2016年12月23日(金)06時30分
(16-19) 2016年を顧みて
要 約
1.2016年の最大の出来事は第2次大戦以降のグロ-バリゼ-ションの反動が見られた事 2.歴史的劇的快挙と言われたEUも経済的発展度の相違で共通通貨ユ-ロの維持の危機。 3.国境の自由移動で紛争地区よりの難民が流入、経済負担と治安維持への不安が台頭。 4.鬱積した域内の不安が想定外の英国のEU離脱と域内各国の極右勢力の台頭を招来。 5.米国は製造業の海外移転、低賃金外国労働者の流入、世界の警察官の負担が限界に。 6.多国籍国家として人種差別撤廃・信教の自由を旗印にした米国でも反対勢力が台頭。 7.これが放言を売物にした全く想定外のトランプ氏の大統領戦の勝利を現実の物とした。 8.日本は貿易面でも、外国労働者の流入に就いても最も閉鎖的な国故に影響は最も少ない 9.但し、日本の「存立基盤」は自由貿易による「貿易立国」と「少子高齢化」の人手不足。 10.最早「市場開放」は「外圧任せ」、「安全保障」は「米国頼み」では限界が来る。 11.トランプ大統領の誕生を「奇禍」と考え終戦後76年日本も「独り立ち」する時期。 12.「日本人気質」の「甘えの構造」は日本では通用するが世界では通用しない。 13.海外の評価を気にしたり「横並び」で動く慣習も「自らの信念」で行動する事に置換。 14.「自らの信念」とは日本人としての「個‐アイデンティティ-の確立」が必要。 15.部族連合体の倭と百済が高句麗・唐の連合軍に敗れ百済は滅亡倭は存立の危機に直面。 16.大化の改新で中央集権国家の体裁を整え、「古事記」「日本書紀」で「神の国」と成った。 17.終戦後「日本神話」は史実ではなく成り、「欧米に追い付き追い抜く」目標も達成した。 18.「神の国」に代るアイデンティティ-や「欧米に追い付く」に替る目標設定も為されない。 19.「国連依存の安全保障」も強国の拒否権発動で実効性には限界がある。 20.「自分で自分を守る」のが世界の常識、「守るべきものがあるかの」国民的合意が必要。 21.大半の日本人は歴史、文化、風習、言語、自然、民主主義等は守るに値すると思う。 22.それには日本の「拠って来る処」のアイデンティティ-確立と将来目標の設定が必要。 23.本サイトは日本の国家戦略を論じる事は目的ではないがビジネス機に就いても同じ。 24.日本は「大量輸送」による航空機の利用コストを下げる事を国策として成功した。 25.ビジネス機に商用機の50~100倍の運賃を払う企業も居ないし過去の実績が全てを語る。 26.相対的に短距離の国内移動でも、鉄道、商用便の50~100倍の運賃を払う人は居ない。 27.米国でビジネス機の利用がされるのは商用便就航空港は30,000空港の25%位故。 28.「海外模倣」は卒業「日本の土壌に馴染むビジネス機の在り方」を考えるのが本稿の目的。 29.「交通大国日本」では1機1億円程度の低価格帯回転翼機での短時間、短距離利用。 30.回転翼機は垂直離着陸可能だが「垂直離着陸機」の開発も進みこの動向把握も重要。 31.最近は「安全性」「パイロット不足」への対応で「無人機」の動向にも注意が集まる。 |
アイデンティティ-の確立
1.国のアイデンティティ-の喪失、達成目標に替わる目標が無ければ国は必ず滅びる。 2.日本は「天孫民族」で「天皇を中心にした神の国」の「選民意識」は時流で否定された。 3.最近の人類史ではホモサピエンスが日本列島に到達したのは38,000年前。 4.「純粋の大和民族」も大陸や海洋からの移動した民族が38,000年の間に混淆・融合。 5.大陸での権力中枢の興亡・戦火を逃れた難民も日本列島に平和を求め永住した。 6.黒潮に乗って移住して来た「海洋民族」も列島の沿岸地域に多くの足跡を残している。 7.「純粋の大和民族」の実態は38,000年の長い期間に醸成された多民族・多文化の混淆。 8.明治開国後も中国人、朝鮮人、白系ロシア人が日本に移住食文化にも影響が見られる。 9.