2016年07月19日(火)02時39分
(16-10) Farnborough Air Shaw 2016
Farnborough AirshawはParis Airshawと交代で隔年開かれる欧州最大のエアショ-で前回2014年は10万人の参加者と2,000億㌦の商談が成立した。Farnborough, Paris共に最大級のエアショ-ではあるが、航空機の大きな話題は軍用機と大型商用機が中心で、本サイトのテ-マであるビジネス機は脇役で全体の中に埋没し勝ちとなる。ビジネス機は別途ABACE (アジア-上海), EBACE (欧州-ジュネ-ブ), BACE (米国-Orlando, Florida) で開催されるが、テ-マがビジネス機に絞られるので参加者が最も多いBACEで1/4程度の25,000人程度だが、ビジネス機と言う航空機の一分野の専門家が一堂に会するので中身は濃厚で収穫も多い。Farnboroughは日露戦争時代よりの英国で最も古い空軍基地だが、1989年民間機の利用に解放された。その後ビジネス機の利用が多く成り、1997年入札でスイスのTAG Aviation下で民営化 (それ迄英国国防省が所有)、2003年TAG Farnborough Airfield Ltd.は99年間の租借をしたが、2007年空港を買収した。(現在は私有空港)。TAGはビジネス機の運航、チャ-タリング、FBO, 保守・修繕、操縦士養成等ビジネス機関連の諸業務を幅広く手掛けている。Airshaw会期中はHelipark Serviceを提供、参加者のヘリコプタ-輸送や離着陸の用に供している。欧米では、ビジネス機は幹線空港を避け、都市周辺の二次空港を利用するが、ロンドンは混雑するHeathrowは避け周辺二次空港数か所が使われる。Farnboroughはロンドンより42㎞。ビジネス機受容れ用に用意された空港で幹線空港の様に順番待ちや雑踏もなく、警備上の安全度も高く、利用料も安い理想的な空港として行政指導ではなく、自然の流れでビジネス空港として利用されて居る。日本であれば、茨城、横田空港がモデルとして見習える空港。TAGはアジアでは香港を拠点としているので喜んで手助けをして呉れ様。
Farnborough Airshawは本年は7月11~17日の間開催されたが、世界的な地政学的な不安定要素や経済停滞でやや期待に反した結果に終わった。無論Burexit (英国のEU脱退) の余波も多少あろうが、民主主義社会での民意の尊重でそれ程話題とは成らず、今後の英国/EU間の交渉に委ねられるが、英国は商用便、LCC,ビジネス機の先進国で有り、航空業界への影響は避けられない。本サイトは民間機、その中でのビジネス機に特化しているのでAirshawの話題、商談、成約、その為の機材の展示、デモ飛行等の大きなウウェイトを占める軍用機を除き、民間機特にビジネス機の話題を拾い出して列挙するに留める。
主たるトピックス
1.会期中の成約607機、オプション135機、前回パリ-は1,223機、オプション224機。
2.今回の数字は仮集計なので今後多少の修正は有っても昨年に比べれば大きく下回る。
3.民間商用機で毎回最も関心を集めるAirbus対 Boeingの受注実績はAirbusがリ-ド。
4.Airbusは受注496機、成約高753億㌦、Boeing は受注201機、成約高は402億㌦。
5.創立100周年を迎えたBoeingはAirbusが成約を溜めてAir Shawで発表したと批判。
6.Boeingの本年度の受注機数はジェット783機と言う実績を誇示した。
7.Air Shawを広報の場に利用する事はBoeingを含め広く行われ、成約高は受注機数にリスト価格を乗じたもので、実際の顧客との成約額とは異る。
8. Airbusは市場の現実を認め、A-380の生産を一ヵ月一機に縮小すると発表した。
9 開会前に機材で最も関心の高い機種のアンケ-ト調査を行ったがEmbraer E-2 48.9%, KC-390 43%, Boeing 737msx 4%, Airbus A320neoが2%と言う結果であった。
10.会期中EmbraerとBoeingはKC-390の開発で共同提携する事に合意したと発表した。
11.BoeingはGulfstream G-650ER の販売が170機との好調ぶりに鑑み、BBJ maxの開発に乗り出した。航続距離は7,000 NM或いは12,964㎞が目標。
12.商用機分野での人気の機種はBoeing 737 max 8, 777-10とAirbus 320neo。
13.Boeingは787のラウンチカストマ-ANAがBoeing 787-8/9を既に47機運航しているとの実績を誇示。
14.MRJは米国の型式証明取得用の試験機の受渡しを本年第4四半期より8月に繰り上げると述べたが、JCABは評価実績を持たないので日本での型式証明取得の遅れに懸念を表明。
15.Agusto-Westtland AW-149が会場で初めてのお披露目を果たした。
16.日本マスコミで騒がれたオスプレイBell V-22の独政府との商談進行の風評が流れた。
17.Farnborough Air Shawとは関係ないが、ホンダは7月8日、ホンダジェットHA-420の米国に於けるFAAの生産許可を正式に取得した。
18.上記同様、Robinson R-22,R-44,R-66用にGarmin GTX 335とGTX 345の最新鋭の計器使用がFAAにより承認された。日本でのヘリコプタ-の計器飛行の可否は、Air Taxi利用には大きな推進力と成るが、メ-カ-のリスト価格はGTX 335 $3,900, GTX 345で$6,300。
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