2016年02月03日(水)03時13分

(16-01) 低価格帯小型機の話題2題

 

本サイトも開設以来2年を経て日本の実情に沿った現実的な絞り込みを昨年手掛け、サイトの目的も企業人を含めた「一般利用者」の「2点間移動の足」と言う「原点」に回帰した。ビジネス機のグロ-バルな2極化の現状では、超富裕層、セレブ、VIPの「特権階層」が買い漁る上位機種は「より遠く」「より早く」「より大きく」「より快適で豪奢」と益々高額と成り中国の様に「高かろう、良かろう」と他人より少しでも良い物を「虚栄心」で買ったり、スカイマ-ク破綻の切っ掛けと成った$3.5~4億㌦の商用機の最高級機種をプライベ-トビジネス機として購入したドバイの首長も居るが、業界誌でも日本とは無縁の話題として大きく取り上げられる。然し、日本の実情は、価格帯0.2~4億㌦のビジネス機は民間には1機もないだけでなく0.05~0.18億㌦の機材が40機弱あっても「一般利用者」の「2点間移動の足」として使われる事はない。日本の過去30年の歴史を洗えば約7~800機のビジネス機と位置付けられる機材が運航、現在も運航して居るが、中小のオ-ナ-企業が趣味と実益を兼ねて利用して居るが、大手企業が海外の様に社有機を自社従業員の為に運航させたり、運航会社が「2点間移動の足」として「一般利用者」に機材を提供しても競合交通機関の運賃に比し「桁違い」に高いので実際に利用される事は無い。例外的にトヨタ、エプソン、ソニ-が幹部を含めた社員の利用に供する事例は無くは無いが、トヨタ・エプソンは一部路線の廃路、便数の削減で運航を縮小する傾向が続くが、ソニ-はビジネス機部門より2~3年前に撤退した。競合交通機関が高度に発達、然も「大量輸送」のメリットで割安の運賃を提供出来る日本は、海外の「大陸国」や「所得格差」が著しい途上国とは別のビジネスモデルが必要と成る。日本の国情に見合う価格帯のビジネス機は最上位機種の400百万㌦の1/200~1/1000程度の0.3~2.5百万㌦の機材で、短距離(25~50㎞)、短時間(8~15分)利用のAir Taxiであれば1百万㌦前後の機材しか経済的に成り立たない。この辺の事情はは2013~2014年のレポ-ト・トピックスが本サイトのライブラリ-に保管されて居るので参照願う。本年のトピックスは低価格帯の小型機・回転翼機をハイライトするが、「木を見て森を見ない」「視野狭窄症」に陥らない様グロ-バルな動きも適宜紹介する。日本企業も海外では「低/中位機種」のニ-ズが多ければ自家所有するケ-スもあろうが圧倒的多数の事例では運航委託や、タイムシェア-それ以上にオンデマンド・チャタ-の形態を取る。

 

Cessna Citation M2の欧州での初めての受渡

Citation M2は2013年より米国で商業生産が開始され、今回西独のMuller Co-Ax AGに欧州では初めて受渡された。Citation機はLight Jetから低価格帯のMid-Jetを生産し、米国では「一般利用」機として人気が高く、日本では輸入されているビジネスジェット機の大半がCitation 機。最近はMaicro-Jetに分類されるCitation Mustangも輸入されている。Citation M2は操縦員2名(1名で型式証明は取れて居る)乗客6名で飛行速度は746㎞/時、航続距離は2,926km,価格は4.2百万㌦。欧州ではFrankfurt を起点としてMoscow, Hamburg, Lisbon迄飛べる。日本の場合、東京より新千歳、福岡往復で2,000km弱、北海道北端より沖縄列島南端迄3,000㎞迄カバ-可能。ワンランク下のMustangで価格は3.3百万㌦と一段安い。Citation M2はCJ1と呼ばれた機種を改造価格も下げたが、上位機種としてはCJ2 (静岡-エアコミュ-タ-)Citation 560 (中日本航空)等が運航して居り、Mid-JetにランクされるCitaiton 680 (朝日航洋) なら香港辺り迄飛べるが価格も18百万㌦でこれが民間機の最上位機種。国交省が検査機としてCJ3 3機を昨年度末発注、今年度中に受渡予定。

 

Mooney社の M20TN Acclaim Type Sの初出荷

Mooney International社のM20TN Acclaim Type Sの処女機が昨年12月製造地のKerrville, Texasより船積みされ中国、現地での組立てが完了。ほぼ、同時期に中国のCAACの型式証明も取得出来た。Mooney社は日本でも広く知られる小型機メ-カ-の老舗であるが、何回かの経営破綻後、中国のMeijing Groupに買収され現在は中国資本の傘下にある。M20TN Acclaim Type Sは単発のピストン機では有るが機能も改善され競合する他機種に較べると飛行速度は格段にアップしている。3人乗りで巡航飛行速度は438㎞/時。航続距離は2,676㎞。価格は2015年モデルで750,000㌦。Heavy Jet の売れ筋のGulfstream G650 1機を買う金でM20TNなら87機も購入出来る計算。競合する対抗機としては日本でも広く使われているBeech Bonanza ($777,300) や新鋭小型機として既に日本にも輸入されているCirrus SR22 ($489,900), Cessna Corvalis TT ($799,000) 等が有る。この価格帯の機材が日本では伝統的に使われ、更に機能アップした改良機が続々と上市されるので、今後共日本市場に於ける中枢的機材と成ろう。Light Jetで7~15百万㌦はするが、日本にも限られた「特権階層」は居るので現有の数機程度の規模で有れば使われ様が、「一般利用者」の「旅客2点間輸送」として使われる事は無い。今後もMooney社はM20TN Acclaim Type Sを中国向けに継続出荷するが、中国以外の顧客からM20TN, M20Rを受注して居り、同じTexasの工場より出荷される。

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