2012年12月23日(日)11時57分

JBAA と繋がりがある業界団体

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要  約

1.JBAAと関係の深い海外の業界団体を紹介する。

2.IBACは世界の主要ビジネス航空協会15団体の評議会で年2回米国とスイスで開かれる。日本は200112月に11番目のメンバ-として参加が承認された。ビジネス機の運航・安全基準の普及 (IS-BAC International Standard for Business Aircraft Operation), SMS (Safety Management System) の教育、トレ-ニング、認証カ-ドの発行等多岐に亘る活動を展開している。

3.NBAA (全米ビジネス航空協会) 1947年に設立され8,000の企業を網羅する世界最大のビジネス機関連団体。毎年秋に開催される年次総会に併せて開くConventionは最盛期3万人の参加者が集まる世界最大の業界イベント。業界のあらゆる情報が集まるが、最大の特徴は徹底した「情報開示」とビジネス機利用者中心の各種催し。

4.GAMA (ジェネビア製造業者協会)は世界の代表的ビジネス機製造メ-カ

10社と部品・計器供給メ-カ

を加えた70社の団体。NBAAが利用者団体であるのに対して、GAMAはハ-ド供給メ-カ-と川下・川上の団体を分けている。上記のNBAA ConventionGAMAとの協賛。呼び物の新鋭機や機材のディスプレ-はGAMA側が用意する。

5.日本の業界団体も紹介。米国の様に関係団体の有力者が一堂に会する事は少なく、個々に「点」としての努力が行われているが、「線」或いは「面」としての連係プレ

は見られない。況して、NBAAの様な強力な利用者グル-プが存在しない。利用者不在の最大の欠点は、利用者が納得の行く利用料の汲み上げ、利用者とその実現の為の現実的方策を検討する最も肝心なプロセスが欠如して居る事。日本でマイカ

が定着したのも利用者の手の届く価格帯に価格が設定された為。(勿論、高級車より大衆車迄の品揃えもあるが)日本-欧米間往復35~40百万円払わない日本の一般ビジネスマンを批判視しても、利用者は70~200万円で定期商用便のビジネス、ファ-ストのサ-ビスが有る事を先刻承知して居るので説得性に欠けるし、「笛吹けど踊らず」で乗って来ない。。

ビジネス機の普及には多くの関連団体が関係し情報収集面でも不可欠だが、特にJBAAと繋がりが深く設立当初より影に日向に支援を惜しまなかった海外の業界団体を紹介する。

IBAC (International Business Aviation Council-国際ビジネス航空評議会)

民間の国際航空機関としてICAO (International Civil Aviation Organization) が日本でも広く知られている。国連経済社会理事会参加の専門機関でカナダ モントリオ-ルに本拠を置く。1944年に締結された国際民間航空条約(通称シカゴ条約)に基き19474月に発足、国際民間航空に関する原則と技術を開発・制定しその健全な発展を目的とする。シカゴ条約批准国は自動的にICAOに加盟するので、2008年の時点で加盟国は190ヶ国。日本はサンフランシスコ講和条約発効後の1953年シカゴ条約を批准し、ICAOの加盟国と成った。関連の国際航空運送協会IATAと共に日本でも最も親しまれている機関。

IBACICAOの常任オブザ-バ-で現在世界15ヶ国のビジネス航空協会がメンバ-と成っている。カナダ、米国、ブラジル、EU (EBAA-欧州ビジネス航空協会)、英国、フランス、ドイツ、イタリア、豪州、南アに続きJBAA200112月に11番目のメンバ-として承認された。その後、中東(本拠ドバイ)、アジア(日本を含むアジア15ヶ国で発足したが現在は実質的に中国)、インド、ロシアが加入している。国際的なビジネス航空協会の交流(年2回の理事会が開催されJBAAも必ず参加して居る)、ICAOとの連携によるビジネス機の運航・安全基準の普及 (IS-BAC International Standard for Business Aircraft Operation), SMS Safety Management Systemの教育、トレ-ニング、認証カ-ドの発行等多岐に亘る活動を展開して居る。

