2013年02月05日(火)06時42分

(16) 日本のビジネス機事業の将来 II

16)日本のビジネス機事業の将来 II

要  約

1.本稿では今後のフォロ-アップを必要とする事項を列挙した。

a.ビジネス機の飛行実績の統計の集計の迅速化、集計方法の見直し。

b.利用施設の整備

c.ジェネアビ利用に適した法制の整備 (ジェネアビに対する市民権の付与)

2.利用可能な機材としての低価格帯ヘリコプタ-

3.利用可能なインフラ

4. 利用可能な利用料実現の見通し

5.必要とされる体制造り - 既に水面下或いは「点」として必要な対応は始動しているが、これを「線」、「面」として組み立てる努力が必要。一般的な方向性として行政も、運航に関わる関係者も、利用者も賛同者が多かろうが、この動きを組織化して総合的に収斂させる努力と工夫が必要だが、次稿で総括する。

 

フォロ-アップ事項

 

ビジネス機の飛行実績統計の整備

航空機の飛行実績の統計は国交省が纏めデ-タ-ベ-スとして保管して居るが、この中よりビジネス機33機(国交省が2010年の統計に利用した双発タ-ボプロップ機とジェット機)を拾い出して別個の統計として纏めるにはそれなりの時間と手数を要する。大雑把に日本の空港での航空機の着陸回数は年間100万回、ビジネス機は数千回程度で0.数%前後。この様な微々たる機数を機種別に拾い出す集計作業は、現在1年余を要し、出来上がった時点ではデ-タ-の新鮮さが失われて居る。行政改革が叫ばれる中で、行政にこれ以上の負担を懸けるのは如何と言う論議が有ろうが、ならば適当な民間団体にデ-タ-ベ-スへのアクセスを許し必要数値の抽出作業を委託、ビジネス機の飛行状況をタイムリ-・適確に把握し得る飛行統計に纏める方が効率的。「事実」を踏まえない机上の空論を避ける為にもビジネス機の飛行実績統計の迅速な集計業務の体系的制度化が急がれる。民間企業で前年の事業実績も把握せず経営管理を行う事は考えられない。実績を踏まえ、施策の軌道修正、ファインチュ-ニングを行ない乍ら企業経営を進める事は「当り前」の常識。(当り前の事が当り前に行われる事が肝心)

 

ビジネス機利用施設の整備

ビジネス機の利用施設整備以前の問題として、ビジネス機のハブを成田/羽田の玄関口空港にするか、周辺の茨城、横田空港にするのか検討の要が有る。最終的に利用者が選定する問題であり、行政や関係業者は当然関わるとしても、ユ-ザ-の意向が最重視されるべき。利用者の選好は、上記ビジネス機の利用空港の実績に反映される。これも時系列的に利用空港の推移を統計的に把握しなければ成らない。1年のみ取り上げても意味が無いが、2010年度の成田/羽田以外の利用空港は下記。又、施設の建設には、海外でジェネアビ空港の利用施設の建設を手掛けている内外の大手業者も数多く、海外の利用者の使い勝手の良い施設を作るには、彼らの意見も広く取入れる必要がある。首都圏以外のビジネス機の利用頻度が多いのは下記。

(年間着陸回数)

利用順位(外国機)

空港名

着陸回数

利用順位(国内機)

空港名

着陸回数

1

関 空

249

1

名古屋

997

2

対 馬

244

2

松 本

523

3

新千歳

188

3

八 尾

479

4

中 部

61

4

旭 川

348

5

名古屋

51

5

福 岡

255

6

福 岡

22

6

庄 内

239

7

仙 台

19

7

鳥 取

239

2.06回/日

成 田

754

0.11回/日

成 田

41

0.85回/日

羽 田

311

1.11回/日

羽 田

406

 

  •  最近成田にビジネス機の受入れ施設が完成したが一日2回程度の利用では投資に対するリタ-ンを回収するのは難しい。LCCへの利用依存であれば、低コストを狙うLCC企業より高い利用料は徴収し得ない。尚、ここ数年成田より海外向けに出発した日本国籍機は皆無。
  • 国内ではトヨタの名古屋-旭川、エプソンの松本-庄内、八尾、鳥取のシェア-が大きく全体像が歪められて居るが、この2社を除いた実態像はかなり違ったものと成るのではないか?
  •   最も留意すべき点は、上記は双発タ-ボプロップ機とジェット機の合計約33機の利用回数で約1,000機(その内何機がビジネス機の定義に合致するかは不明だが)のピストン機、単発タ-ボプロップ機、回転翼機は除外されて居る。回転翼機の場合は、全国3万と言われる場外を含めたヘリポ-トを利用する。

