2014年05月26日(月)11時14分

(14-13) 中国の回転翼機事情 (2)

 

中国の回転翼機事情に就いては同タイトルで本年2月24日(14-05)の本サイトトピックスとして公開した記事を参照。本稿はその追加補完的な記事。欧米諸国と異り情報操作も行われている中国の実態を把握する事は米国CIAと言えども難しいが、幸い航空インフラの整備は広大な国土を有し、鉄道、高速ハイウェイが国全体に張り廻らせて居ない現状では内陸部の経済発展の為にも喫緊の課題。明治維新と同様海外の先進国より技術やノウハウを導入、これを効率良く果たす為に大量の「お雇い外人」を使えば良い。幸い、ビジネス機に就いては、香港、マカオ等旧宗主国がビジネス機を利用し日本以上に地勢的にも慣習的にもビジネス機利用の慣行もインフラも存在し、欧米の運航業者も早くから進出して来た。世界の商用機の生産メ-カ-のBoeing, Airbus社、リ-ジョナルジェット機メ-カ-のBombardier, Embraer社等も既に四半世紀中国に進出している。加えて中国の権力中枢や超富裕層の子弟は欧米に留学、ビジネス機利用の慣習も見聞し、海外との各種人脈を通して日本以上に欧米とは開放的な交流も行われて来た。欧米との共通点を挙げれば米国、欧州等と同じ大陸国、多民族国家として海外との交流には慣れて居る、違う意味では有るが何れも階級社会で「特権階層」がビジネス機を多く利用する事も熟知して居る。(日本の様に階級格差に対するアレルギ-や遠慮は無い)、更に第二次大戦、共産化(最近は香港の中国への返還)に伴い富裕層の多くが英連邦に組込まれていた香港の特権を利用し、同じ英連邦のカナダ、豪州等に移住した。(移民手続が簡単で人口補充の為に移民は大歓迎)。カナダ、豪州とも大陸国、英国の「階級社会」としてのビジネス機利用の慣習等多くの共通点を有する。回転翼機を含むビジネス機の統計も中国のAvion Pacific,Ltdと米国のSeacor Holdins Incの合弁企業であるAsian Sky Groupが、日本を除くアジア市場の実態が明かにした。「日本を除く」とは日本は国交省への登録・抹消記録が公開され、月遅れの月次の登録・抹消記録も公開、利用実績も関連団体より発表されるので全てがオ-プンに成って居り、寧ろ海外の統計の日本の欄の誤りは日本の統計で補正している。

 

追 加 補 填 事 項

(1)  本年2月のSingaporeエアショ-に間に合わせる為Asian Sky Groupがアジア地域のビジネス機の統計を洗い、且つ機材メ-カ-の出荷実績、運航会社の運航実績を突き合せた結果、意外に大きなギャップが存在する事に気付き著名な業界誌も中/遠距離用機材が1,200機或いはそれ以上存在するとの驚くべき記事を掲載した。世界の著名なビジネス機のデ-タ-ベ-スとは全く異った結果に業界のプロも一様に驚きを現した。日本の民間には中/遠距離飛行用ビジネスジェット機が皆無と言う現実に照してもその規模の大きさが分かる。

(2)  結局、中国を含むアジア近隣諸国では超富裕層或いは権力中枢に近い「特権階層」は世論の反発、節税を含め海外でビジネス機を登録する事が多く、国別の登録状況と実態はかなり異る事が明かに成った。

(3)  業界誌は、早速英国のマン島、San Marino, Malta, Cayman諸島、Bermuda, Aruba(カリブ海)等のアジア諸国の好む登録先の手続上の難易度に就いての記事を載せ、殆どの地域で地元に居住する業者に委託すれば業者名義で登録が行われ実際のオ-ナ-の名前は表に出ない事が明かに成った。

(4)  日本の場合、国内で大手企業がビジネス機を所有、運航、利用をす事は無いが、トヨタ、ソニ-も一昔前Luxemburg,Berlinで欧州での利用機の登録をしていたが、ソニ-は現在も米国で機材を所有、運航、利用して居るし、日産もゴ-ンズ会長機をNorth Carolinaで登録している。但し、海外に企業進出した日系企業は現地法人名、合弁企業名で登録するので日本企業と判定する事は極めて難しく、現地企業は現地法人で在り米国日産の所有機を

(5)  日本のビジネス機とは呼ばない。近世の主権国家の概念とグロ-バルな多国籍企業の概念が混同・共存して居り、「善悪是非」の論議には馴染まない。

(6)  Asian Sky Groupの指摘はこの辺の矛盾を適切に突いたもので、世に出廻る国別統計の重要性を減じるものではないが、実態との喰い違いが避けられない現実も認識する様「一石を投じた」貢献は認めたい。

(7)  Asian Sky Groupの最近の指摘は下記。

  1. 豪州では人口12,000人に1機のヘリがあるが、中国は3,100,000人に1機。

b. (これを日本に引直すと1,000,000人に数機と成る。)

c. 故に、中国の鉄道、道路状況からビジネス機の急成長は充分期待される。

d.  中国は現在の5ヵ年計画の最終年度の2015年に低空域の民間への開放を規定。

e. 現在、これに向け各種改善策が検討されて居り、ヘリ利用は急成長が予測される。

f. 中国側の予測で今後20年間で3~5,000機には成ろう。

g. 2013年末の中国のヘリ保有数は465機。(日本は789機)

h. 2013年末のヘリ製造メ-カ-別シェア-は下記。

 

Airbus

Sikorsky

Agusta

Bell

MD

その他

36%

28

10

9

9

8

 

(8)  以上の業界予想は中国の現体制が維持される事が前提。中国のカントリ-リスクの高まりはあらゆる識者が指摘して居り、不動産バブルの終焉は中国の各地で見られる「鬼城」(ゴ-ストタウン)と地方銀行、自治体救済の為の政府・中国銀行の緊急救済措置、尖閣諸島・東シナ海の領有権主張での対外問題への国民の目転嫁行動よりも読み取れる。

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