2013年06月23日(日)12時49分

(25) 日本でのビジネス機利用の実態と秘めたる可能性

要    約

 

1.本サイトでご紹介した通り、日本で一般企業マンがビジネス機を利用可能と思われる領域は、国内出張で交通アクセスが悪い地方での移動だが、これには都市圏より直接訪問先に飛ぶ場合と訪問先近隣の幹線鉄道駅、空港より地上交通機関の補完としての近距離、短時間Air Taxi的利用の二通りが考えられる。

2.幸いは「山のあなたの空遠く」に居るのではなく「青い鳥」は足元に居る。

3.今回は、遠い異国の話では無く「関東甲信越」、「中部」、「近畿」の3経済圏に記述を絞った。「関東甲信越経済圏」は東京都心より120~150㎞範囲内。おそらく平均100㎞範囲、幹線鉄道駅より50㎞範囲内に訪問地が位置する。回転翼機で30~60分で往復可能。この範囲にフランス、英国を抜くGDPを産み出す経済圏が存在し、韓国、スペイン並の人口を擁し、521ヵ所の工業団地が存在する。

4.狭小の国土の利点を活かし、低価格帯の機材をビジネス機として活用すれば済む。「一寸そこ迄」下駄を突っかけて用足しに出る気軽さで、国内出張の生産性を低コストで高める事が可能。米国と欧州の「一寸そこ迄」の比較も付した。

5.一般ビジネスマンが手の届く利用料にするには機材のコストを抑えねば成らないのでビジネス機の機材コスト比較も添付した。実際の購入価格は種々の条件で異るが、およその感触は掴める。幸い、日本では高価格帯のビジネス機は民間では利用されず、(これが日本はビジネス機の利用後進国との誤ったイメ-ジを与えるが)日本のビジネス機は圧倒的に小型ピストン機、回転翼機に集中し、然もこの慣行は四半世紀以前より定着している。後は。より安く、より高性能な新鋭機材にアップデ-トすれば良い訳で、これも言われずとも着々と進んで居る。

6.今後必要な事は、日本には日本に向いた「日本モデル」が有り、これを「ニ流市民扱い」する事なく認知し、行政、関係業界が側面支持・援助をすれば良い。

7.この様なジェネアビ用の法制整備による「市民権の付与」、日本では高額なビジネス機よりは小型スピ-ドボ-ト的新鋭の高性能、低価格の機材で充分との発想の転換を図る事(現場は充分分っているが寧ろ施政者のメンタルアジャストメントが必要)これを支援する都市圏ヘリポ-トの建設許認可、ジェネアビ機の計器飛行の認可等一歩踏み込んだインフラ整備が喫緊の課題。

8.利用者サイドではビジネス機利用の「費用対効果」の統一的「評価システム」の確立(米国ではパソコン用の簡易ソフトが10年以前から普及して居る)、これに必須の企業従業員の人件費を含めた社員一人の時間単位当りのコスト割出しが必要。日本のホワイトカラ-族の生産性の低さは半世紀近く前から指摘され続けているが、これを定量化する努力は遅々として進まない。況して、ビジネス機の最も有力利用候補者と目される、シルバ-、ゴ-ルドカラ-族幹部の生産性は欧米に比し著しく劣る。70年台後半、日本能率協会は分秒を惜しむ日本企業のトップレベルの業務時間分析を行い、「価値ある業務」で企業価値の創造が行われて居るのは最も多忙な幹部でも僅かに利用時間の10%程度とのレポ-トを纏めている。自らのコストと「価値の創造」の定量的な比較計算が出来なければ、ビジネス機を語る資格は無い。”One cannot manage what one   cannot measure”

9.最後に日本でビジネス機が普及しないのは「縦割り社会」で各企業、関連団体が個々バラバラに行動する為。行政を動かすには業界(経済界を含め)の一致団結した働き掛けが必要。ジェネアビ航空の「市民権付与」「小型機の計器飛行」「大都市中心部のヘリポ-トの許認可」等海外政府機関(例えば米国連邦航空局),関連諸団体の支援 (IBAC, NBAA, EBAA, HAI   etc), 在東京の海外公館、外国商業会議所に日本の経済諸団体(経団連、同友会、日商、日本貿易会)そして100に近い国内航空関連団体、自民・民主党の議員連盟、地域航空推進の諸団体等日本の内外で日本の地域航空推進・活性化を促す諸施策に異議を唱える先等はいない。これを「3本の矢」に束ねる努力が行われて来なかったのが問題。逆に機材の共同所有による稼働率の向上、コストを含めた生産性アップ、一流企業が経営、安全性に信用が置けるビジネス機の共同利用体制の構築はこれも業界の一致団結した「協働」が不可欠。この「発想の転換」で関係各者のWin-Winの関係が構築され、日本も晴れて対外的にも「日本モデル」を胸を張って示す事が出来る。 韓国、台湾、フィリッピン、インドネシア等近隣諸国も将来「日本モデル」を準用する事でベネフィトを享受出来るのではないか?

