2013年01月20日(日)01時58分

(11) マイクロジェット機

(11) マイクロジェット機

要  約

 

1.日本は国土面積も狭く、遠距離を飛ぶHeavy Jetは定期商用便とコスト的に太刀打ち出来ないので、国内で使えるのはコストの安いマイクロジェットかそれ以下の低価格帯回転翼機と言う事に成るが、此処ではマイクロジェット機に言及する。

2.米国ではマイクロジェットのホンダ、リ-ジョナルジェットの三菱重工が企業進出した。未だ、商業運航に入って居ないので将来の結果待ちだが、日本の野球やサッカ-選手の海外檜舞台での活躍同様期待し度い。此処では、現状を記述するに止める。

下記は都市間距離。実際には気象条件、航路規制等でこの通りでは無いが、JA機で飛行可能な距離は2,000~3,500㎞程度の為、海外飛行用に極く稀にしか利用されず、日本のコストが諸外国に比べ相対的に高い事も有り、利用実績も殆ど見るべきものはない。

(単位 ㎞)

東京‐札幌

830

Frankfurt-Oslo

1,100

New York-Montreal

540

東京-福岡

890

Frankfurt-Warsaw

890

NY-Washington

340

福岡-上海

860

Frankfurt-London

640

N Y-Chicago

1,140

東京-那覇

1740

Frankfurt-Milan

520

N Y-Atlanta

1,210

東京-ソウル

1,160

Frankfurt-Madrid

1,450

N Y-San Francisco

4,140

東京-香港

2,950

London-Moscow

2,510

NY-Frankfurt

6,200

東京-館山75 -銚子100 ‐福島240 -新潟260 -金沢300 -岐阜270 -静岡145

日本の市場は未成熟且つ小さい為、ホンダはマイクロジェット機、三菱重工はコミュ-タ-機を米国で生産・販売する。マイクロジェット機は価格が400万㌦以下で自家用機或いはエアハイヤ-、エアタクシ-としての用途に期待が集って居る。日本では考えられないが、米国の地方空港では地上タクシ-が無く(呼べば近くの街から来るが30分程待たされる)エアタクシ-のみと言う処もある。地上タクシ-で有れば1時間懸る処でもエアタクシ-なら15~20分。運賃もさして変わらない。

Regional Jet機はビジネス機の分類には入らないが、空港アクセスの悪い地域に使われるのでビジネス機との補完関係があり、三菱重工も健闘して居るので付記した。

ホンダジェット

1.本田宗一郎の1948年創業時よりの目標は航空機の製造。1963年自動車産業に参入。

2.ホンダはホンダ航空、ホンダ空港等を運営し、日本のジェネアビ業界の育成に貢献して来た。

3.2006年10月,NBAA ConventionでVLJ (Very Light Jet) 市場への参入を宣言、3日間で年間生産計画70機を上回る100機を受注した。

4.2008年カナダ、メキシコ、更に欧州域内でも販売会社を立上げグロ-バル販売の旗幟を鮮明にした。一日本企業に留まらずグロ-バル企業としての矜持が躍如。

5.2010年10月、量産機の初飛行に成功。

6.当初2010年10月に受渡し開始を予定していたが、この種新規製品上市に付きものの諸種の手直しで時期が遅れ、現在の予定は2013年5月。

7.市場・顧客は冷静に受け止めて居り、ホンダの受注も好調の為、処女機の販売を待たず、早くも工場の増設計画を発表。

8.VLJは元々エアタクシ-や個人オ-ナ-等の低価格機市場を標的とし、この市場を狙いかっては百万ドル/機以下の機種を発表したメ-カ-も居るが、機能・性能面より現在は3~5百万ドル程度に落ち着くと見られて居る。ホンダは当初よりVLJの高性能機種を狙い当初発表した3百万ドル後半の値段は現在430万㌦に設定されて居る。性能・価格面での競合機種はCitation MustangとブラジルEmbrea社のPhenom 550と成って居る。この3機種が、VLJの本命と目されて居る。

9.ホンダジェットの今一つの特徴は、自社開発のエンジンを搭載するが、ビジネス機として機体・エンジン共に自社生産するのはホンダが嚆矢と成る。エンジンの基礎技術はホンダが開発し、GEとの共同で完成させて居る。

MRJ(三菱重工)

1.日本の航空機産業は太平洋戦争後連合軍により生産が禁止されたが、三菱重工は東京オリンピックが開催された1964年、戦後の日本の国産機第1号としてのYS-11機の形式証明を取得し生産販売に乗り出したが、2011年約半世紀の歴史を閉じた。ほぼ同時期に、小型ビジネス機のMU-2の生産が始まり、米国でム-ニ-社に委託生産させたが、同社の倒産で1964年、米国テキサス州で生産を行ったが、石油危機以降の原油価格の高騰、経済の低迷で販売は不振に陥り、1987年に生産を中止した。この間の販売機数は762機、世界27カ国に販売された。その後も、サポ-トサ-ビスや新鋭機MU-300の生産・販売は続けられた。

