2016年09月13日(火)04時13分

(16-16) アジア・太平洋圏のビジネスジェット機

 

要    約

 

1.アジア・太平洋圏のビジネス機の市場は近年急速に成長、成長率では世界最速。

2.それでも先進国の欧米に較べればグロ-バルな市場シェア-は約10%程度。

3.グロ-バルな牽引役はアングロサクソン系の米国と英連邦諸国。

4.従ってアジア・太平洋圏でも豪州、New Zealand、印度、上海、香港等が先駆者。

5.国内の交通インフラが充足されないMalaysia. Indonesia, Thai, Philippineが続く。

6.日本はIndonesia, Philippine同様島嶼国でも北海道、九州、四国とトンネル/橋で繋がる。

7.離島もコミュ-タ-機や高速フェリ-が低額の運賃でサ-ビスを提供している。

8.海外渡航には遠い極東の島国故に航空機が必要で「大量輸送」の商用便が発達。

9.グロ-バルアライアンスの恩恵で全世界の主要都市とはコ-ドシェアリングで繋がる。

10.内外の渡航にはビジネスジェット機の1/50~1/100程度の低額運賃で商用便が運航。

11.出資者に「善管義務」を負う日本の企業幹部が格段の格差があるビジネス機は利用しない。

12.ビジネス機は「経営のツ-ル」と声高に叫んでも合理性立証の数値は提示されない。

13.それ以前の問題として叫んでいる当人も経済合理性を勘案自ら利用する事も無い。

14.一方ビジネス機は「金持ちの道楽」と言う指摘もありこれも又事実。

15.「文化・国情の違い」もあり善悪是非の評価を避け日本の「特異性」を理解する。

16.日本は「平均化社会」を目標としビジネス機の様に「富と権力」の誇示を嫌う。

17.海外ではビジネス機の利用は成功した人間のステ-タスシンボル。

18.香港ベ-スのASG ( Asian Sky Group) の最近の夏季レポ-トの一部を紹介する。

19.このレポ-トでは金持は人生の成功者故にアジア・太平洋圏の10億㌦長者数を列挙。

20.当然、中国、印度等は所得格差が大きく10億㌦長者が多く他のアジア諸国も同様。

21.日本は中国に次ぐ世界第3位の経済大国でも10億㌦長者の数は域内で6位。

22.世界ではユニクロ柳井会長66位、ソフトバンク孫社長128位、楽天三木谷会長215位。

23.このレポ-トにはアジア・太平洋圏の10億㌦長者数とビジネス機の上位機種の数を記載

24.ビジネス機は「金持ちの道楽」と言う日本的なネガチブな視点は全く見当たらない。

25.「価値観の差」で善悪是非評価の対象外、アングロサクソンの「階級格差」も同じ。

26.この日本と他国との「相違点」「特異性」を理解しないと20年の不毛な論議は終らない。

27.ASGはこれを理解出来ず無理に日本も高額上位機種を所有・運行して居る事にしている。

28.おそらく香港辺りの運航委託に出している日本企業の中国籍ビジネス機も勘定した為。

29.日本の大手運航者は「政府・海上保安庁・JCAB-国交省航空局」等と成っている。

30.グロ-バルな多国籍企業の活動を主権国家の単位で捉え、ビジネス機と官公用機も混同。

31.ASGには既に日本側の実情を記した資料は送付済で何れ訂正版が出よう。

2015年の10億㌦長者数

                          ASG 2016年夏季レポ-ト

 

中国

印度

香港

シンガポ-ル

豪州

日本

インドネシア

タイ

200~500億㌦

 

1

3

 

 

 

 

1

100~200

12

5

3

 

1

1

1

1

50~100

13

6

10

2

2

3

2

4

20~50

76

27

31

9

10

9

8

4

10~20

159

51

42

26

17

14

14

14

合 計

260

90

89

37

30

27

25

24

OEM Size Category

Corp. Airliner

Long Range

Large

Mid-Size

Light

Very Light

 

4

16

26

11

 

2

6

19

16

14

3

 

3

4

 

1

3

 

 

 

3

3

4

1

 

 

7

11

7

23

7

 

1

6

1

3

 

 

 

 

 

9

5

2

 

 

1

 