 

ジェネアビ用の法制の整備

 

1.日本はジェネアビが市民権を得て居ない世界でも異例の国。G-7,G-20と言われる諸国でジェネアビが市民権を得て居ない国は何ヶ国あろうか?それより、日中韓の自由貿易協定の延長として域内の航空機の国籍差別やカボタ-ジュが撤廃され中国、韓国機が自由に日本の空を飛ぶように成った場合、或いはTPPで日本だけがグロ-バルスタンダ-の法制が整備されて居ないとすれば、当然、その導入を求められ様。中国、ロシア等は毎年IBACのフォ-ラムで国内でのPart 135の導入・準用の実態報告を行っている。日本はこれに言及する段階にも無い。

2.それ以前の問題として、日本では大型商用機と同じ規制がビジネス機に適用される為、2000年半ばには中/遠距離用のビジネス機は全て海外に本拠を移し、日本には中/遠距離飛行可能な機材は1機もない。極く近か間の飛行さえ2010年度、僅か8回と、一般利用者への普及はおろか、事実上、国際飛行にビジネス機は利用されて居ないと同等の状態。一方アジア勢を中心に3,544回の外国機の飛来が有り、国際競争力のない日本は一人負けの状態。

3.日本だけが鎖国状態のガラパゴス列島で過ごす事はグロ-バル時代(空に国境なし)許されないし、幕末同様世界を見渡したら日本は大きく取り残された事を認識すべき。日本には鎖国と言う選択肢は無いと自覚すべき。

 

利用可能なビジネス機の利用料の設定

 

最後に、一般ビジネスマンにビジネス機の利用を促すには利用可能な利用料の設定が不可欠。この点が、過去10数年のビジネス機普及の論議で大きく抜け落ち、致命的な結果を産んでいる。本シリ-ズでは既にこの一番重要な然しタ-ブ-として触れられなかった課題に敢て挑戦を試みた。実際には利用者に近い川下では以前より密やかに囁かれて来た声は、充分に咀嚼されていない迄も多少手を入れれば、自ずから将来の道筋が見えて来る。但し、これを受容するには既定観念を脇に置き、視点と発想のコペルニクス的転換が求められる。無論、末端利用者、運航業者による今後の精査は必要不可欠。

(1)米国同様短距離、短時間の利用を考える。遠距離飛行に高料金のHeavy Jetを25時間も利用する事は現実的な選択肢ではない。

(2)地上交通手段のハイヤ-、タクシ-料との競合で絶対値で競う事は無いが、その他の諸要素をも加味・勘案しても大きな乖離は許されない。全くの独断と偏見の仮定であるがハイヤ-料を¥100/㎞と仮に置きその2~3倍幅を限界値と置いた。

(3)これにミ-トする機材と方策の検討。

(4)即ち利用者が払える利用料から逆算して行くデザインベ-ス方式。

a.米国では100万㌦を割るマイクロジェット機の開発が進んだが、これでは利用者の求める品質水準に満たせない事が判明、現在本命視されている機材は3.5~4.5百万㌦。ホンダジェットは本年5月に商業販売開始予定。但し、日本では近距離、例えば関東一円と言っても着陸する空港が無いので(かっての宇都宮空港は廃港)日本での固定翼機の利用は限定的と成らざるを得ない。大量輸送の依る低コストの定期商用便が就航する航路ではマイクロジェットとてコスト的に太刀打ちは難しい。

b.20万㌦台の回転翼機。これも一人乗りレシプロ機は市場の要求する品質を満たす事は出来ず、現在は80万ドル前後の5人乗りタ-ビン駆動の回転翼機が市場に出回り始めた処。低格帯ヘリコプタ-に就いては本シリ-ズでも既に触れたが、日本のタクシ-代の2~3倍範囲に利用料を合せるにはこの程度が機材コストの限界。それとて今後様々な創意・工夫を加える必要がある。

利用可能な機材(低価格帯ヘリコプタ-)

1.何をもって低価格帯ヘリコプタ-と言うかは難しいが、一応価格10~50億円前後と従来考えられて来たビジネスジェット機の何十分の一の価格の機材を目標とした。此処ではより高い機材も表示。

低価格帯ヘリ

Robinson     R-22

Robinson     R-44

Robinson     R-66

EC     120B

AS     350 B2

リスト価格

$270,000

$442,000

$830,000

1.6億円

2.2~2.4億円

航続距離

556㎞

569㎞

600㎞

710㎞

662㎞

巡航速度

178㎞/時

200㎞/時

222㎞/時

223㎞/時

245㎞/時

標準座席数

1

4

5

4

5

2.上記価格は飽く迄参考値。標準装備でアクセサリ-費用は含まず。Eurocopter社のRibinson社対抗機種はEC 120だが、一層のコスト削減の為中国で合弁による生産を決定。より競争力のある価格で日本市場も狙う。