民族文化のコアと成る宗教も各種の宗教が習合した形で流入異る宗教にも寛容・包摂。 10.日本の本質は平和裏に生きる「多民族・多文化国家」と認識すれば現代にピッタシ。 11.日本は多様な民族・文化を包摂する一方、世界でもユニ-クな独自の文化を創造した。 12.グロ-バル時代「文明間の摩擦」を平和裏に包摂・融合する特質を活かして世界に貢献。 13.本稿の目的の「日本でのビジネス機の在り方」も先ずアイデンティティ-の確立が必要。 14.日本は島嶼国然も「極東」故に欧米の中心地迄最も遠くに位置し移動コスト負担が大きい。 15.従って、国策として「大量輸送」によるコストの安い商用便の育成に注力した。 16.幸い、経済大国として人的交流も多く内外の商用便の発展に寄与運賃も劇的に逓減。 17.1978年よりの「空の開放」や航空企業間の「協働」の波に乗り交流国、都市も増加。 18.最早幹線航路・空港に商用便の50~100倍する運賃をビジネス機に払う人は一握り。 19.無論ステ₋タスシンボルとして利用する「特権階層」は居るが「公益的支援」の対象外 20.最近「官公需機」を意図的に混同する事例も見受けるがビジネス機は民間機に限定される。 21.「特権階層」の近隣諸国よりの取寄せや「官公需」を除き高額なビジネス機利用は皆無。 22. 国内でも商用・コミュ-タ-便に競合可能な運賃提供は不可能で一般利用は無い。 23. 主要空港は全て商用便が就航米国の様にコミュ-タ-便もない空港が多いのとは異る。 24. この実情は過去20~25年の歴史的実績が「事実を以って」裏打ち証明をしている。 25.過去短距離/短時間で2点間を結ぶAir Taxiもニ-ズに見合うコストが提供出来なかった。 26.幸い1機1億円前後の低価格帯機材が市販され工夫次第で利用可能な運賃は提供可能 27.この種、日本の土壌に馴染む機材の利用と運航形態を提言するのが本サイトの目的。 |
日本の土壌に馴染むビジネス機
1.日本の民間に18百万㌦を越えるビジネスジェット機は1機も存在しない。 2. 5百万㌦以上のジェット、タ-ボ、回転翼機は存在するが一般が利用する事は無い。 3. 0.3~2.5百万㌦の小型固定翼機、回転翼機は遊覧等には利用されるが限定的。 4.遊覧飛行も20~30分を上限に6~12分の分刻みで限定的に利に留って居る。 5.金融相サミットに出席した金融大臣は商用便ビジネスの50倍のビジネス機を利用した 6.野党が税金の無駄使いと糾弾2度と使かわぬと誓約「税金泥棒」の書込みがネット上に氾濫。 7.大手企業幹部も高額のビジネス機の利用は「善管義務」に反すると利用は遠慮する。 8.善悪是非の判断は別として商用便の50~100倍の運賃を払う妥当性は正当化出来ない。 9.結論的にはビジネス機の一般利用は競合交通機関と桁違いな料金差が残る限り使われない。 10.これが一般市場・顧客のデマンドサイドが下した結論で過去25年の利用実績が実証。 11.現在の国内遊覧飛行料金の1/2~1/3位の料金が実現しないとAir Taxi的利用も限定的。 12.日本人観光客もハワイ、アラスカ、その他の米国観光地では上記程度の料金は払って来た。 13.日本の国土は南北3000㎞だがAir Taxi 的利用は25~50㎞程度、遠距離でも150㎞。 14.日本の土壌に馴染む利用は短距離 (25~50㎞)、短時間 (8~15分‐巡航速度200㎞/時)。 15.料金は現行の1/2~1/3の水準に抑え3~5人での相乗りによるコストシェア-も想定。 16.利用地域に至便の距離の利用に現在のヘリコプタ-を含む「垂直離着陸機」の活用。 17.「垂直離着機」も電気駆動による騒音低減、交通渋滞解消の為の都市部での利用。 18.米国NASA主導の都市周辺のAir Taxi開発構想は日本にも馴染み易く注目に値する。 |
低価格、低騒音、の「垂直離着陸機」の現実性