日本の3大経済圏 (2008年) 2008年の経済規模数値は経産省統計

都道府県名

人口(千人)

面積(㎢)

経済規模(兆円)

工業団地数

空港数

関東経済圏

東京都

神奈川

千葉

埼玉

茨城

群馬

栃木

関東甲信越

新潟

長野

山梨

42,842

13,229

9,075

6,196

7,211

2,946

1,992

1,993

47,969

2,346

2,130

851

26.1

2.2

2.4

5.2

3.8

6.1

6.4

6.4

56.8

12.6

13.6

4.5

187.8

89.7

30.9

19.7

20.8

11.5

7.2

8.0

207.6

8.7

8.0

3.1

405

7

40

40

79

67

111

61

521

57

52

7

8

羽田 横田 調布

0

成田

ホンダ

茨城 阿見 大利根

0

0

10

新潟

松本

0

近畿経済圏

大阪府

京都府

和歌山

奈良

兵庫

滋賀

20,850

8,866

2,628

986

1,389

5,572

1,417

27.5

2.0

4.6

4.7

3.7

8.5

4.0

797

38.0

9.9

3.3

3.6

19.1

5.8

257

41

30

6

21

115

44

関西伊丹八尾

0

南紀白浜

0

神戸 但馬

0

中部経済圏

愛知

静岡

三重

岐阜

福井

富山

16,931

7429

3,717

1,839

2.065

799

1.082

37.8

5.2

7.8

5.8

10.6

4.2

4.2

726

33.8

16.5

7.3

7.3

3.2

4.5

317

81

102

38

46

14

36

6

中部・名古屋

静岡・三保

0

0

福井

富山

 

 

関東経済圏

関東甲信越

近畿経済圏

中部経済圏

人口(千人)

全 国

比率   %

42,842

128,057

33.5

47,969

37.5

20,850

16.3

16,931

13.2

面積(㎢)

全 国

比率   %

26.1

377.9

6.9

56.8

15.0

27,5

7.3

37.8

10.0

生産額(兆円)

全 国

比率   %

187.8

505.1

37.1

207.6

41.1

79.7

15.8

72.6

14.4

工業団地数

全 国

比率   %

405

1,782

22.7

521

29.2

257

14.4

317

17.8

 

 

海外統計は2008年世界銀行の統計を対比

人口(千人)

面積(㎢)

生産額(兆円)

関東甲信越

海外比

47,969

韓国48,184

スペイン46,077

56.8

クロアチア56.6

デンマ-ク43.1

207.6

フランス206.1

英国204.7

中部経済圏

海外比

16,931

オランダ16,613

37.8

オランダ37.4

台湾36.2

72.6

豪州73.3

オランダ62.2

 

日本の広域経済圏は優に諸外国一国のGDPを上回る規模。 関東・甲信越経済圏はフランス、英国さえ上回る。中/遠距離飛行は運賃面でもビジネス機に比し圧倒的に安く、ビジネス・ファ-ストクラスのサ-ビスもビジネス機を凌駕し始めた商用機を使い(過去四半世紀~半世紀の確立した慣行)、海外は夫々に目覚ましい発展を遂げている地場のビジネス機産業に任せ、日本は日本独自の「日本モデル」確立に注力すれば良い。歴史が日本人の先進文化の摂取とこれを消化し自家薬籠中の物にする傑出した能力を実証して来た。

飛行距離㎞直線2点間距離はやや丸めた数値)