3.航続距離では関東甲信越、北海道、近畿、九州等道州制導入の区割りに夫々の基地が有れば域内一円は十分カバ-可能な距離。

4.地上タクシの走行速度を50㎞/時と見ても、ヘリコプタ-の場合は直線距離で飛行可能。地上の信号待ちや道路渋滞も無く距離的にも、無論時間的にも大きなメリットがある。

 

今後の趨勢

 

  •   低価格帯ヘリコプタ-は民間の回転翼機の機総数の半数近くに達し近々半数以上を占めるであろう。
  •  ピストン単発ではRobinson社の2機種が日本での登録機数の85.2%と圧倒的な市場占有率を誇る。
  •  但し、R-22は第一段階で開発された機種で乗客も1名のみ。R-44は第二世代の旗手で乗客も4名迄載せられる。性能的にも、経済的にもR-44の方が優れて居るので、運航業者はR-44を選好。登録機種はR-22は漸減、R-44は増加の傾向が見られる。
  •   但し今後の進展は、成り行きを見なければ分からないが、ビジネス機として考えた場合、第三世代のタ-ビン駆動のR-66が本命と成るのではなかろうか?R-66はタ-ビン駆動で始めて100万㌦の大台を割った機種。昨年より市場に出回り始めたが、米国では人気沸騰で生産が追い付かず、2年前、生産能力を倍増したが、日本を含めた海外市場に本格的に出回るのは2014年以降に成るのではなかろうか。
  •   世界最大の回転翼機製造メ-カ-Eurocopter社が指を咥えて事態を見過ごす訳には行かず、対抗機種のEC 120を上市したが、100万㌦を越える価格で日本では僅か4機。抜本的な対抗策として需要が見込まれる中国で生産、低コストと市場拡大によるコストを引き下げ、日本市場に売り込みを図る戦略。
  •   日本では上位機種で2億円を超えるAS 350が2010年の時点で82機と大きく伸びたが、仮にEC 120の性能が向上し価格が1億円前後に成れば、日本での需要にも変化が現れ様。日本での回転翼機の既存運航会社の大半が、R-44乃至AS 350を運航している。
  •   日本は米国Robinson社と欧州Eurocopter社の熾烈な競合の果実を享受すれば良い。日本市場でのR-66或いは 中国製のEC 120のデビュ-は今暫く先に成ろうが、これも海外市場での販売実績と市場の評価を見届ける時間と余裕を提供するもので、日本としては決して悪い事ではない。
  •  日本の一般ビジネスマンがエアハイヤ-、エアタクシ-と利用し得るとすれば、機材の価格が1億円前後、然も複数名が短時間・短距離で利用する事で費用対効果が出る事を「事実を以って語る」以外ない。

その為にも、次回後述する国内の体制整備が不可欠。

日本での利用インフラ

1.日本には98の空港があるが、羽田一点集中主義で地方に放射線状に路線が伸びるが、地方から地方への横の移動は意外に不便。

2.今後。日本の大手航空会社も合理化を迫られ、地方路線の減便、撤退が続こう。(欧米では先行して尚進行中)

3.このギャップを埋めるのは地域航空だが、低コストハイヤ-、タクシ-的なビジネス機の利用も考えられる。

4.約3万のヘリポ-トが日本全国に存在すると言われるが、場外なら3カ月程度で新規認可取得可能。

5.何処にヘリポ-トが存在するか詳細な包括的資料は無いが、個人の努力でネット上にかなり詳しいデ-タ-は存在する。関東にある小規模のヘリ運航会社で、関東一円だけで300ヶ所に顧客を輸送する豪の者も実在する。

