2013年03月03日(日)09時11分
エアタクシ-
米国ではエアタクシ-が過去数十年使われて来た。米国の地方の小空港では空港の外にタクシ-が待って居ない事が多く、町から呼べば来て呉れるが30分以上は待たされる。地方の空港の足は圧倒的にマイカ-乃至レンタカ-だが、慣れない土地で暗い夜レンタカ-で知らない道を走り迷うと、危険な上、思わぬ時間のロスも生じる。この様な空港では、エアタクシ-が用意されて居り、行く先を伝えれば地域の地図にコンパスを当て運賃を提示して呉れる。航空機は直線距離を飛行し、且つ地上の交通渋滞も避けられるので、地上のタクシ-利用より時間の節減は勿論、利用料の絶対値でも競合可能な事もある。米国に存在する30,000と言われる空港の内約半数は私有で、企業、大学、レジャ-施設は勿論、農場・牧場主も自分の土地に小滑走路を有している。小空港のエアタクシ-は半径50マイル(80km)位をカバ-するので単発のピストン機が多い。然し過去10年、状況は大きく変わって来た。理由は:
1.低価格帯の然も性能面では従来より遥かに優れた機材が市場に出回り始めた。固定翼機で有れば、マイクロジェット機、低価格の小型ピストン機、回転翼機で有れば50万ドルを割るもの迄選択が増え、尚新し機材が次々とお目見えする。
2利用.料金の多寡を左右する大きな要因は機材コストではあるが、利用頻度の影響も大きい。航空機は資本集約的産業であるが故に機材の利用率が上がれば、固定費の割り掛けが下がる。ビズネスジェット機では年間500時間利用が個人所有する事損益分岐点と言われ、回転翼機で300時間と言われるが、無論機材のコストや諸条件により一括りで語る事は出来ない。日本では回転翼機の利用が年間100時間を割る事例もあると聞くが米国では700時間を越える事例も多い。
3.地方空港での足と言う側面もあるが、最近は都市圏も交通渋滞が激しい為、高速、2点間直結、地上の交通渋滞と無縁なら、多少のプレミアムを払ってもエアタクシ-を利用するビジネスマンも増えて来た。
4.これに拍車を掛けて居るのが定期商用便企業のリストラによる、不採算路線の就航廃止・減便、hab-and-stokesの強化による不便さと、主要空港のセキュ-リティ-強化による時間のロス。最も多忙なAtlanta空港等、月曜の朝で有れば、セキュリティ-チェックを通過するのに優に1時間は要する。勿論、これらの最大の犠牲者は時間が命のビジネス客である。
5.エアタクシ-も地方空港の周辺地域への足とは別に、都市圏より300~600㎞位の距離をマイクロジェット機等で飛ぶサービスを提供す企業も出て来た。米国東北地域でサ-ビスを提供するLinear Airを一例に挙げる。
以上は、日本では今現在機材・周辺空港不在で直ちに真似られないが、都市圏でのヘリポ-トの利用が認可されれば、利用の可否検討可能。ヘリコプタ-の計器飛行も衛星のGPSを利用したAvionicsの進歩で利用が可能に成って来た。米国では参加企業40社で、2004年Air Taxi Association が設立され、EBAA (欧州ビジネス航空機協会)が関係する欧州のAir Taxi Associationも現在92社の会員を擁する。欧州と言っても域内に限らず、エアタクシ-導入に熱心なトルコ以外に、モロッコ、マルタ、ラトビア、ヨルダン等も名を連ねて居る。
留意すべき点は、日本ではジェネアビ小空港は限られた数しかなく、ジェット機を利用する程の距離も要らないので、固定翼機より更に低価格の回転翼機とヘリポ-の組合せで地方への出張或いは地方から地方への足として、エアタクシ-的なビジネス機の使われ方が考えられ、欧米の今後の展開を注意深く見守り、グロ-バルな進展より更に取り残される事だけは避け度い。
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