飛行カバ-可能な領域

関東経済圏

羽田半径50

100km

150km

200㎞/時の回転翼機で100km30分、400km/時の小型機で15分

東金、成田、つくば、川越、八王子、平塚

三浦・房総半島一円、水戸、宇都宮、前橋、甲府、沼津、伊東

日立、日光、軽井沢、韮崎、富士

関東甲信越

前橋半径50

100km

150km

200㎞/時の回転翼機で100km30分

東松山、小諸、秩父、飯能

東京、宇都宮、長野、諏訪、甲府、厚木

 北茨城、白河、新潟、富山、飯田、静岡、伊豆・房総半島全域

近畿経済圏

伊丹半径50

100km

150km

200㎞/時の回転翼機で100km30分、400km/時の小型機で15分

桜井、大津、京都、明石、岸和田

鈴鹿、長浜。宮津、姫路、淡路島全域、南端を除いた紀伊半島

福井、米子、福山、高知を含む四国東部、紀伊半島全域

中部経済圏

名古屋半径50

100km

150km

200㎞/時の回転翼機で100km30分、400km/時の小型機で15分

蒲郡、岐阜、彦根、鈴鹿

掛川、飯田、高山、福井、大津、名張、伊勢・鳥羽

金沢、舞鶴、神戸、大阪、尾鷲

チュ-リッヒよりの近隣飛行距離

ジュネ-ブ228㎞、ミラノ203㎞、パリ-474㎞、ウイ-ン597㎞、アムステルダム597㎞。一寸そこ迄の距離のスケ-ルが違う

ニュ-ヨ-クよりの近隣都市距離

Albany(州都)250㎞、ボストン428㎞、ワシントン(首都)380㎞

 

商用便、コミュ-タ-便の航空会社のホ-ムペ-ジに夫々の空港間の飛行時間(離発着の時間も入れて)や飛行距離も見られるのでより正確を期すのであれば参照されたい。

ビジネス機のリストプライス

価格(千㌦)

備      考

商用機

150~250,000

最上位機種のA-380はスカイマ-クが発注しているが、未だ運航して居ない。政府専用機Boeing 747 2機がある

Heavy Jet

50~65,000

軍/公用はかなりあるが民間には1機も存在しない

Mid Jet

20~35,000

軍/公用はかなりあるが民間には1機も存在しない

Light Jet

7~12,000

オ-ナ-経営者、報道関係が20機程度保有する

Micro Jet

3~5,000

Citation Mustang 4機が民間にある

双発タ-ボ機

4~8,000

民間には現在11機。年々減少傾向

ピストン機

0.3~1.000

ビジネス機的な利用機は推定450機前後

ピストン単発ヘリ

0.25~0.5

Robinson R-22 Beta II $276,000 R-44 Raven II   $442,000

タービン単発ヘリ

0.85~3

Robinson R-66 $830,000 Eurocopter  AS-350 $2~3 MM

低価格帯回転翼機

0.25~2.5

回転翼機327機の内310機で総機数358機の86.6%

 

・メ-カ-のリストプライスは公開されて居り、これらの比較表も業界誌に時折掲載されるが、実需家の購入価格は様々な条件が絡むので格差が生ずる。但し、大掴みな全体像を把握するには上記で一応済ませられる。

・  日本の民間には15百万㌦以上の価格帯の機種は皆無。

・ 3~12百万㌦の価格帯の機種は30機程度あるが、「VIP送迎用」と本サイトの対象外の機材や、中古機で実際の取得価格が低い機材も混在する。例えば、 2012年、永年日本航空大学が訓練機として利用して来た機材が払い下げられ、新たな民間企業が所有者として払い下げ機材を再登録している事例もある。

・より安価克つ性能の優れた小型機が5百万㌦以下で入手可能と成り、回転翼機では0.5~2.5百万㌦が中心。Heavy Jetが日本に紹介される以前でも事業目的に利用されて来たジェネアビ機は現在の保有機数以上で、機材コストもHeavy Jet の1/50~1/100以下。高額のビジネス機ジェット機がこれを置換する事は20年経た今日でも無かった。


「日本モデル」確立に配慮すべき日本独自の特色

ビジネス機が利用可能な地理条件

1.ビジネス機のニ-ズが高いのは広大な国土で人口密度が低く地上交通手段では時間も費用も嵩む地域で然も或る程度ビジネス機を使える収入を有する利用客(企業を含む)が存在する事が前提。

地  域

国土の拡がり(㎞)

特  色

 米 国

 東西-南北4,500 x 2,500 企業本社は地方が多く空運が発達、30,000の空港で商用機、コミュ-タ-機がアクセスする空港は7,500.ビジネス機を含めたジェネアビ機は必須。米国は「車社会」同様「航空機社会」でもある