9

6

2

合  計

57

60

15

11

55

11

16

18

1.2015年度のForbus誌の10億㌦(1千億円) 長者番付にはグロ-バルで1,426人が載った。

2.中国は台湾は抜けているが本土、香港、マカオで349人、華僑を含めれば1/3に達しよう。

3.日本はユニクロ柳井会長が133億㌦で66位、ソフトバンク孫社長86億㌦で128位。

4.更に楽天三木谷会長が56億㌦で215位。孫社長、三木谷会長はビジネス機オ-ナ-。

5.孫社長も三木谷会長もビジネス機を常用するが海外で運航委託に出している。

6日本で採算分岐点と言われる500時間/年は使いこなせず、海外での運航委託を活用。

7.司直の捜査で有罪に成ったライブドア堀江社長、マンション偽装事件の小嶋社長も同様。

8.又仮に近隣諸国の取寄機を勘定するなら欧米で日系企業が利用する機材も勘定が必要。

9.日産ゴ-ンズ会長の利用機は米国日産本社近隣の空港に定置、米国籍として登録。

10.ASGは機材の国籍と実態を混同するので日本側のJA機の登録機との間に乖離が生ずる。

 

Asian Sky Group2015年の日本のビジネスジェット機保有数

 

合 計

Corp. Airliner

Long Range

Large

Mid-Size

Light

Very Light

49

2

12

5

4

20

6

JA登録24

0

0

0

2

21

1

1.度々記述して来た通り、日本の民間にはビジネスジェット機の上位機種は皆無。

2.現在運航中のビジネスジェット機は殆どがLight JetCitation機等で合計24機。

3.上位機種は「特権階層」が近隣諸国より取り寄せる機材を勘定に入れて居るのであろう

日本の「狭義のビジネス機」の保有企業の業種

                            日本航空機全集 2016

 

総 機 数

運 航 業

報道関係

オ-ナ-企業

ジェット機

24

9

4

11

タ-ボ機

12

5

0

7

合  計

36

14

4

18

1.    報道用のLight Jetの機数は減ったが今でも朝日、読売、毎日、中日が各1機を保有。

2.    報道関係は空港利用、ヘリポ-ト設置・利用の特別枠があり業界団体には参加しない。

3  .オ-ナ-企業はオ-ナ-の一存で地方での利用可能で業界団体に参加する事は無い。

4.  大手運航会社は既存の受託業務が多く、低運賃供与が必要な一般利用には関心が薄いい。

5. 従って、各種業界団体と低価格帯機材を利用する市場・顧客との接点も交流は乏しい。

6. 此処に、サプライサイドと現実の市場・利用層との乖離やミスマッチが生ずる真因。

7. 米国の様にデマンドサイドのNBAAが業界をリ-ドすると言う業態とは本質的に異る。

 

日本での民間登録ビジネスジェット機

                            日本航空機全集2016

 

Cessna 501

Cessna 525/A

Cessna 560

Cessna 680

その他

価 格

$3.35MM

4.5~7

7.8

17.9

 

登録機数

6

2

4

1.日本の登録ビジネス機数は24機、内4機は報道関係11機は中小オ-ナ-企業所有機。

2.「旅客の2点間輸送」可能機材は朝日航洋Citation 680 2機、中日本航空Citation 560 3機。

3.更に静岡エアコミュ-タ‐CJ2 1機だが運賃は商用機の50100倍故に利用者は限定的。

4.後は、外国ビジネス機の訪問客の日本国内移動の足として利用される。

5.然し、これを規制する「カボタ-ジュ制限」は201310月末撤廃された。

6.「カボタ-ジュ制限撤廃」はEU域内、豪州-ニュ-ジ-ランド2国間に次ぐ先進的施策。

7.Citation 560の航続距離では韓国、沿海州、旧満州南部しか飛べず飛行実績も数回/年以下。

8.故に朝日航洋はMid-JetCitation 680を購入トヨタ幹部を香港位迄運ぶ事は可能。

9.但し低価格のMid- Jet Citation 680で羽田―香港1,000万円、ANAビジネス14万円。

10.これ以上の説明不要。大手企業のトップ/幹部もビジネスジェット機を利用する事は無い。

 

Asian Sky Group2015年の運航面より見た日本のビジネスジェット機

                          ASG 2016年夏季レポ-ト

機 種

価 格

総機数

Corp. Airliner

Long Range

Mid Size

Light

ACJ 318

$87MM

1

1

 

 

 

Gulf G-650

66.8

4

 

4

 

 

Global 6000

62.3

2

 

2

 

 

Citation 680

17.9

1

 

 

1

 

Citation V

7.8

2

 

 

 

2

Citation CJ2

7

1

 

 

 

1

合  計

 

11

 

 

 

 

 