NBAA (National Business Aviation Association-全米ビジネス航空協会)

ビジネス航空は米国で生まれ、現在でもビジネス機の保有・運航数でも圧倒的な世界シェア―を持ちインフラ、法制面でも世界の最先進国でもあるが、NBAAはその中核的存在。NBAA1947年第二次大戦後戦争終結に伴う余剰パイロットや機材の受皿として実業界の利用グル-プにより発足した。当初のメンバ-はAmerican Rolling Mill Co. ,Bristol-Meyers Co., Al Buchanan Drilling Co., Burlington Mills Corp., Champion Paper & Fiber Co., Corning Glass Works, General Electric Co., B.F. Goodrich Co., Goodyear Tire & Rubber Co., Hanes Hosiery Mills Co., Howes Brothers Co., National Dairy Products Co., Republic Steel Corp., Reynolds Metals Co., Sinclair Refining Co., L.B.Smith Co., United Cigar-Whelan Stores and Wolfe Industries. 長々と発足メンバ-の名を連ねたのは、当時の米国を代表する企業が産業界横割りで綺羅星の如く並んでいるが全てビジネス機の利用ユ-ザ-企業で、今日でも正会員はビジネス機のオ-ナ-である事が条件である為、幅広いユ-ザ-の裾野にその支持基盤を持って居る。当初よりユ-ザ-・市場志向に徹底して居る事にその強味の秘密がある。この種業界団体では、機材やサ-ビスを売り込み度い企業が主導権を握る事が多いが、NBAAではこれらの企業も歓迎はするが飽く迄賛助会員のステ-タスに留まる。機材メ-カ-は別個に次項のGAMAを中心に活動する。NBAAの会員は8,000企業余、参加企業の売上げは米国のGDPの半分を越え、グロ-バルには従業員数は19百万人を超えると言われて居る。多くの企業がその誕生地の地方に本拠を置く為(日本の様に東京一点集中主義ではない)NBAAの年次総会に併せて1箇所に参集するConventionを開催、最近は景気低迷で参加者はやや減り気味だが、最盛期、約30,000人が集うビジネス機業界の世界最大の祭典となる。最新のビジネス機モデルのディスプレ-によるビジネス機ショ-(自動車ショ-類似)と目され勝ちだが、ConventionGAMAとの協賛で行われる為、実際の機材のディスプレ-はGAMAが受持つ。何しろ30,000人近いユ-ザ-や潜在的ユ

ザ-が全世界より集まるので熱い商戦に注目が行き易いが、本質は世界規模での情報交換、人脈構築、業界動向のインテリジェンス活動、情報を含めた全てのサ-ビスが提供される。日本では「企業秘密」「個人情報」と考えられ勝ちな、機材の価格、チャ-タ-料、運航コスト、従ってユ-ザ-の最も知りたがる利用コスト、費用対効果の計算法等痒い処に迄手が届く至れり尽くせりのサ-ビスが提供され、これらの情報を提供する調査会社、コンサルタントのブ-スも軒を連ねている。但し日本人が誤解するのは、非常に価値ある情報がただで入手可能かと言えば、情報に対価が有る事は海外では常識。機微に触れる情報も勿論入手可能だがそれ相応の対価がある。対価と聞けば「金」と日本人は考えるが、金もあるが、最大の価値ある対価は相手が望む情報提供。こちらに発信能力が有れば、相手もそれに応えて貴重な情報を無償で提供する。”Give and Take” が黄金律。但し、NBAAはニ-ズに応じた情報の提供が行われる場を提供するだけでなく、日本ではこんな情報もオ-プンにするのかと言う位徹底的な「情報開示」が行われる。「情報開示」こそが市場の発展に繋がると言うオ-プンな米国カルチャ-と囲い込みや閉鎖的な日本の風習との違いに日本人参加者は驚くが、この違いに触れ肌で感じ取る事こそConvention参加の最大の意義と収穫ではなかろうか。情報は幾らでも入手可能だが、発信能力や自己表現力や語学力に弱い日本人には限界がある。米国人等15分刻みで、Convention期間中、何十人との個別アポイントをこなし、パ-ティ-や会場で更に多くの人との情報交換を精力的にこなすが、日本人でそこ迄出来る人は数える程しか居らず、折角のConventionをフルに有効活用出来て居ない。

