2016年02月07日(日)01時56分

(16-04) 航空機の安全性

 

要   約

 

1.航空機事故発生はマスコミで大きく報道されるので航空機の安全性への危惧が残る。

2.又本サイトで的を絞ったヘリコプタ-はオスプレ-の安全性が政治問題化された。

3.昨年 (15-13) ヘリコプタ-の安全性のレポ-トはライブラリ-で検索可能。

4機材の改善、アビオニックスの長足の進歩で、最近は事故は大幅に減っている。

5.業界は2015年が航空機事故の分水嶺に達した年として将来記憶されると言う認識。

6.航空機の安全性は他の交通手段より格段に安全性は高いがパイロットの教育は必要。

7.メカニカルな欠陥よりテロ、ハイジャック等セキュリテイ-問題が今後の主要課題。

 

航空機の安全性に対する最近の海外業界の認識

 

1.2015年度に死者が出た航空機事故は9件死者176名、2014年度は19件、死者671名。

2.事故件数は80年半ばより低位横這いで推移して来たが2015年は前年の半数以下死者1/4。

3.定期商用便の事故は2件、ドイツのGermanwingsとロシアのMetrojet。

4.前者は精神不安定な副操縦士の自爆、後者はイスラム過激派の爆弾テロで死者374名。

5.他に台湾・インドネシアのコミュ-タ-便3件、死者125名と不定期便3件、死者16名。

6.何れも航空機のメカニカルトラブルでは無く、操縦やテロ等の人為的ミス。

7.航空機の安全性に対する機材供給者側の改善やアビオニックスの進歩で事態は大幅改善。

8.従って、2015年を転換点として機材の安全性より人為的な要因へと重点が移行した。

9.操縦士の精神的不安定での事故は過去にも無い訳ではないが極めて稀。

10.寧ろ、テロ、サボタ-ジ、ハイジャック、地上よりの撃墜等セキュリテイ-問題が浮上。

11.然も空港等の警備が充実された現在、警備を通れるインサイダ-に注目が集まる。

12.テロイストに通じる人間がインサイダ-と成りパスを持って警備を潜る事態も発生。

13.更に操縦士の人為的ミスやハイジャックに備え地上より誘導する無人機も検討され始めた。

14.商用機の無人飛行等奇想天外と思われるが、日本でもハンドル無しの自動車開発が進む。

15.無人機は1960年代初めベトナム戦争で毒性の強い枯葉剤の散布の為開発された。

16.日本でも、農薬の空中散布用に無人機が開発され以前より実用化されている。

17.米国はアフガニスタン、最近はロシアも中東で無人爆撃機を投入している。

18.日本では未だ無人商用機の利用は話題と成らないが、米国では真剣な検討が進んでいる。

 

航空機の安全性確保に関わる課題

1.毎年世界各地で航空機業界の様々なイベント・会合が開催され業界関係者が集う。

2.ビジネス機関連ではBACE (米国)、EBACE  (欧州), ABACE (アジア) 等がある。

3.3月1~3日,Heli-Expo 2016がLouisville, Kentuckyで20,000人の参加で開催される。

4.BACEの参加者は例年25,000名、EBACE 12,000名、ABACE 8 ,000名前後。

5.参加者の関心を引くのは新鋭機のディスプレ-、開催期間に合せた巨額な成約の発表。

6.2015年のビジネス機関連の前年度の成約・受渡実績、10年予測等の統計類も発表される。

7.又多くのブ-スで関連業界の業者が様々な部品、計器、ソフト等も展示している。

8.但し、マスコミ等が報道するのは新鋭機、成約額、年度業績、予測等全般的な情報が多い。

9.この様な業界の会合の前後、会期中を通して開催される安全性のセミナ-は報じられない。

10.今回のHeli-Expo 2016でも会期中46回の安全性セミナ-・討論会が催される。

11.ヘリコプタ-の事故も激減はして居るが自己満足に浸る事は許されない。

12.事故の圧倒的多数は自家用機、零細運航業者、訓練中の事故。安全性の認識と訓練不足。

13.請け売りだが、航空機事故の乗客生存率は98%と俄かに信じられない数値。

14.説明を聞くと、軽度のミスも事故として報告義務があり、多くは死傷者が出ない為。

15.訓練中の事故は、教官が横に座って居り、ミスも重大事故には至らない。

16.多くのブ-スには最先端のアビオニックス機器や各種の運航安全のソフトも展示される

17.機材の機械的欠陥の改善、アビオニックスの進歩、運航者の教育で安全性は大きく改善。

18.安全性に関する特集記事も業界誌には載るが、専門的領域で通常は読まれる事はない。

 

2015年度死者が生じた重大事故

                              Flightglobal誌

 

日付

場  所

乗員/乗客

死者数

定期商用便

Germanwings

Metrojet

03/24

10/31

Barcelonette, France

Sharm   el-Sheikh, Egypt

6/144

7/217

6/144

7/217

不定期便

Olimp Air

Promech Air

01/20

01/25

Bishkek, Kazakhstan

Ella Lake, Alaska

7

1/8

6

1/8

地域航空

TransAsia

Trigana Air

Aviatar Mandri

02/04

08/16

10/02

Taipei Airport, Taiwan

Mount Tanggo, Indonesia

South Sulawesi, Indonesia

5/53

5/49

3/10

4/39

5/49

3/10

非旅客便

Carson Air

Aeronaves

Allied Services

Wasaya Airways

04/13

01/02

11/04

12/11

Vancouver, Canada

Stiago de Queretaro, Mwxico

Juba, South Sudan

Ontario, Canada

2

2/3

6/38

1

2

2/3

6/37

1

 

過去10年の事故件数と死者数の推移

                                                          Flightglobal 誌

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

件数

863件

744

583

749

817

514

425

281

671

176

重大事故

27件

25

34

28

32

21

21

26

19

9

 

死者が出た重大事故割合 (Fatal Accident Rate) の推移

                                年間百万回飛行の事故回数

1960年

1965年

1973年

1976~1995年

1996~2014年

事故総数

50

19

7

4

2

重大事故数

38

5

3

2

1

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