2013年03月07日(木)10時55分

エミレ-ツ航空6月より羽田に就航

エミレ-ツ航空は6月5日より羽田-ドバイ間に定期便の就航させると発表した。羽田は深夜便しかスロットの枠が取れず、施設面でも制約が有るのと、昨夏、成田にA-380を就航させた為、供給過剰に成る可能性に配慮し、Boeing B-777型機中心の運航と成る。B-777型機は貨物需要にも応えられる。エミレ-ツはB-777型機を関空でも運航して居るが、これで、成田(A-380), 関空、羽田 (深夜便)と1日3便の運航体制が確立する。エミレ-ツ航空は全ての路線で、70%以上のロ-ドファクタ-を義務付けて居ると言われる。本サイトは日本のビジネス機の将来を考える事が目的で、何故定期便然も日本より遠く離れた中東が取り上げられるか疑問を持たれる読者も居られ様が、次の様な点に留意戴き度い。

1.グロ-バルな視点で見た場合、過去の予測通り、米国 (American, United, Delta) 欧州(Air France, British Airways, Lufthansa)の3企業グル-プの集約に加え、グロ-バルにはSky Team, Star Alliance, One Worldの3大アライアンスが誕生した。これに対し、エミレ-ツ、エディハド、カタ-ルの3大中東航空企業は特定のアライアンスに参加する事無く急成長を遂げて居る為、業界再編成の台風の目玉と成っている。

2.日本的発想では分かり難いが、中東的発想に立てば、欧米中心の世界秩序に巻き込まれる危険は、中世よりのキリスト/イスラム教の対立、19世紀後半よりの欧州による中東の植民地化とその産み落した現在の中東の不安定な均衡から拭い得ない西洋不信が生まれる。中東の豊富なオイルマネ-と安い原油価格を武器にEU/中東の航空会社の空中戦が火花を散らしている。EUは安い原油価格を武器にした殴り込みはダンピング法違反と訴訟を提起したが、中東は航空機を含め欧州の最大の武器輸出先で在り、中東のオイルパワ-は経済不安に悩むEUの大事な資金源且つエネルギ-供給源であれば、強くは出られない。

3.更に中東は先史時代、人類発祥の地であるエチオピア高原より欧州、アジア大陸に人類が拡がった「人類の廊下」で在り、アフリカ、欧州、アジア3大陸の結節点と言う地政学的な優位性の自負がある。宗教 (イデオロギ-)、オイルパワ-(金融力、エネルギ-資源)、地政学的な優位性 (地の利)、に加えて「適者生存」の厳しい現実に日々対処する事で培われた「弱肉強食」の現実外交 (Real Politics)で武装した中東勢の企業戦略は日本の温暖な気候で育まれた「ゲ-トウエイ構想」では中々歯が立たない。

4.ビジネス機に限れば、中東の超富豪はビジネス機の最高機種を乗り廻し、海外飛行には贅を尽くした、然も最も快適なフライトを常時追求して已まない。AirbusのA-380をプライベ-トビジネスジェット機として利用したり、ファ-スト、ビジネスクラス専用の定期便サ-ビスに供すると言う発想はそもそも日本人にはない。日本の場合は、高額なビジネス機と言う「箱物」を商売にする生産者・供給者の発想に (Products-out) 偏り勝ちだが、中東の場合は利用者・顧客の観点より、サ-ビスの高品質化とコストパフォ-マンスに最重点が置かれる (顧客本位のMarket-in) 。(機内のサ-ビス、快適性は既にビジネス機を上回る) 成田-ドバイのファ-スト往復百万円、ビジネス機で有れば3000万円。顧客の選択、まして経済合理性を真面目に追求する日本の企業幹部がどちらを選ぶかは論を俟たない。

5.日本の選択は、中東勢の高品質サ-ビスをフルに享受すると言う「発想の転換」で済む。

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