2013年01月10日(木)11時53分

2013年の航空業界の課題

年頭に業界誌が年間の課題を掲げる事は洋の東西共同じだが、海外誌の上澄みのみトピックスとして要約・抽出した。

(1)  前回のトピックスとして2013年の航空業界の一般的予測は前年に比しスロ-ながら回復基調と成って居るが、これは予測外の事が無い事が前提。「予測外」の事象の中には、米国の「債務の崖」、EUの金融不安、中国の政治・経済の不安定化、原油価格の高騰等も入るので、不確定要因もかなり残る。

(2)  グロ-バルにはアジア・大洋州の伸びが最大との予測は衆目の一致する処だが、日本もこの波に乗る事が肝心。

(3)  米国の市場も回復基調だが、ビジネス機に焦点を絞れば、低迷している一般ビジネスマン対象の低価格帯ビジネス機の回復がどの様に成るか、同様の市場が期待される日本に取っても注目すべき点。

(4)  世界の航空業界の勢力変化の目玉は中東勢の動向で日本にもある程度の影響はある。

1.豊富なオイルマネ-の投資・運用先、安価な石油調達価格、地政学的な優位性を武器とした中東勢の進出から目は離せない。

2.EUは安価な石油を利用するのは不当な公的補助政策或いは反ダンピング法違反と法廷で争って居る。信用不安対策にオイルマネ-が必要なEUは政治的に不利

3.日本人にはピンと来ないが中東は欧州、アフリカ、アジア大陸の結節点。最近、エミレ-ツ航空はカンタス航空と提携して「カンガル-・ル-ト」と呼ばれる、豪州-シンガポ-ル―欧州の航路が豪州-ドバイ-欧州に転換する地殻変動の萌芽が見られる。

4.更に日本人の発想に無いのは 中東の視点ではアフリカ、パキスタン、バングラデッシュ、マレ-シア、インドネシア、フィリッピン南部、中国西域、旧ソ連邦アジア領はイスラム文化圏。今後の成長が著しいだけでなく、他地域との交流に空運は不可欠。Etiad航空は経営破綻に陥ったインドのKingfisher又は赤字垂れ流しのインド航空への資本参加をネゴ中。欧州では、経営不振が続く独Air Berlinの筆頭株主と成り、本年は更なる梃子入れが必要と見られる。他方、カタ-ル航空はOneworldとの提携を強化。

(5)日本は以上の様なグロ-バルなマクロ的視点を持たねばならないが、日本の最大の

課題として挙げられているのがLCCとの棲み分け。JAL,ANA共LCCに参入しているが、欧米でもLegacy CarrierとLCCの両面作戦展開は多くの課題を抱え、日本もこの課題と直面するのは時間の問題と言うのが大方の見方。

他の一つは、シンガポ-ル航空、エミレ-ツ航空、タイ航空の成田航路へのA-380

乗り入れによるハブ空港間の覇権争い激化で、成田以外に、仁川、香港、バンコッ

ク、マレ-シア、シンガポ-ル、ドバイとの競争が激化する事は避けられない。

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