2013年01月03日(木)02時13分

(8) ビジネス機の利用コスト

(8) ビジネス機の利用コスト

 

要  約

 

1.ビジネス機のコストを口にする事は関係者の間では従来タブ-とされて来た。これに触れる事は「プライ-バシ-の侵害」「個人情報の開示」「企業秘密の漏洩」等様々な反対があった。

2.一方利用者が一番知りたいのは利用料は幾ら?と言う一点である。然し、関係者が「企業秘密」とする利用料は海外では情報開示が行われて居り、利用料は「公知・公開の情報」。情報の入手は下記3経路で可能。

(A) 海外から日本にビジネス機を飛ばす運航業者は日本の空港到着後、日本での国内移動はカボタ-ジュの制約で日本のビジネス機を利用せざるを得ない。その為には、日本の運航業者名、コンタクト方法、所有機材、時間当たりのチャ-タ-料等を予め知る必要があり、必要情報は、年鑑The Air Charter Guide (出版元Penton Media Publication)で誰でも$200程度で購入・入手可能。日本だけでなく、全世界の主要な運航業者が網羅され、チャ-タ-料も機種別に掲載されている。チャ-タ-料も地域、機種、機材の年齢等によりピン錐。日本ではビジネス機のチャ-タ-料は1時間数十万円と思われ勝ちだが場所、機材等により、その1/10~1/20のチャ-タ-料も存在する。後日、説明するが、それ故に欧米では上級管理層やプロフェッショナルもビジネス機を利用する事が可能と成る。それも1回の利用時間は15~50分範囲。(高いので短時間利用)

(B)日本のチャ-タ-業者や旅行代理店等もこの様な情報を提供しなければ利用客を掴めないので、一部業者は、上記の様な年鑑より必要情報を抽出してインタ-ネット上に流して居る。

(C) マスコミやインタ-ネットのブログを丁寧にモニタ-すれば、「点」としての個別の情報は得られるし、情報の取捨選択・結合により「線」、「面」に組み立て可能。本稿もこの様なプロセスを経て居る。