欧 州

3,200 X 3,300 二次的な周辺空港を除いても44ヶ国に450の空港が存在する。EUの誕生で域内の交流も繁忙を極め多くの優良企業も存在するのでビジネス機の利用も活発。

カナダ

4,000 x 3,000 米国国境より100㎞以内に日本の人口の1/4程度が住むが、横は東京-ミヤンマ-程度の距離があり、冬場は雪に埋もれるので航空機は必須。

豪 州

4,000 x 3,700 日本の人口の18%程度が広大な大陸に住むのでビジネス機を含めたジェネアビは必須。大陸の中央は砂漠地帯で人口は東西の臨海地域に集中する。

ブラジル

4,300 x 4,400 広大な国土に日本の1.5倍程度の人口が住んでいるが一握りの特権階層がビジネス機を所有。Embraer社は地場でコミュ-タ-機、ビジネス機も生産。

インド

2,500 x 2,500 人口12.2億人の一握りの特権階層でも絶対数は多く、ビジネス機の保有機数も多い。

中 国

5,000 x 5,500 人口13.5億人の一握りの特権階層でも絶対数は多く、近年高額のビジネス機を買い捲っている。

ロシア

9,000 x 3,300 アジア領ロシアは東西7,000㎞で人口7百万人位の過疎地。シベリア鉄道は有るが時間が懸る。一握りの特権階層のみがビジネス機利用可能。

日 本

3,000 x 3,000 日本は広いが実際には羽田―札幌、福岡は1,000㎞以内。人口の大半が国土の1/3の可住地区の沿岸地域に住みこれを繋ぐ各種交通網は高度に発達している。


飛行距離

1.日本の3大経済圏は何処に行くにも120~150㎞でアクセス可能。幹線鉄道駅付近のヘリポ-トが整備されれば半径20~50㎞で事足りる。

2.EUであれば、一寸そこ迄の用足しと言っても200~500㎞は要するし、欧州大陸の中心に位置しても、半径1,000~1,500㎞程度の域内距離をカバ-する必要がある。

3.米国は政治が経済に過剰関与しない様に「政経分離」が原則。首都ワシントンは経済の中心地New Yorkより380㎞離れ、New Yorkも州都(日本の県庁所在地に相当)はAlbanyで250㎞離れている。州都もTexas州はHoustonでは無くAustin、カリフォルニア州はロスでもシスコでもなくSacramentoで一寸許認可の打合せをするにも何百㎞も移動しなければならない。

4.結論的には日本でビジネス機を利用するのであれば、低価格帯の回転翼機で充分。それより上位の機種は特権階層の利用を除けば、「牛刀で鶏を割く」愚を犯しかねない。運航業者、利用者はその点を先刻承知して居り、日本のビジネス機の圧倒的多数は高額の「双発タ-ボ機+ジェット機」では無く小型ピストン機或いは回転翼機である。

5.日本には98の空港しかないがその9割が赤字空港。3割近くが1日の利用客が200名以下。騒音もあり空港は都市中心部より離れて居るので幹線鉄道の方が利便性も高い。固定翼機は空港が無ければ利用出来ないので、利用料等は脇に於いても物理的に利用の限界がある。30,000と言われるヘリポ-トが利用可能な回転翼機が利用コスト面で他の競合交通手段と競合出来れば、2点間輸送のビジネス客輸送手段として考慮の対象に成り得る。

一般ビジネスマンが利用可能な運賃体系

1.商用便のコストはビジネス・ファ-ストクラスで¥25~50/㎞

2.地上交通機関として最も高い地上タクシ-代は¥330/㎞

3新幹線のぞみのグリ-ン車で¥35/㎞

4.これに相当するビジネス機のチャ-タ-料は時速200㎞/時の回転翼機で\60,000/時或いは¥1,000/分、¥300/㎞

5.現在日本で運航している商業的にチャ-タ-可能なLight Jetは¥1,000~1,5000/㎞で富裕層・セレブ、VIP (特に外国人のビジネス機での訪問客の国内移動)や緊急時の対応以外一般ビジネス利用者は利用出来ないが、VIP利用は本サイトの検討対象外。