6.各運航業者が個人情報として秘匿して来たものを公開一般利用者に知らせる業界の一致した努力が求められる。

7.一番必要とされるのは都心、或いは列車の主要駅近辺に一般利用客が利用出来るヘリポ-トを設置する事である。

8地方の交通機関が駅近辺にホテル、駅ビル等を運営しているケ-スが多く、その屋上利用等の工夫が必要。

9.東京の場合は、都心のビジネス街近辺のヘリポ-ト認可取得が鍵。

10.神戸空港はヘリポ-ト、ハンガ-、整備場、パイロット訓練校等を整備し始めたが、良い先例と成ろう。

11.地方都市、自治体も地域活性化に繋がる事でもあり、積極的な協力と連係プレ-が求められる。

利用料の見通し

1.一番難しい課題で有るが、避けては通れない課題なのでブレ-ンスト-ミングの資を提供する。

2.ビジネス機を利用するかしないかは最終的に市場・利用者が判断する。多くの異論、批判、提言を期待したい。

3.誰かが、何らかの叩き台を提示しなければ何も始まらないので善悪当否の論議はさて置き、敢て下記を提示する。

前  提

1.短距離(出発点より半径100~150㎞)、短時間(時速200㎞の機材で100㎞30分)の利用(おおよそ)想定

2.地上ハイヤ-日¥25,000、250㎞走行と置けば¥100/㎞。これに可能な限り近付ける。

3.無論時間節減、利便性等のメリットは有るので利用者がどの程度のプレミアムを払うかは利用者/市場が決める事だが、最高3倍と置くと¥300/㎞或いは¥60,000/時の利用料と成る。米国とてこの程度。

4.NASAが2006年にスペ-スシャトルの開発技術の一部を民間に技術移転し、マイクロジェットが生まれた。この折、NASAはバ-ジニア工科大学にマイクロジェット機によるエアタクシ-の市場調査を委託し、マイクロジェット機の利用コストを算定させた。結論は、$1.50~2.00/哩と出たがこれを日本流に換算すると¥85~113/㎞と成る。現在日本のビジネス機は¥1,000/㎞達成を目標に努力しているが、桁が一つ違う上、日本の地上交通利用との競合でもNASAの調査結果並のコストが必要と成らん。

5.NASAの調査結果を踏まえ、2007~8年に何社かのエアタクシ-会社が誕生し、その将来が嘱目されたが、次第に100万ドル以下のマイクロジェット機では利用者を満足させられない事が判明し、現在は3~4百万ドルの機材が実際に使われ始めた。2008年秋のリ-マンショックは誕生間もないエアタクシ-会社を直撃多くは経営破綻した。(インキュベ-ションを助けたベンチャ-キャピタルが資金供給の手を引いた為)

6.最近、エアタクシ-の利用の見直しが行われて居る。元NASA勤務員が立上げたカナダのLinear Air以外にImagine Air, Propairの3社がカナダで事業を継続している他、米国,Atlantaをベ-スとするSTATSair等はCirus SR 22 GTS (単発ピストン機 価格$635,000)でサ-ビスを提供している。英国ではロンドンの周辺空港への足としてテ-ムズ河畔のCity Airportよりエアタクシが出て居る。最近の話題としては、トルコのMyjet Aviationが一旦破綻したEclipse社のEA-550をAnkara, Istanbul基点に欧州、中東、アフリカの諸地域を結ぶエアタクシ-として業務を始めると発表した。個々の企業活動は別としても、エアタクシ-事業は小型航空機サ-ビスの ”Democratisation”(民主化、大衆化)の合言葉で航空機の富豪、セレブ、VIPへのリモジンサ-ビスに代えて、一般企業利用者へのサ-ビス提供と言う意味では、「価格破壊」の量販店、航空機業界のLLC、100万㌦以下のヘリコプタ-の出現等一連の「大衆化」の歴史的潮流の一環と見るべきで、日本も歴史の潮流を見失う事無く寧ろこれを有効活用する事でその必要性が昔から大声で叫ばれている「ホワイトカラ-族の生産性向上」による国際競争力強化を図からなければならない。

7.日本では関東を例に取れば、交通の便が相対的に悪い周辺地域にアクセスする空港が無い為、固定翼機より回転翼機の出番が多いと目される。例えば、R-44 ¥200,000/時、AS-350 ¥350,000/時。5人が乗れば¥40,000/時/人、¥70,000/時/人と成るので工夫次第で手が届く料金に成る可能性は無しとは言えない。(現在の日本のLight Jetは10倍の¥600,000/時強)

但し、下記の体制造りが必要。

8.海外でビジネス機が利用されるのは人件費の節減を確り「費用対効果」の評価に組み込む為。NBAAは評価ソフトを一般市販している。日本でもこの様なモデルを日本の実情に合せて手直しし、教宣すれば、ビジネス機の経済性に対する評価もかなり違ったものと成ろう。日本の大手企業の社員平均コストは¥30~50,000/時と言われるが仮に平均¥40,000/時としてビジネス機を利用する事により4時間の時間節減が図れたとすれば¥160,000.2人の同行者が居れば、3人合計で¥480,000のコスト合理化が図れる。社員のコストが幾らかは、先進企業では全ての間接費用もコスト配布するので分かるが、簡便法では企業のネット利益を社員総数で割り更に1年間の社員の労働時間2,000時間(250日 x 8時間/日)で除せば算出可能。