3.留意すべきは、チャ-タ-料の表示価格は飽く迄「参考値」然も「裸のチャ-タ-料」の場合が多い。「裸」とは

燃料費、パイロット代を含む運航費、機内飲食費、空港利用料等は別建て。日本には中/遠距離飛行に必要な機

材が無いので近隣諸国よりの呼寄せと成るが、最低数百万円は要する。実際のチャ-タ料は「裸」のチャ-タ-料

の1.7~2倍位に成るが、石油価格の動向 (燃料費の動向が大きく左右する)では、それ以上に成る可能性もある。

4.読者の要望に応える為、極めて大雑把且つ乱暴な数値の目安を示せば、日本―米国東岸、欧州では全てを包含

して往復35~40百万円、西アジア、米国西岸で30百万円、極東ロシア、中国東部で10百万円近くする。米国東

岸迄定期商用便のビジネス・ファ-ストで70~200万円。従って、ビジネス機を利用する事は大企業の幹部と言

えども難しい。大企業サラリ-マン幹部は社内規定の縛りと投資家、金融機関の厳しい目を意識せざるを得ない。

5.読者は上記数値に驚かれるかもしれないが、冷静に考えれば、何のミステリ-も無い。Heavy Jetの価格は

50~60百万㌦、乗客は精々3~5名 定期商用便に使われる機材の価格がその3倍の1.5憶㌦、利用客200~250

名としても利用客1人当りの負担コストは遥かに安い。日本が国策として大量輸送の定期商用便の育成に優先順

位を与えたのは理の当然。

6.それでは日本ではビジネス機は使われないかと問われれば、工夫次第。これも常識で考えれば「当たり前の」選

択肢が存在する。グロ-バル時代、日本の企業もグロ-バルな事業活動を展開して居り、「世界市場は一つ」と考

えれば、日本企業は過去に於いても、現在も、将来も必要に応じビジネス機を利用して来たし、今後も利用する。

必要とされるのはグロ-バルな視座。EUは域内の国籍やカボタ-ジュ制限を撤廃した。日本のグロ-バル企業

はとうの昔より機材の国籍や利用地域に捉われず、グロ-バル市場でビジネス機を活用して来た。視点を変えれ

ば、日本国内でも、日本のビジネスマンは、遠距離出張に新幹線や定期商用便を利用し、新幹線駅や地方空港よ

りタクシ-場合によって小型機や、回転翼機等の機材をビジネス機として利用して来た。北海道や那覇空港には

小型機や回転翼機が利用者の足として用意されている。同様に、日本のビジネスマンは海外の主要空港には大量

輸送でコストが安い定期商用便を利用し、必要に応じその先でビジネス機を利用して来た。

7.日本で一番欠けて居るのは、肝心要の利用者の参画無しで事が進められて来た点に有る。利用者が納得する

利用料が提供出来なければ利用者が居ないとしても「当り前」の事。利用者はビジネスの足として1台50百万円す

るフェラ-リ-を必要としない。普通車か小型車のタクシ-で充分だが、社内経費として落とせる範囲の利用料

に抑えなければならない。誰でも知っている事は、タクシ-に高級車は使われないし、利用者のタクシ-利用は

短距離、短時間が主体と言う事でビジネス機とて全く同じ理屈。欧米では超富裕層、VIPが利用するブランドビ

ジネス機と一般ビジネスマンが利用するLCCビジネス機が並存し、日本でビジネス機を一般普及させるには後者

が必要だが、後者のイメ-ジは日本では未だ普及して居らず、本稿の続編で記述する。

 

日本も組織的にビジネス機の一般普及に注力し始めて十数年、中部空港開港に伴い名古屋空港がビジネス機の拠点として整備されてビジネス機元年が宣言されてから8年が経過したが、ビジネス機の利用者として一番知り度い、「利用コストは幾ら」と言う最も重要且決定的な情報が不思議と市場に流れない。

3~4年程前、インタ-ネットで検索した処、「パリ-にビジネス機で飛んで見度いが幾ら」と言う書き込みに「1500万円位は用意しろ。それより、ファ-ストクラスで飛んだ方が安いし楽」との回答が出された。正解はビジネス機で有れば往復4000万円(大まかな目安)。同じ頃、「金婚式でハワイ迄ビジネス機を使い1500万円懸ったが、一生の思い出でと成り悔いはない」との書き込みが見られた。

この後、麻生内閣の中川金融相がロ-マのG-20に出席する為ビジネス機を利用し4100万円払ったが、出発2時間後にロ-マ行きの定期商用便で往復85万円のビジネス席が空いていたと国会で追及され、米国でもクリントン元大統領が人質救出の為サンフランシスコ-平壌往復にビジネス機を使い(全てを含めた推定実質コスト3000万円以上) 議会で追及を受けた。前者は本人の国会での陳謝と寧ろロ-マでの酩酊会見が引金と成り金融相を辞任、後者はビジネス機は友人が無償で貸し、燃料費、運航実費16万ドルは有志の拠出金で賄い国費(税金)は1セントも使わなかった事が明らかに成り幕引きと成った。

本稿で述べ度いのは、海外ではビジネス機のコストは全てオ-プンで推測する必要等はない。又、上記の様にビジネス機の利用は「高嶺の花」と始めから諦めて居る方もビジネス機の利用の実態を理解すれば、自ずから関心の度合いが代わって来ると思う。NBAA  (米国ビジネス航空協会) は寧ろ情報開示・コスト公開こそがビジネス機の一般普及の鍵と積極的にビジネス機の利用料、「費用対効果」の手法等を啓蒙して居る。日本も成熟した航空機利用社会。この問題に真っ向から取り組むベき時に至った。予めお断りするが、筆者は航空機産業の特定分野に関わりを持ったり、まして肩入れをする意志は全くない。一利用者として、如何にすれば、日本人もビジネス機利用の恩恵に与れるか考えて居るに過ぎない。

 

総   論

 

各論にのめり込む前に予め一般的な留意事項を述べて、既成概念に惑わされたり、脇道に迷って本質を見失わぬ様話を進める。

(1)  ビジネス機と一口に言ってピン錐。機材の価格も上はAirbus A-380の2.5憶ドルから、低価格のRobinson社のR-22の如くその1千分の1以下のものや中古機の出物もある。

