2013年05月30日(木)11時17分
小型ジェット機Nextant 400XT
5月スイスGeneveで開催されたEBACE 2013 (European Business Aviation Conference & Exihibition)でNextant 400XTがお目見得した。前評判が高かったのは、2月に破産法のChapter 11より再生復帰したHawker-Beechcraft社が、ビジネスジェット機より撤退し、その過程でNextant Aerospaceが2007年に引取った旧Hawker-Beechcraft社のBeech 440A/XPがこれを改造、手直しし、市販を始めたからである。Nextant 400XTはBeech 440A/XPの機体はそそ儘利用したものの、内部はエンジンを含め80%は入替えた。日本でも最近、家屋の外壁は残し、内部をすっぽり抜いてリフォ-ムするが同じ原理。結果として、航続距離3,700㎞、巡航速度860㎞/時、乗客4名のLight Jetが同性能の競合機種の半値の5百万ドルとほぼマイクロジェットのホンダジェット並みの価格で提供される。試験飛行は2010年3月、米国連邦航空局の形式証明は2011年に取得、40機がFlight Options LLC に150百万㌦で初成約した。1機当り3.75百万㌦でこれが纏め買いのメリット。Flight Options社は90年代後半にRaytheon社がNetJetsに対抗してFractional Ownershipの会社として設立した。他に、Citation社がCitation Sharesを持ちこれらがFractional Ownershipの大手。纏め買いでデイスカウントを得、これを分割して売る事で稼ぐビジネスモデル。処で、Nextantの会長はFlight Optionsの創業者のKenn Ricci。彼は元々Clevelandのベンチャ-キャピタルファンドの持主。日本が注目すべきは、資金供与をするファンド、これの創業者精神溢れる指導者が古い機材をリモデルして市価の半値で売ると言う着目点と多様な機能を「3本の矢」として束ねる事で「価値の創造」行っている。又、一般の企業マンが利用するのは他のマイクロジェット同様、機材価格は5百万ドル以下、、回転翼機ではRobinson社の様に百万㌦以下と見据えている事。日本では過去ビジネス機の大半は機材価格が0.3~0.7百万㌦のピストン機、回転翼機で世界的な経済不況でビジネス機も金に糸目を付けない超富豪と一般企業マンでも手の届く低価格帯機材と2分化の現象が見られる。Nextantは中古機の再生と言う新たなビジネスモデルで日本には馴染み易い「良かろう」「安かろう」のユニクロ、無印良品的商法を狙っている。面白いのは、ABACEでの講演でアジアをビジネス機の有望な市場と見て下記の様な対極的なコメントを聴衆に伝えている事である。正にあの手この手を使い分けている。
1.アジアはス-パ-リッチが存在するビジネス機市場の未開拓地である。
2.今後10年間でアジアの10億㌦長者は倍増する
3.Nextant社はChina Great Wall Industrial Corporation とSingapore のJet Avaition Singaporeと提携関係
を結んだ。
4.インドから救急医療用に400XT15機を受注した。
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