2013年05月28日(火)02時46分

EBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition) 2013

  • EBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition) 2013はスイスのGeneve で5月21~23日の間開催された。米国のNBAAとGAMAの共催で毎年秋米国で開催されるBACE (Business Aviation Conference & Exhibition - 本年度より従来の呼称であったNBAA Annual Convention を改名)と双璧を為すビジネス機業界の年一度の祭典でもある。昨年の米国のConventionには25,000人の参加者が居たが(ピ-ク時は30,000人)EBACE 2013は主催者側の発表で12,353人とほぼ前年並み。会合の一般的ム-ドは2013年も欧州経済の低迷の影響でビジネス機業界も梅雨期が続くと言う不透明感と中国のABACEでも見られた中国、アラブ産油国の富豪による高額機種の購入で、販売機数はリ-マンショック前より半減しても、金額的には2割程度の減少の留まとの安堵感もあった。但し、今回のEBACEを含め業界も複雑な問題を抱えている。
  •   IBACやNBAAが過去10年以上最も注力して来たのは、ビジネス機は「金持ちの道楽」で「富と権力」を誇示する「奢り」との批判に対して、企業の生産性向上の強力な「ビジネスツ-ル」と言う企業側の弁護で有る”Advocacy”を「錦の御旗」として来たが、今回のグロ-バルな経済低迷は明らかに超富裕層、セレブ、VIP等の特権階層は影響が殆ど無く、一般ビジネスツ-ルとしての中/軽ビジネス機の落ち込みが激しかった事で各国のビジネス航空協会も頭を抱えている。

特に、超富裕層が欧米の一般市民を直撃する石油価格の高騰と中国製品の氾濫で苦慮する欧米のメ-カ-に打撃を与えている相手故に問題は複雑である。最大の被害者である、米国の中堅ビジネス機メ-カ-よりは、ABACEのほとぼりが冷めた時点で、中国では他人より更に高い機材を買うと言う「見栄の張り合い」より何が実用的に必要かと言う合理的判断が今後中国に必要との批判的なコメントも聞かれた。

  •   ヘリコプタ-メ-カ-のエンストロ-ムは中国に買収され、Hawker-Beechcraft はHawkerのジェット機部門は切り離しカナダ資本に身売り、Citation社は本年度の販売目標を引下げた。Citation社は中国市場への進出をABACEで発表しているが、EBACEでは中国市場進出は慎重に進めると中国の言いなりには成らないとの態度も示した。結局これら中堅メ-カ-は、最上位機種は持たない為特権階層に売る機材は無く、低価格帯機材メ-カ-の追い上げに挟まれて苦闘を強いられている。
  • 当然の事乍らGulfstream社は昨年秋より受渡しを開始したG-650(64.5百万㌦)に顧客を試乗させ Bombardier社もGlobal 6000 (60.5百万㌦)を、Airbus社は地元の強味でACJシリ-ズ(72~95百万㌦)、そしてBoeing社はBBJ3 (96.5百万㌦)をお目見得させた。
  •   期待を集めたのは、地元スイスのPilatus社のPilatus PC-12 (4.58百万㌦)の上位機種のPilatus PC-24 (9百万㌦)で始めて完成機が展示された。日本でも2000年初頭Pilatus PC-12 1機が輸入され注目されたが、日本では結局余り使われる事無く売却され姿を消した。この程度の価格帯機材でも日本の一般企業マンが利用出来る利用料は提供出来ない。
  •   再生復帰したBeechcraft社は双発ピストン機Beech Baron G58 (0.99百万㌦)と百万㌦を切る最新機を展示した。航続距離も2000㎞近く、巡航速度も350㎞/時は有り、4~5人乗りなのでこの程度であれば日本での利用の可能性は残る。
  • 「高かろう」、「良かろう」のフィ-バ-の中で日本は確かり「費用対効果」の評価を済ませ高額の上位機種は民間では1機も保有する事無く、一部「VIP送迎用」を除き5百万ドル以下の機材が使われ、大半が百万㌦以下の機材。今後競合交通機関との「時間節減による人件費の節減」を含めた「地に足が付いた」「費用対効果」の統一的な比較評価方式の確立と利用者への浸透が課題として残る。

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