2013年01月14日(月)02時40分

(10) ビジネス機の利用実態

要  約

1.日本企業も過去半世紀海外で必要に応じビジネス機を利用して来たが、日本のエリ-トビジネスマンは海外の大都市に住み、中小都市に業務出張する場合にも定期商用便を利用するのでビジネス機を利用する機会は少なく、大半の外国勤務経験のある企業マンもビジネス機を利用した事も無くその実態を知らない。

2.此処四半世紀、Legacy Carrierの大リストラとこれに伴う航空交通の混乱の影響の直撃を受けたのはビジネスマン。一方、LCCの台頭でLegacy Carrierは益々窮地に追い遣られた。日本では余り取り上げられる事も無く、従って認識が薄いのが、最近の一般ビジネスマンのビジネス機の利用が正にLegacy Carrierの大リストラの最大の受難者である一般ビジネスマンの生存を賭けた闘いであり、その為にLLCビジネス機運航業者が出現した。

3.その実態が理解戴ける様出来るだけ筆者の実体験に基いた体験談を披露する。一般ビジネスマンが利用するビジネス機はLCCビジネス機運航業者であり、日本人のイメ-ジするLegacy Business Aircraft Service  Providerとは似て非なるもの。この点が理解されないと、日本での一般企業のビジネス機の普及は実現しない。

 

過去十数年、日本でもビジネス機利用を定着させる為組織的な努力が為されて来たが、、それ以前より日本でもビジネス機が飛んで居るので優に四半世紀が経過している。日本企業が海外でビジネス機を利用し始めたのは、1960年代で半世紀前。その割にビジネス機の真の利用実態は理解されて居ない。

  • l筆者は大手商社に勤務したので2~3年前勤務した商社の海外勤務経験も豊富に有する現役の上級管理者数人にビジネス機利用に付き問い合わせた処、ビジネス機の様な高価な乗物等利用する事は念頭にも無いとの返事であった。
  • 70年代よりビジネス機を利用して居る部局に電話で問い合わせた処、若い課長が電話口に出て来て、利用形態は多少変わったが無論使って居るとの返事。昔の様に会社がビジネス機を所有するのではなく、運航会社に委託しサ-ビスを提供して貰って居る事、ジェット機は止め、より安価なタ-ボプロップの中古機を使ってコスト削減の努力をしているとの説明で有った。
  •  つまり、海外でビジネス機を利用して居る企業でも、主要都市に駐在すれば定期商用便が幾らでも飛んでいるし、地方に出張すると言っても取引先の大半はリ-ジョナル航空機の便が有るのでビジネス機等利用機会は無くコスト的にも高いので利用する事すら念頭に無い。
  • 他方商社を含め日本企業は、’60年代半ばより海外に企業進出を図って来た。交通のアクセスの悪い地方に本拠や工場を置く多数の米国企業は大都市の様に定期便の便が有る訳では無いので、ビジネス機を利用するニ-ズも出て来る。利用する従業員数が或る程度の規模で有ればビジネス機を企業で所有し従業員の便に供する。
  •  海外勤務や、海外事業投資先への出向の機会の多い大手商社でもビジネス機利用の実態は極く限られた一部社員のみの知見に留まって居るので、日本の一般企業マンがビジネス機に対する認識に欠けるとしても当然な事である。ビジネス機の利用促進に尽力頂いて居る方々でも試乗的な体験は別として、ビジネスツ-ルとして利用された経験を積んで来られた数は少ないのではないか。まして知見のない国内の一般航空機利用者のニ-ズを掘り起こす事は至難の業であり、その様なニ-ズが存在するかの調査さえも体系的に行われて来なかった。
  •  本稿では、理論を離れ実践面から筆者の体験を伝え度い。