(2)  米国では$7,000/時 (55万円/時 \78/$)のHeavy Jet から$450/時 (3.5万円/時)、迄様々な料金があり、Heavy Jet なら日本から欧米に飛行するには直ぐ3500~4000万円位はする。一方、米国内で、3.5万円/時のヘリコプタ-で50㎞をエアタクシ-として利用すれば、巡航速度200㎞/時と置けば\8.750/50㎞と地上のタクシ-とさしたる違いは無いし、時間的には、ヘリコプタ-で有れば直線距離の50㎞で15分、タクシ-は道路により直線距離より長いであろうし、信号や交通渋滞を考えれば1時間以上は要し様。

(3)  それ以上に、米国では空港数が30,000と言われ商用機、コミュ-タ-機の便がある空港は7,500.22,500空港はジェネアビの利用が不可欠

(4)  日本は人口過剰で人件費はただと考慮に入れないが (少子化高齢化でそうも言えなく成ったが )東証一部上場の社員の平均的コストが\3~5万円/時 (日本の最低賃金は\700/時) と計算する人がどの位居られるか。高度成長期が終わった頃、日本の先進的な企業はTQCで「費用対効果」の算出法を学んだ。社員のコストも給与を時間で割るのではなく、簡便法で有れば企業コストを全て差し引いた純益を従業員数で割り、更に年間2,000時間労働 (250日x8時間/日)で除せば割り出せる。米国のNBAA等10年前からビジネス機と定期商用便利用の「費用対効果」の相対比較が出来る簡易ソフトを会員企業に3万円程度で頒布している。(自分の直接・間接費用を割り懸けた総人件費を把握しなければ何事も始まらない。海外出張・勤務、事業投資損、有価証券・為替差損の大きい大手総合商社等12~15万円/時/人等と言う社員自身も驚く桁違いなコストが存在する)

(5)  要は、一般の日本人が日常的に判断を下している、帰省時に航空機、鉄道、マイカ-を選ぶか、空港・鉄道駅から、バス、タクシ-、出迎えの車を使うか様々な要素を織込んで選択するが、判断材料として夫々の料金や所要時間の情報が必要でこの様な情報はその気に成れば幾らでも入手可能。

(6)  一番卑近な事例は、航空機を利用する場合、インタ-ネットのサイトを開けば、各航空会社や旅行会社が運賃情報を提供している。希望する日時、出発地、目的地、片道/往復、人数等をインプットすれば即、空席の有無、等級別の運賃が表示される。最近は比較サイトも充実し、格安航空券を含め凡る運賃が表示されるので、利用者はニ-ズに応じた物を選び航空券の予約・購入が出来る。

(7)  上記の様なサイトがビジネス機でもあれば良いなと思うのは日本人だけ。欧米等では定期商用便に負けず劣らず、或いは商用便以上に懇切なサイトが文字通り目白押し。例えば、日本よりサンフランシスコに商用便で飛び、カリフォルニア州の商用便の便が悪い地方都市に行き度い場合、サンフランシスコ近辺のビジネス機運航業者のサイトを検索すれば、即日本の商用便のサイト同様の画面が現れ、利用者が所定のインプットをすれば、提供出来る機材、運賃見積り、所要時間、目的地近辺の空港等が表示される。通常はこの種サイトを複数検索し、各種条件を比較して利用するビジネス機を決める。慣れて居ない日本人であれば、頼めば、日本の航空会社、旅行代理店、ビジネス機チャ-タ-業者が喜んでブッキング業務を代行して呉れる。参考迄に米国のみならず、全世界のビジネス機運航会社、提供出来る機材、機材別の参考運賃 (実際の運賃はニ-ズに応じて異なるので個別ネゴに成るが、凡そのコストは予め把握可能)、コンタクト方法等が明示されている。より専門的には、全世界の空港情報、空港のFBO,CIQ等の関係業者とコンタクト方法等記載の年鑑は一部日本の航空関係書籍扱店でも購入可能だが、インタ-ネットで購入出来る。筆者もそうであるが、NBAAのConventionブ-スにはこの種情報提供業者が軒を連ねこんな情報もあるのかとその充実ぶりに驚かせられる。日本の商用便サイトでも、利用者が欲する凡る情報を提供する事で利用者のニ-ズを掘り起こし、市場を拡大させている。日本はインフラの整備、規制緩和、限られたビジネス機の機材選択、情報不足等でなかなかビジネス機市場が育たないが、物事は工夫次第、本稿も発想の転換で日本なりのビジネス機利用の方策はあり得るし、その為の思考材料を提供する事が目的。日本では、海外の様にビジネス機利用のサイトは無いのかと言う問いには、筆者も一つのサイトに遭遇し、基本的には欧米のサイトとそう変わらない。然し、例えば、羽田―富山―米子-松山―羽田とか羽田―丘珠―旭川-中標津-羽田の日帰り旅行をインプットすれば情報入手は可能だが、ウン100万円との表示が出れば利用者の大半は諦めるので、特殊ケ-スを除き、実際的な参考には成らない。羽田-中国東北部都市―羽田の日帰り出張は無論可能だが1,000~1,500万円位は要するので実際的な検討の対象とは成ら無い。

