2013年10月03日(木)04時17分
最近の小型新鋭機事情(2)
日本では海外で喧伝される中/遠距離飛行に必要なMid~Heavy Jetは民間に1機も存在しない事は本サイトでも度々記載した通り。無論、代表的なHeaevy Jetは14機は存在するが、自衛隊、国交省が所有する「軍用・公用機」でビジネス機の範疇より外れるので日本はビジネス機の象徴的なMid~Heavy Jetが1機も存在しない先進国として甚だ恥しい国との声も聞かれる。より価格が安いLight, Micro Jetは民間に24機存在するが(訓練用機を除く)、5機は報道関係(読売、朝日、毎日、中日)、10機は地方の中小オ-ナ-企業の所有機で残り9機は運航会社4社の所有機と、一般大手企業の所有機は1機もなくこれも問題視されて来た。。日本で一番安いビジネスジェット機はマイクロジェットのCitation 510 (Mustang) だがこれでも3百万㌦以上はする。より高性能なホンダジェットで有れば4.5百万㌦。大陸国(米国、EU、カナダ、豪州、ロシア、中国、ブラジル)の様に広大な国土で日本の様に網目の様に交通網を建設出来ない国では、空運に依存せざるを得ず、それ以上に日本の様な「平等社会」では想像も出来ない「格差社会」。旧社会主義国のロシアはプ-チン大統領が国富の2/3を7人が掌握して居ると嘆き、「共産党一党独裁」の中国は1%の富裕層が日本を遥かに凌ぐGDPの60%を抑えると言う「超格差社会主義国」。日本は国際的に指折りの「交通大国」「平等社会」で有り、胸を張って誇れる事で有っても高額のMid~Heavy Jetが民間に1機もないと恥じる事は全くない。その代りに、日本は過去四半世紀1機数千万㌦するHeavy Jetでは無く、その1/100程度の価格の小型固定翼機や回転翼機を利用し、今日でもこれら「広義のビジネス機」は1,000機余も現存する。但し、この種低価格帯のビジネス機でさえ、競合交通機関との比較で「費用対効果」を「正当化」して一般企業の「ビジネスマンの足」或いは「ビジネスツ-ル」として「2点間輸送」に利用するには更に様々な工夫を要する。幸い、欧米でもリ-マンショックを機に超富裕層、セレブ、VIP等の「特権階層」の利用と「一般企業マン」の利用の2極化が進みビジネス機の利用は「金持の道楽」では無いとビジネス機の利用を擁護(Advocacy)する事を最大の使命として来たNBAA (米国ビジネス航空協会)を悩している。財源不足に悩むオバマ大統領がビジネス機への課税強化の方針を打ち出し、NBAAの憂慮は現実化しつつある。然し、そこは流石に米国、過去10年、大手ビジネス機製造メ-カ-に拮抗して、一般企業マンでも利用可能な低価格帯の各種ビジネス機(マイクロジェット機もあるが寧ろ小型固定翼機や回転翼機)も続々と市場に姿を現している。又日本により馴染み易いAir Taxiもカナダ、英国、最近ではトルコでも使われ始めている。「新し物好き」で未だ市場開発段階のものに飛び付く事はないが、本サイトもこれらのグロ-バルな潮流をフォロ-アップする事で、日本でのビジネス機発展の一助に資する事を願っている。
米国ビジネス機利用実績やや回復の兆し-リ-マンショック以後世界のビジネス機需要は半減と言う惨憺たる有様。それでも中国、中東産油国の超富裕層が最上位機種を買い捲るので一息着いているが、中/軽機種メ-カ-は青息吐息で名門Hawker-Beechcraft社も経営破綻した。8月の運航実績では前年比Part 135関係ビジネス機は前年比14.3%増、Part 91 (自家用機)5.1%減、Fractional Ownership 運航機14.8%減とまだら模様。機種別ではHeavy Jet 6.3%増,Light Jet 5%増、 Mid Jet 横這い、タ-ボ機7.8%減。但し業界の大方の観測は富裕層は景気低迷のインパクトは元々少なかったが、Light Jetの戻りは市場が鍋底より回復し始めているとの希望的観測も生まれ始めている。
スイスPilatus社中国で機材生産-Pilatus PC-12 (価格4.6百万㌦、航続距離2,880㎞、最高速度518㎞/時の単発タ-ボ機) は世界で841機使われている名機だが,本年EBACEで新鋭機 PC-24 (価格9百万㌦、航続距離3,600㎞、最高速度787㎞/時、市場出荷2017年)を発表大きな話題を提供した。日本には数年前PC-12 1機が導入されたが、日本市場にはやや価格が高く、性能も日本市場にはオ-バ-スペックなのか2~3年で姿を消した。現在ビジネス機業界は 「中国へ中国へと草木は靡く」でPilatus社も8月に重慶でPC-6,PC-12の単発タ-ボ機の組立てを開始し、既に50機を受注済み。尚軍用機の生産は行わない。
Cirrus社SF 50-Cirrus社は最も低価格のマイクロジェット機供給メ-カ-として知られるが、リ-マンショック後、この種ベンチャ-企業への金融が途絶えた為破綻。これを惜しむ人々の支援で現在170人の従業員でSF 50を開発中。価格は1.96百万㌦、航続距離2,880㎞、最高速度518㎞/時。既に手付金の支払先500。2016年の生産予定は50~75機。その後は100機/年の生産体制を整える。尚Cyruss社の単発ピストン機 SR-22 (価格544,900㌦、航続距離2,166㎞、巡航速度343㎞/時) は.カナダ、トルコでAir Taxiとして利用され日本にも2機輸入されている。
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