(1)  エアタクシ- : 入門編としてエアタクシ-の説明が分かり易い。日本でも国内出張で定期商用便で地方空港に飛び、空港から訪問先に地上タクシ-を利用する事は良く行われる。空港より、街中迄バスが運行して居り、バスの料金がタクシ-代より安い事が普通であろう。にも関わらず、タクシ-を利用するのは、アポイントの時間に間に合わせる、訪問先は街中には無く郊外なのでバスの終点タ-ミナルから又タクシ-を利用しなければ成らない、色々乗継ぎするより訪問先に直行し時間と手間を省き度い、業務出張なのでリ-ズナブルなタクシ-の利用で有れば社費で落とせる等々種々の理由が有ろうが米国とて同じ事。違いは、多くの地方空港ではバスの様な公共交通手段は無い。タクシ-が空港の外で待つ事もない処も多い。タクシ-に乗るなら、空港から呼べば迎えに来るが、街が遠ければ、30分程は待つ必要がある。従って何処の空港でもレンタカ-屋があって、通常はレンタカ-をするのが常識。筆者も毎年何回もこの様な事を繰り返して来た。然し、訪問先に行く段階で道に迷ったらどうするか、距離的に50㎞程度なら良いが、広大な米国ではウン百㎞と言う事も珍しくなく、一日の仕事を終え夜間空港に着き真っ暗な夜道を疲れた身体で何百㎞見知らぬ処を走るのは如何であろう。エアタクシ-なら直線距離で20分、料金もタクシ-代とさして変わらないとすればエアタクシ-を利用しない手は無い。レンタカ-は1日毎の利用料に加え、燃料、ト-ル代等考えれば、エアタクシ-の方が安い事もあるし、多少高くても日本でも空港よりタクシ-を利用する様に種々のメリットを勘案してエアタクシ-を利用する事もある。最近はマイクロジェットの様な3~4百万㌦程度の安い機材も上市されエアタクシ-用に期待が持たれて居る。

  •  60年代ブラッセルに出張した折、乗客が少なくフライトがキャンセルされたが、代わりにヘリコプタ-でロッテルダムの目的地迄エアタクシ-を用意して呉れた。操縦士に街中のホテル名を伝えたら、ホテルの玄関前の広場に着陸して呉れた。街中にヘリで着陸しても違法ではないのかと聞いたら、許可されている広場は幾つもあるとの返事。規制の多い日本では考えられない事。欧州は、米国程広くないので、ヘリがエアタクシ-として利用される。
  • ニュ-ヨ-クでもビジネス機が利用するTeterboro空港よりマンハッタン迄ヘリサ-ビスが有り、10~15分位で国連裏やウオ-ル街に飛んで呉れる。タクシ-なら1時間位、ラッシュ時なら時間の予測が出来ない渋滞も避けられる。
  • 米国大統領が航空機を利用する時には大統領専用機Air Force Oneがアンドリュ-ス空港 (軍用)から離発着するが、空港からホワイトハウスはヘリで数分、ホワイトハウスの裏庭の芝生を使ってシ-ムレスサ-ビスが提供される。

(2)  一般ビジネスマンが利用するビジネス機 : ビジネス機が米国で一般ビジネスマン (と言っても企業幹部、上級管理層、スタッフ、専門職) が使う事には偽りは無いが、次の様な事情も理解する事が必要。

1. 米国でビジネス機を利用する要因の筆頭にはセキュリティ-を挙げる企業が多い。9/11以降、セキュリティ-は厳しくなる一方。筆者も昨年米国に出張した折には、男子で有れば、上着を脱ぎ、時計・ベルトを外し、靴を脱いだ上に、爆破物が無いか、全身透視のスキャンや靴下の儘計器で靴下の底に爆薬の匂いが無いかチェック。空港の混雑で有名なAtlanta空港等月曜の朝はセキュリティ-・チェックの為長蛇の列が出来て酷い時には通過するのに1時間以上を要する。

2. 車社会の米国では空港迄マイカ-で行くのが常識だが、駐車スペ-スを探し遠い駐車場を巡回するバスに乗りタ-ミナルに着く迄1時間。予約が有っても、ぎりぎりにゲ-トに着くと席が無い事もあり (経営の苦しい航空機会社が違法だが、満席にする為、キャンセルを織り込んで機内席数以上の予約を受ける事もある) 30分位前にゲ-トには着き度い。やっと乗れても出発時間が遅れるのは普通、時間通りにゲ-トを離れてやれやれと思っても滑走路での離陸の順番待ちで、シカゴやニュ-ヨ-クのLa Guadiaは1時間待ちも稀ではない。出発しても、到着港の空の順番待ちで旋回を続ける事も常態。

