカイマ-ク案に賛成投票を投じ、イントレピット案は賛成37.5名、議決権総額の38.18%(イントレピット1社の議決権は37.91%)とイントレピット以外の賛成票は殆ど無く、ANA等を中心とする本命の再生案で決着が着いた事は広く報道された。但し、ANAホ-ルデイングスはスカイマ-クの独立性は今後も確保・維持されると明言した。
これで話題を呼んだスカイマ-クの再建問題は一件落着したが、日本のマスコミが取り上げない異った側面からの話題が海外で興味を呼んだ。周知の様に米国の3大キャリア-の中、UnitedはStar Allianceの一員としてANAと、AmericanはOne World を通じてJALと提携しているが、DeltaはJAL再建に際し、JALをSky Teamに呼び込む事を策したが、失敗に終わった。Delta自身は他の2社より日本-米国航路の便数は多いが、成田空港が中心で、羽田はLos Angeles, Seattle便しかなく、Seattle便は飛行頻度が少なく航路の維持・存続が危ぶまれている。羽田空港のスカイマ-クの利用枠はDelta, ANA何れも垂涎の的で、今回のスカイマ-クの再建にDeltaが関われ無かった事は大きな打撃と成った。此処迄は、日本の関係者間でも認識されているが、Deltaの動きにはより先を読んだ戦略が介在するのでは無いかとの憶測が流れている。
奇しくもスカイマ-クの再建に絡んでDeltaの動きが注目を集めたが、DeltaはVirgin Atlanticの49%の株主であり、最近中国の東方航空に4.5億㌦出資し3.5%の株主と成った。持株比率は当面僅かではあるが、米中間のオ-プンスカイ協定が締結されれば、東方航空との提携を強化中国市場での有利な展開が期待出来る。2011年,Deltaは1億㌦でブラジルのGOL3%の株主と成ったが、最近出資比率を9%に引き上げる意向を示した。又、メキシでもAeromexicoに65百万㌦を出資4.17%の株主と成った。LCCの台頭と新興国の中間所得層の成長で航空需要は予想を越える成長が見られるが、他方DeltaはEmirates, Edihad, Quatarの中東勢への反発と警戒感を強めている。過去15年、急成長したグロ-バルアライアンスはコ-ドシェアリング等で夫々の陣営の地歩を固めて来たが、アライアンスに留まらず、航空企業間の合弁による、より強固な紐帯が必要に成って来たのでは無いかとの憶測も流れ始めている。現段階では斯かる予測は時期尚早との海外での見方が強く、今後の推移を静観する方向にあるが、日本も国内での動きとは別にグロ-バルな動きから目を離す事は出来ない。
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