1.1機数千万㌦するビジネスジェット機の利用はコストが高過ぎ利用される事は無い。 2.「特権階層」でも高額のビジネスジェット機を所有せず近隣諸国より取り寄せる。 3.国内で所有しても各種規制で使い勝手が悪く「特権階層」の為の法改正も理に合わない。 4.それ以上に、ジェット機の所有は500時/年の利用が最低限必要で使いこなす事は至難。 5.日本より需要の多い近隣諸国で利用しない時には運航業者が現地顧客に利用させて居る。 6.故に日本の民間にビジネスジェット機の上位機種は1機も存在せず今後も変りは無かろう。 7.米国では中距離飛行のAir Taxiも必要で単発ピストン機Ciruss SR-22が利用されて来た。 8.Ciruss社の小型ジェット機 SF50の商業出荷が目前に迫りAir Taxiの利用期待も高い 9. Ciruss SR-22、SF50の価格は0.5∼2百万㌦以下、巡航速度は夫々336㎞/時/556/㎞/時 10.機材価格はビジネスジェット機上位機種の1/50~1/100以下でAir Taxiとしての機能具備。 11.巡航速度はヘリコプタ₋の1.5~2.5倍、航続距離は1.7~3倍で日本では過剰スペック。 12.固定翼機は空港が必要で空港は都市中心部より離れ、幹線鉄道は都市中心部に直行。 13.何れにせよ日本の短距離、短時間利用のAir Taxiの現実のニ-ズにはマッチしない。 14.低価格帯回転翼機のRobinson R-44, R-66, Bell 505の価格は0.45/0.86/1.07百万㌦ 15.巡航速度は200㎞/時と遅いが25~100㎞で所要時間は8~30分なので問題は無い。 16.航続距離は600㎞強と短かいが関東一円は150㎞でカバ-可能なので問題は無い。 17.米国ではAir Taxiの運賃負担力は地上タクシ-料の1.5~2倍と言われる。 18.日本の地上タクシ-料を¥350/㎞と置けばチャ-タ-料は¥525~700/㎞と成る。 19.これを1時間当りのチャ-タ-料に引き直せば¥105~140,000/時と成る。 20.現行の市場チャ-タ-料の1/2~1/3の水準だが工夫次第で実現可能。 21.一般が限定的に利用するヘリコプタ-の稼働時間は100~200時/年程度。 22.空運は資本集約的事業でヘリコプタ-でも稼働率を300時/年超に維持する事が必要。 23.又頭割りコストを下げる為3~5人の乗員積載能力を「相乗り」で出来る限り埋める。 24.この為、細分化された運航業者の集約で業界横断の「共同運航」的枠組みを考案する。 25.それ以前の問題として自治体、企業、顧客、旅行代理店のデマンドサイドの参画を求める。 26.米国のAir Taxi育成に注力して来たNASAは都市圏での「垂直離着陸機」の活用を提案。 27.米国は歴史が浅く開拓者精神・チャレンジ精神が旺盛で今後の推移から目を離せない。 |
日本でAir Taxi用に活用可能な航空機
機 種 |
価 格 |
航続距離 |
巡航速度 |
乗客数 |
日本での利用時期 |
Robinson R-44 |
$442,000 |
556㎞ |
215㎞/時 |
3 |
2015年末100機 |
Robinson R-66 |
$869,000 |
602 |
232 |
5 |
2015年末5機 |
Bell 505 |
$1,070,000 |
667 |
232 |
5 |
2017年後半予定 |
Uber Elevate 500機生産 5000機生産 |
$1,200,000 $600,000 $200,000 |
都市圏80㎞圏内の短距離飛行用 |
240~368km/ |
7 |
5年以内 |
1.Robinson R-44,R-66は既に日本で商業的に運航中で整備基地・パイロット養成設備も完備。
2.日本代理店はアルファ₋アビエ-ション、大阪航空、佐賀航空だが個人/他運航業者も居る。
4.R-66も2017年中に10機程度は日本で運航され様。グロ-バルにはR-44 4000 ,R-66 600機
5.グロ-バルの10年予測でも上記2機種が世界市場のトップシェア-に成るとの予測。
6.Bell 505は2017年初頭よりの市販を予定、日本からは3社12機の仮発注が出ている、
