2014年07月03日(木)08時10分

(14-19) エアアジアの日本市場への再参入

 

(14-19) エアアジアの日本市場への再参入

7月1日エアアジアは日本市場に再参入、同日付けでエアアジア・ジャパンを設立した。過去3週間、本サイトのトピックスとして;

(14-16)2013年度の世界のLCCランキング(6月11日公開)

(14-17)  米国のULCC (Ultra-Low-Cost-Carrier)(6月30日公開)

(14-18)地域コミュ-タ-機  (7月2日公開)

を掲載したが、真にタイムリ-にエアアジアの日本市場再参入の報が舞い込んで来た。ビジネス機はビジネス・エグゼキチブが世界の舞台狭しと飛び回るカッコ良い「ビジネスツ-ル」。他方LCCは若者、低所得者層が愛好する「格安航空機」とのイメ-ジが一般的で、何故ビジネス機をテ-マとする本サイトが取り上げるのか疑念を持たれる方も居られ様が、本サイトでも紹介したが、対極にあると思われ勝ちなビジネス機とLCCの間に多くの共通点が存在するが後段で総括する。

 

エアアジアは2011年ANAと合弁を設立、2012年8月より成田空港を拠点とLCC事業を開始したが、経営路線の不一致で2013年合弁を解消。今回は来年夏を目途に2機体制、直ぐに3機目を投入、2015年には4機体制の運航と成る。拠点は中部空港も話題に上るが未定。スロット枠が取れれば、羽田への就航も視野の内。資本金は70億円。出資はエアアジアが49%だが、議決権は1/3に止める。他の株主として投資ファンドが19%、楽天、18%、ノエビア9%、アルペン5%と報じられている。

 

以上は簡単な報道内容の紹介だが、ビジネス機の一般普及の視点から次の諸点が興味深い。

ANAとの合弁を解消し日本市場より撤退し乍ら何故再参入なのか?ANAに代えて組んだパ-トナ-の思惑 ?この様な合弁が設立された日本の業界事情。エアアジアを除き、株主の顔ぶれとLCCとの関連付け。書き出しにも述べたが、対極と見られるビジネス機とLCCの共通点を探れば憶測の域は出ないが、或る程度の「謎解き」は可能。

 

1.ビジネス機とLCCは共に商用機の便が悪い2地点間を直線で結び顧客の利便性に寄与。

2.従って、日本、欧米を問わず企業幹部も幹線航路は豊富な選択肢のある商用便を利用する。

3.例外は金に糸目を付けず「ステ-タスシンボル」として利用する超富裕層、セレブ、VIP。

4.他の例外は世界を飛び回り、訪問先で重要事項を即断、即決出来るカリズマ経営者。

5.海外は新興国を含めカリズマ経営者は或程度存在するが集団的合意が原則の日本では稀。

6.ビジネス機とLCCは共に混雑する主要空港は避け周辺の二次空港を利用する。

7.利用料が安い事もあるが離発着枠、時間等の規制が少く、滑走路待ち等の時間ロスがない。

8.LCCは短距離飛行が大半で機内サ-ビスは最低限の”No Frill”。 荷物重量制限も厳しい。

9.ULCCは機内持込み荷物を始め全てのサ-ビスは有料。有料サ-ビス収入が収入の1/3。

10.ビジネス機では望むあらゆる機内サ-ビスは提供されるが全て顧客の実費負担。

11.社内の旅費規程の縛りある企業マンは幹部もビジネスLLCに相当する商用機を利用。

12.ビジネスLLCの商用機のビジネス席も競争でビジネス機以上の機内サ-ビスを提供。

13.例外はあるが商用便のビジネスクラスの50~100倍もするビジネス機は利用され無い。

14.ビジネス機の一般企業マンの米国内での1回当り平均利用時間は1.8時間、片道50分強。

15.日本国内は700㎞以内は新幹線が有利、北海道、四国、九州、沖縄は商用機利用が勝る。

16.利用客は幹線空港よりコミュ-タ-機、タクシ-、バス等を乗り継ぎ利用。

17.新幹線、商用機運賃は\15/㎞前後、コミュ-タ-機の2013年度全国平均は¥29.90/㎞。

18.最も高い東邦航空コミュ-タ-機八丈島-青ヶ島間で\11,530,74㎞飛行で\155.81/㎞。

19.利用機材は低価格帯ヘリの上位機種Airbus AS-350 .一般のチャ-タ-料\1,500~2,000/㎞。

20.地上交通機関で最も高い地上タクシ-で\330/㎞で最も高いコミュ-タ-機運賃の倍。

21.短距離、短時間なら一般ビジネスマンもタクシ-を使うがコミュ‐タ‐機はその半値。

22.商用機の利用は700㎞以遠は商用機、次はコミュ-タ-機、その先50㎞がAir Taxi..

23.50㎞内ならヘリコプタ-で15分以内。平均10分の利用ならAir Taxiの出番も有ろう。

24.新幹線/商用機-コミュ-タ-/鉄道支線/バス-地上/ Air Taxiは競合関係より補完利用。

25.巷の一般利用者は運賃が最重要課題だが格安の2点間直行輸送の利便性も重要。

26.”No Frill”は利用客が望まないサ-ビスは金を払わず望むものに選択的に対価を払う事。

27.顧客は多様なニ-ズを有し、ビジネス機もULCCも客のニ-ズに応じ柔軟に対処する。

28.LCCのコスト節減の大きな要素はインタ-ネット利用によるコストの抜本的合理化。

29.日本でこれ迄一番欠けて来た要素はビジネス機の利用者の参画とニ-ズの汲み上げ。

30.エアアジア・ジャパンの18%株主楽天三木谷会長は日本では稀なカリズマ経営者。

31.三木谷会長はHeavy Jetを購入香港と思われるが運航を委託、海外渡航に利用。

32.アルペンは東建(芝浦ヘリポ-ト運営)とCessna 525Aを所有・利用している。

33.ノエビアは昨年末の登録機リストには現れないが最近迄Citation機を所有・利用。

34.最も興味深いのは、日本では稀なビジネス機のオ-ナ-・利用者がLCCの主要株主。

35.ビジネス機とLCCと言う対極のビジネスを繋ぐものは何か?

36.エアアジア会長は同じ考え方を持った、大手企業 (ANA)より起業家グル-プを選んだ。

37.三木谷会長は楽天の創業者でインタネットを駆使した集客、ブッキングの強味を持つ。

38.政府の産業競争力会議の民間メンバ-として日本の空の自由化を強く要望。

39.首都圏空港の低料金化24時間化で日本経済の復活、発展を志向。

40.ビジネス機の豪奢な大型機飛翔の幻想に惑わされず商用機からLCC迄全体的に捉える。

41.何よりも「空の自由化」により内外の関係者、利用者、経済全体を潤わす「志」を持つ。

42.情報・市場の共有が究極的に「多様化による創造性」を産み全体最適に繋がる。

43.ビジネス機普及の努力も「縦割り」の「点」の努力は限界。寛い心と「協働」が必要。

44.幸い全ての必要な要素が集まり始め将来への希望が芽生え始めて来た。

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