3. 筆者も、2003年から帰国する2006年位迄はニュ-ヨ-ク/ワシントン間飛行時間45分でも、空港迄の交通渋滞も考えれば汽車が4時間半懸ってもその方を選んだ。汽車とて日本の様に定時発車・到着では無いがそれでもdoor-to-doorではさして時間が変わらずよりリライブルである。社内に乗れば静かに資料等に目も通せるしセキュ-リテイやゲ-トでの乗り継ぎも無いのでビジネスマンには楽。

4. 一番ビジネスマンに堪えるのは、アポイントの関係で切符の手配はぎりぎり。満席で席が取れなかったり(コストカットの為の減便)、あっても、値段は釣り上がる。筆者がPittsburgh勤務時代 Pittsuburgh-New York間、往復が$700. 隣の人は早くから切符を購入し$100.Washingtonでは良く行くFlorida迄出張したが、通常は$100~150 。日本より大事な顧客が来て滞在日数が限られ、必要な通常切符が無くファ-スト$1,200で良いなら有るよと言われ言うなりに成るしかなかった。米国の大手航空会社のコスト合理化、人員のサ-ビス低下の最大の犠牲者はビジネスマン。一般の利用客は早くからプランを立てられるので、航空会社も利用率を上げる為、安い切符でインセンチブを与える。ビジネスマンは、仕事のやりくりで、最後迄予定が決まらない為、駆け込みで航空券を購入する事に成るが、航空会社もその足元を見て価格を釣り上げ一般利用者に与えたデイスカウントを少しでも取り戻そうとする。ビジネス客は企業の費用で必要であれば高くても金を払う事も無論見透かしている。

5. 極め付きはHab-and-Spokes体制。合理化で、Spokesへの便は大幅に減便。2点間の直行便が欲しければ高く付く。乗り継ぎで、フライトが遅れると次の便に乗るには何時間も待たされる。アポイントをミスしない様にすれば、高い直行便を選ばなければならない。直行便が取れたからと安心は出来ない。ゲ-トが空いていれば、フライトキャンセルを覚悟しなければならない。客が少なければメカニカルトラブルを理由に直ぐフライトキャンセル。運が良ければ、小型プロペラ機が用意されるが、狭くて窮屈な上、プロペラ機なので飛行速度が遅く、飛行時間は大幅に延び折角のアポイントの時間にも遅れて仕舞う。

6. これに目を付けたのが、LCC. Spokes-and-Habに代えて2点間をpoint-to-pointで結ぶサ-ビスを開始。筆者は70年前半より新興のLCCを利用して来た。本拠がHoustonで当時、Houston地区に頻繁に出張し、地元より評判を聞き利用したのが始まり。

  1. 当時新しいHouston International 空港が開港。大きく広々とした空港だが、欠点はダウンタウンより遠い事。空港新設に伴い古いホビ-空港は寂れた。これに目を付けたのがSouthwest. 空港は筆者の得意先の立ち並ぶ石油化学工場群の直ぐ近く。新空港迄素晴しいハイウエイが出来たが、夏場のバケツをひっくり返した様な夕立ちで一遍に浸水通行止め。ホビ-は近い上雨の影響も無いので問題なし。空港が寂れたので、Southwestも破格な安い利用料を払い、これを運賃に反映。
  2. 空港にはカウンタ-が無く、直ちに機内に搭乗。切符は機内で発券するので乗れない事も無いし、乗客全てが同じ運賃を払い公平な取扱いを受ける。客席が満席に成れば、時間に成らずとも出発。寂れた空港なので、滑走路で待たされる事も無く、到着時に空で待機の為の旋回もしない。
  3. 機内の飲食サ-ビスやエンタ-テ-メントは無いが、料金を払えば、飲み物や軽いサンドウイッチ程度は買えるNo Frill. 日本の百貨店の過剰包装が廃され包装が必要なら別途金を払ってやって貰えば良い。筆者は機内でのサ-ビスには期待しないし、その分運賃が安く成るならオンの字。
  4. 驚いたのは、途中で立ち寄る空港で客の乗降等入れ替えが有っても最低限の時間でサット次の目的地に飛び立つ。米国人の技術屋を日本で新幹線に乗せた時、几帳面な技術屋として、途中停車駅でストップウオッチで時間を図って居たが、停車時間は全ての駅で60秒。定刻発車の定刻到着。こんな奇跡はあり得ないと仰天して居た。定刻発車・到着が当たり前の日本では到着が5分遅れても謝りの放送が流れる。米国の汽車等冬場はポイントが凍結するので1時間位の遅れは良くある。零下20度の吹きさらしで1時間待たされ、汽車が現れると、乗客は文句どころか一斉に拍手で迎える。LCCの大躍進は、こうした利用者のニ-ズを見事に汲み上げた形。ビジネス機に一見関係の無いLCCに長々と誌面を割いたのは、LCCビジネス機はLCC同様一般ビジネスマンのニ-ズを確り掴んだが、LCCからも多くを学びビジネス機運航のビジネスモデルに確り取り入れている事は前述した通りである。

