2015年11月23日(月)02時07分

(15-21) NBAA Convention 2015

 

 

恒例のNBAA (National Business Aviation Association-米国ビジネス航空協会)の年次総会に合せたGAMA (General Aviation Manufacturers Association-ジェネアビ機製造業者協会)の共同主催によるBACE が(Business Aviation Conference & Exhibition-従来の呼称NBAA Conventionの方が慣れて居る関係者には分かり易いが)11月16~19日Las Vegasで開催された。国際的に呼称を統一する為NBAA ConventionをBACEにしたがEBACE (European) ABACE (Asian)に倣ったもの。今後開催予定日は下記。

 

開催時期

開催場所

参加人数

BACE

2016年11/1~3日

2017年10/10~12日

2018年10/30~11/1日

2019年10/22~24日

Orlando

Las   Vegas

Orlando

Las   Vegas

約25,000人

EBACE

2016年5/24~26日

Geneve

約12,500人

ABACE

2016年4/12~14日

上  海

約8,000人

Heli-Expo

2016年2/29~3/3日

Louiville   ,KY

約20,000人

 

上記のビジネス機関連の国際ショ-、セミナ-、講演会は世界中の関係者が1堂に集まり、開催期間中はビジネス機の展示、情報収集、人的交流等が間断なく行われる。参加者が最も多い航空機関係のイベントはWisconsin州Oshkoshで毎夏開催されるAir Ventureで約50万人強 (主催者側発表では70万人)。 他に世界の3大Airshawと言われるのがParis/Farnborough (隔年交互に開催)、ドバイ、Singapore ( 2年毎に開催。次回2016年2月18~19日) でこちらは軍用機、商用機が中心故に本年のParis Airshawでは20万人を越える参加者で、ビジネス機に特化するAirshawとは桁が違う参加者と商談が成立する。ビジネス機の関連で言えば、日本の民間では高額なビジネス機の上位機種は過去10年近く購入されず、ビジネスジェット機では最低価格帯のマイクロジェット機も数える位少なく、世界のビジネス機市場より2000年半ば以降レ-ダ-スクリ-ンより姿を消した。寧ろ、日本の土壌に合ったヘリコプタ-関係のAirshawであるHeli-Expoやモスコ-でのヘリショ-の方が実質的な参考に成ろう。HAI (米国ヘリコプタ-協会) は各地で開催されるヘリコプタ-関連のイベントのカレンダ-を公表しているが毎月2~3回以上の頻度で地球上の何処かで集まりがある。

BACEに合せてHoneywellやRolls-Royce等がビジネス機の10年予測を発表するが、今年度のHoneywell社の予測は機数で9,200機、価格で2,700億㌦と昨年の金額予測より3~5%下方修正した。本年の伸びは横這い、ブラジル、ロシア、インド、中国のBRIC’sの経済低迷が主因との見立て。無論、日本には実質的には縁のない話。2015年の受渡し10年予測は675~725機、需要予測の52%がHeavy-Long Size, 23% Mid-Size, 25%がSmall-Size..地域的には北米が将来のシェア-の61%、欧洲、14%、ラ米29%、アジア-大洋州14%。日本では本年10月Citation CJ4 3機が受渡されたが、これは国交省の検査機の買い替えで公用機故にビジネス機とは勘定されない。BACEでの主要話題は下記。

1.中/小型機が得意のTextronがより遠距離用にCitation LongitudeとHemishereを展示。

2.Eliot AviationはBeechjet 400AとHawker XPの改良プログラムを発表。

3.Nextant Super-Midsize, Large Cabin機の開発プランを発表。

4.Asian Sky Groupが中国のビジネス機の成長率を5%/年に大幅下方修正。

5.EmbraerはLegacy 450の航続距離を2500から2900nmに伸ばした事を明かにした。

6. Gulfstream社はG450の改良機G-500(43.5百万㌦)の試験飛行を実施。

7.FlexjetとFlight Optionsは親会社Directional Aviation の下で事業を集約化する。

8.これにより一時代を画したFractional Ownershipの供給者もNetJetsの2社に集約。

9.Honda Jetは年内に型式証明を取得顧客に機材の受渡を開始すると宣言。

 

ホンダはHonda Jetが3000時間の試験飛行を完了、近々FAAの型式証明を取得、年内に顧客への受渡しを開始すると発表したが、三菱重工のMRJ同様度重なる計画の遅延で顧客離れが進む事を懼れ、積極的に作業の進捗状況を公開する事で市場・顧客の懸念を一掃する広報活動を続けて居る。過去ホンダは100機以上の受注が有ると言ったが、その後競合相手に情報が流れる事を懸念、正確な受注状況は公開していないが、2016年以降年間80機程度の生産・販売を計画している。時を同じくして三菱重工も名古屋でMRJの試験飛行を成功裏に行い、2017年受渡しの開始が出来ると自信を覗かせた。日本のマスコミも一斉に「国産機」「日の丸航空機」が世界に羽ばたく期待に胸を膨らませた。此処で一言付加すると何が「国産機」か一考を要するが、幸いHonda Jetの開発に30年を捧げた藤野社長の見解を紹介する。米国で開発され、部品も、工員も現地で調達、生産されるHonda Jetが「国産機」なのかの問いに明確に答えている。 「ホンダジェットはホンダ100%の子会社ではあるが、米国籍の法人組織」「従業員の多くは外国人(35ヶ国以上)で合計1500人超(2015年8月現在)」「日本のメ-カ-から調達する部品は十数%程度」「グロ-バル化の時代 “国産” “メイドインジャパン”と言う呼び方や定義は曖昧。答えは千差万別」「とかく日本人は “国産” “国産品”の言葉に拘りが強く、何かと言うと口をついて出る事に成る」「本質的な中身の方が大事。日本人の知恵とか、フィロソフィ-、人的なマネジメントや経営スタイルと言った、一番重要な(頭脳に成る部分)を日本人として握って居るのか」藤野社長は30歳代で米国に渡りHonda Jetの開発を米国で進めて来たが「真の国際人」として初めて言い切れる言葉。日本人の持ち味を広い国際舞台で磨き上げた事は同じ日本人として誇りに思うが、グロ-バル時代「多様性は創造性の母」と言われる時に、“メイドインジャパン”の拘りから卒業する事が必要。ビジネス機も欧米の模倣では無く日本の土壌、現実に根差した日本に馴染む方策を工夫・実行に移せば良い。

 

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