2014年02月23日(日)09時37分

(14-5)中国の回転翼機事情

中国の航空機は軍用を中心に発達し弾道ミサイル、衛星打ち上げに見られる高度の技術集積を成し遂げた。
近年は、「所得格差」が顕著とは言え、内外での商用便の利用も増え、空港の拡張計画も用地に制約のある日本を尻目に北京、広東、上海等の主要空港は成田、羽田、関空等日本の代表的空港を遥かに凌ぐ野心的な拡張計画を打ち出している。
ビジネス機の分野でも、植民地であった香港、マカオで欧米のビジネス機が古くから利用され、北京オリンピック、上海万博を機に北京、上海の受入れインフラも整備された。
昨年上海で開催された(ABACE) はアジア最大のビジネス機のエアショーに成長、高額の上位機種が大量成約、世界の業界の耳目を驚かした。
本年度のABACEも米国NBAA (全米ビジネス航空協会)との協賛により更なる盛況が予測される。
ビジネス機の集いである以上、凡る機材が展示され商談も成立するが、注目は「狭義のビジネス機」であるビジネスジェット機の上位機種に集中する。
本サイトでは、これら花形機種の成約の陰で、小型固定翼機や回転翼機関係の現地組立て・生産・海外企業の買収による技術・ノウハウの習得に就きこれら地味な話題を掘り出して、トッピクスとして提供して来た。
「広義のビジネス機」の裾野に位置する回転翼機の実態に就いては欧米の機材供給メーカーの販売実績よりある程度の数値が把握されていたが、今回Asian Sky Groupが包括的な実態と統計を発表したので要約を紹介する。
Asian Sky Groupは米国最大のビジネスジェット機ブローカーのAvpro Inc. と.日本のJCABに相当する中国のAVIC傘下の AVIC International Development Corp.の合弁で中国の「狭義・広義のビジネス機」の現状を広く世界に認識して貰う為の統計を含めた資料の整備・広報を目的に設立された合弁企業である。
明治初期、日本が列国の認識を得る為、「お雇い外国人」を大量に抱え近代化と海外へのアッピールに努めたのと同じ構図。
ビジネス機の量的アッピールは勿論、海外関係企業との「協働」による機材の調達→組立て→自国生産に加えハード、ソフト両面でのインフラ整備、航空行政・法規に関する助言・支持、統計資料の整備等少なくとも今後2~3年で日本が足元にも及ばない格差が生ずると見られる。
日本では、ビジネス機としては真剣に顧みられない回転翼機に就いても確り状況把握・統計資料の整備等必要業務の充実に乗り出し始めた。

(1) ビジネス機の利用は広東省を中心とした沿海と大都市圏に集中する。
(2) Airbus Helicopter (Eurocopter) が121機と全体の26%。
(3) これに続くのがRobinson社も102機と急速にシェアーを伸ばしている。
(4) 中国のタービン機306機の最大の用途は海上油田の開発で2013年の用途別利用実績では39%。
(5) この分野では、Sikorskyの進出が目立つ。
(6) レシプロ機ではRobinson社が102機が市場の22%のシェアーを占めリード。
(7) 2013年末の登録機数は465機で今後も年間30%強の成長が見込まれる。
(8) 主要用途(タービン機)は洋上作業40%、その他26%、救急医療・人命救助15%。
(9) 本サイトの目的である企業の利用は4%、チャーターは5%と利用率は低い。
(日本は2012年末数値、中国は2013年末数値)

 

 

中  国

日  本

保有回転翼機数

タ-ビン機

レシプロ機

465

306

159

789

607

182

タ-ビン機単発

総機数に占める比率

Airbus Heli AS-350

Bell 206

Bell 407

125

27%

21

35

24

176

22%

91

51

4

レシプロ機

総機数に占める比率

Robinson R-22

R-44

159

34%

182

23%

66

99

利用業務

洋上作業

その他

報道

農業

遊覧

空撮

電力線

救急医療・救助作業

法的執行(警察等)

39%

26%

5%)

5%)

5%)

(4%)

(4%)

15%

9%

*

17.7%

2.8%

2.2%

6.7%

14.4%

*中国の用途はタ-ビン機306機の内訳。分類方法も違うと思われ単純比較は出来ない。

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