各   論

ビジネス機のチャ-タ-料は機材により大きく変わるし機材価格はピン錐と述べたが一目で分かる簡易表を添付する。Airbus A-380とRobinson R-22では価格が千倍違うと述べたが、利用料は機材の価格に比例するものではないが、固定費部分が大きく影響するので当然利用料にも大きく反映される。

機 材

価 格 帯

参  考  事  項

商用便用機種

1.5~2.5憶㌦

通常定期商用便で利用される機材だが超富有層は自家用機として利用。

Heavy Jet

60~80百万㌦

日本より欧米主要都市には10,000km以上飛行出来る本機材が利用される。

Light Jet

7~9百万㌦

日本のビジネス機の大半を占めるが航続距離で日本/台湾往復は出来ない。

VLJ マイクロジェット

3~4.5百万㌦

自家用機、エアタクシ-用に期待。ホンダジェットもこの範疇。

低価格帯ヘリ

30~250百万円

550~600kmの関東 近畿 中国 九州 北海道一円をカバ-可能で機数増加中

ビジネス機の性能とリスト価格

定期商用便用

大型ジェット

Airbus

 A-340

Boeing

747-400

Boeing

767-200

Airbus

 A-380

大型機もビジネス機として使われる

価  格

$151~154,000,000

$192~214,000,000

$194~117,000,000

$250~275,000,000

航続距離

9000km

14,000km

9,400㎞

15,000㎞

巡航速度

900㎞/時

912km/時

860㎞/時

900㎞/時

標準座席数

239~380

416~524

181~255

555~853

遠距離用

Heavy Jet

Gulfstream

G-550

Bombardier

Global 6000

Gulfstream

G-650

Boeing

BBJ

Airbus

ACJ319

価  格

$56,250,000

$58,501,000

$64,500.000

$70,000,000

$80,000,000

航続距離

12,250㎞

12,000㎞

13,100㎞

11,600㎞

巡航速度

900㎞/時

780㎞/時

880㎞/時

870㎞/時

チャ-タ-料(日本)

\700,000/時

Light Jet

Citation CJ2

Citation 560

価  格

$7,044,000

$9,150,000

航続距離

2,400km

3,650km

巡航速度

720km/時

796km /時

標準座席数

3~9

7~8

VLJ

Eclipse 550

Citation Mustang

Phenom 100

ホンダジェット

価  格

$2,695,000

$3,202,000

$4,080,000

$4,300,000

航続距離

2,100km

2,200km

2,200km

2,600㎞

巡航速度

685km/h

630km/h

710km/h

780㎞/時

低価格帯ヘリ

Robinson R-22

Robinson R-44

Robinson R-66

EC 120B

AS-350 B2

価  格

$257,000

$340,000

$808,000

$1,858,000

$2,415,700

輸入価格

28.6百万円

40.3百万円

未定

160百万円

216百万円

航続距離

556km

560km

600km

710km

662km

巡航速度

178㎞/時

200㎞/時

222km/時

223㎞/時

245km/時

標準座席数

2

4

5

5

l  価格はリストプライスだが、これもインフレや改良で絶えず変動するので、資料によりまちまち。まして、本当の値段はネゴでリストプライスより下がる。米国のFractional Ownershipの供与の最大手NetJetは本年夏今後10年間で425機のビジネス機購入を発表したが契約額は96億㌦と言われ、Bombardier 300/600シリ-ズ、Cessna Citation Latitudeが主たるもの。当然これだけの買い物をすれば大きな割引に与る。これを有利にFractional Ownerに分割販売する事で益々利用者の囲い込みが出来ると言う戦略。

l  要は、ビジネス機と言っても多種多様。2.5憶ドルのA-380 から低価格帯ヘリコプタ-のR-22の25万ドルと1千分の1の価格迄千差万別。一括りで話は出来ない。