上記を可能にするビジネス機価格

1.統計を洗って気付いた事は日本で最も多いビジネス機はピストン単発機の503機でその中で最も多い機種のセスナ172は152機、全体の3割強。複数の運航業者がセスナ172のチャ-タ-料を¥55~82,000/時で提供している。\55,000/時はその内3社であるが、仮に巡航速度を200㎞/時(回転翼機とほぼ同じ)と見れば¥275/㎞。地上タクシ-料の¥330㎞/時と充分拮抗している。然も、この手の機種は過去四半世紀以上利用されて来た。これでは、¥600,000/時以上するLight Jetが日本で「VIP送迎用」以外に使われないとしても不思議はない。

2.それでも余り使われない理由として固定翼機は空港が無ければ使えないと言う大きな制約が有る。セスナ172は古くからある機種で価格も3千万円以下。海外の中古機では2.5~5百万程度の自動車の新車とさして変わらない機材もあるが、利用は空港のある処、然も訪問先が空港近辺になければ利用価値が薄く古くから存在する割りに余り使われない。

3.何れにせよ、日本でビジネス機を商用機、コミュ-タ-機の補完として地域航空の一端を担わせるにしても、狭い国内の限られた領域でのビジネス機としての利用を考案するには「小異を捨てて大同に就く」「3本の矢」での「協働」が不可欠。

4.ビジネス機が日本で利用されない理由として「規制緩和」が挙げられて来たが「規制緩和」と言うと「石部金吉」の「融通が利かない官僚規制」をイメ-ジし勝ちだが、それ以前の問題として、一般企業マンが如何なる条件下で幾ら迄なら出張旅費としてビジネス機の利用を社内経費として処理可能なのかをキチンと割り出す必要がある。

5.ビジネス機利用の計算で最も重要なポイントはビジネス機の利用が「金で時間を買う」事である以上、ビジネスマンのコストが幾らかを利用者が自覚して居なければ何事も始まらない。日本の先進的企業は人件費の如き直接費は勿論間接費もキチンと現場に配賦し社員一人当りのコストを割り出している。簡便法を利用するのであれば、企業のネット利益(金利、税金、償却費差引き後の純益)を従業員総数で割り、更に年間勤務時間2000時間 (250日/年x8時間/日)で割れば算出可能。日本の東証一部企業で¥30~50,000/人/時と最低賃金¥700/時とは桁違いな金額である事が分かる。ビジネス機利用による1時間の時間節減で、3人の出張同伴者が居れば¥90~150,000の経費節減と計算出来る日本人ビジネスマンは少ない。米国のNBAAは更にこれをインプットする事で商用便とビジネス機を利用した場合のコスト比較が出来る計算ソフトを市販している。この様なビジネス機利用による「費用対効果」の対比が出来るソフトなしではビジネス機の一般的普及は何時迄経っても覚束かない。

一般ビジネスマンが利用可能とするインフラの整備

1.本サイトの対象外の一部特殊階層の利用を除き、一般企業マンが利用可能な機材は国内での地域航空の補完としての競合各種交通手段との見合いでの低コストのジェネアビ機材、この運航を可能とする法制の整備。先進諸国では当り前の事でモデルも先例もそれら各国のビジネス機関連団体はこちらから要請すれば悦んで情報提供・協力する事は間違いなく、法制のグロ-バルな調和、時間・手間の短縮を考えても早急に染手する。

2.小型機、回転翼機の計器飛行は信頼性のある然も低コストの計器が市販され、米国連邦航空局を始め多くの先進国で認可されている現状に鑑み、これも先進国関係政府機関、業界団体の協力を得て日本でもジェネアビ機の計器飛行の実現を図る。

3.如何なる機材でも、コスト削減には機材の稼働率向上が急務。纏め買いによる機材の購入コストの引き下げ、安定した金融基盤の構築、機材の整備・保守方式の統一、万全の経営管理システムによる対外信用力の確立、実需家の立場に立ったサ-ビスの提供、これを可能にする共同運営機構の考案等、「地に足が付いた」施策の遅滞ない実行あるのみ。

4.幸い日本は自国の永いビジネス機利用の歴史(日本の真のビジネス機の姿は末端の裾野と看過されて来た小型機、回転翼機の果して来た役割と実態を再認識すれば)を持ち、既に存在する基盤を手直し改善すれば事足りる。実際の市場もこれらが体系化され、制度化され活性化される事を待ち望んで居り、これを触発出来れば、日本の風土、ビジネス環境に即した「日本モデル」のビジネス機慣行が真に根付くであろう。

 

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