 

海外での利用体験の凡例

 

  1. 1970年代半ば、プエルトリコで石油化学工場を立ち上げた折、NewYork-San Juanは無論定期商用便だが、工場建設地は島の反対側のPonce. 建設最盛期には日本からも企業幹部、技術陣も来るのでSan Juan-Ponceはビジネス機をチャ-タ-。車で4時間。ビジネス機で35分。何回も往復したが、車を使った事は無い。
  2. 同じ頃、世界最大の塩田を買収したが、メキシコ領のカリフォルニア半島の半ばの砂漠地。一番近い商用空港は米国のSan Diego。業務出張もSan Diegoに出てから定期商用便に乗るだけでなく、駐在員の家族は食材、日用品の買物をSan Diegoで行う。三菱重工がビジネス機の生産を始めたのでMU-2を購入、午前/午後各2便を飛ばしていた。鯨の繁殖地として知られ、繁殖期には鯨が集まり、これを見ようと日本の塩の顧客 (現在も日本の塩の半分以上を賄う) が業務出張の名目で訪問客が激増するが,日本-Los Angeles-San Diegoは商用便、そこからはビジネス機と成る。現在はコスト節減の為機材もビ-チのタ-ボプロップ機の中古機を使って居るが、ビジネス機を使い始めて40年近い。
  3. 80年代初め、サウディアラビアで石油化学工場の建設に従事したが、中東には殆ど鉄道が無い。都市間の移動は航空機と成るが、中東とは砂漠と言う海の中に都市が点在するのが実情で、それぞれの都市が日本的に言えば砂漠に浮かぶ離島。ビジネス機は移動に必要な足。Board Meetingでサウディ側の提案で筆者のビジネス機利用が決議された。事由は、建設現場には商業機用の空港が無く、市営のジェネアビ空港しかないが、職責上首都リヤドへの頻繁な出張には、効率上、ビジネス機の利用が求められた。
  4. 90年代、Pittsburghの企業を買収、赴任した処、会社に自家用機が用意されて居た。コスト節減の折、社内で「費用対効果」の検討をさせた結果自家用機を所有するメリットは無く直ちに売却、その一方でビジネス機の利用が有利との事例を洗い出し、これは逆に営業部門に流し、積極的にビジネス機の利用を呼び懸けた。一例を挙げると、本社はPittsburgh, 旗艦工場は隣のオハイオ州。ビジネス機で45分。一方定期商用便はHub-and-Spokesにより、Pittsburgh-Columbus-工場所在空港と成るが、乗り継ぎが悪く4時間余。本社・工場間の打合せには複数の出張者が同行する。3人を超えると、ビジネス機の頭割のコストは定期商用便のそれを下回る。工場での打ち合わせの時刻も定期商用便の場合、ダイヤルに合せて設定され、帰り便の時間に合せて打ち合わせを切りあげたり、逆に時間を余らす結果と成る。結果として、時間の融通性に遥かに勝るビジネス機を利用する事例の方が多く成った。
  5. 2000年代初頭、日米間の豚肉貿易が大きな問題と成り実情調査を依頼された。日本企業が経営する牧場は米国北西部に点在するが、電話で訪問地を問い合わせても「地の果て」故、商用便で近くの空港に来たら、ビジネス機で迎えに行くと、日本で有れば、ちょうど最寄り駅に車を差し向けて拾うと言った塩梅。宮崎県で口蹄疫の伝染で大問題が生じたが、数十頭、数百頭単位の飼育場が感染の処理対象に成ったが、米国では百万頭単位の飼育なので、防疫上最も人里離れた処で飼育が行われて居り、ビジネス機利用以外アクセスは難しい。日本ハム、伊藤ハム、ゼンチク、大手総合商社の経営する巨大牧場が日本の消費者の嗜好を知り尽くし、日本以上の食品安全管理で行われている事を知ったが、日本の本社や、数多くのバイヤ-が訪れる際にはビジネス機の出番と成る。
  6. 1973年、ニクソンショックにより日本円も相場変動制に移行した。爾来、円高が波動的に訪れる度に、日本の海外企業進出が進められた。ス-パ-の食材の原産地を見るとこんな処からと驚く人も多かろう。日本が全世界より食材を買い付けている証左だが、資源開発を含め現地に派遣される企業マンは、日本では想像も付かない交通の不便な処で活動を余儀なくされオンデマンドによるビジネス機をチャ-タ-に頼らざるを得ない。特に本社のお偉いさんや重要顧客の訪問には手落ちや粗略は許されない。日本の企業マンも半世紀とは言わない迄もここ四半世紀は必要に応じ日本では知られない海外の遠隔地でビジネス機を利用して来た事は間違いない。

