2016年08月21日(日)02時03分

(16-14) 日本のビジネス機状況の特異性

 

要   約

 

1.さる海外の調査機関より日本のビジネス機の現状と将来の展望の問い合せがあった。

2.同時にヘリコプタ-でも中国に追い抜かれるが日本の対応に就いても聞かれた。

3.簡単にこれに答えた説明は「本質的問題」に触れる問題でもありその一部を紹介する。

4.日本は狭小の国土に鉄道、バス、ハイウエイ、航空の公共交通網が張り巡らせている

5.米国モンタナ州と同等の面積だが山脈が多く住める1/3の面積に127百万人が居住する

6.南部の沿岸は東京→横浜→名古屋→大阪→神戸→広島→福岡が一直線に並び人口が密集。

7.これを特急の新幹線が結ぶが特急・座席指定・一等で¥35㎞とビジネス機の1/30~1/40.

8.これは人口密度が高く利用客が多いので可能だが米国ではボストン―ワシントン間位。

9.北米、ブラジル、ロシア、豪州、中国、印度、中東等過疎地が多い大陸国では不可能。

10.社会的/文化的に欧米では高額なビジネス機の利用は努力の成果の「成功」のシンボル。

11.平均化社会の日本では「特権階層」の「富と権力」の誇示は顰蹙を買うし嫌われる。

12.ロ₋マG20出席の金融相が85万円の商用便を使わず4100百万円のビジネス機を利用。

13.国会で野党が問題化その後辞職、最近東京都知事も海外出張にファ-ストを利用辞職。

14.海外では全く問題化されない些細な問題も階級差が無い日本では問題視される。

15.日本企業幹部もサラリ-マン故に社規の縛りで桁違いなビジネス機は利用出来ない。

16.更に意思決定が「集団性」でビジネネス機利用が正当化されるカリズマ経営者は出ない。

17.逆に、大陸国では航空機での移動は必要不可欠で利用者が多い故にコストも安い。

18.日本でも地方に行けば交通の便が悪くアクセスが不便なスポットは多々ある。

19.公共交通機関/商用便かビジネス機かの2者択一ではなく相互補完関係の構築で対応。

20.幹線鉄道、商用便で幹線駅・近隣空港、其処よりニ-ズと運賃見合いで補完利用。

21.それ故に利用機材は最も低価格のヘリコプタ-で既に日本に現存・運航している。

22.他方、日本企業は過去50年世界各地でビジネス機を所有・チャ-タ-活用して来た。

23.「世界市場は一つ」「空に国境なし」の原則に従いビジネス機を上手に選択利用。

24.日本に高額のビジネスジェット機は皆無でアジア途上国に次々と追い抜かれている。

25.但し高額のビジネスジェット機の所有数で国力を云々するのは「機材供給者の論理」。

26.寧ろ地域の特性に応じたビジネス機の利用と言う市場・顧客のニ-ズを優先する。

27 グロ-バル時代一国のビジネス機登録機数の多寡で優劣を評価するのは「時代錯誤」。

28.以上は本サイトの一貫した主張に過ぎないがビジネス機の価格・性能を添付した。

29.ビジネス機の価格・性能は全て公開されているが、見易い様に降順に一覧表に纏めた。

30.性能面で25~50㎞の単距離利用ならヘリの巡航速度で充分。航続距離も全く問題ない。

31.東京より関東一円は距離的に150㎞。北関東/山梨/神奈川は空港も無く固定翼機は使えない。

32.ビジネスジェットは日本には過剰能力。「牛刀で鶏を割く」行為でコストは桁違いに高い。

33.従って、日本に現存するビジネス機は低価格の小型ピストン機、回転翼機が大半。

34.反対に業界のマスコミを賑わす花形の上位機種は民間には皆無、利用者も居ない。

35.それ故に日本を三流国評価する人は居らず、「国威発揚」に上位機種を持つ必要もない。

36.日本の地域、文化特性に最も馴染む方式を市場・顧客の参画で構築すればそれで良い。

 

ビジネス機価格・性能

 

機 

価 格

航続距離

巡航速度

備  考

/遠距離用Jet

ACJ319neo

BBJ

Gulf 650ER

Gulf 650

Global 6000

Gulf 550

Falcon 8X

Falcon 7X

Global 5000

Falcon 2000LXS

Challenger 650

Legacy 650

Legacy 500

Citation Sovereign

Citation Latitude

 

$87,000,000

79,000,000

68,800,000

66,800,000

67,310,000

61,500,000

57,500,000

53,800,000

50,441,000

34,150,000

32,350,000

31,600,000

19,995,000

17,895,000

16,250,000

 

