2014年04月22日(火)01時57分

(14-11) ABACE 2014

ABACE (Asian Business Aviation Conference & Exhibition)は4月15~17日上海で開催された.アジア・オセアニア圏のビジネス機の急成長で注目が集り米国BACE (NBAA Convention Oct 21~23 Orlando, Florida),  EBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition May 20~22 Geneva, Switzerland)と並ぶ大きなイベントに成長。中国・アジアのビジネス機は世界平均成長率5%を遥かに凌駕、2007~2013年の中国成長率は34%/年と驚異的な伸び。今後母数が大きく成り名目成長率が落ちる事は避けられないが、2012年末の308機が2013年末371機と63機増加、今後共産党一党独裁体制が維持されれば(崩壊は時間の問題との指摘もあるが)この程度の増加は今後数年は続くと見られる。その一方、これら業界専門家の予測の精度に対し、大きな疑問が投げ懸けられている。

1.現政権の下での「特権階級」の腐敗一掃、奢侈禁止令により2013年前半のビジネス機購入量は急降下、後半大きく盛り返した。(腐敗一掃の試みは完全に失敗したと見られる)

2.ビジネス機は「金持ちの道楽」では無くビジネスマンの正当な「ビジネスツ-ル」と喧伝して来たNBAA等は大きなジレンマに遭遇。

3.NBAAはABACEを重要な業界の集まりと位置付け、自ら協賛の労を取る一方、隔年開催のABACEも例年と成り、ABACE 2015は2015年4月14~16日と開催日も決定更に上海空港当局と2021年迄の会場確保の取極めを交わした。

4.その一方、中国側の発表では、中国は世界の人口の20%占め、世界の7%の10億㌦長者が年率13%で資産を増加させ乍らビジネスジェットの世界シェア-は2%以下。潜在能力を喧伝する一方「特権階層」の「ステ-タスシンボル」と言う旗印を正面に掲げている。

5.他方、NBAAは米国でオバマ大統領がビジネス機は「金持の道楽」と課税強化に乗り出した為「ビジネスマンのツ-ル」のアッピ-ルに躍起。業界諸団体を糾合課税反対の連合軍を結成する一方、NBAA会員には地元議員に個別に政治的圧力を懸ける様懸命に努力。

6.この2正面作戦の成否はさて措き、日本は「経済的な成熟社会」、世界に冠たる「交通大国」故に遠距離飛行は商用機、海外のアクセスの悪い目的地には現地の低廉なビジネス機を過去四半世紀~半世紀上手く使い分けて来たので矛盾した問題は抱えていない。

7.寧ろ、中国・アジア諸国のビジネス機の充実は、香港、上海、北京は商用機、その先必要に応じ現地のビジネス機を利用する選択肢が多様化した事に成り歓迎すべき展開と言える。

8.シンガポ-ルのエアショ-でアジア地域のビジネス機(多くがジェット機の上位機種)の総数が1,200~1,500機(業界誌推定)と推定され、従来の数値との整合性が問題と成った。

9.今回最も権威のあるAsian Sky Groupのレポ-トで2013年末のビジネスジェット機の中国の保有機数は371機と報告されたが、全く異った数字が中国側の当局者から発表された。

10.即ち日本のJCAB (国交省航空局)に相当するCAAC (Civil Aviation Administration of China) より2013年末のビジネス機の現状として運航会社189社、航空機数1,654機、年間飛行時間569,000時間との報告が為された。

11.Asian Sky Groupのレポ-トは「ビジネスジェット機」に特化タ-ボ機、ピストン機、回転翼機等は含まれない。又、「官公用機」「商用機・コミュ-タ-機」「個人所有機」がどの程度仕分けされて居るか定かではない。本サイトで試みている「狭義・広義のビジネス機」、「官公需」、「個人名登録機」の仕分けや定義が行われない儘、数字が「独り歩き」している。

12.アジアの統計の最大の課題は、オ-ナ-が財閥、超富裕層、権力保持者等「特権階層」で、国内の世論の反発や政変に備え、自国で登録を行われない事例もあり、国別の統計には現れない。フィリッピンのマルコス政権、インドネシアのスカルノ政権が崩壊した折も、米国のCIAさえ海外に秘匿した資産は把握出来ず従って収用する事は出来なかった。

13.流石にAsian Sky Groupは米国、ケ-マン諸島、バミュ-ダ、マルタ島、マン島(英国)に登録されている中国機を一部トレ-スしている。

14.日本は「資産隠し」では無いが、大手企業はビジネス機としてのJA機は国内では1機も所有しないが、海外では60年代後半より所有・運航・チャ-タ-等様々な形態でビジネス機を利用して来た。現地法人や合弁先・運航委託先企業名で登録されるので追跡は事実上不可能。又、日本の(広義のビジネス機)の大半が2.5億円以下の低価格機材でビジネス機の「ニ流市民」扱いと成って居り日本のビジネス機の真の姿を把握して居る人は少ない。

15.世界的に権威のある業界のデ-タ-ベ-スを複数比較したが「誤差範囲」等と言うオ-ダ-を遥かに越える数字の食い違いが存在する。(登録機の拾い方、仕分け方で大きく違う)

16.世界のデ-タ-ベスは無論貴重な資料だが、国力の優劣を論じる事は出来ない。日本のビジネス機は圧倒的に低価格帯機材だが、国情と経済合理性の追求の結果で何一つ恥じる事は無い。上位機種を持たないが故に劣等感を感じる事はない。

17.日本は世間の耳目を驚かす巨額な成約が発表される、パリ-、ドバイのエアショ-やNBAA,EBACE,ABACEよりも日本に馴染む小型機・回転翼機の展示会により注目すべき。

18.2月24~27日Anaheim, Californiaで開催されたHeli-Expo 2014では、Bell社が1機百万㌦のBell 505をRobinson R-66の対抗機として展示、2016年の上市計画を発表。これに先立ち、1月に組織改編で日本市場はBell社が直接進出、既に実績を挙げているEurocoter社に対抗する。そのEurocopter社は1月よりAirbus Helicopterとして改組。Robinson社は昨年半ばに日本でR-66の型式証明を取得、市場参入を果し、三つ巴の日本市場開拓合戦が始まる。5月22~24日には欧州のMoscow Heli-Exppo 2014が開催される。

19.ABACE開幕直前の4月9~12日ドイツで開催された Aero Friedrichshafenは米国外に於けるジェネアビ(低価格帯の小型機)の最大の展示会で日本にも輸入されているCyruss社の新鋭機(1.98百万㌦)が展示され評判に成ったが2015年末受渡開始予定。既に500機受注済み。Cyruss社は中国に買収され新鋭機の開発も中国の資金援助で行われて居る。

20.ABACEで話題と成った中国のビジネス機の現状は省略したが、会合の参考資料として本サイトのレポ-ト欄に公開した (14-08) 日本と中国のビジネス機事情の比較を参照願う。

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