 

日本国内でのビジネス機の利用

 

海外で生活すると、日本の如く公共の地上交通機関が網目の様に張り巡らされている国は少ない。又、遠距離と言っても海外の水準から見れば、距離も短い。従って、ビジネス

機の出番も限られるが皆無ではない。

  1. 1960年代半ば、四国の新居浜に出張した際、大阪より夜行の連絡船が有るが水上飛行艇を利用しなさいとの助言を受け、大阪湾より新居浜迄飛んだ事が有る。コミュ-タ-機と言うべきで、ビジネス機の定義より外れるが、新居浜湾に着陸した。乗客の多くが大阪本社-新居浜工場間を往復する企業マンで事実上のビジネス機の機能を果していた。
  2. 2006年米国より帰国し、ビジネス機を実際に国内で利用して居る人の話を聴取した。北海道で地元有力銀行が破綻し連鎖反応で多くの企業が破綻した。経営コンサルタントは何回も現地を往復したが、朝東京より小型機で北海道を訪れ昼過ぎには東京のオフィスに戻り持ち帰った資料の分析を行ったとビジネス機の有用性を強調して居た。
  3. 某特殊技能を持つ医師は、地方病院から手術を頼まれると自家用機で駆け付けると話して呉れた。何れもコンサルタント、医師等のプロフェッショナルでビジネス機のコストを顧客より取れるのであろうが、彼らとて数十万円/時もするビジネスジェット機を使って居る訳では無くコストの安い小型機を利用している。
  4. 首都圏よりヘリコプタ-で週末5万円/人で北関東のゴルフ場に顧客を輸送する話を聞いたが、所要時間は40分位。プレ-を終えて帰っても、夕食には悠々間に合う。ハイヤ-は¥25,000/日だが北関東往復で4~5時間は懸る。ヘリコプタ-は高い様に思えるが、接待ゴルフで有れば、顧客の時間節減と便宜を考えれば、接待費で充分落とせる範囲の金額と説明して呉れた。レジャ-はビジネス機の定義より外れるが、レジャ-であっても、ビジネス顧客の接待の為の2点間輸送手段を提供するとすれば広義のビジネス機利用と見做されるのではないか?
  5. 地方には自家用の小型機やヘリコプタ-をビジネスに利用して居る人々の話も聞く。要は、ビジネス機=ビジネスジェット機、双発タ-ボプロップ機と限定すると日本では国内でビジネス機が利用されて居ないとの結論と成るが、視野を広げれば、小型自家用機や、ヘリコプタ-こそがビジネス機的使われ方をしているとの別の世界が見えて来る。(視野狭窄症よりの脱却が必要)
  6. この辺、日本の国内でのビジネス機の利用は950機と目される小型ピストン機や回転翼機を包含するので実態の解明は行なわれて居ないが、この未踏の分野に光を当てれば、将来のビジネス機の利用策のヒントが得られるのでは無かろうか?この種航空機は無論利用目的によりれっきとしたビジネス機の範疇に入るが、従来はビジネス機としての検討対象にもされず、三流市民扱いされてきたが、これこそが日本土壌に適合する機材ではなかろうか?詳細は本サイトの続編で言及する。

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