GAMA (General Aviation Manufacturers Association-ジェネアビ製造業者協会)

GAMA1947年に発足したNBAAより23年後の1970年に発足したビジネス機の機材供給グル-プで主要メンバ-は欧米のビジネス機製造メ-カ-10社に加え、エンジン、部品、飛行計器 (Avionics)メ-カ-が参加し、米国メ-カ-50社、海外メ-カ-20社計70社のメンバ-構成に成って居る。米国ではハ-ドメ-カ-の集まりであるGAMAとユ-ザ-グル-プのNBAAとはっきり色分けが出来て居り、GAMAの会員70社に対し、NBAAは賛助会員を含め8,000企業を擁する圧倒的なユ-ザ-・市場志向で市場を掘り起こした事が分かる。歴史的にも、ハ-ド供給グル-プはNBAA設立後20年以上が経過してから結成された。JBAAの場合、大手商社の如きユ-ザ-企業も航空機部門の出身者が代表として参画して居る為、ユ-ザ-よりのインプット欠如が米国との根本的な相違点と言える。

IAOPA (International Aircraft Owner’s and Pilot Association-国際航空機オ-ナ-とパイロット協会) GAMA,NBAAと並び年次のConvention等でビジネス機業界にも影響力があるので付け加えた。最近業界関連の法案でこの種航空機関連15団体が連名で運輸長官に要望書を出した。何れもロビ-活動の一環として必要時にはサット(”Coalition“-連合)と言う団体行動に出る。毛利元就の遺言の「3本の矢」は語源は知られない儘 ”3 Arrows”として「政治の街」ワシントンで政治力結集に使われる。

日本の航空関連団体

NBAAは当初在日米国大使館東京米国商工会議所を通じて日本市場の状況把握に努めた。現在でも、大使館の商務官や商工会議所では流通に関する専門部会のTransportation & Logistic Committeeが一時期ビジネス機の市場開発に積極的に絡んだが、その後日本で見るべき進展が無く現在は休眠中。他に、関連する団体は多々考えられるが、「3本の矢」の合言葉で連携合従、離合集散が日々の営みと成っているワシントンの目で見ると、日本では各団体が夫々精一杯の努力を傾けて居る割合に成果に繋がらない。関係団体が余りにも多く列挙する暇もないが、何れも[]での活動で、これを如何に[]として繋ぎ、[]として組み立てるかが日本の課題。一部を例示すれば、自民党、民主党のビジネス機促進議員連盟、全国地域航空システム推進協議会、全国民間空港関係市町村協議会、各空港の事業促進機構、全日本航空事業連合会、日本ヘリコプタ-協会、日本ヘリポ-ト協会、日本ヘリコプタ-事業促進連絡会等枚挙に暇なく、それなりの立派な働きをし乍ら全体的な成果として現れない。業界情報提供等サポ-ト団体も日本航空協会、航空振興財団、日本航空宇宙工業会、日本航空技術協会等数多くあるが、ア-ク航空情報センタ-の「日本航空行政・公的機関」のサイトには180余の団体が挙げられて居る。これだけの団体の英知と精力を結集すれば足が地に就いた具体的な成果が得られると思うのは筆者だけか。本稿は、日本のビジネス機事業がどの様にあるべきかを考えて戴き、将来像を描いた上で、行政にも適切な動きをして戴く為の、関連業界の纏まった要望を出せる仕組みを編み出す事を最終的な狙いとして居る。

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