2.この間、カナダBombardier社、ブラジルEmbraer社が60~90, 91~120席のRegional Jetを発売、販売が大きく伸びた事もあり、三菱重工も遅ればせ乍ら市場参入の機会を窺って居たが、2008年3月、全日空が15機の確定発注と10機の仮発注を行ったのを機に三菱航空機と言う別会社を発足させ、本格的な生産を米国で行う事に踏み切った。

3.採算ベ-スに乗せるには、350機、収益を上げるには600機程度の販売が必要と言われるが、予定では、2013年後半に試験飛行を終え、量産処女機の納入は2015年後半と発表して居る。全日空向けの25機に加え、米国Trans States社より確定発注50機、仮発注50機、香港ANI Group Holdingより 5機、そして2012年7月Farnboroughの航空ショ-で、世界最大のRegional Airline オペレ-タ-のSky West社より100機の受注が有ったと報じられた。他にカタ-ル、ベトナムと100機程度の商談も進んで居る由。又日本政府専用機Boeing 747-400はJALが使用停止をする為、2018年には使用停止が検討されて居り、その後継機として10機程度の購入も検討されて居る由。Superjet International社の2012~2031年の20年長期予測では、約5,900機の新規需要が予測され、MRJの販売予測は20年で1,000機から新規需要の約半分の強気に転じたと海外業界誌は報じて居る。

4.一方中国はRegional Jet ARJ 21,ロシアはスホイSSJの増産に踏み切ると報じられ市場の競合は激化すると見られて居る。業界誌によると、これ迄の販売機数はEmbraer社1,752機、中国ARJ 21    300機、ロシアスホ-イSSJ 300機、 Bombardier社133機と報じている。

Regional Jet Delivery Demand 2012~2031

(Superjet International社予測)

Region

30~60 seats

61~90 seats

91~120 seats

North America

70

825

1,000

Europe

10

515

1,235

China

10

350

350

Latin America

15

120

430

Asia Pacific

35

130

465

Africa and Middle East

5

110

220

Total

145

2.050

3,700

 

(11) マイクロジェット機

要  約

 

1.日本は国土面積も狭く、遠距離を飛ぶHeavy Jetは定期商用便とコスト的に太刀打ち出来ないので、国内で使えるのはコストの安いマイクロジェットかそれ以下の低価格帯回転翼機と言う事に成るが、此処ではマイクロジェット機に言及する。

2.米国ではマイクロジェットのホンダ、リ-ジョナルジェットの三菱重工が企業進出した。未だ、商業運航に入って居ないので将来の結果待ちだが、日本の野球やサッカ-選手の海外檜舞台での活躍同様期待し度い。此処では、現状を記述するに止める。

下記は都市間距離。実際には気象条件、航路規制等でこの通りでは無いが、JA機で飛行可能な距離は2,000~3,500㎞程度の為、海外飛行用に極く稀にしか利用されず、日本のコストが諸外国に比べ相対的に高い事も有り、利用実績も殆ど見るべきものはない。

(単位 ㎞)

東京‐札幌

830

Frankfurt-Oslo

1,100

New York-Montreal

540

東京-福岡

890

Frankfurt-Warsaw

890

NY-Washington

340

福岡-上海

860

Frankfurt-London

640

N Y-Chicago

1,140

東京-那覇

1740

Frankfurt-Milan

520

N Y-Atlanta

1,210

東京-ソウル

1,160

Frankfurt-Madrid

1,450

N Y-San Francisco

4,140

東京-香港

2,950

London-Moscow

2,510

NY-Frankfurt

6,200

東京-館山75 -銚子100 ‐福島240 -新潟260 -金沢300 -岐阜270 -静岡145

日本の市場は未成熟且つ小さい為、ホンダはマイクロジェット機、三菱重工はコミュ-タ-機を米国で生産・販売する。マイクロジェット機は価格が400万㌦以下で自家用機或いはエアハイヤ-、エアタクシ-としての用途に期待が集って居る。日本では考えられないが、米国の地方空港では地上タクシ-が無く(呼べば近くの街から来るが30分程待たされる)エアタクシ-のみと言う処もある。地上タクシ-で有れば1時間懸る処でもエアタクシ-なら15~20分。運賃もさして変わらない。

Regional Jet機はビジネス機の分類には入らないが、空港アクセスの悪い地域に使われるのでビジネス機との補完関係があり、三菱重工も健闘して居るので付記した。

