2013年09月30日(月)03時29分
最近の小型新鋭機事情
日本では90年半ば頃より欧米で利用される大型ビジネスジェット機が紹介され20年余の歳月が流れたが、民間の中/遠距離用ビジネスジェット機は今日でも皆無。日本は世界より完全に取残されたとの声もあるが、これは日本で階級/所得格差が少ない事、平均的な国民の所得層が利用出来る「大量輸送」による商用便や、地上交通機関が高度に発達した「交通大国」に成長した事、国内では小型機や回転翼機で充分用は足りるが、「一般利用者」が気軽に国内でエアハイヤ-、エアタクシ-として利用するには、今後2~3年間に登場する「低価格帯」機材、然し性能面、安全性で大きく改善された機材の導入が必要で、海外の今後の動向を見守る必要がある。「低価格帯」とは機材の価格が5百万㌦以下、出来れば1~2.5百万㌦以下が望ましい。米国Garmin社のGPSを利用した機器により小型機、回転翼機の計器飛行も急速に普及し始めている。今後も本サイトでフォロ-アップはするが、下記のトピックスを紹介する。
Citation M2 : Entry LevelのCitation Mustangと日本でも利用されているCitation CJ2の中間的機種。航続距離、2,400㎞、最大速度740㎞/時、価格4.4百万㌦、Garmin G3000塔載。飛行試験も成功裏に終え、本年末型式証明取得予定。
Ecipse 550 : リ-マンショックで金融を絶たれ一旦破産したが復帰。航続距離、2,400㎞、最大速度700㎞/時、価格2.895百万㌦。本年末迄にNew Mexico州Albuquerque工場より6~7機出荷予定。2014年は月間2機生産予定。
Cessna Corvalis TTx : Cessna社はColumbia Aircraftから引き継いだ本機種アップデ-トし、市場に復帰すると言って居たが、本年6月処女機の受渡しが行われた。航続距離、2,000㎞、巡航速度435㎞/時、価格0.7百万㌦。Garmin G2000搭載。
Bell SLS (Short Light Single) : Bell Helicopter社はJetRangerの後継機としてHeli-Expo 2014( California州 Anaheim で明年2月24~27日開催予定)で詳細を発表すると本年のEBACEで発表したが、現段階での予測だが航続距離667㎞、最大速度232㎞/時程度。既にライバルEurocopter社は神戸空港内に整備工場、ハンガ-等の設備を構築済みで本年末より中国ハルピンで低廉な中国コストでEC-120 の生産を開始する。EC-120は航続距離710㎞、巡航速度278㎞/時。対する米国Robinson社のR-66は航続距離600㎞、巡航速度222㎞/時。R-66の日本での型式証明も取れ、今秋より日本の空にお目見得する。既に茨城県下妻に組立、整備工場、パイロット養成施設も完成済み。最も関心が集って居るのは価格。Eurocopter EC-120 1.5百万㌦、Robinson R-66 0.83百万㌦で勝負処は1百万㌦前後と見られている。この程度の価格帯に成れば、日本でも未だ多くの工夫を要するものの、一般企業利用者もエアタクシ-的に利用出来る可能性は残る。本サイトでも既に多くのレポ-トを掲載しているが、愈々1百万㌦前後の機材を廻り、Eurocopter, Bell, Robinson社3社の三つ巴の熾烈な競争の火蓋が切って落とされ様として居る。
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