l  欧米出張に全てのコストを含めHeavy Jetに往復3500~4000万円払うビジネスマンは居ないが、普通のサラリ-マンでも家族旅行で自らの財布から遊覧飛行代を払う人は居る。レジャ-はビジネス機より除外されるが、観光業者が機材を営利目的で利用客に提供すれば立派な観光産業としてのビジネス。日本でも都会の夜景、空からの観光は実際に行われるが、グランドキャニオン、ナイアガラの滝等を小型機で空より見る事は日本人観光客の間でも人気があり、年末/年始はハワイのビジネス機は悉く日本人観光客他によりチャ-タ-される。

l  商売である以上、競合する選択肢との相対的比較と成るが、航空運賃でもファ-ストがエコノミ-の2倍で有れば利用客は居るであろうし、長距離飛行で有れば4~5倍でもビジネス機の利用者が居るかも知れないが、ファ-ストのウン十倍の運賃でビジネス機に乗る人は一般ビジネスマンでは流石に居ない。東京-大阪間のリニアモ-タ-カ-に従来の新幹線の2倍程度の運賃を払う利用者は居るであろうが、5倍を超えたら、採算に乗る集客は不可能であろう。ビジネス機とて例外ではない。利用客がビジネス機を納得して使える「費用対効果」が示されなければ成らない。

l  日本の政府専用機、米国の大統領専用機Air Force Oneは定期商用便のファ-ストに当る部分が利用VIPの専用スペ-ス、ビジネスクラスの部分が随行員・スタッフの座席、そして後部のエコノミ-のスペ-スが報道陣に割り当てられ決してビジネス機の様にVIPと随員若干名で専有すると言った贅沢な使われ方はしない。

 

コスト比較の纏め

下記の表は非常の大雑把なコスト比較で有るが、何故日本で現在ビジネス機が遣われないか?将来使われる為には競合コストにどの様なものが有るか感触は掴める。

 

チャ-タ-料

ビジネスジェット

定期商用便

コスト比較

G-550

\700,000/時

欧米往復 35~40百万円

ファ-スト140~200万円

ファ-ストの20倍以上

Citation 560

\600,000/時

羽田-新千歳 2.5~3百万円

ファ-スト8万円

割引なしファ-ストの30倍

AS 350

\300,000/時

100㎞圏内15万円

タクシ-で1.5~2万円

5人利用で3万円/人

R-44

\200,000/時

100㎞圏内10万円

タクシ-で1.5~2万円

4人利用で2.5万円/人

利用区間

利用交通手段

運賃

所要時間

単価(\/時)

利用距離

単価(\/㎞)

成田-NY(往復)

Heavy Jet

\40,000,000

25時間

\1,600,000/時

20,000㎞

\2,000/㎞

成田-NY(往復)

定期商用便ファ-スト

\2,000,000

25時間

\80,000/時

20,000㎞

\100/㎞

羽田―新千歳

Light Jet CE-560

\600,000/時

\600,000/時

1,800㎞

¥828/㎞

羽田―新千歳(往復)

定期主要便ファ-スト

\80,000

3時間

\26,667/時

1,800㎞

\44/㎞

東京-新大阪(片道)

のぞみファ-スト

\18,690

2.5時間

\7,476/時

600㎞

\31/㎞

50㎞

ヘリコプタ- R-44

\200,000/時

200㎞/時

\100,000/時

50㎞

\1.000/㎞

50㎞

上記乗客5人利用

\40,000/時/人

200㎞/時

\20,000/時/人

50㎞

\200/時/人

50㎞

タクシ-

\300/900m

1時間

\33,333/時

50㎞

\666/㎞

一日500㎞

ハイヤ-

¥25,000/日

8時間

¥3,125/時

500㎞

¥50/㎞

米国 (凡例)

VLJ Cirrus SR22

\36,000/時

300㎞/時

\12,000/時

100㎞

\120/㎞

上記乗客3人利用

\4,000/時

\40/㎞/人

米国 (凡例)

ヘリコプタ- R-44

\36,000/時

200㎞/時

\18,000/時

200㎞

\180/㎞

上記乗客5人利用

200㎞/時

\3,600/時/人

\36/時/人

*タクシ- 50㎞/時 巡航速度 SR22 350k㎞/時、R-44 200㎞/時で換算

 