ホンダジェット

1.本田宗一郎の1948年創業時よりの目標は航空機の製造。1963年自動車産業に参入。

2.ホンダはホンダ航空、ホンダ空港等を運営し、日本のジェネアビ業界の育成に貢献して来た。

3.2006年10月,NBAA ConventionでVLJ (Very Light Jet) 市場への参入を宣言、3日間で年間生産計画70機を上回る100機を受注した。

4.2008年カナダ、メキシコ、更に欧州域内でも販売会社を立上げグロ-バル販売の旗幟を鮮明にした。一日本企業に留まらずグロ-バル企業としての矜持が躍如。

5.2010年10月、量産機の初飛行に成功。

6.当初2010年10月に受渡し開始を予定していたが、この種新規製品上市に付きものの諸種の手直しで時期が遅れ、現在の予定は2013年5月。

7.市場・顧客は冷静に受け止めて居り、ホンダの受注も好調の為、処女機の販売を待たず、早くも工場の増設計画を発表。

8.VLJは元々エアタクシ-や個人オ-ナ-等の低価格機市場を標的とし、この市場を狙いかっては百万ドル/機以下の機種を発表したメ-カ-も居るが、機能・性能面より現在は3~5百万ドル程度に落ち着くと見られて居る。ホンダは当初よりVLJの高性能機種を狙い当初発表した3百万ドル後半の値段は現在430万㌦に設定されて居る。性能・価格面での競合機種はCitation MustangとブラジルEmbrea社のPhenom 550と成って居る。この3機種が、VLJの本命と目されて居る。

9.ホンダジェットの今一つの特徴は、自社開発のエンジンを搭載するが、ビジネス機として機体・エンジン共に自社生産するのはホンダが嚆矢と成る。エンジンの基礎技術はホンダが開発し、GEとの共同で完成させて居る。

MRJ(三菱重工)

1.日本の航空機産業は太平洋戦争後連合軍により生産が禁止されたが、三菱重工は東京オリンピックが開催された1964年、戦後の日本の国産機第1号としてのYS-11機の形式証明を取得し生産販売に乗り出したが、2011年約半世紀の歴史を閉じた。ほぼ同時期に、小型ビジネス機のMU-2の生産が始まり、米国でム-ニ-社に委託生産させたが、同社の倒産で1964年、米国テキサス州で生産を行ったが、石油危機以降の原油価格の高騰、経済の低迷で販売は不振に陥り、1987年に生産を中止した。この間の販売機数は762機、世界27カ国に販売された。その後も、サポ-トサ-ビスや新鋭機MU-300の生産・販売は続けられた。

2.この間、カナダBombardier社、ブラジルEmbraer社が60~90, 91~120席のRegional Jetを発売、販売が大きく伸びた事もあり、三菱重工も遅ればせ乍ら市場参入の機会を窺って居たが、2008年3月、全日空が15機の確定発注と10機の仮発注を行ったのを機に三菱航空機と言う別会社を発足させ、本格的な生産を米国で行う事に踏み切った。

3.採算ベ-スに乗せるには、350機、収益を上げるには600機程度の販売が必要と言われるが、予定では、2013年後半に試験飛行を終え、量産処女機の納入は2015年後半と発表して居る。全日空向けの25機に加え、米国Trans States社より確定発注50機、仮発注50機、香港ANI Group Holdingより 5機、そして2012年7月Farnboroughの航空ショ-で、世界最大のRegional Airline オペレ-タ-のSky West社より100機の受注が有ったと報じられた。他にカタ-ル、ベトナムと100機程度の商談も進んで居る由。又日本政府専用機Boeing 747-400はJALが使用停止をする為、2018年には使用停止が検討されて居り、その後継機として10機程度の購入も検討されて居る由。Superjet International社の2012~2031年の20年長期予測では、約5,900機の新規需要が予測され、MRJの販売予測は20年で1,000機から新規需要の約半分の強気に転じたと海外業界誌は報じて居る。

4.一方中国はRegional Jet ARJ 21,ロシアはスホイSSJの増産に踏み切ると報じられ市場の競合は激化すると見られて居る。業界誌によると、これ迄の販売機数はEmbraer社1,752機、中国ARJ 21    300機、ロシアスホ-イSSJ 300機、 Bombardier社133機と報じている。

Regional Jet Delivery Demand 2012~2031

(Superjet International社予測)

Region

30~60 seats

61~90 seats

91~120 seats

North America

70

825

1,000

Europe

10

515

1,235

China

10

350

350

Latin America

15

120

430

Asia Pacific

35

130

465

Africa and Middle East

5

110

220

Total

145

2.050

3,700

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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