Asian Sky Group2015年日本の新規購入実績

                          ASG 2016年夏季レポ-ト

機種

機数

備    考

Global 6000

1

購入されたとしてもJA機として日本で登録はされていない。

Citation CJ4

3

国交省の購入機材故に官公用機でビジネス機ではない。

Gulf G-550

1

購入されたとしてもJA機として日本で登録はされていない。

Gulf G-650

1

購入されたとしてもJA機として日本で登録はされていない。

合 計

6

海外出荷記録で日本の名が出ても日本のビジネス機ではない。

 

Asian Sky Group2015年日本のビジネスジェット機運航業者

                          ASG 2016年夏季レポ-ト

機種

機数

備    考

ACJ318

1

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Boeing BBJ

4

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Global 6000

1

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Citation CJ4

2

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Citation Ultra V

2

中日本航空がCitation Ultra V 3機を所有・運航している。

Falcon 900/C/DX

4

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Gulf G-650

1

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Gulf IV/SP

1

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

Gulf V

1

JA機は無く近隣諸国の運航業者が日本での取寄せ運航に提供。

合 計

16

中日本航空の2 (本当は3) を除き全てJA機ではない。

 

Asian Jet

日本政府・海上保安庁

国交省

Jet Aviation

中日本航空

JCAB

5

4

4

3

3

3

BBJ,Gulf 650 Global Exp

Falcon 900

Gulf V

,Gulf IV

Global Exp

ACJ318 Gulf 650

Citation V

CJ4

 

1.11機が国交省(JCABは航空局)、海上保安庁で官公用機とビジネス機を混同。

2.26の近隣諸国の運航業者の日本を中心とした運航実績を記録したものと思われる。

3.6運航会社が機材の45%を運航、5運航会社が2機を運航、17運航会社が1機を運航。

4.日本-海外を結ぶビジネス機の運航の大半は海外籍の運航業者が担っている。

5.海外より日本、日本より海外への外国人の海外機の利用も多く日本の取寄せ需要も混在。

6.経済大国日本がまさか上位機種を所有・運行しない思い込み故に無理な勘定をしている。

7.日本の上位機種の民間機は皆無、日本企業が海外で実質的に所有する機材は50年前より実在。

8.海外で所有する機材も外部運航業者への運航委託も多くOn-Demand Charterが圧倒的.

 

Asian Sky Group提供の香港ベ-スの一般的チャ-タ-料

 

機種

航続距離

飛行距離

チャ₋タ₋料

チャ₋タ₋料総額

商用便運賃

ACJ318

成田 –Singapore

7,800

 

10,000/

7.5時間

$15,500/時

 

116,250

ビジネスクラス

330,000

Boeing BBJ

成田 –New York

11,500

 

10,850

13

16,000/

 

208,000

ビジネスクラス

48,000

Global 6000

成田 –New York

11,000

10,850

13

10,800

 

140,400

ビジネスクラス

48,000

Gulf G-650

成田 –New York

11,200

10,850

13

12,000

 

156,000

ビジネスクラス

48,000

Citation 680

成田-香港

5,400

2,900

5

4,900

 

24,500

ビジネスクラス

140,000

Citation CJ4

成田―北京

5,400

2,100

3,200

 

12,800

ビジネスクラス

220,000

Citation Ultra V

成田-上海

3,600

 

1,800

4

3,100

 

12,400

ビジネスクラス

180,000

1.上記は非常に粗い運賃比較でビジネス機の実際の運航経費総額はチャ₋タ₋料より遥かに高い。

2.チャ₋タ₋料は機材の賃貸料でこれに、燃料費、パイロット代、運航費の実費が加算される。

3.当然の事乍ら空港利用料、機内での飲食費、インタ-ネットの通信費用も加算される。

4.商用便であれば仮に200名の乗客が利用すれば運航経費は頭割りで細分化される。

5.ビジネス機であれば極端なケ-スでは1人利用では全額負担、精々35名の利用と成る。

6.航空機事業は資本集約的でビジネス機は500/年稼働を狙うが実際は未達成の事例が多い。

7.商用機価格はHeavy Jetの倍でも乗客200名、機材稼働時間1,500時間/年で利用運賃は下がる。

8.日本が商用機による「大量輸送」を国策として推進したのは「自然の流れ」でもある。

9.結果として成田-New York 往復ビジネス4080万円ファ₋ストIATA Full Fare2百万円。

10.ビジネスジェット機で4千万円と言われるが大雑把な目安としては商用機の50100倍。

11.更に取寄せは取寄せ先よりの運航料の8割程度のEmpty Legも加算される。

12.「金持ち」は何れにせよ利用する人は必ず居るが公益事業として官民で支援する類の物ではない。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。


*