12,501

11,662

12,890

12,888

11,048

12,429

11,945

10,955

8,838

6,198

7,365

6,819

5,788

5,,413

5,248

 

822

847

976

976

944

1,040

685最大

845

944

976

877

834

863

848 最大

821

 

この種上位機種は日本の民間機としては無縁。今日でも1機もJA機として登録されていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2機のみをトヨタ傘下の朝日航洋がリ-スして運航

/Very Light Jet

Citation CJ4

Citation CJ3

Nextant 400 XTI

Citation M2

HondaJet

Phenom 100E

Citation Mustang

Eclipse 550

Cirrus SF-50

 

8,995,000

7,995,000

5,304,500

4,500,000

4,500,000

4,161,600

3,350,000

1,960,000

1,900,000

 

4,010

3,778

3,713

2,852

2,265

2,182

2,130

2,880

2,037

 

835

770

519

744

782

718

630最大

518

556

 

国交省が検査機として2015年より利用。

以下の機種は注目を集める低価格新鋭ジェット機だが日本での利用は商用機、コミュ-タ-機に較べ利用コストは桁違いに高く巡航速度も遅いので時間節減もなく利用されても限定的。

Turbo-Prop

Beech B300

Beech B200GT

Pilatus PC12 NG

Nextant G90XT

 Grand Caravan EX

 

7,329,055

6,231,025

4,888,275

2,750,000

2,527,900

 

3,358

2,200

2,880

2,380

1,797

 

576最大

524

518

519

341最大

エプソン、中日本航空が運航しているが一般利用には高い

ITCが1機運航している

Pistons

Beech Baron G58

Cessna TTX

Cirrus SR-22T

Cessna Skylane

 

1,387,500

680,000

619,900

470,000

 

1,645

2,352

2,166

1,424

 

356

435

343最大

232

ジェット、タ-ボ、ピストン機は何れも固定翼機で離発着の空港が必要。商用、コミュ-タ-機との競合上利用は極めて限定的

Helicopter

AS-350

Bell 505

R-66

R-44

R-22

 

2,500,000

1,070,000

869,000

461,000

288,000

 

641

667

602

556

463

 

226

232

232

215

176

 

86機現存Air Taxiには高い

日本の空を舞うのは2018

既に3機種172機が現存、300/年稼働が採算分岐点。現在は150/年以下

1.メ-カ-のビジネス機価格は自動車同様機種別に全て公開の情報。

2.自動車同様標準装備の価格で航空機の場合用途による仕様変更で価格は大きく変わる。

3.価格は年1回程度の改定も行われ、バ-ジョンアップした派生機種の価格も異る。

4.最近は510年分の纏め買いによる量的割引やオプション契約等の多様な売買が多い。

5.市販のデ₋タ₋ベ₋スや業界誌掲載の価格は「標準リスト価格」で実際の取引価格とは異る。

6.上記の価格は飽く迄大まかな相対的価格を目的に記載されているに過ぎない。

7.ビジネス機の価格に開きがあり日本は上位機種は官公用機、民間は低価格機材と2極化。

8.これ程対称的な市場は世界広しと言えども他に類例を見ない日本市場の「特異性」。

 

2015年末の日本の民間のビジネス機保有数

日本航空機全集2016

機 種

総機数

ビジネス機

官公需

商用・コミュ-タ-

個人・他

ジェット機

双 発

多 発

602

587

15

24

24

0

12

10

2

565

552

13

1

1

0

タ-ボ機

単 発

双 発

132

30

102

39

27

12

30

29

60

0

60

3

2

1

狭義のビジネス機

734

63

42

625

4

ピストン機

単 発

双 発

543

488

55

255

240

15

5

4

1

30

9

21

253

235

18

回転翼機

ピストン単発

タ-ビン単発

タ-ビン双発

801

172

170

459

508

113

142

263

169

0

12

157

49

3

16

30

75

61

5

9

1,344

763

174

79

328

広義のビジネス機

2,078

826

216

704

332

1.従来日本ではビジネス機はジェット+タ-ボ機の63機前後の動向が検討の対象であった。

2.JBAA2013年より対象を「ジェネアビ(ビジネスジェット機)」24機に絞った。

3.数え方によるが、上記の現存のビジネス機を826機と置けば63機、24機は7.6%%、2.9%。

4.ピストン機255+回転翼機508機計763機は92.4%と圧倒的シエア-だが一顧もされず。

5.然もジェット24機の内、報道関係の4機、中小オ-ナ-企業11機はJBAAとは無縁。

6.更にビジネスジェット機の上位機種は民間には皆無だが、軍事用、官公用機として存在。

7.海外のデ-タ-ベ-スには軍事/官公用機のジェット+タ-ボ機の記載がある物もある。

8.然し日本程軍用・官公用機に上位機種が偏り、民間機は低価格帯機材が大宋と言う例は無い。

9.官公用機の比率が相対的に高いフランス、印度と言う事例は有るが日本は桁違い。

10.此処3年「日本航空機全集」の軍用機として利用される双発ジェット機は削除された。

11.過去の経緯は脇に置き、現存する低価格機材を如何に有効活用するかが当面の喫緊課題。

 

