2015年04月19日(日)02時17分

(15-07) ASG (Asian Sky Group) 之アジアビジネスジェット機レポート

 

 

4月14日のABACE (Asian Business Aviation Conference & Exhibition) の開催に合せASGがアジアのビジネスジェット機の2014年末の統計を発表した。中国の統計は一般に「官製」で政治的な意図が含まれたり、機密性や都合の悪い情報を流さないので信憑性が薄いと見られる。中国を今後数年世界最大の成長市場と見た米国は、より精度の高い情報を得る為、米中合弁の企業を3~4年前設立した。米国側は年収10億㌦のSEACOR Holdings Inc.と中国はAvion Pacific Ltd。米国側は最大のビジネスジェット機の取扱業者であるAvpro,Incと中国側は中国内に6カ所の支店を持ち20年の取引経験を有する専門業者でこれをCaiga (China Aviation Industry General Aircraft Co.、Ltd) がバックアップしている。CaigaはAVICの傘下にあり、両社は中国初のビジネスジェット機、商用機を開発中で既に試験飛行に向けて機材の組立てを進めている。この様に確りした基盤を持ち過去2~3年間で中国或いは東南アの華僑の所有機や地域の「特権階層」のビジネス機の所有状況に就いても欧米の一流の調査機関以上に実態を正確に把握する様に成り、本サイトもその情報を流用している。但し、全ての調査資料には夫々一長一短があり、ビジネス機の場合より構造的な問題もあるので今回は敢てトピックスとして採り上げた。

 

ビジネス機の定義

ビジネス機の定義は法的な根拠は無く便宜的な利用もかなり恣意的な側面も見られる。普遍的な分類法では軍用機は除外され、民間機に限定される。更に、民間機の中には軍用以外の公用機が含まれ、これを除く必要がある。日本の場合自衛隊機でも通常のビジネス機として取引される機材や「政府専用機」、国土交通省の「検査機」、「海上保安庁」や自治体所有機も「日本航空機全集」には収録されて居るが除外が必要。更に、商用機、コミュ-タ機に利用される機材も除かれる。此処迄は客観的に作業が進められるが、訓練機としてパイロット養成校等が所有する機材はどうするか? (本サイトでは除去)。個人企業や況してフライトクラブ等の同好クラブの機材は如何に扱うか? レジャ-用に利用される航空機はどの様に処理するか? (本サイトでは実態把握が困難なのでビジネス機に包含)等レポ-タ-の判断に委ねられる細部の分類があり、法的な定義が欠如して居るので、業際的な使われ方をして居る物は分類に主観的判断が入る。細部に拘らなければ、日本の航空機は4000機。内民間機2000機。ジェット機の「日本航空機全集 2015」収録の航空機総数は582機、この内本サイトで拾い出したビジネスジェット機は24機。それも、Citation 680 2機を除いた機材はLight Jet, VLJ (Very Little Jet) のジェット機で低価格帯機材のみ。これも民間での新規買い付けは無く、寧ろ漸減傾向。所有機の名義人変更も航空大学の訓練機のお下がりを購入と言った中古機の国内取引もあり、取引価格の実態は更に低い。

 

ASGの日本のビジネス機の実態の取扱い方

日本でもそうだが、ビジネス機は「ビジネスツ-ル」として「生産性向上」に資すると言う謳い文句が、域内で最も工業化が進みグロ-バル企業が多い日本では、ビジネスジェット機の多寡、上位機種では、既にSingapore, Indonesia, Malaysia, Philippinesに追い抜かれ早晩タイにも追い抜かれるだけでなく、アジア-太平洋圏では2013年迄中国を凌いだインド、圧倒的な強さを誇るオ-ストラリアがASGレポ-トより抜けて居るが、ASGこの理由付けに戸惑っている。特に、中国や東南アの華僑、「特権階層」は日本とは正反対に高額な上位機種を買い漁っている。ASGも嘘は付けないので、「富のあからさまな誇示」との表現を使っている。但し、ASGはビジネス機関連の調査機関として情報を提供する事より、潜在的な購入者の欲望を刺激、ブロ-カ-として中古機を含め取引の促進を図るのが狙いなので、世界第3位の経済大国日本が、低価格機材のみを利用するのは都合が悪いし、本サイトでも指摘して居る様に日本でもステ-タスシンボルとして利用する顧客層の中国や近隣諸国よりの呼び寄せニ-ズの喚起も狙って居る。本サイトは一般のビジネス機利用を如何に行うかを課題にして居り、この様な顧客層は対象にして居ないが、商売である以上、これら高単価の顧客層に対応、近隣諸国より取寄せ需要に応じられる事を前面に打ち出し、日本の顧客も使う上位機種を日本のビジネス機とレポ-トする事を敢て行った。即ち国土交通省の「検査機」、海上保安庁の所有機それ以上に中国、スイスの運航業者のJA機では無い航空機も日本のビジネス機としてレポ-ト。ビジネス機の定義が曖昧さ故の現象で有ろうが、これでは国際比較の釣合いが取れ無くなる。

 

矛盾の理由と割り切り方

(1)  元々定義が曖昧なので線引き出来ないグレ-ゾ-ンが存在、主観的な判断が入る。

(2)  本サイトでは「細部に拘らず」グロ-バルな比較の参考に留める様提唱。

(3)  国土が広大で航空機の利用が不可欠な「大陸国」や「島嶼国」で利用が欧盛。

(4)  然も「交通大国」の日本の様に狭い国土に公共交通機関が高度に発達していない。

(5)  従って航空機利用の方が時間的、利便性でも勝り、然もコスト的にもその方が安い。

(6)  トップダウンのリ-ダ-シップで一部の人に権限が集中、即断即決の決定が下せる。

(7)  日本はボトムアップの集団意志決定方式でトップダウンのリ-ダ-は中々育たない。

(8)  トップ経営者もサラリ-マンで社内規定に縛られると同時に遵法精神にも富む。

(9)  「富と権力の誇示」は日本では一般的に「驕り」の現れと捉えられ嫌われる。

(10)何れが良い悪いでは無く国情に応じたビジネス機の使われ方があっても良い。

(11)日本もビジネス機利用のニ-ズに即し近隣諸国より取寄せ、現地でチャ-タもする。

(12)「在りの儘の姿」を見せ何も恥じる事もなく、コンプレックスに陥る必要もない。

(13)ビジネス機利用が機材の国籍に関係なくクロスボ-ダ-で使われるとの指摘は妥当。

(14)「空に国境なし」国別の登録機の多寡/機種で優劣を云々する是非が問われても良い。

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