日本におけるビジネス機の在り方を考える

2013年05月08日（水）02時25分

AERO 13 (AERO Friedrichshafen 2013)

航空業界団体に限らずあらゆる業界団体が年に一、ニ度一箇所に参集し業界の情報交換、対面コミュニケ－ションの場を設ける事は定着した商慣習。ビジネス機関係では5月中旬開催予定のEBACE (European Business Aviation Conference & Exhibition)と秋に米国で開催されるBACE (Business Aviation Conference & Exhibition－昨年迄NBAA Conventionと一般的に知られていた）は特に参加者が多いが、先月上海で開催されたABACE (Asian Business Aviation Conference & Exhibition )、Singapore Air Show, MEBA(Middle-East Business Aviation Association)主催の中東、London周辺のジェネアビ空港としてビジネス機が多く使うFarnboro空港でのエアショ－も多くの参加者を集める。但し小型ジェネアビ機のエアショ－も開かれ北米以外で最大のジェネアビ機のエアショ－が4月24~27日ドイツ南部の街Friedrichshafenで開催された。厳しい経済環境下でも630社が出展に参加した。参加者は小型ジェネアビ機関連の業者が多く、寧ろ日本みたいに小型ジェネアビ機がビジネス機の大半を占める国ではこちらの方が直接関連或いは参考に成る話題が多い。2~3の話題を紹介する。

•   小型機メ－カ－でピストン機のSR 22の改良機を$892,000で売り出しAir Taxi用に需要が延びているCirrus社はリ－マンショック後資金ショ－トに陥り、結局中国CAIGA (China Aviation Industry General Aircraft) が2011年に買収、1億㌦の資金注入を得て念願の小型ジェット機SF50を開発、今回始めて公開された。飛行航続距離2,220㎞、飛行速度556㎞/時、乗客5人、Garmin G3000 GPS飛行計器を装備、価格は$1,960,000と2百万ドルを切りホンダジェットの4割程度。処女機は本年第4四半期に完成。2014年初めに飛行を開始、米国の型式証明を取得後、市販は2015年と成る。将来中国と更なる新鋭機の共同開発を行う。
•   ABACEの最近のトッピックスで触れたが米国Cessna社は中国でCessna Citation XLS+ と Citation Sovereignの現地組立てを決めているが、Citation Latitude に就いてはABACE会期中に合意に達しなかったが話し合いは今後も続けられる。今回は、2014年第一四半期に型式証明を取り、2015年の出荷に間に合わせるが、種々の改良が行われて居り、腰を据えてじっくり取り組むとの見解が伝えられた。Cessna社の中国現地法人の社長がABACEを主催したAsBAA (Asian Business Aviation Association) の会長でもあり、紆余曲折はあっても落ち着く処に落ち着くと見られている。Citation社はHawker-Beechcraft社の経営破綻とビジネスジェット機よりの撤退で,Hawker社が得意としたMid-Jet分野への進出の好機会と考えている模様。因みに、Cessna社の3機種の性能・価格は下記の通り。

日本国内で使うには「牛刀を以って鶏を割く」事に成り持て余すが、日本の企業マンが商用機を使い中国の主要空港に飛び、そこから交通のアクセスが悪い地域への飛行に利用するには、中国の国土面積に適した機材。

•   日本が最も留意すべきは、米国側の要請もあり、米国・欧州共同で5,700kgs以下の重量の軽ビジネス機、ジェネアビ機の簡素化された仮規制(CS-23/Part 23)を2014年中に纏める事に成った。日本のビジネス機はこのカテゴリ－に属する物が大半で、新たなビジネス機・ジェネアビ機の規制導入の必要性が叫ばれているが、グロ－バルスタンダ－ドの確立が進む中で合い乗りしない手は無い。米国GAMA （米国ジェネアビ機製造業者協会）が音頭取りをして進めて居り、日本もGAMAとの関係も長いので早期接触を図るべき。

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