2013年04月23日(火)02時24分

ABACE 2013 (Asian BusinessAviation Conference & Exhibition)

 

ABACE 2013は4月16~18日中国上海虹橋国際空港のShanghai Hawker Business Aviation Service CenterでAsBAA(中国ビジネス航空協会)とNBAA(全米ビジネス航空協会)協賛で開催された。米国のBACE (従来のNBAA Conventionを本年よりBusiness Aviation Conference & Exhibitionと改名)、EBACE (欧州版, 5月21~23日スイスジュネ-ブで開催予定)、ファ-ンボロ-(英国版)に加え、Singapore(東南アジア版),Dubai(中東版)のエアショ-も人気が上昇し参加者が増えている。Exhibitionの名が示す通り、モ-タ-ショ-同様、新鋭機のディスプレ-の人気も高い。但し、配慮すべきは、恰好の良い新鋭機は高額過ぎて($5千万㌦アップ)日本の民間企業では買っても「費用対効果」を正当化出来ない。より安価なLight Jetでも1千万ドル前後するが、日本で一般ビジネスマンが利用可能な機材は更にその1/10位の100万㌦前後のものと成ろう。この様な低価格帯の機材も多数市場に出回っているが、エアショ-で派手に喧伝される事は無い。Exhibitionと並んでConferenceも重要。様々なセミナ-が開催され参加者も多くの知見が得られる。業界の「お祭り」なので、こう言う機会を捉え、大きな成約や、新たな事業展開の発表も為される。然し、Exhibition, Conferenceの重要性を50とすれば、残りの50は普断メ-ルで交信して居る相手と対面してメ-ルでは交信出来ない情報交換をしたり、それ以上に会場を廻るだけで業界の趨勢やグロ-バルな動きが嗅ぎ取れる事である。残念ながら、日本人は外国人と立入った情報交換は苦手だし(情報交換にはこちらが貴重な情報を発信出来なければ成らない)「空気を読む」と言ってもこの様な場数を多く踏まなければ、動物的臭覚は磨かれない。本年度のトピックスの幾つかを紹介する。

1.参加者は7,714人、出展企業は180社と発表されている。NBAAが25,000人、EBACEが12,000人程度と比較すると未だ規模は小さいが、昨年と比較すると20%アップと中国フィ-バ-を反映して急速に人気が高まっている。出展された航空機も36機に上った。

2.Key Note SpeechはRoberto Gonzarez ICAO会長、Opening SpeechはEd Bolen NBAA会長、AHI(米国ヘリコプタ‐協会)会長、駐中国米国大使も参加と国際的なビジネス業界挙げての肩入れが行われた。

3.強調された点は、ABACE 2012で交わされた多くのMemorandum of Understandingが2012年末~2013年早々に目に見える事業進展に結び付いた事で昨年播いた種が1年で芽吹いた事であった。

4.Boeing 社のBBJ (Boeing Business Jet)のNanshan Groupへの受渡し完了とGulfstream社の最新鋭Ultra Heavy Jet G-650のディスプレ-も行われた。前者はリストプライス7千万㌦、後者は6.5千万㌦のビジネス機の最上位機種。中国は超格差社会で超富裕層が「高かろう、良かろう」でビジネス機を購入する、日本の「平均社会」「費用対効果」追求型社会とは対極にある。

5.香港ベ-スのコンサルティング会社Asian Sky Groupの調査では中国本土の336機のビジネス機(日本の10倍)の内、57%が中国、33%が香港にある。中国本土のビジネス機の伸びは、2011年前年比45%、2012年は40%。2012年、中国が買いました96機の91%が最上位機種のlarge, super-large, ultra-long-rangeのHeavy Jet。世界的不況下での大盤振舞いで「草木が中国に靡く}のは当然。日本の民間にはMid, Heavy Jetは1機も存在しないし、狭義のビジネス機で有る双発タ-ボ機、ジェット機は2012年34機しかなかったが、代わりにピストン機、回転翼機と言う広義のビジネス機が950機余あった。

6.然し此処でも米国ヘリコプタ-協会の会長が会場に乗り込んだし、世界最大のヘリコプタ-会社Eurocopter社は、中国との45年に亘る取引実績を強調、同社の回転翼機の100機目が受渡され、瀋陽でのEC-120の中国との合弁による製造プロジェクトも順調に進んでいるとも付け加えた。尚米国の回転翼機中堅メ-カ-のEnstrom社の金融危機は中国が救済を発表している。

7.折しも、米国Citation社は米国で2013年の業績見通しの引き下げを発表したが、中国での新鋭機Citation Latitudeの組立てプロジェクトは計画通り進行して居ると述べた。Citation社と並ぶ経営破綻したHawker-Beechcraft社は中国が一旦買収したが、国防上の懸念から米政府の認可が下りずカナダに売却されたが、ジェット機事業から撤退。得意のタ-ボ機に専念する事に成ったが、中国で合弁で組立て¥工場を建設する事で既に合意がされている。今回の世界的な経済不況で最も割りを喰ったのが、一般ビジネス企業に中・小型ビジネス機を販売するCitation, Beechcraft社で、この市場はリ-マンショック直前の半分程度に縮小した。

8.ABECE 2013は北京オリンピック同様、中国のビジネス機産業の「国威発揚」の場として大きな広報効果を内外に誇示した。

 

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