2015年末の日本の主要単発ピストン機

                        日本航空機全集 2016                                                                         

機 種

機数

シェア₋

リスト価格

航続距離

飛行速度

乗客数

Cessna 172 Series

Cessna Total

165

215

76.7%

44.1

$270∼300,000

1,200

220/hr

3

Piper-PA-28 Series

Piper Total

58

76

63.2

15.6

470,000

740

170/hr

Beech A36 Series

Beech Total

54

74

73.0

15.2

700,000

1,400

310/hr

5

単発ピストン機合計

488

100.0

 

 

 

 

1.日本の固定翼機の大半が0.30.7百万㌦の低価格帯機材。

2.Cessna 172の現存する最も古い登録年は1957, Piper-PA-281966年と昔より存在。

3,バブルが弾けた1990年以前に登録され現在も運航している機数は優に250機を越える。

4.これらは遥か昔に償却済の機材で永年の体験で運航・保守のコストも合理化されている。

5,Cessna 17210年前からチャ-タ-料は¥55,000/ (\275/)と地上タクシ⁻より安い。

6.固定翼機は機材のコストもあるが空港が無ければ離発着出来ない物理的限界がある。

7.首都圏で使えるのは調布、竜が崎、阿見、ホンダ空港だが着陸する空港は北関東にない。

8.公開統計を洗えば一目瞭然で、関係者であれば「とうの昔に全て分っている」事実。

9.海外ビジネス機訪問客/新興企業でタクシ-料の45倍のビジネス機利用者は存在する。

10.一握りの「特権階層」の高単価利用者を対象にして一般の利用者対応は看過されて来た。

11.過去20年官民挙げて推進して来たビジネス機の「一般普及」の原点に戻り再出発。

12.「地方創生」「観光立国」は市場、顧客のニ-ズに沿う事により初めて実現可能と成る。

13. 固定翼機の離発着に空港が必要との構造的欠陥は全国30,000ヘリポ-トの活用で対応。

 

 2015年末の日本の単発回転翼機数

                                                   日本航空機全集 2016

機 種

登録機数

リスト価格

シェア-

ビジネス機

シェア₋

ピストン単発

R-22

R-44

Robinson

Others

172 (177)機

62 (61)

100 (95)

162 (156)

10 (17)

 

$288,000

$461,000

 

 

 

94.2%(90.5)

5.8% (9.5)

110106

32

58

90

16

59.2

 

 

84,9%

15.1

タ-ビン単発

AS-350

Airbus Others

Airbus Total

Bell Helicopter 

Robinson R-66

Others

170 (175)

86 (88)

15 (17)

101 (105)

49 (58)

6 (5)

14 (11)

 

$2,500,000

 

 

 

$869,000

 

 

 

59.4%(58.7)

28.8(32.4)

3.5%( 2.8)

8.3 (6.1)

152 (156)

84

16

100

42

4

10

87.2

 

 

64.1%

26.9%

2.6%

6.4%

括弧内の数値は前年 2014 年末の登録機数。世界全体の回転翼機数は約.43,000.

 

回転翼機の所有者

                                                                  日本航空機全集 2016

機 種

総 機 数

ビジネス機

官公用

商用/コミュ₋タ₋機

個 人

ピストン単発  

172 (12)

110

0

0

62

タ-ビン機

単 発

双発/多発

 

170

459

 

152

272

 

8

174

 

8

13

 

2

0

合 計

801

534

182

21

64

1.2015年末の日本の回転翼機数は801機官公用 定期商用機、個人所有を除いて534機。

2.個人の事業用機材も除去した半面、中小オ-ナ-企業の所有機は全てビジネス機とした。

3.双発・多発タ-ビン機はAir Taxi用には高額過ぎ単発タ-ビン機にも高額な機材がある。

4.低価格帯ピストン単発は官公用、大手運航企業は所有しないがAir Taxi 用に利用価値あり。

5. ”Yellow Cab Taxi”用は11百万㌦以下の機材が必要。推定120機程度が現存する。

6. これに今後購入される低価格機材が加算される。

7. 官公用、大手運航企業の所有・運航が無い故に「二流市民」扱い「一顧も与えられなかった」

 