9.この辺の詳細は別途実態にミ-トした日本方式の評価法を構築すれば良いが、ビジネス機を一般普及させる為には客観的な評価法(物指し)を提供する必要がある。

必要とされる体制造り

1.最重要課題は個々の企業が情報やビジネス機の運航実態を「個人情報」「企業秘密」として抱え込まず、「3本の矢」として敢てこれを公開し秘めた力の結集を図る事。日本は団体行動、チ-ムワ-クの力で今日の国際的地位を築いて来た。本稿にも縷々述べて来た様に「抱え込み」を行って来た故に、アジアに於いてさえ、近隣諸国にほぼ決定的な格差を付けられた。

2.Part 135の導入、成田/羽田の規制緩和と言ってもどの位の時間が懸るか予測も付かないし、仮にこれらが全て実現してもその背後に各種規制コストが重層化(自由貿易を唱え乍ら先進経済国ではダントツの経済統制国家)して日本の高コスト体質を形成して居るので一朝一夕で事態が改善される訳ではない。

3.航空業界では大手航空会社の統合、アライアンスの構築で業界を挙げて「3本の矢」を束ねる事で生き残りを賭けて居るが、情報・ノウハウを共有する事が如何に重要且つ価値あるかを身に沁みて分かった筈。世界はおろか。近隣諸国にも大きく遅れを取った日本のビジネス機事業が各個ばらばらの対応を続ければ将来は無い。

4.中/遠距離輸送に就いては定期商用便の何十倍の費用払う利用者は、コストに無関係な一部特権階層を除いては居無い事は過去の実績と言う「事実が語って」居る。加えて、日本は近隣諸国と規制緩和、コスト面で太刀打ちは出来ない。「勝てないなら手を組む」事が定石だが、日本企業は実質的にそうして来たし、今後もこれを踏襲すれば問題は無い。此処でも、ビジネス機事業者と定期商用便航空会社、日本のビジネス機事業者と海外のビジネス機事業者の戦略的提携で問題は改善するし(競合では無く相互補完)、過去半世紀日本の企業利用者は、これを励行する事で何の不便も感じる事は無く、逆にその恩恵を蒙って来た。日本に中/遠距離のビジネス機が無いからと割りを食った事はない。

5.寧ろ、ピストン機、単発タ-ボプロップ機、回転翼機等実際にビジネス推進の中核を担って来た航空機は地味な存在であった為、ビジネス機としては二流市民的取扱いを受けて来たが、マイクロジェット機、低価格帯回転翼機の新たな発展に伴いこの様な思考やアプロ-チの枠組みは根本的に見直されるべき。

6.地域航空や地方航空の発展に伴う地域活性化は様々な形で進められて来たが、多くは「点」の展開であり、横割りのネットワ-キングによる成果に繋がる努力に変えられなければならない。

7.低価格帯回転翼機の新たな展開に就いても、関係諸団体、内外機材供給者に加えて、一般利用者、市場に最も近い地域運航会社の参画を求めなければ足が地に付いた事業発展は望めない。

8.都心のヘリポ-ト設置は、関係諸団体、経済団体、不動産管理業者、運航会社、利用者等歓迎する事は有っても反対する者は居ない。唯一の反対者は、街宣車で皇居を見下ろす不敬を訴える一部のグル-プであるが、皇居に面した高層ビルの建設が当り前の事と成り、反対した同じ理由が過去のものに成った今日、設置を望む多数の団体の連携により都や地方公共団体の認可が得られるのではないか?都のビジネス活性化に繋がるなら、猪瀬新知事も積極的に支持するのではないか?(都の認可事項)。但し、内外の関係諸団体が団結、連名で総意を明確に表示しなければ事は動かない。

9.最後に、ビジネス機の一般利用を現実のものとするには、精緻な事業採算性を評価するfeasibility study、安全性の検討、計器飛行の認可、機材の共同所有、クラブメンバ-制での運用等様々な課題が残されているが、これらへの対応もも既に「点」としては広く存在して居り、寧ろこれらの知見を集め、体系的に整理統合すれば、必要とする膨大な作業も大きくショ-トカット可能。此処でもキ-ワ-ドは「情報・知見の共有」と「協働」の共同態勢構築にある。

10.全ての要素は曲がりなりにも出揃って居り、統合化、体系化、制度化される事を待って居る。「青い鳥」は「山のあなたの空遠く」に居るのででは無く日本の足元で出番を待って居る。これに就いては最後の纏めとして、次稿で言及する。

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