ヘリ遊覧飛行料金(横浜の凡例)

5分

10分

20分

単価(\/時

単価(\/㎞)

大人1人(乗り合い)

\9,000

¥13,000

子供1人(乗り合い)

\7,500

\10,000

貸 切

\35,000

\70,000

\130,000

\390,000

\1,950

利用コスト比較総括

1.定期商用便の遠距離大量輸送の㎞当りの単価は\100/㎞と中/遠距離ビジネス機では足元にも寄れない圧倒的運賃格差が生ずる。利用した定期商用便運賃はファ-ストのフルフェア-。これでは大手企業のトップでも定期商用便を利用するのが当り前。

2.国内移動でも定期商用便のファ-ストフルフェア-で\45/㎞、新幹線望みのグリ-ン車利用では\16/㎞。Light Jet でも\800/㎞以上するので出番は殆どない。

3.希望の星と目されるホンダジェットでも、非常に安くても\300,000/時に成ると思われるので巡航速度750㎞/時としても\400/㎞で定期商用便や新幹線とは太刀打ち出来ない。Light JetやVLJの問題点は定期商用便よりは飛行速度が10~15%落ちるので時間的節減は求められない。

4.低格帯のヘリコプタ-と言えども決して安くは無いが、こちらは短距離、短時間のタクシ-的利用が可能。利用コストは利用条件により大きく異るので実際の利用者の利用希望条件に合せて個別に「費用対効果」のfeasibility studyを行う以外ない。何人が機材を共有するか、利用時間如何で利用者へのコスト負担は大きく変わる。

5.ビジネス機の利用で一番大きな利点は時間節減が出来る事。日本の一般ビジネスマンの人件費コストは概略で3~5万円/時と言われる。タクシ-との比較で往復時間が1時間節減されれば、3~5万円の経費節減。3~5人が集団で移動するなら9~25万円の経費節減と成る。これは直接人件費のみの節減。他にも多くのメリット要素がある。

6.日本でもLCCビジネス機の活用と、少しでも利用コストを国際標準に近いものにする工夫と努力と米国では当然と考えられている「費用対効果」分析が必要。これには、それぞれの企業の全てのコストを割り掛けた標準時間当たりの人件費の割り出し、その他の定量的コストの洗い出し、これらを総合したコストと他の競合地上交通機関との比較、これを可能にする比較分析ソフトの開発、更に定量化出来ない定性的メリットの洗い出し。定量・定性的メリットを加味した最終的な比較判断資料の策定により、科学的、分析的比較が出来る材料・資料の整備。

7.これらの諸作業には必ず最終利用者や運航業者の現場のスタッフも参画させ、市場の実態から乖離した「机上の空論-desk top planning」に陥らない様、細心の配慮が必要。最終的には利用者の判断が決め手である事は国政でも「国民の審判」が究極の決め手と成るのと同じ。色々の利用メリットを加味し、最も競合が考えられる地上タクシ-、ハイヤ-の運賃と何処迄競争出来るかが鍵。絶対値で競合出来無くとも、節減出来る時間・人件費等の定量的メリット、各種定性的メリットも織り込んだ「足が地に付いた」「費用対効果」分析の手法開発と開示が日本でのビジネス機利用促進に絶対不可欠。米国では、地上交通手段では時間的にもアクセスが悪い地域へのビジネス機の利用が圧倒的に多いが(日本でも地方から地方への横の移動では交通アクセスが悪い事例も多く存在し、これらの洗い出しが必要)、地上タクシ-に比較しても直線距離で道路事情に左右されないヘリコプタ-を含めたビジネス機の利用コストが絶対値でも安いと事も決して稀ではない。況して、時間節減による人件費その他の経費が浮く事が分かれば、ビジネス機を利用しない方が損との結論とも成る。

8.国政と違う処は、大仰な有識者会議より、「この指止まれ」で、意欲と熱意が有る利用体験者やこう言う場で企業マンの足として利用出来る、利用したいと言う末端利用者、運航業者の有志者でスタディ-グル-プを立ち上げ、叩き台をインタ-ネットで流し、市場のコンセンサスを醸成出来れば事が進むでは無かろうか?要は論を交わす時期はとうの昔に過ぎ、「実践有るのみ」との認識が必要。

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