7.但し、日本向けの出荷、日本での型式証明取得は早くても2018年に入ろう。
8.然し、米国でも現行のAir Taxi料金引下げが大衆利用には必須との認識が一般的。
9.一番の課題は都市圏の「騒音公害」で静かな電気駆動に必要な蓄電池の開発も進んだ。
10. 機材価格も当初1.2百万㌦量産で0.2~0.6百万㌦に下げ、稼働時間は2080時/年目標。
11. 機材価格1百万㌦以下。年間稼働時間は本サイトで目標とした300時/年の7倍弱。
12.究極の運賃目標は¥22/㎞ (35セント/哩)と日本の地上タクシ-料¥350/㎞の僅か6.3%。
13.日本人では思いも付かない運賃水準ではあるが日本の商用便、新幹線で¥20~30/㎞
14.一般が利用するには競合交通手段との競争に耐え得る運賃水準とデマンドサイドよりの発想。
15.NASA (米宇宙航空局)DARPA(米国防高等研究所計画局) FAA (連邦航空局)の支援計画。
16.NASAが民間企業からの応募で拾い出したプロジェクトにベンチャ-企業の地頭力を活用。
17.米国は若い国で未だ「開拓者精神」「チャレンジ精神」旺盛で政府もこれをバックアップする。
18.低価格機材の高稼働、相乗りでの短距離輸送、官民の「協働」と当サイト提言の諸要件を全て網羅。
今後の課題
1 .グロ₋バル時代世界市場は一つだが(空に国境なし)国の特質に応じた航空機の利用法は異る。
2.世界の政治・経済の中心地より最も遠い日本は国策として商用便の育成に努めた。
3.商用便による「大量輸送」と国際的なアライアンスで幹線航路は全て商用便で賄える。
4.商用便とビジネス機の運賃格差が2~3倍以内なら兎も角50~100倍では問題に成らない。
5.無論ステ-タスシンボル的な「特権階層」の利用には「公益」として業界団体の介入は不要。
6.現に、この種利用は運航業者と顧客との直接商談で業界団体は殆ど関与する余地もない。
7.無論業界団体が「大局的立場」より業界をリ-ドするにしても市場・顧客のニ-ズが必要。
8.過去20年の広報・教宣活動でビジネス機の上位機種は民間に1機も存在しない。
9.一方低価格帯小型固定翼機や回転翼機は30年以上も利用され今日でも変わらない。
10.逆に米国でもAir Taxi/Air Hire的機材では運賃の抜本的引下げのニ-ズが認識された。
11.この為の機材の開発や運航上の技術的・法的規制も劇的に変容・進化している。
12.海外が日本を倣って居るより市場・顧客側のデマンドサイドの視点よりは当然の帰結。
13.但し、利用対象機材価格もビジネスジェット機の上位機種の1/50~1/100の価格と桁違い。
14.然も、ヘリパット的簡易離発着可能な「垂直離着陸」可能な機種の開発が進行中。
15.機材の安全性の確保は限界的達成の完成度で寧ろ機材の取扱いの人為ミスが関心の的。
16.自動車でも同じだが、地上より操作する「無人機」もドロ-ンを含め実用実験の段階。
17.運賃も地上タクシ-代の1.5~2倍ではなく公共交通機関並みの運賃提供も視野の内。
18.米国の意図は都市圏でのマイカ-に代る交通手段の提供で抜き差し成らぬ交通渋滞に対応。19.都市圏での「騒音低減」「大気汚染防止」の為の「電気駆動機」の必須の蓄電池も開発された。
20.米国では目先の「対症療法」的対策ではなく航空機産業のパラダイムシフトが始動し始めた。
21.業界情報提供者も「無人機」や「垂直離発着機」を単独の専門分野として取上げ報じ始めた。
22.日本も高額のビジネスジェット機の上位機種が飛ばないと嘆く時期はとうの昔に過ぎた。
23.2016年をAir Taxiの如き短距離、短時間利用の幕開けとすれば2017年は具体的推進の年。
24.本サイトで提言して来た「日本の土壌に馴染む」ピッタシの展開と成って来た。
25.本サイトでも進展状況を追うがパラダイムシフトに必要な「発想の転換」の心構えが必要。
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