日本の回転翼機の登録機数

                                  日本航空機全集 2016                                      

 

 2015年末

シェア-

2014年末

増減

 ピストン単発                            

172

21.5%

177

-2.9%

タ-ビン単発

170

21.2

175

-2.9

タ-ビン双発

459

57.3

459

0

合  計

801

100.0

811

-1.3

 

2015年末の日本の官公用回転翼機

                         ヘリコプタ-・ジャパン誌資料

  

機種別計

海上保安庁

警察

消防・防災

Agusta AW109

Agusta AW139

EH-101

Agusta

24

18

1

43

 

11

 

11

24

4

1

29

 

3

 

3

Airbus AS-332

Airbus AS-350

Airbus AS-365

EC-135

EC-155

Airbus EC225

Airbus 

6

1

30

6

1

3

47

3

 

 

 

 

2

5

1

 

7

6

 

1

15

2

1

23

 

 

1

27

Bell 206

Bell 212

Bell 412

Bell 429

Bell 

20

19

53

1

93

3

19

5

 

27

17

 

18

1

36

 

 

30

 

30

川﨑 BK-117

32

 

13

19

Sikorsky S-76

9

3

3

3

合  計

224

46

96

82

1.官公用機と民間機も救急医療や災害時には相互に補完し合っている。

2.ドクタ-ヘリを始め自治体所有機でも運航は民間に委託している事例も多い

3.将来地方自治体も「共同機構」に参画民間機と「準公用機」の業際の「協働」も行われ様。

4.コスト合理化の鍵が相互利用による機材の稼働率向上が眼目である以上当然の成り行き。

5.自治体の場合大規模災害等「有事」の際のニ-ズと遊休事との平準化が課題。

6.Air Taxiによる「地方再生」地域産業の育成、観光の振興には民間との共通項も多い。

 

              官公用機に利用される機材価格と性能

 

 

価 格

航続距離

巡航速度

Agusta AW109

Agusta AW139

EH-101

$3,300,000

11,500,000

2,100,000

667

1,061

1370

267/hr

310

311

Airbus AS-332

Airbus AS-350

Airbus AS-365

EC-135

EC-155

EC225

1,550,000

2,500,000

10,400,000

5,105,000

11,600,000

18,000,000

979

641

427

607

783

825

260

226

269

252

265

259

Bell 206

Bell 212

Bell 412

Bell 429

1,400,000

 

6,700,000

5,820000

708

440

663

761

226

240

230

241

Kawasaki BK-117

 

42,610,000

 

541

 

250

Sikorsky S-76

7,900,000

639

287

合  計

224

 

 

1.公用機は利用分野の関係上民間機とは桁違いに高額な機材が利用される。

2.但し地方も過疎化、高齢者の増加、産業の海外移転に伴う空洞化と財政圧迫要因が多い。

3.米国は$869,000R-66が警察機として需要が伸び警察機仕様の機種も開発されている。

4.準公用機と民間機の相互融通、運航等の「協働」も「共同機構」の検討課題と成ろう。

 

自衛隊機仕様として利用されるビジネス機

                            日本航空機全集 2013       

機  種

リスト価格

機 数

所  属

Gulfstrem G-IV

$42MM

4

航空自衛隊

125-800B

$2.5MM

31

航空自衛隊

Beech 400T

$5.3MM

13

航空自衛隊

Learjet 36

 

4

航空自衛隊

King Air C90 Series

$3.6MM

41

海上自衛隊

King Air 350

$7.5MM

7

陸上自衛隊

MU-2

$1.3~0.7MM

9

陸上自衛隊

                                                         

官公用機として利用されるビジネス機

                           日本航空機全集 2016

機  種

リスト価格

機 数

所轄官庁

Gulfstream V

$50 MM

2

海上保安庁

Gulfstream IV

$42 MM

2

国土交通省

Global Express

$50 MM

2

国土交通省

Citation 680

$16 MM

1

宇宙開発研究開発機構

SAABB2000

$6~10 MM

3

国土交通省

SAABB340B

$6~10 MM

4

海上保安庁

Bombardier DHC402-8-315

$17 MM

1

海上保安庁

Beech B300

$7 MM

9

海上保安庁

Citation CJ4

$9 MM

3

国土交通省

1.国土交通省は2013Heavy Jet 4機の退役とLight Jet 3機の代替を決め年末に入札。

2.代替機Light Jet Citation CJ4 3機は201510月引渡しが完了した。

3.更にSaab3機の退役とCitation CJ4との交代も決まり機種統一で合理化も図られる。

4.機材の低価格化、機種統一によるコスト合理化のモデルは民間でも参考にすべき。

 

 

                                      

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*