2015年07月10日(金)02時43分

(15-12) パリ-エアショー

 

航空宇宙機器の国際見本市として世界で最大規模を誇るエアショ-はParisと英国Farnboroughで毎年交代で開かれ、今年は6月15~21日 パリ-のLe Bourget空港で第51回目のショ-が開催された。最初の3日間は航空機関係者のプロフェッショナルの参加に限られるが、後半の4日間は一般の来場者に解放される。年々規模も膨らみ宇宙衛星、軍用機、商用機より小型機、回転翼機から関連機材や各種ソフト迄あらゆる関係業者が参加、夥しいイベントや交流が行われるので、ビジネス機に特化する本サイト、況して低価格帯の機材の利用が中心の日本のニ-ズは埋没して仕舞い勝ち故、要点のみ総轄する。

 

規    模

参加者:業界関係者149,967 (前回2013年比+7.6%)、一般入場者201,637 (+13.6%)

    報道関係者3,100、業界VIP 91ヶ国296等 総計 約350 ,000人強。

    元首、閣僚 国防関要人参加者87ヶ国、仏大統領、首相、閣僚12名も参加

出展者 :48カ国2,303社(+4%) 26 Pavilions, 出展航空機150機

次回開催予定日:2017年6月19日~25日

規模比較 :米国Wisconsin州Oshkosh エアショ-の参加者500,000~700,000人

      軍用、商用機を除き小型機等一般オ-ナ-、愛好家の夏の祭典

ビジネス機:BACE(米) 25,000人、EBAA(欧州) 12,500人、ABACE(アジア) 7~8,000人

成 約 実 績

成約発表が為された商用機数934機、成約推定総額 1,300億㌦

Airbus,   Boeing, ATR, Embraer 4社成約合計,1,120億㌦

Airbus   421機 570億㌦, Boeing 331機 502億㌦。追加発表で夫々531機、371機。

Airbus   Helicopters 52機 550百万ユ-ロ

話題と成った人気機種:Dassault社の最新鋭ビジネス機Falcon 8X、Airbus A350, Bombardier社 CS 300, Boeing社 787等。

 

以上から読み取れる様に、フランスはAirbus社の本拠で、Dassault社の如き軍用機生産メ-カ-も居るので、大統領の肝いりで、世界に誇る航空産業の誇示の場としても国力を傾けて毎回のエア-ショ-の成功に注力、実際に目に見える成約にも繋っている。

日本は戦後航空機産業は解体、その後商用機中心に再建されたが、この種エア-ショ-の花形の一つが軍用機で、日本では自衛隊用の機材生産に内外の制約もあり、派手な軍用機の展示、成約が為される事は無い。然し、Airbus, Bombardier, Boeing社の名だたる航空機メ-カ-は、日本よりの部品調達に大きく依存している。例えば小さなベアリング一つでも、日本の技術を活かした高品質の材料が不可欠で、日本の中規模メ-カ-の中には自社製品の世界市場シェア-規模が50%以上を越える企業もかなりある。又、ドリ-ムライナ-と呼ばれ今回のショ-でも人気を集めたBoeing 787等は主翼の軽量化の為、日本の炭素繊維、特殊樹脂の複合材料を主翼に使い、部品の1/3は日本より調達、ユニット厨房器具、トイレ、一体成型の座席等日本製品は海外の航空機で広く採用され、Boeing社の次世代大型機777X (2020年販売予定)も日米共同開発で進められている。華やかなエア- -ショ-の成約実績発表には日本企業名は出て来ないが「縁の下の力持ち」以上に水面下で実利にも確り結び付いている。

最近の各種エアショ-では三菱重工のMRJ,ホンダのマイクロジェットも話題に上りホンダは試乗機でパリ-に乗り入れているが、日本の技術力に対する市場の期待も大きい。

本サイトの目的とするビジネス機の日本に於ける一般普及にはビジネス機の上位機種が利用される可能性は薄く寧ろ低価格帯の回転翼機中心と成ろうが、金額的にはこの種エアショ-の成約金額とは桁違いに小さくマスコミの話題には成らないが、日本には日本に馴染むビジネス機の利用法が有り最適の方策を選択すれば良い。低価格機材利用による一般利用者の「2点間輸送」のモデルは中流所得層が急増中の近隣諸国にも普及する可能性はある。

過去10年、世界の商用機の寡占メ-カ-であるAirbus,Boeingの角遂が興味本位も加わり話題とされる事が多いが、下記の様に成約は2社合計902機に達した。

 

Widebody

Narrowbody

Airbus

55

294

Boeing

77

476

合 計

132

770

 

やや異る角度より光を当てた、Aviation Week誌記載のエアショ-効果を示した表は下記の通りだが、エアショ-での広報効果を考え、既に成約して居ても、対外発表はエアショ-の場を借りて行われるので、全てが会期中に会場で成約した訳では無い。

 

Paris 2011

Farnborough 2012

Paris 2013

Farnborough   2014

Airbus 機数

金額

730

$72 Billion

115

16.9

466

68.7

496

75.3

Boeing機数

金額

142

22

373

35.6

442

66

201

40.2

2社合計機数

金額

872

94

488

52.5

908

134.7

697

115.5

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